古代エジプト、歴史の旅　その③

2024/01/13 - 2024/01/22

初めてのエジプト旅行、１０日間のグループツアーに参加しました。カイロ近郊で２泊、空路アスワンに飛んで、アブシンベルで１泊、アスワンからルクソールまで３泊、ナイル川でのクルーズ船による遺跡巡り、ルクソールから再度空路でカイロに戻って１泊。現地で計７泊、機中泊が２泊、の１０日間です。世界遺産となっている多くの古代遺跡や博物館を訪ねました。イスラム時代や近代、現代のエジプトはほぼ素通りで、バランスを欠くかも知れませんが、それだけの見るべき古代遺跡が多く、１０日間を費やす価値があるということでしょう。天候と、なにより優れた現地ガイドに恵まれ、良い旅になりました。
その③　まもなくグルーズ船出航です。
　

エリア ルクソール(エジプト)

• 旅行の満足度: 3.5
• 観光: 3.5
• グルメ: 3.0
• 交通: 2.5

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 50万円 - 100万円
• 交通手段: 観光バス 船 飛行機
• 航空会社: エジプト航空 カタール航空
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）
• 利用旅行会社: クラブツーリズム

旅行６日目、朝７時。クルーズ船での朝食。こちらのオムレツはたたまないことも多い。広げたまま。

デニッシュなど。すごくうまくはないけれど、食べられます。

プレーン・ヨーグルトにフルーツカクテル。
この日と翌日の朝食に、我々日本人グループのテーブルには和食惣菜が何品か用意されておりました。魚の西京焼き、鶏唐揚げ、だし巻き卵、青菜の胡麻和え、など。
船はまだアスワンの港に停泊しております。

朝９時、バスに乗ってアスワン市内の”アンフィニッシュト・オベリスク”というところへ。”未完のオベリスク”とはいったい？

古代の石切り場です。山全体が花崗岩。ここで切り出した石が各地の遺跡に使われている。

犬が寝ている。

これが未完のオベリスク。長さ４２メートル、重さ１２００トンもある。もし完成していれば、世界最大のオベリスクになったはず。残念ながら、上部に亀裂ができたため、放棄された。
ただ、未完で残されたため、エジプト各地にある（そしてフランスや米国に持っていかれた）オベリスクがどのように彫り出されたがわかる。

未完のオベリスクの前で記念撮影。
ピラミッド本体や神殿の本体部分は石灰岩で作られているが、石棺とか大事な部分はより硬い花崗岩を使う。
そもそもこの地、アスワンの語源は花崗岩だという。ここで作った巨大なオベリスクをどのように都テーベ（現ルクソール）に運んだか？　ナイル川まで運んで、巨大な艀に積んだと言われる。千トンもの重さに耐える船だか艀だか想像がつかない。

エジプトの観光地ではどこも同じ、必ず土産物屋というかバザールがあります。ワンダラー、ワンダラーの呼び声が絶え間ない。

バザールのスパイス店。暇なひとは交渉して買うのかも。

午前１０時、香水・香油店。

日本語の流暢なお兄さんが説明する。
ここは香水・香油とともに、それを容れるガラス細工の容器などを売っている。背後ではガラスを熱して繊細なガラス瓶を作っている。
ベルガモットとかミントとか単一の香りのものと、それらをブレンドしてラムセスだの、クレオパトラだのと名付けたものなど、各種。

11時半、クルーズ船に戻ると、部屋の掃除は終わっていました。バスタオルとフェースタオルでタオルで作ったワニがベッドの上に。

昼食までデッキで休憩。プールがあり、水はきれいですが冷たい。

午後1時半、クルーズ船での昼食。オニオンスープとサラダ。

牛肉、ポテト、パスタ、パン、など。特に代わり映えなし。
クルーズ船での食事は３食とも１階のレストランでのバイキングです。

２階に掲示されている”本日の予定”。午後１時半の昼食時に出航の予定ですが．．．
早朝というか深夜にアルシンベルに向かった韓国人のツアーが戻ってきません。アルシンベルまでは片道３時間超、往復７時間。観光プラス食事で、弾丸ツアーのスケジュールに無理があったのでは。
この船には我々日本人のほか、台湾人、韓国人、フランス人の団体が乗っておりました。そのほか数名の個人客がいたかも。

