2022/02/23 - 2022/02/23
33位(同エリア4564件中)
noelさん
上野の国立博物館で開催されているポンペイ特別展を観に行きました。
ナポリ国立考古学博物館に所蔵されている150点が展示されました。
2014年に実際にポンペイで遺跡は見ていますが、残念ながらナポリ国立考古学博物館には行っていません。
今回の企画展は、主にナポリはじめ近隣の博物館に所蔵している彫刻や壁画等を見ることができました。
なお、表紙の写真の左下は、酒の神バックス(バッカス)(ディオニソス)とヴェスヴィオ山です。大噴火直前のヴェスヴィオ山が描かれたフレスコ画です。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 交通
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
-
2022年1月14日から4月3日まで、上野の国立博物館で開催されています。
ポンペイは東西1600m、南北800mほどの中規模の都市で、東西に2本、南北に1本の通りが走っていました、
人口は1万人ほどであったと推定されています。
古代ローマの都市生活に欠かせなかったのが、街のインフラと公共施設でした。
ポンペイの街にも、フォルム(中央広場)、劇場、円形闘技場、浴場、運動場といった公共施設があり、人々で賑わっていた様子がフレスコ画に描かれています。
水道も整備され、街中に散在する水汲み場や公共浴場、富裕者の住宅へ上水が供給されていました。街の中心部には神々を祀る神殿があり、公的な祭儀が執り行なわれました。 -
女性犠牲者の石膏像
79年/1875年 石膏 -
左 凝灰岩にはまり込んだ片手鍋
79年
ブロンズ、凝灰岩
右 遺物が塊になったもの
79年
ブロンズ、火山礫
いずれもナポリ国立考古学博物館 -
フォルムの日常風景
ポンペイ「ユリア・フェリクスの家」
アトリウム出土
69-79年
フレスコ
アトリウムの壁面を飾った壁画の一部です。
フォルムの列柱廊で営まれた様々な活動を描写し、当時の活気がうかがえます。
ここでは左手に布の販売、右手には金属製の大皿を販売する場面が描写されています。
フォルムは都市活動の中心地です。
東西と南の三方建ての列柱廊が巡る広場で、南側に市庁舎ーなどの行政施設が並んでます。
南西にあるバシリカは多目的ホールで、裁判や商取引の場でした。列柱廊の北側には肉や穀物と乾燥野菜の市場がありましたが、他にも至るところに露店が開かれて賑わっていました。
帝政期には、皇帝崇拝にかかわる神殿や記念門、皇族一族の肖像がいくつも建てられ、ローマ皇帝の威光が随所に強く感じられます。 -
アウグストゥスの胸像
エルコラーノ出土
後期アウグストゥス時代~ティベリウス時代(1~37年)
ブロンズ -
左 香油壺
1世紀 ブロンズ
右 ストリギリス(肌かき器)
1世紀 ブロンズ -
ライオン頭部形の吐水口
エルコラーノ「パピルス荘」出土
ブロンズ 土製 -
水道のバルブ
1世紀 ブロンズ
銅は古代においてきわめて重要な金属資源でした。
特に銅と錫の合金であるブロンズ(青銅)は、古代世界において最もよく用いられた金属でした。
この展覧会でも彫像、食器、燭台、火鉢など多くのブロンズ製品が、展示されています。
街の公共施設では、水道の止水栓や吐水口などにブロンズ製の7部品が利用されています。
また、市民たちが使ったコインもブロンズやブラス(黄銅)が一般的でした。 -
擬アルカイック様式のアポロ
ポンペイ「メナンドロス家」ペリステュリウムの出土
前1世紀後半 大理石
