2021/03/23 - 2021/03/24
225位(同エリア5216件中)
かっちんさん
高知県中西部に位置する「佐川町(さかわちょう)」。
佐川町の中心部にある上町(うえまち)地区は、城下町として栄え、主に商人が居を構えたまちでした。
その風情は今も受け継がれ、伝統的な商家住宅や酒蔵などが町並みを形成しています。
東西に延びる「酒蔵の道」には、江戸時代に建てられたものから、最近のものまで、酒蔵や酒造の建物がたくさん並んでいます。
「司牡丹酒造」は、佐川領主深尾氏に従って来た御酒屋(ごしゅや)が、慶長8年(1603)より創業した造り酒屋。
400余年の伝統を受け継ぐ土佐を代表する酒造りを続けています。
「司牡丹」の酒の魅力は、地元ファンによれば「淡麗辛口ながら、美味しい余韻を引く酒」。
仁淀川の伏流水を使った軟水仕込みの技がしっかりした芯のある味わいになっています。
植物学者「牧野富太郎」の生誕地でもあり、約1500種類以上の植物を命名した功績は偉大です。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・佐川町「街並み」、さかわのしおり(資料)
・さかわのしおり、イベント「第14回さかわ・酒蔵ロード劇場2021、作品場所」:上町の地図
・司牡丹のHP
・蔵元紀行「水・米・技の紹介、司牡丹酒造」
・まちかど逍遥「司牡丹の酒蔵建築」
・岩崎園芸「ユキモチソウ」
・とさのさとめぐり「ゆっくりとした時間が流れる酒蔵の町でちょっと休憩」:浜口家
・徒然なるブロブログ「鎧庇と猿頭」
・半田商店「司牡丹ゴールドいごっそう」
・全国銘酒たる松 お酒紀行「日本酒もの知りコラム」:杉玉
・司牡丹ブログ「令和2酒造年度「新・酒林」が吊るされたぜよ!」2020年11月11日
・土佐のおきゃくガイドブック2017
・朝霞市民まつり「よさこい鳴子踊りとは?」
・ウィキペディア「黒鉄ヒロシ」「土佐電気鉄道600形電車」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
上町周辺マップ(佐川町観光ガイドブックより)
「酒蔵の道」を中心に、司牡丹酒造の酒蔵、商家住宅の町並みがあります。 -
「郵便局前」バス停(土佐街道)
仁淀川町土佐大崎から乗ってきたバスを上町の「郵便局前」で降ります。
ここから町歩きを始めます。 -
「司牡丹酒造3号庫」の蔵と煙突(土佐街道)
「司牡丹酒造」では、酒蔵や酒造所の建物を「○号庫」と呼んでいるようです。
白塗りの蔵の長さは35mほどあります。
土佐街道に面した酒蔵です。 -
「牧野富太郎ふるさと館」
土佐街道より1本内側(南側)の並行した道、通称「酒蔵の道」の西側に「牧野富太郎ふるさと館」があります。
ここは「日本植物学の父」と呼ばれる牧野富太郎の生家を復元。
展示室では、博士の遺品や直筆の手紙等を展示しています。 -
開花前の「ユキモチソウ」(ふるさと館のプランター)
仏炎苞と呼ばれる花が開花すると、中から白い餅のようなもの(付属体)が出てきます。
その形を餅に見立てて「雪餅草(ユキモチソウ)」と名付けられました。
静岡県南部以西~四国、九州南部に分布しています。 -
青空に映える「煙突と酒造の建物」(酒蔵の道)
先ほど見た3号庫の敷地に煙突と酒造の建物が見えます。
では「酒蔵の道」を歩きはじめます。 -
大きな「杉玉」(酒蔵の道)
「酒蔵の道」の右側には5号庫が続き、出入口に杉の葉を丸く束ねた「杉玉」がぶら下がっています。
新酒をしぼり終えると新緑の杉玉が吊るされ、まわりの人々は新酒ができたことを知ります。
時間が経つにつれて葉が枯れて茶色に変わるのを見ながら、酒の熟成を待ちます。 -
明治期の洋風木造建築「佐川文庫庫舎」(酒蔵の道)
もとは明治19年(1886)に新築された「旧須崎警察署佐川分署」。
擬洋風の公共建築で、木造二階建て、屋根は寄棟造りで和風の桟瓦葺き、屋根中央から左側を右瓦で右側を左瓦で葺き、土佐の伝統的葺き分けが継承されています。
