
2024/07/29 - 2024/07/30
11位(同エリア132件中)
かっちんさん
「大雪高原温泉沼めぐり」は、大雪山主稜線「高根ヶ原」の東斜面のふもとに点在する沼や池をめぐる林間の登山コースです。
以前、紅葉の時期9月に家族と訪れたのですが、今回は一人。
夏の時期はヒグマが草木を食べに登山コースに現れることもあるので、「ヒグマ情報センター」の巡視員が毎日状況を監視しています。
ヒグマの出没状況から沼巡りコースを毎日決めており、今日のコースは「高原沼(終点)」より一つ手前の「大学沼」までの往復です。
「ヒグマ情報センター」ではコースの状況とヒグマ遭遇時の注意事項をレクチャーしてくれます。
出発地点「高原温泉」から「大学沼」までの距離は3.4km。アップダウンの山道なので片道2時間かかります。
沼めぐりでは、草木に囲まれた9ヶ所の沼、夏の高山植物、ヒグマの食こんなど、北海道の自然風景に触れることができます。
宿は「秘湯の宿 大雪高原山荘」に2泊します。
山歩きの後は、豊富な湯量の温泉で汗を流し、夕食で北海道の郷土料理を味わうことができます。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・大雪高原山荘のHP
・環境省発行の「大雪高原温泉沼めぐり登山コース」のHPとパンフレット
・三河の植物観察「キツリフネ」「ウサギギク」「ウラジロナナカマド」「オオバミゾホオズキ」
・西遊旅行「エゾオヤマリンドウ」「ミヤマリンドウ」「ヨツバシオガマ」「ウメバチソウ」
・葉と枝による樹木検索図鑑「クロウスゴ」
・野山の草花。木々の花「イオウゴケ」
・山からの贈り物「コモチミミコウモリ」
・二人の館「コモチミミコウモリ」
・サラノキの森「チシマノキンギイソウ 大雪山の高山植物」
・岩崎園芸「エゾノレイジンソウ」
・青柳庵日記「エゾノレイジンソウ」
・葉と枝による樹木検索図鑑「葉の解説-ダケカンバ」
・ウィキペディア「むかご」「オオバミゾホオズキ」
'【2024/9/4追記】
9/3に緑沼付近で巡視員とヒグマが遭遇。ヒグマは巡視員の後をしばらく追いかけて、そのうちいなくなった状況が動画と共に紹介されました。沼めぐりは1週間ほど立ち入り禁止になります。
ヒグマ情報センターをネットで検索すると生々しい動画が投稿されています。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
「大雪山高原温泉」の位置(層雲峡ビジターセンター内の地図より)
大雪山国立公園の東側に位置する「大雪山高原温泉」。
ここに一軒宿「秘湯の宿 大雪高原山荘」があり、緑岳、大雪山高原温泉沼めぐりの登山基地になっています。 -
秘湯の宿「大雪高原山荘」
ここは昭和29年の洞爺丸台風により甚大な風被害が生じ、その倒木処理をしていた製紙会社の作業員たちが元々湧出していた温泉を整備。その後、国策観光開発が「大雪高原ホテル」を設立し、現在は日本製紙関連会社が経営しています。
宿へのアクセスは、層雲峡温泉バスターミナルから宿の送迎(40分)があります。
山深いところなのでNTT電波は届きませんが、館内にwifi設備があり利用できます。 -
くつろげる温泉
湧出量が豊富で、泉質は単純酸性泉。
夏は泉温が高いので加水しており、湯船からお湯が溢れ出ています。 -
広々とした露天風呂(男女別)
まわりの木々の風景を楽しみながら入れます。
初日は雨が降っていたのですが、竹笠を頭に被り雨に濡れずに温まる露天風呂は最高! -
待ってました!山の夕食
メニューは、きのこ鍋、鶏モモ肉の塩山椒焼き、ホッケのちゃんちゃん焼き、帆立と海老のきのこ餡かけ、豚の角煮、小鉢4種、デザートなど。