ポンペイでは多くの神々が祀られていました。
特にアポロ神殿、ミネルウァとヘラクレスの神殿は古くから存在していました。
ポンペイがローマに属するようになると、フォルム北側のユピテル神殿はユノとミネルウァも一緒に祀るよう改築され、新たに街の守護神となった女神ウェヌスの神殿も建てられました。エジプトのイシスも信仰を集めた神で、その密議は私的性格が強かったことで知られています。 -
日時計
1世紀 大理石 -
食卓のヘラクレス
ポンペイ、ポッターロ地区の別荘出土
前1世紀 ブロンズ -
ミネルウァ小像
ポンペイ、竪琴奏者の家、エクセドラ出土
1世紀 ブロンズ -
左 三美神
ポンペイ「ティトゥス・デンタティウス・パンテラの家」、タブリヌム出土、南壁
前15~後50年 フレスコ
右 ウェヌス
エルコラーノ「モザイクのアトリウムの家」エクセドラ出土
50~79年 フレスコ -
上 イシス神官とハルポクラテス
ポンペイ、イシス神殿 東の列柱廊出土 中央
62~79年 フレスコ
中 イシス神官
ポンペイ、イシス神殿 東の列柱廊出土 南側
62~79年 フレスコ
下 パピルスの巻物を待つイシス神官
ポンペイ、イシス神殿 北の列柱廊出土 東側
62~79年 フレスコ
※ ハルポクラテスとは、古代エジプトの神、ホルス神のことです。
古代ギリシャ、ローマ時代に、このホルス神の幼名をハルポクラテスと呼びました。
ちなみにホルス神はオシリス神とイシス神の子どもです。 -
シストルム
1世紀 ブロンズ
シストルムとは、古代の楽器の一種です。
古代エジプトにもありました。
ハトホル女神を信仰する宗教儀式において、楽器のシストラムとメナトが用いられていました。 -
ライオン形3本脚付きモザイク天板テーブル
エルコラーノ出土
モザイク 脚部 前1~後1世紀
テーブルとして再構成 18~19世紀 -
ぶどう摘みを表した小アンフォラ(青の壺)
1世紀前半 カメオ・ガラス -
ポリュクレイトス「槍を持つ人」
ポンペイ、サムニウム人のパラエストラ出土
運動場から出土
前1~後1世紀(オリジナルは前450~前440年)
古代ギリシャ究極の身体美
カッラーラ大理石 -
左 俳優(悲劇の若者)
右 俳優(女性役 おそらく遊女)
いずれも、ポンペイ、「カロリーナ妃の家」庭園出土 1世紀後半 土製 -
辻音楽師
ポンペイ、「キケロ荘」エクセドラ出土
前1世紀 モザイク -
円形闘技場での乱闘
ポンペイ、「円形闘技場での乱闘の家」、ペリステュリウム出土、西壁
59-79年 フレスコ -
ビキニのウェヌス
「ビキニのウェヌスの家」アトリウム出土
前1-後1世紀
大理石(彩色・金彩の痕跡あり)
目:練りガラス -
パレードの兜
ポンペイ、大劇場の回廊出土
1世紀 ブロンズ
剣闘士が着用して、円形闘技場での試合の際に使用 -
ユピテルとネプトゥヌスを表した脛当て
大劇場の回廊出土
1世紀 ブロンズ -
ヘラクレスを表した肩当て
大劇場の回廊出土
1世紀 ブロンズ
剣闘士にはいくつもの種類があり、その役割に基づいて武器や防具がある程度決まっていました。 -
上左
浮彫付きグラス
1世紀 ガラス
上右
千華文ガラス杯
1世紀 多色の帯ガラス
下左
金のランプ
ウェヌス神殿出土
ユリウス・クラウディウス朝時代(62-64年)
金(打ち出しと彫り)
下右
青い水差し
1世紀 ガラス -
黒曜石の杯
スタビア「サン・マルコ荘」冷浴室(フリギダリウム)出土
前1世紀
黒曜石、サンゴ、ラピスラズリ、孔雀石、金(象嵌) -
左上
萼形クラテル
前1から後1世紀 ブロンズ
左下
女性頭部形オイノコエ
1世紀
