
2023/08/11 - 2023/08/11
237位(同エリア774件中)
やまたまさん
この旅行記スケジュールを元に
江戸時代の武士たちは、実際どのような暮らしぶりだったんでしょう?関東に残る武家屋敷群としては最大級の、千葉県「佐倉武家屋敷」でその様子を体感してきました。
土塁と生垣が続く武家地の面影が残る武家屋敷通りでは、佐倉藩士が住んでいた3棟の武家屋敷が公開されています。
武家屋敷見学後は、かつて城に向かう藩士たちも歩いたという美しい竹林の小道「ひよどり坂」を抜けて、佐倉城址公園の見学へと向かいます。
- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- 交通
- 3.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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佐倉武家屋敷へは、京成佐倉駅から歩いて向かいました。距離はだいたい1km程度ですね。
武家屋敷の少し手前にある「麻賀多(まかた)神社」に、まず立ち寄って参拝。佐倉藩総鎮守だったこの神社は、平安時代の延喜式内社でもある歴史ある神社です。麻賀多神社 寺・神社・教会
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ここはかつての大手門近くに位置しており、歴代の佐倉城城主や家臣より篤い崇敬を受けました。
現在の社殿は、天保14年(1843年)に、藩主・堀田正睦が再建したもの。神社には堀田家の甲冑などが宝物として残っています。 -
そしてこちらの「鏑木小路(かぶらきこうじ)」と呼ばれる武家屋敷通りに、佐倉武家屋敷があります。
佐倉城城下の東に位置する場所で、かつては家老をはじめ、藩政をささえた上級・中級武士の屋敷が立ち並びました。
屋敷の大半は取り壊されましたが、土塁や生垣が当時の面影を残しています。関東ではこのような武家地の景観は、なかなか見れないですよね!貴重。
明治になると佐倉城跡には陸軍の兵営が設置されましたが、武家屋敷もそのまま軍人屋敷に転用されたので、更地にならずに済んだそうですよ。
現在は江戸時代後期に建てられた、3棟の武家屋敷が公開されています。武家屋敷(旧河原家住宅 旧但馬家住宅 旧武居家住宅) 名所・史跡
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当時は幕府が天保の改革などの経済緊縮をおこなった時代で、佐倉藩でも「天保の御制」と呼ばれる藩令が定められました。
その中の「居住の制」では、身分による屋敷の規模・様式がかなり細かく決められていました。
見学できる3棟はそれぞれ大屋敷・中屋敷・小屋敷にあたり、その違いが比較できるのが興味深いです。
最初の「旧河原家住宅」は、三百石以上の武士が住んでいた大屋敷にあたります。
大屋敷というと長屋門でもばーんと建ってそうですが。。。、案外簡素ですねえ。
建物は千葉県の有形文化財に指定されています。
あっ、武家屋敷の見学は有料なので、こちらで大人入場料250円を支払っての見学開始。 -
入口に面した「座敷」と呼ばれる客間が現れます。客人を招くことは、藩士の大事な仕事の一つだったそうですよ。
受付窓口で頂いたのが、「屋敷の格の違いは、外壁の色に注目してみて下さい。」とのアドバイス。どれどれ、最初の大屋敷は漆喰で仕上げられた白壁ですね。
こちらの屋敷は他の場所から移築されたもので、その際、欠落していた客座敷と玄関が復元されたとのこと。 -
そして屋内での注目ポイントは畳。
ヘリが付いている畳を客間に使うのはOK!一方、生活空間ではヘリのない畳を使用することなども定められていたそうだ。大屋敷といえども肩身が狭いですなあ。。。
ちなみに武家屋敷の大半は、藩が所有しているものを藩士に貸し与えられていたそうだ。いわゆる社宅ですね。
藩士の身分の変化や転封の発生などにより、住人が変わることも多々あったそうです。
旧河原家住宅の見学は、通常は外側からのみ。 -
座敷の奥には次の間・居間が続く、奥行きのある造り。
旧河原家住宅の建築年代は不詳ですが、建築様式や構造・部材などから、佐倉に残る武家屋敷では最も古いものとされます。 -
裏手の土間のある部屋には、竈(かまど)が置かれています。その先の茶の間には、ヘリのない畳が敷かれていますね。
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風呂はちょっと狭そうだなあ。。。
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次の「旧但馬家住宅」は、百石以上の武士が住んだ中屋敷。
元々この場所に建っていた建物なので、屋敷地の形状や植栽などがより当時のまま残っている点が見どころです。
先の旧河原家住宅は直線的な建物でしたが、こちらは庭を囲むようなコの字型の間取りですね。敷地内の庭には、見学者向けの休憩スペースがあります。 -
で、壁のつくりに注目して見ると、なるほど土壁が露出していますね。白壁ではないので、ちょっとグレードが落ちる感じかあ。
屋根はこちらも茅葺屋根。 -
イチオシ
この旧但馬家住宅と次の旧武居家住宅は、屋敷内に上がっての見学ができます。
こちらには甲冑が展示されているので、武家屋敷の雰囲気を盛り上げてくれますよ!これは佐倉藩士が使用していた、当世具足(とうせいぐそく)と呼ばれる甲冑の復元品です。
甲冑は武士の備えとされましたが、江戸時代においては実戦での使用はほとんどなかったとのこと。 -
次の旧武居家住居は、江戸末期における小規模な武家屋敷の典型例として貴重なんだそうだ。国登録有形文化財に指定されているとのこと。
屋敷の格式は下ですが、文化財としては他の2軒より格上なんですね。
