漁師めし「魚山人」 玄海の"ポツンと一軒家"で超新鮮！秘境グルメ

2022/05/16 - 2022/05/17

10年くらい昔のことです。
テレビの「秘境グルメ番組」で魚山人さんが紹介されたのを見て、旨い魚介には目が無い私はアタマの中の「いつか行ってみよ～かな」リストに・・・。

秘境だけあってかなり敷居が高いので、つい延び延びになっていましたね。
交通不便、予約が取りにくいのはもとより、情報収集したら4人から20人までと書いてあります。ハテ、3人以下はお断わりなのかな(?_?)

ダメモトで電話し、7ヶ月先の極力ヒマそうな連休明けの平日を狙って2人ではダメかと聞いたところ「その週だったら火水木ならok」とのこと！！
もしかして他のグループと相席になるかもしれないそうですが、そんなの全く問題なし。

ヤッタ！！最大の難関はクリア出来たので早速行程を考えたところ、東京から直行しても昼の部までには着けない、朝一の飛行機で行っても到着は16時過ぎ。
夜の部だとその日終了後は足が無くて移動できないので、玄海付近に泊まらないとダメ。最終バスが18:37なんて、オイオイ冗談も休み休み・・・(*o☆)

そこで近所にある宿に片端から電話しましたが、この近くの「九州電力玄海原子力発電所」の定期点検期間に入り2022年1月～2023年1月は付近の宿すべてが原発関連企業により押さえられているらしい。
そりゃ原発の点検といえば1万人規模で全国から技術者や作業者が山間僻地に大集結するんだもんねぇ・・。
しかし民宿「要太郎」さんの女将さんと話したところ「そう、魚山人さんが取れたの？せっかくだから何とかしてあげたい」
とおっしゃられ、1週間後に電話をいただきました。
「会社にお願いして1部屋空けてもらったからどうぞ来てください」と。
しかも仮屋から送迎してくださると＼（ｏ⌒∇⌒ｏ）／　♪♪♪
神様仏様女将さま～！(ノ_ _)ノ　ﾊﾊｧ～

そこでやっと長年の間念願だった魚山人詣でが実現したのでした。

＊このお店はミシュランガイド福岡・佐賀・長崎版2019のミシュランプレート（星なし）を獲得されておられます。

写真：船着き場より見た、魚山人さんのお店とご自宅。

エリア 呼子・玄海(佐賀)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 2.5
• ホテル: 4.0
• グルメ: 4.5
• ショッピング: 3.5
• 交通: 1.5

• 一人あたり費用: 1万円 - 3万円
• 交通手段: 高速・路線バス JRローカル 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

博多からは市営地下鉄空港線で筑前前原まで行き、JR筑肥線に乗り換えて西唐津に向かいます。
もう全国的にも珍しくなってきた国電の生き残り、103系電車でした。
103系は昭和39年から山手線に投入された通勤型電車で、90キロくらいのスピードを出すとMT55Aモーターが爆音です。この音、久々に聞きました。
博多から90分1250円で西唐津に着きます。
以前は快速電車があって、15分くらい早かったのですが今では平日は各停ばかりで快速は殆どありません。
ローカル線の減便が目につきますね。

博多駅 駅

まず、西唐津駅前から玄海町の「金の手」というところまで昭和バスで行きます。
ほぼ1時間に1本あり33分730円。

西唐津駅 駅

金の手というところは、大きなスーパーもありこの地域の主要拠点になっています。
しかし、ここから先仮屋までバスは1日5本しかなく、うまい時間がないので歩くことにしました。

玄海原発に通じる道なので広く立派な舗装道路です。
途中仮屋港方面に折れます。

湾の向こうに仮屋漁港が見えてきました。
これ、なんだか伊根の舟屋にも似た景色ですね。
まあここに舟屋はありませんが、のどかな漁村風景という感じです。

ゆっくり歩いて金の手から30分で仮屋漁港に着きました。

おーっ、いろんな方の魚山人ブログで見たことある氷の自動販売機（製氷塔）が見えますね！！
200円入れると10kg出てきます。モチ漁師さん用ですが一般人も買えます。
この前の浮桟橋で魚山人さんと17時に待ち合わせになってます。