ブロンズ、銅、銀(象嵌)
右
燭台
1世紀 ブロンズ -
饗宴場面
「ラオコーンの家」寝室出土 北壁
フレスコ -
ヘタイラ(遊女)のいる饗宴
エルコラーノ出土
1世紀 フレスコ -
マケドニアの王子と哲学者
ボスコレアーレ「プブリウス・ファンニウス・シュニストル荘」出土
オエクス出土 西壁
前60-前40年頃
フレスコ -
哲学者たち
前1世紀 モザイク
政治的地位や金銭的な富裕さだけでなく、ギリシャ文化に関する教養もまた上流階級の証でした。住居の中に家父長とその妻の肖像が、時に筆記用具やパピルスの巻物とともに表されていたり、トロイア戦争の物語の壁画が描かれていたりするのは、その家の住人が知的な文筆活動に勤しみ、古典に通じた教養人であることを、訪問者に印象づけるという意味もあったようです。 -
エピクロスの胸像
エルコラーノ「パピルス荘」タブリヌム出土
前1から後1世紀 ブロンズ -
筆記用具
1世紀 フレスコ -
蓋と鎖付きインク壺
1世紀 ブロンズ -
エウマキア像
「エウマキアの建物」クリュプタ出土
1世紀初頭 大理石 -
マトローナ(既婚女性)
「無名マトローナの家」タブリヌム出土
1世紀 モザイク
家父長制のローマと同様、ポンペイでも女性の地位は高くありませんでしたが、家の女主人であるマトローナ(既婚女性)は、敬意をもって遇されました。
女性としての最高の名誉は、市の公的神官になることでした。
フォルム東側に巨大な回廊を建造し、毛織物業者から肖像を捧げられたエウマキアがこれにあたります。
一方、ユリア・フェリクスは、出自が低かったためか、公的地位には就きませんでしたが、実業家として活躍しました。62年の震災後には、大邸宅を改築し、借家業と浴場経営を始めました。 -
賃貸広告文
「ユリア・フェリクスの家」出土
アッボンダッツァ通りに面する北側外壁
62-79年 ストゥッコ -
ワニとカモ
「ユリア・フェリクスの家」トリクリニウム出土、東壁、扉口の南側
62-79年 フレスコ -
左
ヘルマ柱型肖像(ルキウス・カエキリウス・ユクンドゥスのヘルマ柱)
前1-後1世紀
大理石、ブロンズ
右上の左
三美神のカメオ
前1-後1世紀 アゲート・オニキス(彫玉)
右上の中
海獣女神のカメオ
イラーチェの農園の街から南西区域出土
右上の右
エメラルドと真珠母貝のネックレス
ボッターロ地区、ヴァリアンテ農園出土
前1-後1世紀
金(鋳造、圧延、フィリグリー)、真珠母貝、エメラルド
右中の左
半球を繋いだブレスレット
ヴェスヴィオ山周辺出土か
前1-後1世紀 金(鋳造)
右中の中
エメラルドの眼のヘビ形ブレスレット
ヴェスヴィオ山周辺出土か
前1-後1世紀 金(鋳造)、エメラルド
右中の右
淡水真珠のイヤリング
前1-後1世紀 金(鋳造)、ローレット、真珠
右下の左
双頭のヘビ形指輪
前1-後1世紀 金(鋳造)
右下の中
石付き指輪
ヴェスヴィオ山周辺出土か
前1-後1世紀 金(鋳造)、オニキス
右下の右
半球を繋いだブレスレット
ヴェスヴィオ山周辺出土か
前1-後1世紀 金(鋳造) -
書字板と尖筆を持つ女性(通称「サッフォー」)
50-79年 フレスコ
古代ギリシャ人の詩人で、知的な印象が表されています。 -
テセウスとアリアドネ
「ルキウス・カエキリウス・ユクンドゥスの家」、トリクリニウム出土、東壁
前15-後50年 フレスコ
奴隷は主人の遺言などの意思により、あるいは金を支払い、奴隷身分から解放されました。解放奴隷は自由民ではあるももの、元主人の保護化にあり、高位公職には就けず、最高の栄達は皇帝祭司になることでした。