数年前から、有名ホテルのコック長を定年退職された方が料理長を担当しているので、高級感のある食事が味わえます。 -
山の幸「きのこ鍋」がグツグツ・・・
-
翌朝の朝食
バイキング方式です。
ひと休みした後、宿から長靴を借り、沼めぐりに出発します。 -
「ヒグマ情報センター」で入山手続き(宿のすぐそば)
8:00前にここでコース案内とヒグマ遭遇時の注意事項などのレクチャーを受けます。
巡視員の方は朝7:00から沼めぐりコースを歩き、ヒグマの出没状況を確認しています。 -
今月(2024年7月)のヒグマ確認状況
ほぼ毎日コース近辺でヒグマを確認しています。
昨日7/29は大雨でしたが、コース上で食こん(ヒグマが植物を食べた跡)を確認。 -
本日も「大学沼」までのコース開放
「大学沼」から先はヒグマが確認されてるので行けません。
天気予報は曇りでしたが、時々雨も降ります。 -
「沼めぐりコース」の案内図
大雪山主稜線「高根ヶ原」の東斜面のふもとに沼や池が点在しています。
「沼めぐりコース」は、「ヒグマ情報センター」を出発し、「ヤンベ温泉分岐」から左に進み「大学沼」までの3.4km。この間に9ヶ所の沼や池を通ります。
ヒグマの出没が無ければ「大学沼」より先の「高原沼」が通常の終点。ここで引き返すか、さらに進んで「ヤンベ温泉分岐」まで周遊するコースもあります。
「ヒグマ情報センター」が標高1,230m、「大学沼」が標高1,460mなので、標高差230mを上がります。 -
大雪高原温泉を8:10に出発
沼めぐりコースには、すでに宿泊客の外国人家族が歩きはじめています。
最初は笹やぶの道ですが、すぐに登山道に入ります。 -
雨上がりの綺麗なキノコ発見
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夏には巨大化した「ミズバショウの葉」
-
イチオシ
スクスク育つ「アキノキリンソウ」
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木道脇に「食こん」
ヒグマは5日前に大好きな「ミスバショウの葉」を食べていました。 -
おまけに「ヒグマのふん」も・・・
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「ヤンベタップ沢」を越える2ヶ所の木橋
川に架けられた二枚板の上を歩いて渡るのですが、昨日の大雨により川の水量が増えて流れも速く、ちょっとビビリます。 -
昔は橋に手すりがありました(2015/9/25撮影)
9年前に訪れたときは、手すりがありました。
その後、大雨で川が増水して橋が流され、今のような橋になりました。 -
「ヤンベ温泉噴気孔」
板の橋を慎重に渡り振り返ると、ヤンベ温泉の噴気孔が見えます。 -
可愛い「キツリフネ」
細い花柄の先に黄色い花がぶら下がっています。 -
「ヤンベ分岐」通過
周遊できるコースとの分岐点。
今日は緑沼・大学沼へ向かう道を歩きます。 -
「アキノキリンソウ」の群落
-
昨日の雨で湿原の木道が水浸し
でも、長靴を履いてるので気になりません。 -
もじゃもじゃ頭「チングルマの綿毛」
今の時期、残っている「もじゃ君」はわずか。 -
濃青紫色の「エゾオヤマノリンドウ」
今日は曇りなので、花の先端が閉じています。 -
低い位置に咲く「ミヤマリンドウ」
青紫色の花冠の先端は5裂、裂片間に副片があります。
葉っぱが赤ちゃんの小さな手のようで可愛いです。 -
薄紫色の可憐な「ヨツバシオガマ」
花の名前の由来は、葉が1~3段に分かれ、各段4枚の葉が輪生している「4枚の葉がつく」ことから。
「嘴のように伸びた」花の形状は、花冠が2唇形。
細長く下向きに伸びる上唇弁は、中ほどから下向きに曲がっています。