結局韓国人団体が戻ったのは午後３時すぎ。出航は３時半。
この日は”コム・オンボ神殿”見学が予定されおり、心配でしたが、フロントのおじさんに尋ねたところ、問題ないと。楽観的．．．

アスワンの対岸に見える小高い丘の中腹に洞窟が並んでいます。”貴族の墳墓”だそうです。我々は立ち寄りませんが、見学可能。丘の上に見えるのは”風のドーム”。双眼鏡で見たところ、、結構ひとの姿が見えました。
古代エジプトでは亡骸を葬るところは、ピラミッドにしろ王家の谷にしろ、ナイル川の西側に作られた。日の沈む方角、ということ。

アスワンを出航してまもなく、きれいなモスクが見える。これはナイル川の東側。
船はすべるようにナイル川を走る。海とちがって波がないので、全く揺れません。船酔いすることはない。

出航して１時間。大きな橋をくぐります。アスワン大橋？
このあたり、川幅が広く、この橋のほか橋はありません。川を渡るには渡し船を使う。

午後４時になるとデッキでお茶・コーヒーのサービスがあります。
コム・オンボに着くまで、デッキで景色を見たり、部屋で本を読んだり。

午後７時、ようやくライトアップされたコム・オンボの神殿が見えてきました。小高い丘に建っている。本来なら日没前に着いたはず。

上陸して、７時半入場。
コム・オンボ神殿はプトレマイオス朝時代に作られたもの。
この神殿はハヤブサの神ハロエリス（＝大ホルス）とワニの神セベク、２つの神を祀っている二重神殿と呼ばれるもの。そのため、入り口も左右ふたつある。

この神殿には精巧なレリーフがたくさん残っています。ワニの神、セベク神。

こちらはハヤブサの神、ハロエリス神。

ここにはハヤブサの神とワニの神、両方が彫られています。

右の点とか丸とか彫られているのはカレンダーで、歳時記だそうです。

神殿の奥のほうに医療関係のレリーフがあります。ハロエリス神は治癒神でもあり、ここは病の治癒を願う一種の病院でもあったようです。
左は医療器具、右は下半身しか残っていないが、神格化された医者（建築家としても有名な）イムホテプだとか。

そして真ん中は”世界最古の処方箋”だと言われております。

井戸。ここの水はナイル川とつながっており、ナイルの水位に従って、井戸の水が上下した。また水嵩を計って、その年の税金を決めたと言います。水量が豊かなら、豊作、という理屈。

神殿の隣りに”クロコダイル博物館”があります。中には付近で発見されたというワニのミイラがずらり。いったいワニをミイラにすることにどんな意味があるのか？
当時ワニはナイル川にたくさんいて、子供などを襲う恐ろしい動物だった。そこでワニをなだめるために神格化して祀ったと。
現在もアスワン・ハイダムの上流、ナセル湖にはワニがいるそうですが、下流にはいないそうです。

船に戻って、夜8時半の夕食。
スープ（ビスク）と前菜。茄子、クスクス、ヒヨコ豆。

温かい主菜。ペンネのグラタン、牛と野菜の炒めもの、など。

９時すぎからバーラウンジで”ガラベイヤ・パーティー”。ガラベイヤはエジプト、アラブの民族衣装で、男女ともくるぶしまで覆う長衣。クルーズ船３階のショップでも売っており、千円くらいで買えます。これを着て参加しましょう、というパーティー。韓国人などはノリがいいですが、日本人の参加者は少なかった。

カラベイヤ姿の女性。よく似合ってらっしゃる。
６日目終了。船は次の目的地、エドフに向かます。

７日目。午前５時４５分に下船。バスに乗って、エドフの”ホルス神殿”へ。
エジプト人観光客は馬車に分乗して神殿に向かいます。馬車に乗るには往復料金の価格交渉が必要。またすごい数の馬車が神殿前で待っているので、参観後、自分の馬車がどれか探すのがひと苦労。更に終了後、法外なチップを要求されたりする。そのため外国人団体ツアーには不向き。わずか車で１０分ほどの距離のために、専用バスをチャーターしている。