外壁は杉の厚板に白ペンキ塗りでドイツ下見板張りの洋風仕上げ。
昭和5年(1930)に建物は青山会に払い下げられ、西町に移築し会堂兼特別閲覧室と青山文庫(せいざんぶんこ)の正面玄関として使用されました。
昭和48年(1968)佐川文庫に名称変更、現在はここに移築、復元されています。
当日は休館中でした。 -
多くの維新の志士と偉人を輩出した「名教館」(酒蔵の道)
「名教館(めいこうかん)」は、安永元年(1772)六代領主、深尾茂澄は高知城下より山本日下を招いて家塾として創設。
建物は天保元年(1830)に建築され、元宮内大臣田中光顕公をはじめとする維新の志士たちや、牧野富太郎博士などが学んでいます。 -
正面玄関の格天井(名教館)
鎌倉時代にあらわれた天井で、格縁を縦横に組んで裏板を張った天井です。 -
柱横に突き出た木鼻(名教館)
社寺建築などで隅柱から繰形(くりがた)彫刻を突き出す装飾部材。
鎌倉時代に初めて現れ、拳(こぶし)鼻・象鼻・獏(ばく)鼻などの彫刻があり、ここでは拳鼻です。
正面の深尾家の梅鉢紋は木彫り彫刻。 -
国登録有形文化財「旧浜口家住宅」(酒蔵の道)
「旧浜口家住宅」は幕末期の酒造商家の一つです。
近代期には海運業にも転じて第1次世界大戦の海運業活況に乗じて「舟成金」といわれるくらいの豪商でした。
現在、さかわ観光協会の事務所として活用され、内部の見学は無料。
正面外壁は防犯を考慮した太めの木製出格子、黒壁は土佐松煙(しょうえん)漆喰塗りの伝統的外壁意匠が見られます。 -
猿頭付き板庇と水切り瓦(浜口家)
出格子の上には猿頭(さるがしら)付きの板庇が付き、土佐漆喰壁には土佐特有の雨から守る水切り瓦が付きます。
猿頭は板庇(何枚もの板)を支えるための桟木(さんぎ)のこと。正面から見ると猿の顔の形に似ています。 -
窓の格子がなぜか落ち着くお座敷(浜口家)
邸内はカフェもあり見学自由。
お座敷ではケーキやコーヒーとともに一休みできます。 -
昔の食器類(浜口家)
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写真「大正初年頃の生金屋」(浜口家)
浜口家は江戸後期からの酒造商家で、屋号を「生金屋(あらがねや)」、酒銘を「野菊」といいました。
写真の建物は大正初年頃の「生金屋」の様子。
現在、司牡丹酒造のギャラリーとなっています。 -
イチオシ
司牡丹のルーツを紐解く「酒の徳利」(浜口家)
嘉永3年(1850)、佐川には酒造業者が9軒あったとされています。
岩屋、黒金屋、黒金屋出店、入吉屋、高橋屋、生金屋、西拝屋、吉田屋、岸屋。
大正7年(1918)には、黒金屋本家(銘柄は笹の露)、黒金屋出店(銘柄は若柳、日の本)、生金屋(銘柄は野菊)の3軒が合併して「佐川醸造」を創立し、銘柄を「千歳鯛」のちに「司牡丹」としました。
昭和7年(1932)に、「佐川醸造」から「司牡丹酒造」に社名変更。
現在の「司牡丹酒造」代表は竹村家で、屋号が「黒金屋」。「黒金」の名前が気になっていたのですが、実は漫画家「黒鉄ヒロシ」氏の実家なんです。 -
網代(あじろ)壁(浜口家)
竹皮などの薄片を直角や斜めに編んだもので、網代組として近世の和風建築の化粧材として天井や壁部分に使用されています。 -
お庭(浜口家)
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青空に映える「御殿場桜」(浜口家)
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上品な「御殿場桜」(浜口家)
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イチオシ
桜が咲き誇る「酒蔵の道」