反対側の氷が出てくるところ。
大きめの容器を持ってゆかないとタイヘンなことになりますよ。うっかりすると自分が氷詰めに。10キロ単位っていったい・・

漁港には必ず猫がたくさんいますね。

17時ちょい過ぎ、1隻の漁船がこちらに向かってやってきました。
ご主人が手を振ってくれました。

船の名前は第11高岩丸。お店の住所が東松浦郡玄海町仮屋高岩1660-3なので高岩丸なんでしょうか。
かなり大きめの漁船です。
この船は送迎のみでなくご家族の足でもあり、運搬や漁などになくてはならないものです。店は最大20人って書いてあったけど、一度にそんなに大勢運べるのかなあ。

船が着くと、若めのお姉さん2名が降りて来られました。
昼の部のお客さんでしょうか。
この浮桟橋への通路（タラップ）が細く、重い荷物を持っていると海に落ちそうでちょいコワイです。

漁船ですが、お客さんの乗る部分にはビニールハウスになっていて濡れないようになっていました。冬なら防寒にもなるでしょう。

船で10分弱で魚山人さんのお店に到着。内海なので波は静かです。
そう、ここは道路が無いので陸路では来られず、船しか交通手段が無いのです。
まさに「ポツンと一軒家」です。
正面の建物の2階がお店なので先に上がって待つよう案内されました。

建物の手前に手作りの看板もありました。

魚山人 グルメ・レストラン

この階段から2階に上がります。
1階は調理場でした。
その奥はご自宅でしょうか。

最初に入ったところに著名人の色紙がたくさんありました。
芸能人は勿論ですが、元日産のゴーン会長や、元首相夫人なども来られているのにびっくり。フレンチの鉄人、坂井シェフはよく来られるそうです。

テレビでも幾度なく紹介されています。
明日も取材が来るとか。

こちらがこれから食事をする部屋です。
4人組なら4組まで入れそうな広い部屋ですね。

この日はなんと相席はおらず、2人で貸切でした。
閑散期はこんなことあるんだ～、なんというラッキー。

今日はこの席でいただきます。

料理はおまかせのみで、5000円か6000円です。
この差はウニがあるか無いかの違いだけです。

暫くするとご主人が刺身を持って現れました。
ヒラマサと鯛。新鮮ですごくコリコリしています。
付け合わせは大根でなく玉ねぎスライスです
ここでは刺身はワサビ醤油ではなく、手作りの柚子胡椒を醤油に溶いていただきます。新しい食感、とてもマイルドで旨い。
市販のものと違い、塩分がなく柚子の風味がすごい逸品です。
譲って欲しいといいましたが、店で出す分くらいしか作れないそうです。すごく手間がかかっているらしい。
ポン酢も自家製とか。あ、この建物もご主人が手作りしたそうです。
器用な方なんですね。

揚げたてのアマダイすり身のさつま揚げです。
ご主人が熱いうちにすぐに食べろと。
ほかにお客さんがいないので付きっ切りで世話を焼いて下さいます。

生うにを大根と胡瓜に乗せたもの。大盛りのウニです。
ご主人は一口でイッキに行け！！とおっしゃいますが、東京人には勿体なくて・・・
結局チビチビとやりましたよ。
濃厚で深い味わいの極上ウニです。

これのみ自給ではなく北海道産を買っているようです。

黒あわびの酒蒸し！　大きくてチョー高級品です。
何もつけなくても貝自体に甘みがあって美味しい。

カサゴの唐揚げ。
2人なのに、なぜか3尾・・・・

ヒジキのキッシュ　これも坂井シェフとのコラボ？
甘くていい味です。お口直しのスイーツの感覚ですね。

サザエのつぼ焼き
この日は小さめのためか、1人2個です。
新鮮なのでワタまでくるっと綺麗に取れます。
全然苦くない。

カサゴとベラの煮つけ
中央がベラ
甘さ控えめで良い味付けです

イサキの焼き魚　2人で1尾です。　かなり大きくそろそろ満腹。
付け合わせのオレンジがいいアクセントです。

タコのカルパッチョ　これで2人前とは思えない大盛りです。
明治神宮前の四川料理店 「龍の子」とのコラボだそうです。

坂井シェフとコラボしたという茶碗蒸し。
アップルミント味で18歳の香り？！中にウニと大きなホタテが入っています。
和食なんですが洋食の発想がすごい。

こういう魚介料理には、やはり日本酒でしょ。
唐津の地酒、「太閤」です。あっさりして魚によく合います。
2.5合で830円という劇的なお安さ。
この大きな徳利はご主人のお宅に伝わるお宝だとか。

