西瀬戸一周旅行（2）全国旅行支援で滞在する別府

2023/02/28 - 2023/03/03

同行者と共に、松山と別府という2つの温泉の街で冬を楽しむ8日間の旅行に出かけました。

2022年11月24日、高速バスの車内でのことです。スマートフォンを見ていると、ちょうどこの日から「まつやまに泊まろう割」というキャンペーンが始まっていることに気付きました。
この割引では、松山市内での宿泊が最大5000円引きになるとのことでした。

最大5000円引きといっても、最低利用金額があって結局そこまで安くない――安いのは確かでも、支払う金額もそれなりに大きい――というのはよくあることです。実際、じゃらんで配布されたクーポンには、10100円以上で5000円引きという条件が付いていました。
ところが、るるぶ配布されたクーポンは一味違いました。5001円以上で5000円引きだったのです。
このクーポンで宿泊できるのは2023年2月28日まで。広島に向けて走る高速バスの中で熟考し、同行者を誘い、期間ぎりぎりの2月末の予約を行いました。こうして松山旅行が決定しました。

とはいえ、単純に松山を往復するだけでは旅程の面白みに欠けます。（実際はそんなこともないのですが）
そこで、松山のあとに別府を足し、西瀬戸一周旅行を仕立てました。中学生のころに思いつき、ずっとやってみたかったルートの旅行を晴れて実行することとなりました。

この旅行記では、主に後半の別府での出来事について紹介しています。

エリア 別府温泉(大分)

2月28日（火）
八幡浜港を出港して2時間半、別府の街が見えてきました。松山に寄港しなくなったフェリーさんふらわあの船も停泊中でした。

別府港のフェリーターミナルには、在りし日の瀬戸内海航路図が掲げられていました。
この航路図に描かれた航路の中で、現在でも運航を続けているのはほんのわずかになってしまいました。
かつては広島と別府の間にも定期航路がありました。スオーナダフェリーにバスごと乗り込む高速バス路線もありました。今はどちらもありません。

別府観光港 乗り物

別府港では、フェリーの下船客がタクシーから客引きを受けていました。
路線バスに乗って別府駅へ向かい、駅前の「別府ステーションホテル西館 ホテルスター」にチェックインしました。部屋の窓からは別府駅、遠くには海も見えました。
このホテルに3泊し、別府を回りました。名護や松山のような驚異的なキャンペーンはありませんでしたが、全国旅行支援で安く宿泊しました。
（1泊2人6000円-全国旅行支援1200円=4800円　おおいた満喫クーポン4000円付き）

別府ステーションホテル西館 ホテルスター 宿・ホテル

夕方には、北浜のトキハ別府店地下にある足湯を訪れました。
19時まで営業しており、タオル100円や足が濡れない足用ビニール10円も用意されていました。デパートに温泉の足湯があるとは、さすが別府です。
ただ、営業終了が近かったからか、たまったお湯があまりきれいでなく、温度も低めでした。

トキハ別府店 ショッピングモール

3月1日（水）
この日は、別府の周縁部をメインに、3つの場所を訪れました。由布岳の山麓と高崎山、スギノイパレスのアクアガーデンです。
由布岳の山麓にある由布登山口までは湯布院行きの路線バスも出ていますが、片道730円、2人で往復すると3000円近くかかります。タイムズのカーシェアで向かいました。2時間利用して1760円でした。

早霧台からは、起伏に富んだ非日常的な風景を眺めました。

由布岳(豊後富士) 自然・景勝地

湯布院行きの路線バスが山を下っていきます。
早霧台にはバス停はなく、路線バスで訪れる場合は由布登山口から1.5km歩く必要があります。景色は良いと思いますが、歩道はありません。

別府駅に戻り、こんどは大分交通の路線バスで高崎山に向かいました。
「血の池地獄経由」というパワーワードが日常に溶け込んでいます。

大分交通の路線バスは、同じく高崎山やうみたまごに向かう観光客で混雑していました。
高崎山へ向かう歩道橋を渡っていると、日豊本線の普通列車が駆け抜けていきました。ここに駅があったらなあ、と思った人も多くいることでしょう。