しかし解放されてから生まれた子には、十全の市民権が与えられました。
解放奴隷のルキウス・カエキリウス・フェリクスと、おそらくその息子のユクンドゥスは、銀行業を営み、富裕層と呼べるまでに社会的な上昇を果たしたことで知られています。 -
ヘルマフロディトスとシレノス
「ルキウス・カエキリウス・ユクンドゥスの家」部屋出土、北壁、中央部分
50-79年 フレスコ -
「ルキウス・カエキリウス・ユクンドゥスの家」出土の書字板(レプリカ)
「ルキウス・カエキリウス・ユクンドゥスの家」出土
原品は57年 木、蠟(陰刻) -
金庫
「トリプレモスの家」アトリウム出土
1世紀
箱:木、上張り:鉄、ブロンズ
(銅・ブロンズ・錫の象嵌細工) -
職人仕事をするクピドたち
エルコラーノ「シカの家」、クリュプトボルティクス出土
50-79年 フレスコ -
左
膣鏡
中
薬箱
左
外科器具入れ
医療器具はブロンズ製で、総じて作りは良好です。街に医師がいて、様々な傷病に応じていたことがわかります。
当時の医療水準の高さがうかがえます。 -
左
コンパス
中
曲尺
左
下げ振り
全てブロンズ -
左
青色顔料の入ったテラコッタ容器
右
赤色顔料(酸化鉄)の入った容器
1世紀 土器 顔料 -
ユピテル・アンモン形の錘付き竿秤
1世紀 ブロンズ -
錘部分を拡大しました。
-
石工の道具
左
鑿(のみ)
中
金槌付き手斧
右
金槌
全て1世紀 鉄 -
農具
左
鍬
中
三日月鎌
右
熊手
全て1世紀 鉄 -
アッポンタッツァ通り
-
炭化した食物
奥
パン
左
イチジク
中
干し葡萄
右
キビ -
テーブル天板(通称「メメント・モリ」)
革なめし工房、列柱廊の夏用トリクリニウム出土
前1世紀 モザイク
メメント・モリとは、死を忘れるなという意味です。
ローマ社会は、どの社会階層の者にも死が平等に訪れることを、強く意識していました。
死を示す髑髏の左側には富と権力の表象が、右側には貧困の表象が配されていました。
死と隣り合わせ、だから今楽しもう。
古代ローマの人生観が表されています。 -
奴隷の拘束具
大劇場の回廊出土
1世紀 鉄
自由民として生まれた男児は、これを生後9日から青年期の終わりまで身につけてました。中には男根を表象する魔除けを入れます。貴族階級や富裕な家族の子どもたちは金や銀で作られることもありました。 -
上
左
デナリウス銀貨(アウグストゥス/マルス)
左から2番目
アウレウス金貨/山羊座
左から3番目
(デナリウス銀貨/ウェスタ神殿)
右
デナリウス銀貨
(アウグストゥス/トロパエウム)
下
ブッラ(お守り入れ)
エルコラーノ出土
前1-後1世紀 金(鋳造) -
ワイン用のアンフォラ
ヴェスヴィオ山周で出土
1世紀後半 土器
ポンペイの住民は製造業、建設業、小売や飲食業、サービス業など、様々な職業に従事していました。街全体で600以上の店や工房が発掘されています。
露店商や行商人、肉体労働者もたくさんおり、大工道具、壁画家の道具、医療器具などの専門的な職種に関連する道具も見つかっています。
街にはパン屋や、テイクアウト可能な料理屋があり、人々は出先で手軽に食事をとることができました。裕福な家には台所があり、料理人たちが調理し豪華な食事を供しました。
農産物や水産物の加工も盛んで、ポンペイ産のワインやオリーブ油、ガルム(魚醤)が各地に輸出されました。 -
調理具と食器類
上左
瓶とケース
1世紀 ガラス 土器
上右
南ガリア製の陶器(テッラ・シジッラータ)の杯
1世紀 土器
中左
目玉焼き器、あるいは丸パン焼き器
ヴェスヴィオ山周辺出土
1世紀 ブロンズ
中右
アヒルのケーキ型