ドリンクメニューです。
世間相場よりかなりお安め。
こんな秘境まで船で運んで来るのに有難いことです。
ビールとソフトドリンクは冷蔵庫に山のようにあり、勝手に出して飲んだら後で申告、
それ以外はご主人にオーダーすると下から持ってきてくれます。

〆めは寿司。にぎり1人４カンと巻きずし2個です。
アマダイとヒラマサの部位違いが2個づつ。
シャリは古代赤米で、風味があります。
皿は家宝の有田焼青磁です。
ご主人のところには先祖伝来の陶磁器がたくさんあるとか。
あとお吸い物も大きなお椀で出ましたが写真撮りそこなった・・

醤油皿の裏には所ジョージさんの署名がありました。

料理は以上12品で6000円（込）単純計算で1品500円！！コスパ良すぎですね。
うに以外の食材を自給自足しているので出来ることなんですね。
量がかなり多く、完食できませんでした。
10000円コースとかにすると、クエとか高級魚に変わるようです。

とにかく調理直前まで生け簀で生かしているので新鮮。
調理はコラボ品を除き生、焼く、揚げるなどシンプルに素材の良さを生かしています。
ただ魚ばかり死ぬほどたくさん食べるといくら新鮮で上質なものでも味変させないと喉を通らなくなりますね。

棚には「魚山人」ブランドの焼酎などがありました。
酒造メーカが勝手に作らせてくれと言ってくるのだとか。
置いてあるだけで特にお薦めはありませんでしたね。

お店の脇には畑があって野菜も自給自足しているようです。

クチコミ等を見ると刺身、アワビ、カルパッチョ、キッシュは定番の模様で、他は季節によって、イカ、牡蠣、ワタリガニ、エビなどの日もあるようです。

ご主人は下と15回くらい往復して配膳して下さいました。もう74歳というのにずいぶんお元気そう。
奥様はずっと調理にかかりっきりで一度もお顔を拝見できませんでしたね。

20時過ぎ、すっかり満腹となり船で仮屋漁港まで送っていただき、民宿要太郎さんに迎えに来ていただきました。
魚山人さんと要太郎さんのご主人同士ご知り合いのようで、連携プレーでスムーズに乗り継ぎが出来ました。ありがとうございます。

民宿要太郎 宿・ホテル

朝起きてみたら、要太郎さんの目の前は漁港で、橋がよく見えました。
しあわせの橋「外津大橋」という橋で唐津市の呼子と玄海を結んでいるそうです。
早速、早朝散歩にお出かけしました。

橋の上まで登ると、M菱重工などプラントメーカーの従業員を乗せた大型バスがたくさん通ります。
作業服姿で徒歩で通勤の方も大勢。
そう、すぐ近くにこんなのがありました。8時始業なんですね。
観光バス会社もタクシーも、地元の宿、商店居酒屋も原発需要で潤っているのがよくわかりました。

ここから先は許可証がないと入れません。
定期点検と同時にテロ対策のセキュリティー工事もやっているそうで通常よりも工期が長く1年以上かかるそうです。

玄海町次世代エネルギーパーク あすぴあ 名所・史跡

宿から送っていただく途中、有名な「浜野浦の棚田」に立ち寄っていただきました。
日本の棚田百選に選ばれているそうです。
夕日が沈む時間には水田に太陽が反射し、オレンジ色の世界となるらしい。

浜野浦の棚田 自然・景勝地

西唐津からまたJR筑肥線と地下鉄で博多に戻りました。

やはり「秘境めし」を頂くには綿密な計画と周到な準備が必須だということを実感しましたね。

西唐津駅 駅

電車、バスで行く方のための参考です。
昼の部は12時までに着くバスが無いので魚山人さんと要相談です。
博多9:54⇒西唐津11:23　バス西唐津駅前発11:45⇒仮屋12:21着（平日ダイヤ）
夜の部はバスは金の手乗換えとなります。
博多13:12⇒西唐津15:02　バス西唐津駅前15:25⇒仮屋16:31着（平日ダイヤ）
昭和バス有浦線時刻表
平日　http://showa-bus.jp/images/timetable/121_ariura_wd-221107.pdf
休日　http://showa-bus.jp/images/timetable/122_ariura_hd.pdf