2022/04/12 - 2022/04/12
31位(同エリア458件中)
かっちんさん
福井県北部に位置する坂井市丸岡町。
ここには戦国時代に多く見られた望楼型天守(大きな入母屋造りの屋根の上に望楼部分を載せた形式)の城「丸岡城」があります。
現在は天守と本丸が残され、国の重要文化財に指定されています。
別名「霞ヶ城」と呼ばれ、春先にすっぽり「かすみ」に覆われる幻想的な「霞ヶ城」を見ることができます。
桜の時期にはお城の周りに植えられた桜が満開となり、桜の中に浮かぶ美しいお城としても有名です。
城域には「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥せ」の手紙をモチーフにした「日本一短い手紙の館」があります。
毎年、短い文で簡潔にまとめた手紙の公募があり、その中から「一筆啓上賞」となった作品が展示されています。
とてもユニークな内容で、読んでいてなるほどと思う傑作品が多数あります。
丸岡町とJR北陸本線丸岡駅とは離れていますが、かつてその間を結ぶ「丸岡鉄道」が大正4年に開業。
昭和4年には金津駅(現在のJR芦原温泉)と丸岡町を結ぶ「永平寺鉄道」も開業し、鉄道王国の時代がありました。
昭和19年には京福電鉄に統合され、次第に利用客が減少し昭和43年に廃止されました。
現在の丸岡バスターミナルは本丸岡駅跡の敷地であり、JR丸岡駅1番ホーム片側は丸岡鉄道が乗り入れしていた線路跡です。
今日の午後は福井駅から京福バスに乗り丸岡城を訪れます。
桜は残念ながら葉桜でしたが、天守の野面積みの石垣、格子出窓、石落し、急階段、石瓦、石製鯱など、見どころがあります。
帰りは丸岡バスターミナルから京福バスでJR丸岡駅へ移動し、かつて丸岡鉄道が通っていたルートを想像してみました。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・京福バスのHP
・道路標識と信号機の森「福井鉄道福武線」https://trafficsignal.jp/~mori/sfki81.htm
・裁判所「福井地方・家庭裁判所」のHP
・福井市「福井市の水源」「水道水ができるまで」
・風のつれづれ、山「九頭竜川越しの白山が一番美しい」の画面クリック:法恩寺山
・丸岡城のパンフレット、公式HP
・一筆啓上 日本一短い手紙の館のパンフレットとHP
・日本マンホール蓋学会「坂井市」
・人里の巨木たち「霞のタブの木」
・坂井市「さかい夏祭り」「暑いけど熱い!さかい夏祭り今年も開催!2017年」!
・減速進行「京福電気鉄道丸岡線を訪ねて」
・鉄道友の会福井支部「京福電鉄丸岡線 本丸岡-西長田間 廃線跡巡り」
・九頭竜川下流農業水利事務所「十郷用水路調圧水槽の充水式を終えて」
・H30 農業農村工学会大会講演会講演要旨集「九頭竜川下流地区の十郷調圧水槽における異口径5台バルブによる水位制御方式」
・JR西日本「北陸新幹線プロジェクト」
・ウィキペディア「福井鉄道」「福井鉄道福武線」「京福電気鉄道丸岡線」「京福電気鉄道永平寺線」「福井地方裁判所」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
「丸岡城」へのアクセス(福井駅)
JR福井駅から京福バス「丸岡線」で丸岡城まで50分or1時間ほど。670円。
30分に1本の頻度で2系統運行しています。
JR丸岡駅からだと「丸岡永平寺線」で丸岡バスターミナルまで13分、210円ですが、昼間の時間帯に6本なので帰りに利用します。
丸岡バスターミナルと丸岡城は600mほど離れています。 -
「丸岡城行き」バス(福井駅)
福井駅13:10発の県立病院・アピタエルバ経由「丸岡城行き」に乗り、いざ出発~。 -
イチオシ
二灯流?の信号機(大名町交差点)
