1978/08/28 - 1978/09/01
1803位(同エリア3234件中)
おくさん
自転車の旅 富士五湖・箱根(前編)
2020年から始まったコロナウィルスのお陰で、国内・海外を問わず何処へも行けなくなってしまいました。お陰でこうして過去の旅をブログにしています。大昔に行ったサイクリングの旅も4作目の今回は軽井沢を出発して野辺山高原を経て富士五湖、芦ノ湖を見物しながら小田原まで走ったお話です。フィルムカメラで撮った写真の他に、通行券や入場券までスキャンするようになり、これもまた楽しい作業となりました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
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8月28日。サイクリング初日。
軽井沢で行われた群馬県青年会の集まりに3日間参加した後の午後3時過ぎ、これからやっと夏のサイクリングの始まりとなりました。会場の山荘を呆れ顔の友達に見送られて出発。
国道18号を西へ走り、間違わないように地図を見ながら佐久へ向かう。141号に出られれば、こっからはもう暫く迷うことはない、何も考えずに南下さえしていればいい道だ。訳の分からない狭い県道から幹線道路に出られるとホッとする。
佐久市を過ぎると段々と山あいの寂しい道になってくる。それに夕方が近づいているので薄暗くもなってくる。見下ろす小海線の線路を走っている電車がトンネルに入っていくのが見えるのも何とももの悲しい。寂しくなってくると旅に出た気がしてくる。
やっぱりこの薄ら寂しさが一人旅の特徴です。今回、賑やかに60人で過ごした3日間のあとだから尚更そう感じる。午後6時40分、千ケ滝付近の食堂で味噌カツ定食の夕飯にする、850円。人家が乏しい道だけど食堂があって良かった。
夕食の後はしばらく野辺山高原への急な登り坂が続く。夕方だし、高原が近いしで同じなんでもカンカン照りの昼間に山登りするよりはずっとマシにペダルを漕ぐことができる。
段々と景色は高原らしくなってきて、道路っぱたの野菜も高原野菜らしく見える。何が高原野菜だか知らないけど、何となくそう見えるから高原野菜なんだろう。知らないけどキャベツなんかな?
もう7時を過ぎているのでそろそろ休みたいなー、でもまだ寝ちゃうには早いしなー。どっか適当な所がないかなぁ。この道路沿いには鉄道の小海線がつかず離れずあるので、走っている内にはどっか泊まれる駅があるだろうとの目算がある。何も当てがない道を走るよりか遙かにマシってものだ。
7時40分、真っ暗の中でふと見ると本線から外れた先の突き当たりに駅らしいのが見える。近寄ってみると何とJRで一番高いところにある有名な野辺山駅だった。
※この時代はJRでなく国鉄ですが、馴染みのJRで統一しました。
こりゃ予定外なので儲けものだ。うーむ、まだ時間は早いけど、この駅がこの辺りで一番大きくて立派らしくおまけに有名なんだから、この駅を今晩の宿に決めちゃおう。ってことで早速駅の待合い室を偵察にいく。まだこの時間では時折山登りの格好をした乗客がパラパラと乗り降りをしている。そうか、ここは八ヶ岳など有名な山が近くに控えているから登山の駅なのか。田宮二郎のテレビドラマ「高原にいらっしゃい」にも確かこの駅が登場していた覚えがある。誰か駅で寝る登山客でもいるといいなと期待する。
駅の近辺はというと、一応観光地ぽく土産物屋なんかが数件あるけど、駅自体は地味なもんだった。時刻表で最終電車の時間を確認すると21時44分だった。やっぱり町の駅と違って最終電車も早めのようだ。それまで辺りをブラブラして過ごすことにしよう。
山の中の集落程度だけど、駅の回りだけは少し賑やかで、自動販売機もトイレもあるから便利なもんだ。コーラや暖かいココアを飲んで過ごす。やっぱり高原だからこの時間になってくると夏でも肌寒いくらいになってくる。更に夜が更けてくるととっても寒くなってきたので、バッグから長袖セーターを引っ張り出して着込み、短パンの上にニッカズボンをはく。夏のサイクリングにニッカズボンまではいらないかなと思ったが、今回は山の中ばかりなので持ってきて良かった。
