語り部タクシーに乗って仙台の震災遺構を見てきた

2023/09/16 - 2023/09/16

「語り部タクシー」とは一定時間タクシーをチャーターし、実際に被災した運転手さんの経験談を聴きながら震災の被災地跡を巡るサービス。
宮城県タクシー協会が、加盟社の賛同を得て2012年10月にスタートさせた。
今回は仙台中心部から東に10キロ離れた太平洋岸にある荒浜小学校を訪れ震災遺構と復興状況を確認した。

エリア 仙台(宮城)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• グルメ: 4.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 旅行の手配内容: 個別手配

事前に仙南タクシーに連絡し、「語り部タクシー」2時間コースを予約しておいた。
海に近づくと目立つようになってきたのが、上の階に緑色のピクトグラムを掲出したビル。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

津波が来た時のために避難場所として屋上を開放しているビルだ。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

最初にやってきたのは震災遺構の仙台市立荒浜小学校の跡地。
かつては91名の児童が通う小学校だった。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

周囲の住宅や施設が津波ですべて押し流された後に唯一残されたのが四階建てのこの荒浜小学校。
津波の時。この地域で唯一の高くて頑丈な建物だったこの小学校には、児童・教員含め320人の地域住民が避難し、ヘリコプターで救出された。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

ここも今は、避難ビルに指定されている。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

太平洋に面した荒浜地区は総世帯数800程度、人口2,200人の半農半漁の集落だが、津波により町が根こそぎ海にさらわれた。
この地区では190名の方が亡くなっている。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

津波は二階の床上20センチまで達し、

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

一階の教室には流されてきた軽自動車が３台折り重なっていた。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

二階のベランダには瓦礫がぶつかった跡が残っている。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

窓はガラスが割れ、窓枠がひしゃげている。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

当時、瓦礫が積み重なっていた校舎は、構造物を残し、他は撤去されている。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

一階の教室に入ると、

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

黒板もロッカーも津波の力で傾き、湾曲している。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

天井のパネルも落ちてしまっている。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

このエリアの震災前の航空写真が掲出されていた。
写真上部の黄色いマーカーが荒浜小学校。
右側には白波を隔てて太平洋が広がっている。
市街地を貫いて上から下に走るのは、貞山運河。
伊達政宗が松島湾と阿武隈川を結ぶ運河として建設を命じたもので、貞山堀とも呼ばれた。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

この地区には、津波が来ても貞山堀を超えることはないとの言い伝えがあった。
しかし、東日本大震災時の津波は、貞山堀をはるかに越え、海岸から700m.はなれた荒浜小学校でも、地表から4.6m.の高さに達した。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

2階の廊下に津波到達ラインが表示されていた。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

4階の教室に入ると、神戸大学槻橋研究室の学生たちが震災前の町を再現したジオラマ。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

さまざまな場所にアクリルに書かれたコメントが刺さっている。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

震災の3年後、この地区に住んでいた方々を集め行ったのが『記憶の街ワークショップ』。
お店の名、住民、さまざまな思い出をアクリルに書き込み、『記憶の旗』として、ジオラマのそれぞれの場所に配している。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

ワークショップ参加者が「わが家の屋根は赤かった」といえば、その方自身で、色を塗ってもらい、空白のジオラマに記憶という色を塗り重ねていった。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

黒板には参観者の様々なメッセージが書き残されている。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

当日、語り部として案内してくれたのは岩崎さんという年配のドライバー。
震災当日は業務で乗車中。ビルや電柱が強振、慌てて路肩に停めた。自宅に帰ると食器棚は倒れ足の踏み場もない状況、当日と翌日は動けず、3日目から動き始めたが、プロパンガスがなく、７～８０台のタクシーのうち10台程度しか動けない状況が続いたという。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

４階展示室「3.11荒浜の記憶」では、14時46分の地震発生から27時間後の避難者全員救助までの経過をパネルや動画でたどっている。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

また、別の教室で上映されているのはＮＨＫスペシャル 「イナサ～風寄せる大地１６年の記録～」。
たまたま震災前の2005年に撮影を開始した素材に震災後の記録を加え、16年にわたって仙台・荒浜という半農半漁の地域を記録し続けたドキュメンタリー作品だ。

震災遺構 仙台市立荒浜小学校 名所・史跡

小学校から貞山堀を越えた海の近くにもう一つの震災遺構『荒浜地区住宅基礎』。

震災遺構 仙台市荒浜地区住宅基礎 名所・史跡

遠くに見える建物が先ほど訪れた荒浜小学校だ。
かつて集落があった場所は「災害危険区域」として、居住が制限されており、30ヘクタールが空き地となっている。
いま、宿泊を伴わない地域活性事業を公募しており、果樹園やBBQ場など３社が応募しているとのこと。

震災遺構 仙台市荒浜地区住宅基礎 名所・史跡

荒浜地区住宅基礎と海岸の間には既に海岸堤防が築かれている。
その内側に震災前に松の防風林があり、何本かは津波に耐えて残っているが、ここに防災林が育てられる。

震災遺構 仙台市荒浜地区住宅基礎 名所・史跡

津波にさらわれた浴室が斜めに朽ち果てていた。もともとピンクだった壁面タイルを住民がDIYで黒のタイルに張り替えた痕跡が見られる。

震災遺構 仙台市荒浜地区住宅基礎 名所・史跡

約束の2時間は過ぎてしまったが、荒浜の視察を終え、定禅寺通りの東一番丁通り入口まで語り部タクシーに送ってもらう。

仙台三越 百貨店・デパート

当初、9/8の中居正広の番組で紹介されていた三越の近くのカレーヤマンに行くつもりだったが、ウェスティンで朝もカレーを食べていたので、仙台のB級グルメのマーボー焼きそばに方針変更。

中国料理 東洋軒 本店 グルメ・レストラン

国分町の東洋軒本店はマーボー焼きそばの有名店。

中国料理 東洋軒 本店 グルメ・レストラン

2013年、『秘密のケンミンSHOW』が仙台マーボー焼そばを紹介。
これをきっかけに「マーボー焼そば推進委員会」を設立しご当地グルメとして普及させてゆくこととなった。

中国料理 東洋軒 本店 グルメ・レストラン

宮城県内49店舗が仙台マーボー焼そばを提供する店として認定されている。

中国料理 東洋軒 本店 グルメ・レストラン

しかし、想像した通りの味で特に感動はない

中国料理 東洋軒 本店 グルメ・レストラン

藤崎本店で萩の月を買いつつウェスティンホテルに戻る。

藤崎 百貨店・デパート

途中に仙台ハリストス正教会・生神女福音聖堂があった。

仙台ハリストス正教会 寺・神社・教会

日本ハリストス正教会とは、いわゆる東方正教会。
日本ではお茶の水のニコライ堂が本山となり、仙台と京都にも主教座がおかれている。

仙台ハリストス正教会 寺・神社・教会

ウェスティンホテルのクラブラウンジからは真下にこの教会が見える。

仙台ハリストス正教会 寺・神社・教会

さて帰ろうか。新幹線に乗ればあっというもに大宮だ。

仙台トラストシティ ショッピングモール