バスは駅前の中央大通りを進み、大名町交差点で福井鉄道とともに右折します。
福井鉄道の軌道敷内の右折待ち車両による列車進行妨害や後方確認せず右折する車両と電車の事故が頻発していたため、2015年2月に3か所で新たに導入された「右折分離式信号」。
右列に青矢印信号が表示されます。 -
「福井城址大名町駅」に停車する「福井鉄道 福武線」(大名町交差点付近)
「福井鉄道 福武線(ふくぶせん)」は、越前武生駅から田原町駅までと、福井城址大名町駅から分岐して福井駅停留場まで結んでいます。
写真は左手前が越前武生駅、右奥が田原町駅、右手前が本線から分岐し福井駅です。
手前の電車は「福井駅経由田原町行き」。福井城址大名町駅に停車後、向きを変えて福井駅を往復し、再び福井城址大名町駅を通り田原町へ向かいます。
奥側の電車は福井駅から福井城址大名町駅に到着した「越前武生行き」。これから向きを変えて右側の線路に移り越前武生へ向かいます。
車両は770形、元名鉄岐阜市内線を走っていた路面電車です。 -
「旧警視庁庁舎」のような建物(福井市春山)
各階5mの階高を持ち、三層の塔屋を載せた地上6階建ての「福井地方裁判所」です。
現在の庁舎は戦災、地震と相次いだ惨禍からの福井市復興のシンボルとして国内屈指の規模の堅牢なる庁舎建築として建設された3代目。
昭和29年(1954)に竣工し、戦後の裁判所庁舎建築のはじまりとされています。 -
イチオシ
田園・山岳風景と浄水場(九頭竜川付近)
バスは35分ほど走ると都会の風景から田園・山岳風景に変わります。
国道8号を走り九頭竜川手前です。
水色の建物は「福井市九頭竜浄水場」。
福井市の水道水の水源は、九頭竜川の表流水と井戸から汲み上げる地下水を「九頭竜浄水場」でブレンドしています。
白いドーム型の建物は浅井戸で、浄水場構内に16井もあります。
後ろに見える雪山はスキージャム勝山のコースが見える法恩寺山、右隣に経ヶ岳です。 -
一級河川の「九頭竜川」を渡ります(バス車窓)
-
「丸岡城バス停」に到着
1時間ほどのバス旅を楽しみました。 -
「丸岡城」の案内図
天正4年(1576)に柴田勝豊(勝家の甥)が築城した「丸岡城」。
大正中期から昭和初期にわたり濠(ほり)は埋められ、現在は本丸と天守、僅かに石垣を残す城域は公園になっています。 -
牛ヶ浜石棺(丸岡城)
丸岡町牛ヶ浜の東方にあった古墳から出土したと伝えられる、古墳時代の「くり抜式舟形石棺」。
石棺は橋として転用されていたものを現在の場所に移しました。 -
残念ながら葉桜(丸岡城の周り)
丸岡城は別名「霞ヶ城」と呼ばれるように、春満開の桜の中に浮かぶ姿は幻想的でひときわ美しい城です。
園内は400本のソメイヨシノが植えられ、日本のさくら名所100選に認定されており、4月には城下で丸岡城桜まつりが行われます。
訪れた2022年4月12日はすでに葉桜でした。 -
石垣の上に建つ天守(丸岡城)
天守へ直接出入りする石段を登り、天守に入ります。
入場料金は、ここでは「入城料金」450円。 -
丸岡城のジオラマ(天守1階)
昔の城郭は五角形の広い濠を有し外郭に侍屋敷を配置し、さらに河川を利用し外濠を設け寺院民家を包容し城下町を形成しました。 -
天守内の太い柱(天守1階)
1階と2・3階の間には通し柱がなく、1階が2・3階を支える構造です。 -
格子出窓と「石落し」(天守1階)
「石落し」は石垣をよじ登る敵勢を射落とす仕組み。
石垣上より天守の一部を出っ張らせ、敷板に穴をあけておいてここから石を落下させたり、弓や鉄砲を放ちました。 -
桜に囲まれる丸岡城(天守1階)
-
全ての方角が見える大きな窓(天守3階)
天守の最上階に上がると見晴らし抜群。
1階から2階に上る階段が65度、2階から3階部分で67度の全国でも珍しい急階段です。 -