こちらも他所より移設・復元された建物で、その際に茅葺きだった屋根が銅板葺きに変更されています。 -
小屋敷は他の2軒よりやはり簡素な造りだ。
畳のヘリ付は玄関と座敷のみ。その他はヘリなしと、さらに制限が厳しくなっています。 -
住宅内の半分は展示室になっていて、佐倉武家屋敷やその復元に関する資料を展示。
復元では可能な限り伝統的な工法をとり、極力が古材が再利用されたそうだ。
移築にともない出土された陶磁器なども展示。 -
3棟の武家屋敷の先には、「侍の杜」という施設があります。
これは武家屋敷2家分あった敷地を、市民緑地として無料公開しているもの。侍の杜 名所・史跡
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敷地内には武家屋敷の植栽景観を再現。あと明治時代に建てられた、武家屋敷の造りの建物があります。
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武家屋敷を見学したのちに是非歩いてみたいのが、武家屋敷通りの西側外れにある「ひよどり坂」。
サムライの古径ひよどり坂 名所・史跡
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イチオシ
ここは武士たちが佐倉城城内に向かう際に、通ったといわれる坂。竹林に囲まれた、なかなか雰囲気のある小径です。
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ここの景観は、江戸時代とほとんど変っていないとのこと。独特な光の加減で、フォトジェニックな空間が楽しめます。
かつて、藩士の方々もここを歩いたんだな~、と思いつつ坂を抜けます。 -
ひよどり坂を抜けた後は、佐倉城跡へ向かう。武家屋敷から城址公園の入口あたりまで1kmほどの距離。
途中、大手門を通過。門周囲の土塁や空堀が復元されています。 -
ここは元々は戦国時代の城郭がありましたが、江戸時代に徳川家康の命により譜代大名の土井利勝が近世の城郭を築城。
その後は江戸の東の重要拠点とされますが、その重要性を示すように、藩主からは9名の幕府の老中を輩出しており「老中の城」なんて呼ばれ方もされました。
9名は凄いですよね!これは各藩において最多の数を誇るそうですよ。日本百名城佐倉城(佐倉城址公園) 公園・植物園
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佐倉城は標高30m前後の台地先端に位置した城。その地形を利用しつつ、水堀・空堀・土塁によって防御を固めていました。
建物などは残っていませんが、土塁や空堀などが比較的良好に残っており、それらを体感しながらの城跡巡りが楽しめます。
ちなみに江戸時代の城ですが、石垣は用いられていません。 -
二の丸に程近い場所に2体の銅像が立ちます。
右手奥が堀田正睦(ほった まさよし)で、左手がタウンゼント・ハリスの像。 -
文政8年(1825年)に藩主となった堀田正睦は、歴代佐倉藩主の中でも歴史上良く知られる人物。
日本は当時鎖国状態でしたが、老中としてアメリカ総領事タウンゼント・ハリスとともに「日米修好通商条約」を結ぶ交渉に全力を傾けました。 -
これは二ノ丸に残る佐倉城の礎石跡。
旧佐倉城の建物の礎石ですが、明治時代に旧陸軍の兵舎の基礎としてそのまま使用されたそうだ。そのため現在まで残されていたとのこと。へえ~、って感じですね。 -
イチオシ
そして、佐倉城の最大の見どころといえば、復元されたこの「角馬出し(かくうまだし)」。角馬出しは虎口(=出入口)の外側に堀を隔てて設けられた、小さな曲輪のこと。
土手が築かれていて外側から内部は見えない。ここに密かに兵をためて一気に虎口周囲の敵に攻めかかるとか、そんな戦法への使用が目的だったようです。 -
空堀は3m程度で復元されていますが、元々は5.6m規模の深さだった。
しかも、薬研堀(やげんぼり)と呼ばれるV字型の堀で、落ちたら上がってこれなさそうなえげつない形状。
この角馬出しは、なかなか見応えのあるものでした! -
角馬出しの北側には「国立歴史民俗博物館」があります。
国立の博物館だけあって、展示物が充実しており短時間では回れないようだ。
今回は時間の関係でミュージアムショップをのぞいてみただけ。機会があれば改めて見学したいなあ。国立歴史民俗博物館 美術館・博物館
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そしてこちらが城の中心部にあたる本丸の跡。
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周囲は土塁に囲まれています。
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土塁の上に残る御三階櫓の櫓台跡。佐倉城では、御三階櫓が天守の役割を果たしていました。
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天守台跡の碑。
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かつて本丸には400畳余を有する本丸御殿があり、御殿は徳川家康・秀忠が鷹狩に来た際の宿所として使われました。
代々城主は年始・五節句など以外は恐れ多いとして本丸御殿を常用せず、二の丸内に居住した。
以上、最後までご覧頂きありがとうございました。
■佐倉武家屋敷・佐倉城に関する参考記事
https://tokitabi.blog/remains/chiba2401-sakurabuke/
https://tokitabi.blog/remains/chiba2310-sakurajo/
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