田舎の駅員さんは愛想がいい、それに気をよくして一応断っておこうかなと、待合室で泊まってもいいかと尋ねてみると「黙っていますよ」と言ってくれる。さすがに「どうぞ」とは言えないらしいが暗黙の了解をしてくれたようだ。ありがたい、それで十分ですー。こちらも駅員さんに気を使って、終電がでるまでは横にならないようにして、じっと待合い室に行儀良く座って待つ。それにしてもさみーなー。
さて、終電も出たことだし、いよいよ木製長椅子にシュラフを敷いて寝かせてもらいましょうかね。と、終電が出るのを待ってたのは私だけでは無かった。地元の4人組が待合室で酒盛りを始めたのだよ。12時過ぎまで騒がしかったのを覚えてるが、その次に気がついたら誰もいなかったから知らない内に帰っていったようだ。私にちょっかい出すことはなかったので良かった。酒飲ませてくれても良かったけど。やっぱりこの位の山の中では夜遅くまでやってるスナックなんか無いから、飲み会するときは駅とか利用するんかねー。夜遊び出来る所がないのは健全だな。 -
8月28日(月)サイクリング2日目。野辺山駅の朝。
5時50分に起床。快晴だ嬉しい。まるで初冬のような寒さに自販機で暖かい缶コーヒーを飲む。真夏に寒いと言うのもありがたいんだか悲しいんだか。
暖かい物が食べたかったが、こんな小さな駅では駅蕎麦もなかったので朝飯は期待できない。周囲にもごはんを食べさせてくれるような店は皆無なのでさっさと出発する。駅から少し走ると、JR最高地点の看板があった。そうか、JRで一番高い駅があるってことは、必然的に一番高い線路もあるってことなんだ。でもフィルムが勿体ないから看板の写真は撮らないでおく。 -
近くで八ケ岳連邦が澄んだ空気の中にきれいな姿を現しているので記念写真を撮っておく。やっぱここは高原なんだなー。
さてさてこれから暫くは痛快丸かじりのダウンヒルが控えている。車も殆ど走ってない山の中の道なのでビュンビュンと好き放題スピードを出して下っていく。でも高原の早朝なのでさすがに寒い寒い。ハンドルを持つ手がかじかんでしまいそうだ。危険を感じない直線道路が続くのでノーブレーキですっ飛んでいく。
8時40分、道も平坦になってきて甲府バイパスに入る。この辺りのコイン食堂で軽井沢で貰ってきた焼きむすび2個と自販機のオロナミンCで朝飯とする。何ともいい加減な朝飯だが持っているからこその朝飯だ。近くに水があれば食後の歯磨きもちゃんとやります。道路沿いに時々現れるコインスナックも旅先では何かと便利。 -
さて、甲府からは一山越えて富士五湖を目指す。ここは有料道路だった。甲府精進湖有料道路は自転車も10円取られた。10円くらいなら記念になる通行券がもらえるからむしろ嬉しいくらいだ。大事に持ち帰ってまたアルバムに貼ろっと。
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しかし何ともさすがに天下の富士五湖に通じる山越えだけあってこの道はハード。路面状態はとてもいいのだが結構な登りがずっと続く、心臓が早鐘のように打ち続けて口から飛び出しそうな気がする。この道を同じ方向に上っている、やはり自転車旅行中の神奈川の青年としばらく前後して走る。でもだいたい彼の方が先なんだけどね、若さにはかなわんよ。この時の私28歳なので十分若いのだが十歳の差は大きいと感じる。
彼はキャンプの用意があるらしく、キャンプ場の本を持ちあるっているそうだ。キャンプ場ってのはテントなしでも泊まれるのかなと、ちょっと見せて貰う。キャンプ場には貸しテントがあるそうだが、それにしたって飯は自分で何とかしなくちゃだろう、面倒くさそー。やっぱり建物のひさしの下を借りる寄生野宿が一番簡単だ。
あまりの暑さと勾配のため、水の消費が激しくボトルの水がなくなってしまった。困ったなーと思ってた所、道路から30m程下の川で水が汲めそうだ。水なしで炎天下を走って恐ろしい目に遭った経験があるので、川の水だって何だって熱射病になるよりはましだ。早速ボトルを持って崖下へ汲みに降りて行く。ついでに顔も洗い頭も冷やしてさっぱりすっきりしておく。こういう時に体温を下げるチャンスはずぇったい逃がしちゃならんのだよ。痛い経験から覚えました。 -
12時半、精進湖着。山を越してさあ下りと思ったら、幾らも下らないですぐに精進湖になってしまった。やっぱり富士五湖ってのは標高が高いんですかね。数時間ぶりに自販機にお目に掛かれたのでトマトジュースとミカンジュースを飲んでおく。