一つ一つの花をじっくり見ていると、鳥の顔に見えますね。 -
一番目の沼は高層湿原にある「土俵沼」
沼の形が相撲の土俵に似ているので「土俵沼」と名付けられています。
ミズゴケを主にした湿原植物の成長に従って、その低いところに水が溜まってできたもの。
池塘をもったこの型を高層湿原と言います。
なお、これから先の沼は成因が異なり、地滑り地形の凹地に水が溜まったものです。 -
「ウメバチソウ」
鮮やかな白い花弁には緑色の脈が放射状に延びています。(この写真では見づらい)
花弁の中央には細かく14~17裂する黄色の仮雄しべと5本の雄しべがある複雑な構造。 -
周りの樹木が映る「バショウ沼」
この沼の中にはミズバショウの花が咲くので「バショウ沼」と名付けられています。 -
雄しべが長い黄色い「ハイオトギリ」
-
「ウサギギク」
名前の由来は、葉がうさぎの耳に似ていることから。
黄色の頭花が茎頂に上向きにつき、周りに舌状花が並んでいます。 -
「クロウスゴの実」
果実は球形で、先端が浅くくぼみ、紫黒色に熟します。
表面に白い粉をかぶり、酸味がありますが生食できます。
名前「黒臼子」の由来は、実が黒く、先が凹んでいることが臼を思わせることから。
それにしても、ゲゲゲの鬼太郎の「目玉おやじ」にそっくり。 -
イチオシ
美しい自然風景「滝見沼」
木々の向こうに小さな滝があるので「滝見沼」と名付けられています。 -
枯木が似合う「夏の滝見沼」
いずれ、紅葉の時期になると・・・ -
「錦絵になる滝見沼」(2015/9/25撮影)
9年前に訪れた時の写真です。
当時の枯木はピンとして立っており、2024年にはやや腰が曲がって年老いてきています(笑) -
「エゾオヤマノリンドウ」
-
緑のコントラストが美しい「緑沼」
ここは紅葉の大変綺麗なところで「緑沼」と呼んでいます。
後ろに見えるのは「高根ヶ原の斜面」。段々と近くなってきました。 -
緑一色の「緑沼」
-
赤くなりかけ始めた「ウラジロナナカマド」(緑沼)
葉の裏は名前の通り粉白色を帯びますが、若い葉はあまり白くないものもあり。 -
「クロウスゴの実」
青っぽいもの、紫ぽいものがあります。 -
イチオシ
「ミヤマリントウ」
花冠の先端は5裂、裂片間に副片があることがよくわかります。 -
雨に濡れて透けて見える「ハイオトギリ」
-
飛び石を越えて渡る小さな川
-
イチオシ
紅葉進行中の「ウラジロナナカマド」
小葉は4~6対。小葉の先の半分だけが鋸歯。 -
「ウラジロナナカマドの実」
秋が深まると赤くなります。 -
「湯気が立つ川」
写真の手前にある「湯ノ沼」から川が流れています。 -
岩にはびこる「イオウゴケ」
硫黄の多い環境を好んで生育する「イオウゴケ」。
地衣類(ちいるい)と呼ばれ、根や茎の区別がつきません。 -
イチオシ
不思議な姿の地衣類「イオウゴケ」
灰緑色から帯黄緑色で、高さ5cm以下の単一棒状で不規則に分枝し、盃は作らない。
先端に赤色の子器を付けます。 -
「湯ノ沼」
この沼の底からは湯が湧き出ているので「湯ノ沼」と呼ばれています。
沼に手を入れてみましたが、熱くないです。 -
「コモチミミコウモリ」
茎頂の総状円錐花序に、長さ1cmの白色の頭花を多数つけています。
名前は、葉腋(ようえき、葉のつけ根のこと)に「ムカゴ」ができ(→コモチ)、葉の基部が耳状、葉の形がコウモリ(腎形)に似ているから。
花より下の部分は・・・ -
葉腋に付いた「ムカゴ」(コモチミミコウモリ)
「ムカゴ」は養分を貯え肥大化した部分のこと。名前の「コモチ」の部分。 -
葉と葉のつけ根の形(コモチミミコウモリ)
葉の形は羽を広げた「コウモリ」、葉のつけ根は「耳」のような形をしています。 -
「チシマキンバイ」の花弁はどこ?
