厳冬期の美瑛撮影行(後編)～サンピラー again...最後に雪の妖精も～

2023/02/09 - 2023/02/16

　「サンピラー」と「ダイヤモンドダスト」を撮りたい！そんな願いを込め今年もやってきた厳冬期の美瑛。美瑛神社の神様は哀れに思ったのか、滞在３日目に念願だった「ダイヤモンドダスト」を出現させてくれました。
　しかし一度見てしまうと、また見たい！それももっと大きく、ハッキリと！と人間の欲には限りがありません。さて、今日から始まる後半戦。果たして２度目はあったのでしょうか。そして、最後にはサプライズが待っていました。

エリア 美瑛（びえい）(北海道)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: 友人
• 一人あたり費用: 5万円 - 10万円
• 交通手段: JALグループ 自家用車
• 旅行の手配内容: 個別手配

２月１３日(月)、美瑛滞在５日目です。朝起きると外は一面の霧。昨日の暖かな空気が放射冷却で一気に冷やされ、濃霧が発生したようです。しかし、上空を見上げると晴れ。風も無く気温はマイナス20℃と寒さも十分。今日は絶好の写真日和になると喜び勇んで出発しました。
車を走らせていると霧が雲海の様に棚引いている場所に遭遇しました。日の出前ですが、東の空は赤くなり始めています。

まだ薄暗い中ですが、周りの木々には霧氷が付いていることが分かります。

東の空が明るくなってきました。間もなく太陽が昇ります。シラカバの枝が白くなっています。

前回空振りだった「新栄の丘」でその時を待ちます。すでに大勢のカメラマンがスタンバイしています。十勝連峰「オプタケシケ岳」の山頂から太陽が昇りました。丘に漂う朝霧に光が反射し幻想的な風景です。

太陽が昇ってしばらくすると、太陽正面の延長線上に「サンピラー」が現れました。土曜日に美瑛川の橋の上から見たサンピラーより巨大でハッキリしています。

サンピラーは時間との勝負です。ひと通り撮ったら次のポイント、「三愛の丘」へ移動しました。このポイントは友人秘蔵の場所で、ほかにカメラマンは一人しかいませんでした。

到着すると既に壮大なサンピラーが出現中。心置きなく撮影することができました。

サンピラーの後は霧氷の撮影です。あれだけ濃霧が発生していたので、霧氷も盛大についています。形の良い「ハルニレの木」。足跡が物語を感じさせてくれます。

朝霧が垂れ込める隙間に並んだ４本の木。この様な条件で無ければ誰も目にとめない場所です。自然は時に思いがけない演出をしてくれます。だから写真は面白いのかもしれません。

因みに、後日同じ場所を撮った写真です。風景は「一期一会」だと思っています。そのときの光の具合や雲の様子など、自然条件で全く感じが変わるからです。

霧氷を求めて撮影はまだ続きます。繊細なガラス細工の様です。

雪面から突き出た草に霧氷がついています。これを見たとき水族館で見かける「チンアナゴ」を思い出しました。

カラマツにビッシリ霧氷がついています。青空とのコントラストが一段と映えています。

夕方、再び丘巡りに出かけました。柔らかな光に照らされた丘の曲線が美しい！

この時間帯、雲に隠れることが多い山々が今日はハッキリ見えています。

２月１４日(火)、美瑛６日目。昨夜の天気予報では今日は終日「雪マーク」。明日はお疲れ休みにしようとスッカリOFFモードになっていました。ところが朝起きると晴れているではありませんか。太陽の光が少し弱いのは気になりますが、晴れている以上、出掛けないわけにはいきません。
日の出の時刻は過ぎていますが、この時期、太陽は2,000ｍ級の十勝連峰の向こうから昇るので平地にはまだ光が差し込んでいません。しかし、上空は淡いバラ色に染まってきました。