日の出前、神殿への参道をぞろぞろ歩く。例によって参道がバザールになっており、”ワンダラー、ワンダラー”の攻撃。

６時半、エドフ、ホルス神殿の塔門。この神殿もプトレマイオス朝のもの。

例によって、犬がいる。

塔門の入り口。カルナック神殿の塔門に次ぐ大きさだそうです。

塔門の入り口上に太陽をはさむ２匹のコブラのレリーフ。

入り口両脇にホルス神のレリーフ。

塔門前のハヤブサの神、ホルス神。古代エジプトの最も美しい彫像のひとつ。

広い中庭。両脇に柱列。

神殿内部に入る。

神殿奥の”至聖所”に置かれているお神輿みたなもの、”太陽の船”（復元）だそうです。至聖所内壁はレリーフで埋め尽くされている。

至聖所脇に礼拝室（だっと思う）。ここのレリーフもきれいに残っている。

このレリーフは無残にも顔が削られている。ローマ帝国時代のキリスト教徒による破壊の跡。

カルトゥーシュ。神殿建設は何世代もかかる。その時々でだれが王様になるかわからない。そのためあとでの王様の名を書き込めるよう、ブランクのカルトゥーシュがある。
７時、見学を終えて、バスで船に戻ります。

７時半、船に戻っての朝食。
カフェラテとグアバ・ジュース。

ブレーンヨーグルトとフルーツカクテル。この日も和惣菜のサービスあり。
（クルーズ船下船に際して、チップとしてひとり３泊×5ドル＝１５ドル払いましたが、更に和食サービスに対するシェフへのチップとして別途２ドル払いました）

船はルクソールに向けてナイル川を下って行きます。
我々の船を追い越す別のクルーズ船。現地ガイドのハニさんによれば、ナイル川、アスワン～ルクソール間を走るクルーズ船は３００隻もあるそうです。３泊４日の行程が標準ですが、その一部だけ乗船したり、逆にバカンスの長い西洋人は往復で６泊なんていうケースもあるようです。

部屋の掃除の間、デッキで時間をつぶしておりました。
部屋に戻って、びっくり。タオルで作った猿に驚かされました。

昼１２時前、エスナという町のあたりで停船。この付近に新旧ふたつの水門があります。
まずは現在は廃止された古い水門を抜けるために順番待ち。滞船するクルーズ船の向こうに見えるのは古いダム。このダムの左端に廃止された元の水門、今はただの水路がある。

待っているあいだに、小舟が何隻か寄ってきます。海賊かと思いきや、物売りでした。例によって”ワンダラー”攻勢。袋に入った布だかタオルのような売りものを投げ上げる。代金をうまく回収できればいいのですが。

１時間以上待って、ようやく古い水門（水路）をくぐる。１隻ずつしか通れない。
実はこの先に新しい水門があり、そこの渋滞のため、この古い水門前で順番待ちするわけです。順番をどう決めるか？　早いもの勝ち？　私の推測ではアスワンを出航した順ではないかと。韓国人ツアーの遅れによって、我々の船は出航が予定より２時間ほど遅れた。これが影響したのでは考える次第。

ふたつ目の水門通過に更に１時間待ち。その間に昼食。

午後２時すぎ、前のクルーズ船のあとについて水門に入る。1度に２隻入れる水門が並行して２経路ある。つまり１どきに上り・下り合わせて４隻の船が通行できる。それでもここを通過するには、古い水門前の待機を含めて２時間以上かかった。
クルーズ船はこの水門の幅に合わせて建造されている。

船尾にまわって、水門が閉じられるところを見る。

まず前方の水門を閉じる。２隻の船が入ってから後方の水門を閉じる。そして前方、すなわち下流側の水門をゆっくり開くと水が流れ出て水位が下がる。水位が十分下がってから船は下流側に進み出る。いわば”川のエレベーター”という仕組み。
古い水門は１経路しかなかったので、２経路の新しい水門を作ったのだろうが、それでもこの渋滞。

午後２時半、水門をパスしたところ。ダムの手前と後方、水位が異なるのがわかるかな。
次の目的地、ルクソールまでまだまだです。

ルクソールに着くまでリラックス。４時過ぎのデッキのコーヒータイム。のんびり景色を楽しみましょう。
（以下、続きます）