花びら状のものは萼片。5枚のものが多いのですが、5~9枚まで変化が多いのが特徴。
そして、花弁は花の内側の雄しべ近くにある棒状のもの。 -
写真を拡大してみると・・・(チシマキンバイ)
花弁は黄色の棒状のもので、長さが11~13mm。
雄しべはオレンジ色がかった棒状のもので、花弁とほぼ同じ長さ。 -
「エゾノレイジンソウ」
トリカブトの仲間でクリーム色の花を咲かせます。
「蝦夷伶人草(エゾノレイジンソウ)」の「伶人」とは雅楽を演奏する人のことで、伶人の被る烏帽子に花の形が似ていることからこの名前がつけられています。 -
「オオバミゾホオズキ」
花は黄色で茎の上部に数個つき、約2cmの長い花柄があります。
花冠はラッパ形、上唇は2裂し、下唇は3裂します。
花冠内部に赤褐色の斑点があります。
葉は対生し、卵形~卵円形、10対程度の鋸歯があります。
名前は「大きな葉を持つミゾホオヅキ」の意味。ミゾホオズキ(溝酸漿)は水辺(溝)に生え、実がホオズキに似ていることから。 -
「鴨沼」
鴨は泳いでなかったです。
残雪の高根ヶ原は間近。 -
イチオシ
「ハイオトギリの仲よし3姉妹」
左から、「ハイちゃん」、「オトちゃん」、「ギリちゃん」です。 -
池に映る「チシマキンバイ」
2倍観賞できます。 -
水面に映ると「イバンキマシチ」
逆さになっているので、名前も逆にしてみました(笑) -
「無名の沼」
ヒグマが水を飲みに現れそうな沼。 -
イチオシ
「ヨツバシオガマ」の葉に注目!
名前の由来となった4枚葉。でも数えてみると「何と5枚!」
これでは「イツツバシオガマ」になってしまう・・・
花の図鑑を調べてみると、3~6枚の葉もあるようで納得。 -
「チシマキンバイ」
葉が深く切れこむことがキンバイソウ属の植物の特徴です。
北海道の大雪山、ニセイカウシュペ山、石狩岳、余市山地に分布しています。 -
木の表情が面白い「エゾ沼」
棒を振る指揮者(木)にあわせて踊り出す木、水面にはエゾシカ(木)が口を開けてあきれ返っています。 -
クリーム色の「エゾノレイジンソウ」
筒状の部分が萼片、花弁は萼片の中に隠れています。
左上の萼片を見ると、細い花柄から伸びた花弁がうっすらと見えます。 -
「雪が残る高根ヶ原」
この一帯にヒグマが棲んでいます。 -
誰もいない静かな「式部沼」
-
イチオシ
シースルーが美しい「ハイオトギリ」
花びらの筋(花脈:かみゃく)が浮き出ています。 -
「大学沼」に到着
巡視員の方がヒグマの状況を観察しています。 -
ここから先はヒグマと遭遇する可能性があるので行けません(大学沼)
-
お昼のお弁当(大学沼)
宿で作ってくれたお弁当をいただきま~す。
ぬかるみに強い長靴は役に立ちました。 -
「高根ヶ原」のどこかにヒグマがいるはず(大学沼)
-
いたいた~「ヒグマ」
見つけたのは双眼鏡で探していた巡視員さん。
三角山の左のあたりですが、わかりますか? -
三角山の根元から目を左に移し、濃い緑の斜面の手前にいるヒグマ(拡大写真)
-
これはどう・・・(拡大写真)
双眼鏡を借りて確認すると茶色のヒグマでした。
10分ほどの出来事でした。
ヒグマ情報センターでは「高原温泉沼めぐり情報誌」を公開しているので参考にしてください。
https://www.higuma-center.com/blank-8 -
「ダイセツトリカブト」(沼めぐりコース)
12:00過ぎに大学沼を出発し帰ります。
途中で行きには見つけられなかった「ダイセツトリカブト」を発見。 -
徐々に色づく葉(沼めぐりコース)
葉の形と葉縁に不揃いの鋭い鋸歯があり、緑色から黄色に変わりつつあるので、「ダケカンバの葉」です。 -
2日目の夕食(大雪高原山荘)
タラちり鍋、ラム肉のジンギスカン、天ぷら盛合せ、鶏むね肉のきのこクリーム煮、かすべの煮物、小鉢、デザート。
昨日とは違うメニューを美味しくいただきました。
今回は多少雨に降られましたが、「夏の高原温泉沼めぐり」を充分楽しむことができました。
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