昨日サンピラーが出た「新栄の丘」にやってきました。旭岳の対面にある「芦別岳」が男性的な山容を見せています。

十勝連峰を越えて太陽が顔を出しました。雲のベール越しに差す光が優しく丘を照らしています。

今日も僅かに朝霧が漂っています。

今日も薄らとしたサンピラーが出ましたが、写真でお分かりいただけるか微妙です。

「三愛の丘」へも行ってみましたが、昨日に比べると規模が小さくすぐに消えてしまいました。

帰り際に新栄の丘から撮った1枚です。幻想的な写真となりました。

２月１５日(水)、美瑛７日目を迎えました。今日は、前日から天気が良いことは分かっていました。しかも気温もマイナス25℃とバッチリ冷え込む予報でしたので、チャンス到来とばかりに前夜から気合いが入っていました。朝起きると予報どおり晴れ。気温もマイナス２８℃と「シバレル」寒さです。狙いはもちろん「サンピラー」、「ダイヤモンドダスト」、「霧氷」。今日も朝一の撮影ポイントは「新栄の丘」です。
日の出前、太陽が昇る辺りの雲が毒々しい色に染まってきました。十数分後、強烈な光が差しましたがサンピラーが出ません。ならばと「三愛の丘」、「美瑛川の橋の上」と転戦するも玉砕。期待が大きかっただけに肩すかしを食らった気分です。サンピラーが出現する条件とは、①氷点下１０度以下、②早朝でよく晴れている、③湿度が高く水蒸気が出る、④無風で風の影響がないの四つですが、今日は③の湿度が高くなかった様です。

ダイヤモンドダストは、かろうじて美瑛川の橋の上から撮ることができました。

昨夜は風が強く吹いたようで、雪原にはシュカブラ(風雪紋)が。

当てもなく車を走らせていると、キタキツネが丘を疾走している場面に遭遇しました。

雪面に落ちる林の影が青く見えます。

こちらも青い影を雪原に落としています。

丘の上をポッカリ雲が通り過ぎます。

久しぶりに「赤羽の丘」に行きました。この場所はハウス食品のクリームシチューのCMで使われている場所です。

２月１６日(木)。８日間に及んだ今回の美瑛撮影行も今日が最終日です。天気予報では終日曇り空のハズですが、気まぐれな美瑛の空は晴れていました。気温はマイナス２２℃と十分な寒さです。今日は昼過ぎの飛行機に乗らなければならないので時間がありません。まず、美瑛神社でお礼参りを済ませた後、美瑛川のポイントに向かいました。
橋の上に到着すると、丁度サンピラーになりかけたダイヤモンドダストが出現したところでした。

川面からは霧が濛々と立ち上がり、岸辺の木々には霧氷がビッシリ張り付いています。

しばらくするとサンピラーが現れました。滞在中、５割の確率でサンピラーに出会えるとは。美瑛神社の御利益は凄いの一言です。

帰る途中、淡い色彩に惹かれて撮った1枚です。

実は今回の旅で、密かに狙っていたものがあります。それは雪の妖精と言われている「シマエナガ」です。以前、友人宅のシラカバの木に来たことがあるので、初日からエサを撒き呼び寄せていました。ところが他の野鳥は来るもののシマエナガは一向に姿を見せません。スッカリ諦めていましたが、出発の３０分前、それも５分間だけ５羽のシマエナガが遊びに来てくれました。

しかし、野鳥は動き回るので撮るのが大変です。

この５分間の間に何枚シャッターを切ったことか。かろうじて使えたのがこの４枚でした。

長年追い求めていた「サンピラー」や「ダイヤモンドダスト」、そして「霧氷」をカメラに収めることができた今回の撮影行。最後の最後に「シマエナガ」まで撮ることができ、満ち足りた気分で帰路に着くことができました。

この旅行記へのコメント （8）

• hirootaniさん 2023/06/27 18:30:27

  サンピラーのオンパレード、素晴らしです

  Fuyuyamaさん
  美瑛の春の旅行記へのコメントに引き続き、コメントさせていただきます。
  このサンピラーのお写真はすごいです。私も４回ほど冬に美瑛に行きましたが、サンピラーに出会えたのは２度だけです。場所は多くの皆様が行かれる橋の上で、あまりの混雑に次に行く気になりませんでした。
  