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坂道に建つ蔵(酒蔵の道)
かつて浜口家の酒蔵でした。 -
銅板の緑青が浮き出ている蔵の窓(酒蔵の道)
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「酒ギャラリーほてい」(酒蔵の道)
元々は浜口家の酒蔵。
竹村仁作が浜口家「野菊」から譲り受け、料亭としていました。
竹村仁作は以前、京都で骨董貿易商「布袋紹介」を経営し、「布袋さん」と呼ばれていたため、料亭の名前はいつしか「ほてい」に。
現在は司牡丹のお土産屋としてお酒などを販売しています。 -
イチオシ
お洒落ななまこ壁(酒ギャラリーほてい)
白漆喰仕上げで腰に碁盤目状のなまこ壁、反りのある水切り瓦、大きな蔵窓、出格子などがお洒落です。 -
「司牡丹焼酎庫」(酒蔵の道)
司牡丹の焼酎は、長期熟成した本格米取り焼酎「いごっそう」。
「いごっそう」とは、がんこ者・へんくつ者といった意味の土佐弁。
焼酎はガツンとインパクトのある味わいを持ち、後口の比類なきまろやかさもあわせもっている とのこと。 -
司牡丹工場(酒蔵の道)
ここから先は、道の両側に工場の建物が続きます。 -
なまこ壁の蔵(酒蔵の道)
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漆喰壁の水切り瓦(蔵)
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「ビン詰め工場」(酒蔵の道)
商品を運搬するフォークリフトが頻繁に行き来しています。
下見板張りに窓が多い建物は、昭和に建てられた工場でしょうか。 -
黒板壁の蔵(酒蔵の道)
水色の看板は「焼酎 司白鷺」。 -
「ビン詰め工場」(酒蔵の道)
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橙色の看板「清酒 司牡丹」(酒蔵の道)
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司牡丹酒造の本社(酒蔵の道)
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イチオシ
大玉の令和2酒造年度「新・酒林」(本社の通用口玄関)
司牡丹のブログより~
司牡丹では毎年その年の一番最初の新酒が搾られた頃に、玄関の「酒林(さかばやし)」を新しいものに入れ替えます。
「酒林」は「酒甫手(さかぼて)」や「杉玉(すぎだま)」とも言い、杉の葉で作られた酒造場のシンボルです。
ワラの芯を作って、そこに杉の葉を大量に突き刺していき、最後に丸く刈り込んで完成します。
昔から杉は、お酒の神様の御神体とも言われ、今年も安全に美味しいお酒が醸されますようにと祈りを込めて毎年青々として「酒林」が、新たに吊るされます。
吊るした当初は、青々とした緑色ですが、日が経つにつれて次第に茶色になっていきます。
緑色が新酒を搾りはじめた合図で、「酒林」が茶色くなるにつれて、お酒も熟成していきます。
令和2年の酒林は11月6日に吊るし替えをしたので、今日(令和3年3月23日)は3ヶ月強経っています。
「酒林」の作業は、玄関看板下にメインの大玉の「酒林」を吊るし替え、そこに「寿」の熨斗(のし)を付けて完成します。 -
小玉の「酒林」(玄関脇)
玄関の脇にも小玉の「酒林」を吊るし替え、「寿」の熨斗を付けています。 -
イチオシ
木枠の窓ガラスに鉄格子の工場(ビン詰め工場)
窓が多いのは採光のためですね。
木枠の窓は懐かしい風景です。 -
「旧竹村呉服店」(酒蔵の道)
この町家は幕末~明治初期の建物で、かつて「○久」の屋号を掲げた竹村家分家「旧竹村呉服店」の店舗付き住宅です。
当初は質屋を営み、次第に呉服商へと商売を発展。
三代目安七守本の頃には、土佐国西部で唯一の絹物商として繁栄し、「店舗と住居を別棟として内部を連続させた立派な家を新築」としたことが伝えられています。
