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福島市で単身赴任中に、N響がいわき市で演奏会を開催する、というので1ヶ月ほど前にチケットを予約した。当日は演奏会は15時からなので、その前にいわき市の名所を訪れることにした。まずは白河の関、鼠ヶ関と共に「奥州三関」の一つと数えられ、歌枕として名高い勿来の関を訪れた。勿来の関跡は文学歴史館(入場料330円)が建てられ公園として整備されているが、所在地について諸説あり、存在自体を疑う説もあるという。<br /><br />お恥ずかしい話になるが、勿来の関は百人一首の中の「滝の音は 絶えて久しく なりぬれど なこそ流れて なほきこえけれ(大納言公任)」の歌枕であると信じていたが、「名こその滝」は京都大覚寺の近くの枯れた滝のことであって、「勿来の関」とは無関係であることを始めて知った。「なこそ」とは、古語における「禁止」の意味で「来るな」を意味する。古来この意味に重ねた恋の歌が多く詠まれている。代表的な歌は、陸奥守兼鎮守府将軍の源義家が「吹風を なこその関と おもへども 道もせにちる 山桜かな」。その他勿来を詠んだ歌人としては小野小町、和泉式部、西行法師、紀貫之など。源義家を除き、この地を訪れたことはないであろう歌人たちだ。<br /><br />勿来の関を訪れる手前に、勿来の関公園体験学習施設 吹風殿という建物が建っており立ち寄った。その名の通り勿来の関公園体験学習施設であり、入場料は無料。吹風殿の名は、上記の源義家の歌から取られている。美しい庭園に池を配した寝殿造で造られているが、この日は地元のイベントで少し騒々しいカラオケ大会が開催されていたので、早々に退散した。<br /><br />続いて市の北部の願成寺に福島県唯一の国宝建造物である白水阿弥陀堂があることを知り訪れることにした。いわき駅からは車で30分ほど、境内にはもみじが植えられており一部紅葉が始まっていた。阿弥陀堂は、藤原基衡の娘・徳姫が郷里の平泉にある金色堂にならって1160年に建立されたと伝えられる。両親の影響を受け、平泉の毛越寺と観自在王院の園池に習った浄土庭園は、平安時代の面影を残して貴重である。池中の石組、玉石敷きの洲浜、中島に架けられた橋の朱塗り欄干など、当時の貴族の生活を想像することができる。<br /><br />最後にいわき市芸術文化交流館アリオスホールでサッシャ・ゲッツェル指揮でメインはシベリウスの第2交響曲、地元出身の人気の若いピアニスト牛田智大がグリークのピアノ協奏曲を弾いた。いわき市は東北地方では仙台に次ぐ人口を誇る都市で、アリオスホールは本格的なコンサートホールだ。驚いたことに、コンサートマスターは、元ウィーンフィルのライナー・キュッヘル氏が登場した。ほぼ席は埋まっており、N響の演奏も悪かろうはずはない。福島から車で片道約3時間の移動だったが、満ち足りた1日だった。

いわき市を散策し勿来の関跡、国宝の阿弥陀堂を訪れアリオスホールでN響を聴く

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2022/10/09 - 2022/10/09

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ハンク

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福島市で単身赴任中に、N響がいわき市で演奏会を開催する、というので1ヶ月ほど前にチケットを予約した。当日は演奏会は15時からなので、その前にいわき市の名所を訪れることにした。まずは白河の関、鼠ヶ関と共に「奥州三関」の一つと数えられ、歌枕として名高い勿来の関を訪れた。勿来の関跡は文学歴史館(入場料330円)が建てられ公園として整備されているが、所在地について諸説あり、存在自体を疑う説もあるという。

お恥ずかしい話になるが、勿来の関は百人一首の中の「滝の音は 絶えて久しく なりぬれど なこそ流れて なほきこえけれ(大納言公任)」の歌枕であると信じていたが、「名こその滝」は京都大覚寺の近くの枯れた滝のことであって、「勿来の関」とは無関係であることを始めて知った。「なこそ」とは、古語における「禁止」の意味で「来るな」を意味する。古来この意味に重ねた恋の歌が多く詠まれている。代表的な歌は、陸奥守兼鎮守府将軍の源義家が「吹風を なこその関と おもへども 道もせにちる 山桜かな」。その他勿来を詠んだ歌人としては小野小町、和泉式部、西行法師、紀貫之など。源義家を除き、この地を訪れたことはないであろう歌人たちだ。

勿来の関を訪れる手前に、勿来の関公園体験学習施設 吹風殿という建物が建っており立ち寄った。その名の通り勿来の関公園体験学習施設であり、入場料は無料。吹風殿の名は、上記の源義家の歌から取られている。美しい庭園に池を配した寝殿造で造られているが、この日は地元のイベントで少し騒々しいカラオケ大会が開催されていたので、早々に退散した。

続いて市の北部の願成寺に福島県唯一の国宝建造物である白水阿弥陀堂があることを知り訪れることにした。いわき駅からは車で30分ほど、境内にはもみじが植えられており一部紅葉が始まっていた。阿弥陀堂は、藤原基衡の娘・徳姫が郷里の平泉にある金色堂にならって1160年に建立されたと伝えられる。両親の影響を受け、平泉の毛越寺と観自在王院の園池に習った浄土庭園は、平安時代の面影を残して貴重である。池中の石組、玉石敷きの洲浜、中島に架けられた橋の朱塗り欄干など、当時の貴族の生活を想像することができる。

最後にいわき市芸術文化交流館アリオスホールでサッシャ・ゲッツェル指揮でメインはシベリウスの第2交響曲、地元出身の人気の若いピアニスト牛田智大がグリークのピアノ協奏曲を弾いた。いわき市は東北地方では仙台に次ぐ人口を誇る都市で、アリオスホールは本格的なコンサートホールだ。驚いたことに、コンサートマスターは、元ウィーンフィルのライナー・キュッヘル氏が登場した。ほぼ席は埋まっており、N響の演奏も悪かろうはずはない。福島から車で片道約3時間の移動だったが、満ち足りた1日だった。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
交通
3.5
同行者
一人旅
一人あたり費用
3万円 - 5万円
交通手段
自家用車 徒歩

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