1世紀 ブロンズ
下左
子ブタ形の錘
1世紀 ブロンズ
下右
仮面のあるパテラ
1世紀 ブロンズ
富裕層とそれ以外の社会層では食事に大きな差がありました。
富裕層の家には台所があり、奴隷が調理し、折りにふれて客人を招待し、饗宴が開かれました。
招待客は友人のこともあれば、庇護民(クリエンテス)のこともありました。食堂(トリクリニウム)に配された臥台に寝そべり、奴隷たちの給仕でワイン飲みながら、手掴みでコース料理を楽しみました。
ただ、多くの一般家庭には台所がなく、簡単なものか外食に頼っていました。 -
上
果物のある静物
エルコラーノ「シカの家」クリュプトボルティクス出土
50-79年 フレスコ
下左
パンのある静物
50-79年 フレスコ
下右
雄鶏とカボチャ
「ユリア・フェリクスの家」タブリヌム出土
62-79年 フレスコ -
パン屋の店先
タブリヌム出土、西壁
50-79年 フレスコ
炭化したパンも出土していますが、写真を撮り損ないました。
この絵には、2000年前の街角の一場面が描かれています。
現在とさほど変わっていない光景です。 -
ポンペイが都市として大きく発展したのは、前2世紀のサムニウム人の時代でした。
東地中海世界との交流が活発になり、ポンペイにもヘレニズム文化が根付きました。
前1世紀にローマが台頭すると、ポンペイは前80年にローマの植民地となりました。
以後、ポンペイの社会や文化は、ローマ化の波に洗われていきます。
「ファウヌスの家」「竪琴奏者の家」「悲劇詩人の家」の出土品は、ポンペイの重層的な歴史を伝えています。「ファウヌスの家」は前2世紀にさかのぼる古い邸宅で、ヘレニズム美術屈指のモザイク装飾が残っています。「竪琴奏者の家」ではローマ文化が黄金期を迎えた頃のフレスコ画、「悲劇詩人の家」では噴火直前に描かれたフレスコ画が知られています。
なお、ポンペイの家々の呼称は、その家の特徴的な出土品に由来して名づけられていることが多いです。 -
「ファウヌスの家」はポンペイで最大の邸宅です。
前2世紀末から前1世紀初頭の改築から大きな手は加わっておらず、ローマ化以前のポンペイの豊かさを現代に伝えています。立派な玄関を入ると、トスカナ式アトリウムが続きます。壁面の多くはストゥッコ(化粧漆喰)によって立体的に装飾され、いくつもの部屋の床がオプス・ウェルミクラトゥムと呼ばれるヘレニズム美術の粋極めた細密技法のモザイクで飾られていました。中でも「アレクサンドロス大王のモザイク」が有名です。 -
猛犬注意
1世紀 モザイク
家の玄関に敷かれたモザイクです。
番犬がいることを、注意喚起してます。
これは、同時に防犯にもなります。 -
アレクサンドロス大王のモザイク
「ファウヌスの家」の談話室(エクセドラ)のモザイク床。
アレクサンドロス大王がアケメネス朝ペルシャのダレイオス3世を敗走させた場面を描いています。
縦3m、横6m近い大画面ですが、緻密に描かれています。
前4世紀末に画家フィロクセノスが描いた絵画をもとに制作されたようです。
様々な色の微細なテッセラ(加工した石や色ガラスの小片)を、モルタルの上に敷き詰めた大作です。
製作には数年を要したと思われています。 -
アレクサンドロス大王の部分をズームしました。
このように石やガラスの小片を敷き詰め、幾何学模様や具体的な図像を描くモザイクは、古代ローマの裕福な家の床は、見事なモザイクで装飾されていました。
特に、極小サイズの石片を用いるオプス・ウェルミクラトゥムと呼ばれる技法で描かれた高精細のモザイク画は、部屋の中央に配されるなど、床装飾のアクセントとなっていました。大理石や色石の板を、文様や絵の図案に合わせて加工して組み合わせるオスキ・セクティレと呼ばれるモザイクも、裕福な家の床によく見られます。 -