店舗の右側には表蔵がつながっており、とても珍しい建て方です。
共に壁は白漆喰仕上げで腰はなまこ壁とし、店舗は碁盤目状の一文字目地、表蔵は菱形状の筋違目地となっています。
店舗の二階には二ヶ所の窓があり、耐久性を考慮した銅板張り。半開きで止める金具が付き、つし二階の通風が考慮されています。 -
重要文化財の「竹村家住宅」(酒蔵の道)
竹村家は享保年間(1716-1735)から酒甫手(さかぼて:酒造権)を借り受け、酒造業を開始。
その後、家業は順調に推移し、深尾家から謁見が許される御目見町人となり、「黒金屋」の屋号を許可されます。
江戸中期以降、幕府巡視使宿を勤め、江戸後期には深尾家に多額の資金調達をするなど、佐川屈指の商家となりました。
現在の建物は、主屋店舗部が安永9年(1780)頃、座敷部は天保9年(1838)に改築されています。
公開日は毎月第2日曜日10:00-15:00。
写真は上座敷の表構えです。 -
「竹村家の店舗部」(酒蔵の道)
正面は格子付きの帳場・下見板張り腰壁と格子戸の出入口があります。 -
「佐川まちの駅」(酒蔵の道)
ここでは上町の歴史が知ることができます。 -
イチオシ
司牡丹酒造「白壁の1号蔵」(土佐街道)
土佐街道に面し、長さ約80mもある立派な酒蔵です。 -
民家の石垣(土佐街道裏)
大きな石でかさ上げしています。 -
民家の石塀(土佐街道裏)
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佐川駅脇の菜の花
駅構内との境に枕木を使った柵が張り巡らされています。
佐川駅からは普通列車で高知へ向かいます。 -
西佐川駅で特急の追い抜き
途中の西佐川駅では特急「あしずり」を先に通します。 -
全国の酒飲みを見守る神様「べろべろの神様」(高知観光情報発信館)
高知駅に到着し、観光情報発信館に立ち寄ります。
土佐弁で宴会のことを「おきゃく」といいます。
土佐の「おきゃく」は、高知の街を会場にした、大きな宴会のようなイベント。
土佐には酒の神様「べろべろの神様」に見守られて、酒食を味わい酒文化に浸る、年に一度の大きなお祭りがあります。 -
路面電車「とさでん」(高知駅)
土佐電気鉄道の600形電車。
昭和32年~39年(1957~1964)に東京都電7000系電車をモデルにして製造されました。
昭和30年代に都電を通学に利用していた私には懐かしい車両です。 -
アンパンマン列車(高知駅)
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「鰹のたたき」(庄や高知駅店)
夕食にいただいた高知名物「鰹の塩たたき」。
本場の味に満足! -
「ミョウガの天婦羅」(庄や高知駅店)
ミョウガも高知の名産品。 -
大型の「よさこい鳴子」(高知駅)
これは高知のよさこい鳴子踊りに使う「鳴子」。
踊りに合わせ、両手に持った鳴子をカシャッ、カシャッと楽器のように鳴らしながら舞います。
朱色のしゃもじ形の台に黒と黄色のバチが伝統的な形です。 -
JR四国の自動改札機(高知駅)
JR四国で稼動している自動改札機は高知駅と高松駅のみ。
これから19:31発の特急「しまんと8号」+「南風28号」に乗ります。 -
特急「しまんと8号」(高知駅)
前方に高松行き「しまんと8号」、後方に岡山行き「南風28号」を併結して運転。 -
特急「南風28号」車内(高知駅)
岡山行きの「南風28号」自由席に乗っています。
岡山からは東京行きの寝台特急「サンライズ出雲」のノビノビ座席です。 -
翌朝の朝日
東海道本線真鶴付近で、相模湾から昇る朝日を眺めます。
これで、3泊4日の四国の桜を巡る旅を終えます。
酒蔵の町並みが残る佐川町は日本の風景です。
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