天守の周り(丸岡城)
石垣は自然石のまま積まれた「野面積み」。
石垣の一番上の面と天守の土台との間には「水切り屋根」がついてます。
天守の外観は板壁。 -
望楼型の天守(丸岡城)
天守は大、小2つの屋根をもつ3階建てで、2・3階は1階に載せられた造り。
1階には格子出窓の「石落し」があります。実際には石を落としたのではなく、鉄砲や弓を放ちました。
小さな穴「狭間」からは外敵に向かって鉄砲を撃ちました。
3階には四方に大きく開いた窓があり、周囲には欄干のついた廊下が張り出しています。
天守の屋根は福井産の笏谷石(しゃくだにいし)を石工が加工した石瓦が葺かれています。 -
石製の鯱(丸岡城)
この石製鯱(しゃち)は、もと木彫銅板張りであったものを、昭和15~17年の修理の際に、石製の鯱に改めたもの。
当時は戦禍中で銅板の入手が困難であったため、やむなく天守閣の石瓦と同質の石材に。
その後、昭和23年の福井大震災により、棟より落下し、現在の様な形で残っています。 -
城に「かすみ」をかけた井戸(丸岡城)
柴田勝豊が豊原からここに移り築城後、一向一揆の残党が攻撃をしかけてくることがありました。
しかしその都度、この井戸の中より大蛇があらわれ、城に「かすみ」をかけて城の危機を救いました。
この伝説が別名「霞ヶ城」と呼ばれる所以で、現在でも春先にすっぽり「かすみ」に覆われる「霞ヶ城」を見ることができます。 -
次は「一筆啓上 日本一短い手紙の館」(城域の公園)
徳川家康の家臣本多作左衛門重次が陣中から妻に宛てに送った手紙が「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥せ」と短い文で簡潔にまとめられています。
「お仙」は後に初代丸岡藩主本多成重になったことから、この手紙をモチーフに平成27年に「一筆啓上 日本一短い手紙の館」が開館し、「一筆啓上賞」が誕生しました。
「一筆啓上賞」の作品を拝見すると傑作な手紙が多数あります。
その中の一つ
「お母さん」へ
心ってどこにあるのかな?
この前、弟に聞いたら、
「弁当箱のなかじゃね?」と言ってた
また、「手紙の館」を囲む石垣は、丸岡城と同じ野面積みの石垣で、「穴太衆積み」の伝統的な技術を用いて積まれています。 -
桜に囲まれる「丸岡城」(町歩き)
外濠跡を歩いて、600mほど離れた丸岡バスターミナルへ向かいます。
1週間前には桜に埋もれる丸岡城だったのでしょう。 -
イチオシ
美しい城「丸岡城」(町歩き)
戦国時代に多く見られた望楼型天守(大きな入母屋造りの屋根の上に望楼部分を載せた形式)でありながら、学術調査により江戸時代の寛永年間(1624~1644)の建築と判明。
北陸地方に残る唯一の天守の城で、国の重要文化財です。 -
デザインマンホール(町歩き)
坂井郡丸岡町だった旧丸岡町のマンホール。
町の花ショウブが、蓋を4分割して描かれ、同じ絵柄を凹凸にしたデザイン。
現在、坂井市丸岡町となっています。 -
イチオシ
豪快な「タブの木」(町歩き)
田島川に架かる神明橋のたもとに立つ「タブの木」。
古くからこの地に育っていたもので、国神神社がこの地に移されてから神木となります。
福井大震災では神社境内の数百年を経た大杉・大銀杏・大けやきなどが焼失しましたが、唯一この「タブの木」のみ焼失を免れました。
今もしめ縄を締め、神木として大切に保存されています。 -
広い敷地の「丸岡バスターミナル」に到着
ここは昭和43年(1968)まで京福電鉄「本丸岡駅」だったところ。鉄道廃止後、跡地が「丸岡バスターミナル」になりました。
鉄道開業の歴史は以下の通り。
丸岡町と省線北陸線を結ぶ目的で、大正4年に本丸岡~上新庄(後に丸岡に乗り入れ)間4.2kmに「丸岡鉄道」が開業。