短灯ランプ
「ファウヌスの家」出土
1世紀 ブロンズ -
湯沸かし器
「ファウヌスの家」出土
1世紀 ブロンズ 鉄 -
左
シトゥラ(バケツ)
1世紀 ブロンズ
右
小アンフォラ
1世紀 土器 -
左
三葉形注口水差し
「ファウヌスの家」出土
1世紀 ブロンズ
中
貝殻形カップ
「ファウヌスの家」出土
前1世紀 ブロンズ
右
イタリア製テッラ・シジッラータの皿
「ファウヌスの家」出土
60-79年 土器 -
左
両把手付きオッラ(鍋)
1世紀 土器
右
カッカブス(深鍋)
1世紀 土器 -
左
単把手付きガルム(魚醤)用小アンフォラ
1世紀 土器
右
料理保湿器
「ファウヌスの家」出土
前1-後1世紀 ブロンズ -
犬とイノシシ、ヘビ形噴水
「竪琴奏者の家」、ペリステュリウム出土
1世紀 ブロンズ
「竪琴奏者の家」は、前2世紀にさかのぼる家で、前1世紀に増改築が重ねられ、ポンペイでも屈指の大邸宅となりました。
ポンペイでも指折りの有力な家族だったポピディウス家が所有したと考えられます。中庭(ペリステュリウム)の一つにはイオニア式円柱が巡り、庭の中央には細長い人工の池と、ブロンズの動物像飾られた噴水がありました。軒下には吊り飾り(オスキルム)が下がっていました。北東の談話室(エクセドラ)からは、飛び散る水の飛沫と風に揺れるオスキルムを眺めることができました。 -
踊るファウヌス
「ファウヌスの家」、アトリウム出土
前2世紀 ブロンズ
広間で発見されました。
躍動感が上手に表現されいます。 -
スフィンクスのテーブル脚
「ファウヌスの家」、第2ペリステュリウム出土
アウグストゥス時代(前27-後14年頃)
ペンテリコン大理石 -
オスキ語の銘文のある小祭壇
「ファウヌスの家」、アトリウム出土
1世紀 トラバーチン
イタリアの古い女神であるフルサイへの奉納碑文が、オスキ語で刻まれています。
オスキ語は、ローマ化以前のポンペイで使用されていた言語です。
社会生活や文化がローマ化する中で、古い文化的伝統を示す祭壇も残されていました。 -
左上
鎖
「ファウヌスの家」出土
前1-後1世紀 金(鋳造、ローレット)
右上
指輪「ファウヌスの家」出土
左 前1-後1世紀 金(鋳造 陰刻)
右 前2-前1世紀 金(鋳造)、ザクロ石(陰刻)
下左
ヘビ形ブレスレット
前1-後1世紀 金(鋳造、打ち出し、陰刻)
笛
「ファウヌスの家」アトリウム出土
1世紀 ブロンズ -
イセエビとタコの戦い
「ファウヌスの家」トリクリニウム出土
前2世紀末 モザイク -
ねことカモ
「ファウヌスの家」、アラ出土
前1世紀 モザイク -
葉綱悲劇の仮面
「ファウヌスの家」、ファウケス敷居出土
前2世紀末 モザイク -
ナイル川風景
「ファウヌスの家」、エクセドラの敷居、中央の柱間出土
前2世紀末 モザイク -
左
シカ
「竪琴奏者の家」ペリステュリウム出土
1世紀 ブロンズ
右
ライオン
「竪琴奏者の家」ペリステュリウム出土
1世紀 ブロンズ -
左
ペルタ(小楯)型オスキルム(吊り飾り)
左上
割れていますが、シレノスの仮面の横顔で、右側に酒の神バックス(バッカス)の使いが持つ杖を、左側にタンバリンが表されています。
そして反対側には向かい合って泳ぐ2頭のイルカの装飾があります。
左下
頭を後ろに向けたカモと、ブドウの実が見えます。反対側には果物を満載した籠が表されています。住宅の中庭(ペリステュリウム)に吊り飾り(オスキルム)を飾るのは、戦利品の金属盾を神殿の梁に吊りしたギリシャの慣習に由来しています。