高崎山自然動物園の入園料金には、別府港に置いてあったクーポンと全国旅行支援のおおいた満喫クーポンを併用することができました。
山を登っていくと、そこはサルの国です。トイレの屋根にもたくさんのサルがいました。トイレに入っていると、屋根を走る音やドアの金網をよじ登る音が聞こえてにぎやかでした。

高崎山自然動物園 動物園・水族館

ふと見上げれば、そこにもサルがいます。
ヒトとサルの関係に距離感が保たれており、サルがヒトに向かってきて悪さをしているような場面は全く見かけませんでした。

高崎山自然動物園 動物園・水族館

30分に一度、柵の中でサルへのエサやりが行われます。
エサが撒かれ始めると、四方八方からサルたちが駆け寄ってきました。食べ終えたサルたちは、またそれぞれの方向へ帰っていきました。

高崎山自然動物園 動物園・水族館

ホテルに帰って休憩し、夜にはスギノイパレスのアクアガーデンに向かいました。
スギノイパレスまでは、杉乃井ホテルの無料シャトルバスを利用しました。最終バスから1つ前、17:40のバスを利用したところ、マイクロバスがちょうど満員になりました。
韓国語を話す人も中国語を話す人もいました。大きな荷物を持った人が多く、運転手さんが荷物を積み込むのが大変そうでした。

スギノイパレスへはどこで降りたら良いかわかりませんでしたが、虹館で降りるとすぐそこでした。
入場料にはおおいた満喫クーポンが使えます。棚湯は休業中のため、アクアガーデンのみ利用しました。
霧のような雨が降っており、訪れてすぐの時間帯は、プールサイドの監視員のほうが多い状況でした。時間が経つにつれて利用者もだんだんと増えていき、浴衣で噴水ショーだけを見に来た人も多くいました。
同行者と温泉プールにゆっくり浸かり、噴水ショーを何度も見ました。帰りは無料シャトルバスの運行が終了しているため、霊泉寺バス停まで坂を下りました。
21:27のバスに乗ってホテルに戻りました。平日の別府駅への最終バスでした。

スギノイパレス (別府温泉杉乃井ホテル) 温泉

3月2日（木）
この日は、1日かけて地獄めぐりをしました。
血の池地獄方面へのちょうど良い時間のバスがなく、別府医療センター行きのバスを内竈入口バス停で下車し、1kmほど歩きました。

貸土地のお問い合わせは竜巻地獄へ連絡すれば良いそうです。

地獄めぐりの共通観覧券をおおいた満喫クーポンで購入し、7か所の地獄を巡りました。
竜巻地獄で観覧券を購入すると、間欠泉が噴き出すまでまだ30分ぐらいあるので血の池地獄から見てきてくださいと言われました。
血の池地獄から見ることにしましたが、時間を気にしながら過ごすことになってしまいました。竜巻地獄で30分ゆっくりしていてもよかったかもしれません。

血の池地獄 名所・史跡

他の地獄がある鉄輪への路線バス進行方向左側からは、鉄輪到着前に湯煙ののぼる街並みを見渡すことができます。

血の池地獄から乗車したバスは、およそ15分遅れてきました。インターネットでバスの接近情報を見ることができるので、活用したほうがよさそうです。

鉄輪バス停からいでゆ坂を下ると、足湯がありました。
この足湯は広く、20人ほどが一度に足を浸けることができます。ただ、温泉が出てくるところと排水口がそれぞれ端にある構造なので、排水口側の温度は高くありません。
一度排水口側に入った人も、より温かいところを目指して移動する様子が見られました。

いでゆ坂 名所・史跡

鉄輪エリアでは、5つの地獄を白池地獄、鬼山地獄、かまど地獄、鬼石坊主地獄、海地獄の順に訪れました。
血の池地獄と竜巻地獄も含め、あえて一般的な巡り方とは反対にすることで、できるだけ混雑を避けようとしました。

鬼山地獄の入り口には、大きく「ワニ地獄」と書かれていました。書かれている通り、中にはワニがいます。
「ワニ」の字の形が秀逸です。「獄」の左下は書き間違えたのでしょうか。