それにしても登りの途中でハラペコにならなくて良かったなー。時間も調度いいところで山越えができて良かった。山のこっち側に出てしまえばアップダウンは少ないし、観光地だらけだから食べるところに困ることはないって目論見だったのだ。予定通り道ばたにあった食堂でカレーの昼飯にする。
この辺りが自殺の名所、青木ヶ原樹海らしい。そう思って通過すると何となく怨念が漂っている気になるので余りいい気持ちはしない。写真を撮ると何か写りそうだな。 -
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富士の富岳風穴という観光名所があったので70円を払い中に入ってみることにする。穴の近くまで来ると、凄い風が穴の中からゴーゴーと吹き出してくる。こりゃまるでクーラーの風そのものだよ、真夏なのにありがたいねー。
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中に入って行くと涼しいどころか鳥肌が立つほど寒い。それもその筈、風穴の中には万年氷やデパートにあるような氷柱が沢山あった。どうやら天然の氷をここで保管してあるらしい。こんな所に暫くいて体が寒いのに慣れちゃったら外に出るのが恐ろしいかもね。案の定、外に出るところでは掛けてる眼鏡が真っ白に曇ってしまい、真夏の暑さが襲ってきた。うー、あぢーよー。
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河口湖の有料橋、河口湖大橋をわざわざ回り道して記念に渡ってみる。ここでも自転車はたったの10円だから記念の通行券がほしい私にはもってこいだ。橋を渡りきった辺りの店で今年初のかき氷をいただく。一番かき氷らしいイチゴだ。
富士山が一番きれいに見えると評判の忍野村をまわってみたが、予想に反して何だかつまらない村だったな。それとも私の見方に問題が?なのでとっとと通過。 -
山中湖へ来たけど、特にここが見所ってところも分からないので取りあえず一周してみる。うーん、やっぱり事前の観光地の勉強不足はちょっと勿体ないかもね。観光地に来たんだから缶ビールを飲んで、ちょっとだけ観光気分を味わっておく。
5時半を過ぎ、まだ早めだけど夕飯を食べておく。こっからまたひと山越すので、食べられる所で食べておかないと泣きを見る。今回は定食のAランチ。
薄暗くなってきたところで山中湖を出発。道ばたにガラガラのキャンプ場があったので、ここは泊まれるんかなーと入り口で自転車を止めて考えていると、向こうからおばちゃんが「だめだよーっ」と大きく手を振っている。今はやってないのかな?まぁどうしても泊まりたいのじゃないから、どっちでもいんですけどね。
ライトをつけてすっかり暗くなった篭坂峠を越えていく。うんこらトロトロ走っていく脇を自衛隊のトラックが何台も追い越していく。トラックの荷台の若い自衛隊員がときどき手で挨拶をしてくれてるよ。彼らは今夜の寝床が決まってていいなーと羨ましく思う。そう言えば富士山の付近には大規模な演習場があるんだったな。このへんに自衛隊の基地もあるんだろう。
この辺りを走っていると、前にも経験した所謂(いわゆる)ランナーズ・ハイ状態になってきて山の中なのにビュンビュンとスピードを出してもまったく疲れを感じなくなってきた。朝から夜まで走っているとなるのかも知れない。こういうのは有りがたいのか危険なのか知識がないので分からないけど、元気なのは良いことだ。
暗い中を走っていると泊まるのに手頃な所がないかと辺りをキョロキョロ見回しながら走るのが習慣だ。道路脇には特にこれといった野宿ポイントも見つからないまま御殿場市に入ってしまう。町の中で泊まれる所と言ったら駅だろう。御殿場駅に行って暫く状況判断に努めるが、どうも雰囲気がいまいちだなー。駅はあきらめて御殿場インターに行ってみる。御殿場インターは明日越える乙女峠の手前にあるので都合がいい。 -
御殿場インターには高速バスのためのバス停もあったが、今夜は雨の心配はなさそうなのでインターの中にある芝生の上に決定。堅いベンチより芝生の方が良く寝られそうだから。おまけに芝生の回りには低い植栽もあるので目隠しになって調度いい。今夜はここでお休みなさいだ。
写真は泊まった芝生の上ですが、翌朝のものです。
自転車の旅 富士五湖・箱根(後編)へ続く
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