右
サテュロスのオスキルム(吊り飾り)
「竪琴奏者の家」ペリステュリウム出土
サテュロスが岩に上り、秘儀の祭具入れの中からヘビが出てきています。反対面では、岩に寄りかかったサテュロスが、豊穣の神プリアプスのヘルマ柱の前で二管笛を吹いています。
全て1世紀 大理石 -
円形火鉢
「竪琴奏者の家」エクセドラ出土
1世紀 ブロンズ
持ち運び可能な青銅製円形火鉢です。近年79年のヴェスヴィオ山の噴火は、従来言われていた8月ではなく10月末とする説が唱えられていますが、こうした寒い時期に活躍する火鉢が使われていた状況も、根拠の1つになっています。 -
男性胸像
「竪琴奏者の家」アラ出土
前1世紀末から後1世紀初頭
ブロンズ、目:練りガラス -
女性胸像
「竪琴奏者の家」アラ出土
クラウディウス時代(41-54年)
ブロンズ、目:練りガラス -
竪琴を弾くアポロ
「竪琴奏者の家」ペリステュリウム出土
前1世紀後半 ブロンズ
左手に竪琴を持ち、右手にピック持つアポロ姿が表現されています。
この像にちなんで、出土地の邸宅が「竪琴奏者の家」と呼ばれています。 -
詩人
「竪琴奏者の家」エクセドラ出土、南壁
50-79年 フレスコ -
祭壇
「竪琴奏者の家」ペリステュリウム出土
1世紀 大理石 -
家の模型
1861年
木、コルク、テンペラ -
CAVE CANEM 猛犬注意と書かれた犬のモザイクが、展示コース内に描かれています。
-
最先端の映像で、体感できます。
-
ユピテルとユノの聖婚
「悲劇詩人の家」アトリウム出土 南壁、東の区画
50-79年 フレスコ
ユピテル(ゼウス)とユノ(ヘラ)の聖なる婚姻(ヒエロス・ガモス)が描かれています。神々の婚姻には象徴的な意味が見出され、ギリシャやローマ各地で儀式が行われていました。 -
ブリセイスの引き渡し
「悲劇詩人の家」アトリウム出土、東壁、南の区画
50-79年 フレスコ
ホメロスの叙事詩にあるトロイア戦争の一場面です。
ギリシャの英雄アキレウスは、褒美として与えられて美女ブリセイスを、ミュケナイ王のアガメムノンに差し出すことを強いられています。腹を立てたアキレウスは、戦線に加わらず、ギリシャは苦戦しました。 -
ヘレネの略奪(あるいはクリュセイスの帰還)
「悲劇詩人の家」アトリウム出土、南壁、西の区画
50-79年 フレスコ
トロイアの王子パリスがスパルタの王妃へレネを連れて帰る場面です。あるいは、アガメムノンのもとから去るクリュセイスを描いています。
前者はトロイア戦争の発端となる出来事です。
後者も物語の展開を左右する人間模様の一端です。 -
イフィゲネイアの犠牲
「悲劇詩人の家」ペリステュリウム、東の列柱廊出土、北壁
50-79年 フレスコ -
ペプロスを着た女性(通称「踊り子」)
エルコラーノ「パピルス荘」、大ペリステュリウム出土
アウグストゥス時代(前27年から後14年)
ブロンズ(象嵌、目、骨、石)
「パピルス荘」の大きな中庭(ペリステュリウム)から見つかった5体の女性像の一つです。これらは一組の群像であったことは確実なようです。
ローマ時代の上水道守護する女神と考えられてます。
1709年、エルコラーノで井戸を掘っていた農夫が大理石の円柱を発見しました。オーストリア軍大佐のデルブーフ公は、その土地を買い取り、古代の劇場に関わる大理石像や建築装飾を発見しました。1735年、ナポリ王となったスペイン王のカルロス3世(ナポリ王としてはカルロ)が発掘を再開しましたが、ポンペイよりもずっと硬い溶岩にはるかに厚く覆われた土地の発掘は容易ではなく、現在でもまだ街の4分1程度が明らかにされたに過ぎません。 -
