奈良 西大寺 本堂(Main Hall,Saidaiji Temple,Nara,Japan)

2021/11/19 - 2021/11/19

2021年11月19日(金)12時20分頃、四王堂から本堂前に通じる東参道を西に進む。とてもいい感じ。南側に塔頭の華蔵院(下の写真1)と増長院(下の写真2)が並ぶ。共に非公開。

華蔵院は元は四之室と称し、室町後期、1502年の火災の後、永禄年中(1558年～69年)に再建。1889年(明治22年)に一旦取畳まれたが、昭和初期に復興され今日に至る。本尊は不動明王。

増長院も1878年(明治11年)に一旦取畳まれたが、昭和初期に復興され今日に至る。本尊の不動明王坐像(現在は聚宝館に安置)は、両眼を開く智証大師将来の形相に拠っており、非常に古く平安初期頃のものかとも推定される。

反対側の北側にはその聚宝館と不動堂。聚宝館はこの時は日程が合わなかったが、年に数回、期間を限って公開されており、共通拝観券で拝観できる。1960年に寺内の収蔵庫として建設された高床式鉄筋の什物収納・展示施設。1983年には南東に収蔵庫も建築され、寺内の什宝物を保管収蔵している。

不動堂は江戸初期の1643年に建立。寄棟造の方三間堂。もともと愛染堂南辺にあったものを1979年に現在地に移建した。奈良市指定文化財。宝山湛海作の不動明王をまつり、毎月28日には護摩祈願が行われる。

聚宝館と不動堂の前には沢山の句碑が並ぶ。聚宝館の入口右手に大正から昭和に掛けての俳人で晩年にあやめ池に住んでいた橋本多佳子さんの「いなびかり 北よりすれば北を見る」(下の写真3)。その娘で俳句結社「七曜」を主宰する橋本美代子さんの「白き蓮 天意のままにひらきけり」がその反対側に(下の写真4)。七曜が1955年から西大寺で句会を催してきた縁で設置された。

不動堂の左手には河鹿俳句会を主宰された磯野充伯さんと七曜俳句会の磯野莞人さんの句碑。さらに、境内には他にも桂樟蹊子さんや堀内薫さんらの句碑もある。

不動堂の先の手水舎を過ぎると本堂。現在の西大寺の中心堂舎で、国の重文。もともと鎌倉期に東塔の北方に建てられた光明真言堂の後身で、室町時代の焼失後に再建された堂が傷んだため、修理ではなく新築することとし、江戸後期の1808年頃完成したもの。

桁行七間、梁間五間、一重の寄棟造で、本瓦葺。前後面に向拝三間を付す。土壁を一切用いず、装飾性の少ない伝統的な様式で、江戸時代後期の大規模仏堂建築の代表作。

共通拝観券で入場。写真撮影禁止なので写真はないが、堂内は東西南の三方の外陣と内陣を仕切り、内陣北の中央に須弥壇、東西に脇壇が設けられている。

ご本尊の木造釈迦如来立像は鎌倉時代の1249年、仏師善慶作で国の重文。京都・清凉寺にある三国伝来の釈迦像の模刻。木造文殊菩薩及び脇侍像も鎌倉時代1302年の作でこれも国の重文。その他、鎌倉時代の弥勒菩薩坐像(奈良県指定文化財)、江戸時代の弘法大師坐像に興正菩薩坐像、地蔵菩薩立像、十六羅漢図などがある。

本堂の正面には東塔跡の基壇と礎石が残る。西大寺の東西両塔は当初、八角七重塔として設計されたが、奈良時代末期の緊縮財政の中で縮小され、実際には四角五重塔として創建された。その両塔も平安中期の928年に焼失し、東塔は平安末期に修造されたが、室町末期の1502年に焼亡し、その後は再建されないまま塔跡のみが遺る。

本堂の奥(北側)にある塔頭の一之室院は何度か再興されており、現在は土蔵風の庫裡が残るのみ(下の写真5)。
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さらに愛染堂を参観するが、続く

エリア 奈良市(奈良)

写真1 華蔵院

写真2 増長院

写真3 橋本多佳子句碑

写真4 橋本美代子句碑

写真5 一之室院