鬼山地獄 名所・史跡

鉄輪エリアの5つの地獄のうち、特に人が多かったのは海地獄とかまど地獄でした。
かまど地獄には、海地獄や血の池地獄、鬼石坊主地獄のミニチュア版が詰め込まれており、いろいろな要素がありました。
また、かまど地獄は多くの外国人団体を受け入れている印象でした。訪問時には韓国の団体が数組おり、スピーカーを使うガイドの話に合わせてみんなで大声を出していました。

かまど地獄 温泉

かまど地獄にも足湯があります。ほかの足湯と違い、海地獄のような色がついていました。
足湯の柱には韓国語のみの注意書きがあり、旅行者の多さがうかがえます。韓国のツアーの方々は時間が決まっているようで、足湯も短時間で終わらせざるを得ないようでした。

かまど地獄 温泉

外国からの旅行者の受け入れのため、多言語対応への努力もされていました。
ただ、残念なことに、英語と中国語が「怪しい外国語」になっている気がしてなりません。

かまど地獄 温泉

かまど地獄だけでなく、鬼石坊主地獄にも足湯がありました。この足湯には、良いところが以下の3つありました。
・楕円形になっており、たくさんの人が利用できる。
・目の前に植え込みがあり、知らない人と向かい合わせになりにくい。
・温泉が出てくるところがいくつもあり、どこに座ってもお湯が温かい。

わたしたち2人は、この旅行で入った足湯のうち、この鬼石坊主地獄の足湯をナンバーワンに認定しました。

鬼石坊主地獄 名所・史跡

海地獄では、オレンジ色の鮮やかな鳥があたりを飛び回っていました。Google画像検索の結果から、ジョウビタキではないかと推測しました。
冬の渡り鳥だそうです。温泉がある別府は過ごしやすいかもしれません。近付いていっても逃げませんでした。

1日かけて地獄めぐりを終え、海地獄前バス停からホテルへ戻りました。
バス運賃は、別府駅西口から内竈入口まで360円、血の池地獄前から鉄輪まで190円、海地獄前から別府駅西口まで330円、合計880円でした。
この日は地獄めぐりしかしなかったので、MyべっぷFreeミニフリー乗車券1000円よりも安くなっています。しかし、MyべっぷFreeの場合、地獄めぐりの共通観覧券が200円引きになるなどの特典があります。
ただ、地獄めぐりの共通観覧券は、おおいた満喫クーポンとほかの割引を併用することはできないとのことです。

この日の夜には、ホテルのお湯の水圧が極端に低下し、蛇口を全開にしても全くお湯が出てこないという事件が起きました。

海地獄 名所・史跡

3月3日（金）
最終日は、青春18きっぷを使用し、普通列車で広島に帰りました。
別府駅を8時ちょうどに出発し、中津、小倉、下関、岩国の4か所で乗り換えました。別府駅出発は通勤ラッシュの時間になり、心配していましたが、数駅進むとすぐに座ることができました。

新山口駅には、昔可部線や呉線で見た懐かしい色の電車が停まっていました。この色は2022年に復活したそうです。

写真左に写っている下関からの電車は、下関を11:35に出発し、岩国には3時間40分後の15:18に到着します。
こんなに長く同じ列車に座ったままでいるのは大変、かと思いきや、そうでもありません。この列車は、途中の新山口で28分、徳山でも17分停車します。トイレや買い物、軽い運動などの気分転換ができます。
岩国では、4両編成から3両編成の電車に乗り換えとなり、ホーム移動もありました。さらに、補助いすもロックされており、しばらく座れませんでした。広島駅到着は16:13でした。

この旅行では、西瀬戸をフェリーと鉄道で一周し、松山と別府という2つの温泉の街を訪れました。
温泉の街を訪れていながら、一般的なイメージの温泉には一度も身体を浸けませんでした。しかし、いろいろな種類の足湯に入ったほか、温泉プールにも入ることができました。冬だからこそ十分に楽しめたのではないかと思います。

同行者は広島からも普通列車に乗り続け、23時に大阪駅に着きました。別府から大阪まで2410円で移動する離れ業でした。