  それに比べて、Fuyuyamaさんのお写真は色々な場所で撮られているので羨ましい限りです。いつかご一緒させていただき、秘蔵の場所を教えていただきたいなと思いました。
  
  hirootani

  Fuyuyamaさん からの返信 2023/06/28 09:43:27

  Re: サンピラーのオンパレード、素晴らしです

  hirootaniさん、こんにちは。
  
  ご訪問及びコメントをいただき、ありがとうございます。
  冬の美瑛に通って11年、6度目でやっとサンピラーに出会うことができました。私の場合、美瑛に別荘を持っている友人が様々なポイントを熟知しているので連れて行ってもらっているだけなんですよ。同じ趣味の方とご一緒するのは大歓迎ですので、タイミングが合えば是非ご一緒させてください。
  
  Fuyuyamaでした。
  
  

  hirootaniさん からの返信 2023/06/28 17:37:57

  Re: サンピラーのオンパレード、素晴らしです

  Fuyuyamaさん、
  ありがとうおざいます。次回、美瑛を訪問する際には、お声がけさせていただきます。
  
  hirootani

  Fuyuyamaさん からの返信 2023/06/29 12:30:46

  Re: サンピラーのオンパレード、素晴らしです

  hirootaniさん、こんにちは。
  
  早速のお返事ありがとうございます。今のところ、次回の美瑛行は来年の厳冬期に行ければと思っています。
  
  Fuyuyamaでした。

• ドロミティさん 2023/04/05 09:47:44

  初めまして。

  Fuyuyamaさん、初めまして。
  
  美しいお写真の数々に魅了されました。
  限られた気象条件の下でしか見られない特別な現象を
  Fuyuyamaさんのお陰でゆっくり鑑賞させていただきました。
  
  サンピラー、ダイヤモンドダスト、霧氷、厳冬の北海道ならではの
  幻想的な光景はどれも息をのむ美しさでした。
  眼福をいただきありがとうございました。
  
  また当方の拙い旅行記をご覧くださりありがとうございました。
  これからも美しい風景を拝見いたしたくフォローさせていただきますので
  どうぞよろしくお願いいたします。
  
  　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄﾞﾛﾐﾃｨ
  

  Fuyuyamaさん からの返信 2023/04/05 10:50:54

  Re: 初めまして。

  ドロミティさん、こんにちは。
  
  コメントをいただき、恐縮です。
  SWISSファンの私にとって４トラベルの旅行記は、どうしてもスイスに行かれた方々の旅行記を追っかけてしまいます。
  ドロミティさんもかなりのSWISSファンのご様子。ご挨拶が遅れましたが、フォローさせていただきます。今後ともよろしくお願いします。
  
  Fuyuyamaでした

• トゥーバーズさん 2023/02/24 18:40:14

  すごい綺麗！

  Fuyuyamaさま、こんにちは。
  
  サンピラー！！！写真思わず息を飲みました。
  朝の冷え切った世界にわーっと立ち上がるオレンジの光！
  冬の朝は命の復活というか、そういうイメージをすごく持てる写真でした。私も見てみたくなりました。
  事前にポイントも下調べされて、偉いなァと思って拝見しました。うちは撮影に全フリしないので仕方ない部分はあるんですが、どこに行っても一発勝負のワンチャンスばかり…勉強になります。

  Fuyuyamaさん からの返信 2023/02/24 22:36:14

  RE: すごい綺麗！

  トゥーバーズさん、こんにちは。
  
  このたびはご訪問いただきありがとうございます。
  また、コメントまで頂戴し恐縮です。
  
  初めての場所だと、何処と撮って良いか分かりませんよね。
  私は事前に撮影ポイントを下調べしているわけではなく、
  同じ場所へ何回も通っているだけなのです。
  
  今回、初めてサンピラーに出会うことができましたが、
  これも６回通ってやっとです。
  これまで美瑛へは、春夏秋冬を通して何十回も訪れていますが、
  初めて美瑛へ行った時は、何処をどう撮って良いのかさっぱり
  分かりませんでした。
  
  まぁ、何十回通っても同じ写真を撮ることができないことが
  写真の面白さかもしれませんが...。
  
  Fuyuyamaでした。