昭和4年(1929)に「永平寺鉄道」が永平寺口(後の東古市)~金津(現在のJR芦原温泉)が開業し、本丸岡で「丸岡鉄道」と接続。
昭和19年(1944)に戦時統合で「京福電鉄丸岡線・永平寺線」となり、利用客の減少により昭和43年(1968)に廃止。 -
「丸岡駅行き」のりば(丸岡バスターミナル)
鉄道があった時代の丸岡線、永平寺線がバスルートに置き換わっています。 -
丸岡駅行きバス(丸岡バスターミナル)
永平寺口始発の小さなバスがやって来たので乗ります。 -
建設中の「北陸新幹線坂井高架橋」(バス車窓)
バスはかつての「丸岡鉄道」とほぼ同じルートを走ります。 -
「JR丸岡駅」に到着
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「なにやってんの弁慶さん~欄干を飛び交う牛若丸」(JR丸岡駅の展示)
坂井市では、毎年8月にさかい夏祭り「かがしコンテスト」が開催されています。
この作品は2017年に台座部門で選ばれた上兵庫青壮年会の作品「五条大橋の出会い~牛若丸と弁慶伝説~」。
米どころの坂井では、田畑を荒らす獣に嫌いな臭いを「かがし」で追い払っていたことが由来となり、案山子(かかし)を「かがし」と呼ぶようになりました。 -
「18歳と81歳のちがい」(JR丸岡駅の展示)
どれも理にかなっていて面白い! -
「丸岡鉄道」が走っていた頃(JR丸岡駅の展示)
昭和16年(1941)4月10日に発行された「大日本職業明細図」のうちの坂井郡を描いた図です。
南北に縦貫する鉄道として中央に鉄道省の北陸線、西側に三国芦原電気鉄道、東側に永平寺鉄道があります。
東西に横断する鉄道(西長田~丸岡~本丸岡)が「丸岡鉄道」で、丸岡駅ではスイッチバックしています。 -
木造の小屋組ホーム(丸岡駅)
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「丸岡鉄道」が発着していた線路跡(丸岡駅)
福井方面の1番線ホームの片側が線路跡。
京福電鉄丸岡線(旧丸岡鉄道)の当時を知る地元の方に教えてもらいました。 -
その先にある線路(丸岡駅)
京福電鉄廃止後、国鉄・JRで利用されていたようです。 -
線路の終端(丸岡駅)
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イチオシ
旧丸岡鉄道の線路(丸岡駅)
一番左側の線路が旧丸岡鉄道。
この先に北陸本線を跨いで西長田へ向かう鉄道橋がありました。
今は撤去されましたが、橋台が残されています。 -
「十郷調圧水槽」(丸岡~芦原温泉)
では、丸岡駅から普通電車に乗り小松駅へ向かいます。
丸岡駅を出ると右手に大きな円筒形の水槽が見えます。
これは九頭竜川から取水した水を約14kmにおよぶパイプラインを通じて、坂井平野にひろがる農地へ供給するための施設。
「十郷調圧水槽」は、直径36m、高さ30mのPCタンクで、下流パイプラインの耐圧標高を確保する目的から 25mに水位を維持するための減圧水槽です。
流入制御弁によりタンクに入る流量を調整します。 -
建設中の北陸新幹線高架橋(丸岡~芦原温泉)
金沢~敦賀間は2023年度末の完成をめざし、工事を進めています。 -
雪山の霊峰「白山」(動橋~粟津)
石川県に入り、白山が見えて来ます。 -
特急「サンダーバード」(小松駅)
小松駅で特急「サンダーバード」に乗り換え、金沢駅へ向かいます。 -
黄昏時の空(富山付近)
金沢駅から東京行きの北陸新幹線「かがやき」に乗っています。 -
淡い夕焼けの富山湾(富山付近)
これで4日間の北陸春の旅を終えます。
今回の旅は、「大人の休日倶楽部会員限定 北陸フリーきっぷ」を有効に利用しました。
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