パピルス荘は、エルコラーノ(ヘルクラネウム)の街のすぐ外に位置し、1750年という極めて早い時期に発掘が開始されました。
遺跡は海岸線に沿って250m以上にわたって伸び、総面積は約20,000㎡という桁外れの規模を誇っています。壁画の様式から、建設されたのは前40年頃だったとされています。
これまでに約1100巻ものパピルスの巻物と、大量のブロンズ像を含む90体を超える素晴らしい彫像群が発見され、この別荘の所有者がギリシャの哲学や歴史に関し造詣が深かったことがわかります。 -
ヒョウを抱くバックス(バッカス)(ディオニソス)
ソンマ・ヴェスヴィアーナ、「アウグストゥス荘」、大ホールの床面出土
前27-後14年頃
パロス大理石
ノーラ歴史考古学博物館 -
ソンマ・ヴェスヴィアーナは、1931年にヴェスヴィオ山の北ふもとでローマ時代の遺跡が発見され、翌年には高さ8mにも達するアーチの一部が見つかりました。
しかしポンペイの発掘が優先され、遺跡は再び埋め戻されました。2002年にこの発掘を再開したのが、東京大学ソンマ・ヴェスヴィアーナ発掘調査団でした。現在までにヴェスヴィオ山に向かってあ3つの扉口がある大広間「バックス」「ペプロフォロス」をはじめとした大理石彫刻など、目覚ましい発掘成果を上げています。
この遺跡は2-3世紀初頭に建てられた建造物で、別荘なのか、宗教や同業者組合の施設なのか、未だに結論は出ていません。
現在の時点ではワインの醸造などに使用されていたことがわかっています。
同遺跡の発掘から得られるデータは、ヴェスヴィオ山の北麓地域で古代末期に営まれていた人々の活動を物語る貴重なものです。
帝政初期にさかのぼる遺構もし始めており、今後の調査結果が期待されています。 -
ペプロスを着た女性(ペプロフォロス)
ソンマ・ヴェスヴィアーナ「アウグストゥス荘」、大ホール西壁の左ニッチ出土
2世紀 パロス大理石
ノーラ歴史考古学博物館 -
左、右
キケロ荘
キケロ荘はエルコラーノに向かう道沿いに位置し、ポンペイで最初に発掘された建築物の一つです。
本展覧会では、発掘日誌の再検討、既知の断片を再整理した成果から、饗宴を行った大をトリクリニウム(食堂)の壁画を初めて実物大で復元して示しています。
なお、設計はロザリア・チャルディエッロ、制作はルチアーノ・ペディチーニとマルコ・ペディチーニによるものです。
この壁画装飾は、富裕なポンペイ市民の私生活における贅沢さを示しています。
これまでに復元された要素から非常にはっきりと、その並外れた住宅構造と、豊かで豪奢な装飾が浮かび上がります。
右
燭台
「キケロ荘」、トリクリニウム/オエクス出土
前15-後50年 フレスコ -
綱渡りのサテュロス
「キケロ荘」、トリクリニウム/オエクス出土
前15-後50年 フレスコ -
NHKアーカイブスでも詳しく見られます。
ポンペイの発掘で、これからも新たな事実が判明することでしょう。
最後に、2014年に私が行ったポンペイ旅行記は下記のアドレスへどうぞ
↓
https://4travel.jp/travelogue/10932013
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この旅行記へのコメント (7)
-
- luceさん 2022/05/15 16:51:32
- お尋ねします
- いつもお引き立ていただき、ありがとうございます。
ポンペイ展の旅行記を拝見いたしました。素晴らしい展示だったことがわかりました。
そこで1点質問、よろしいでしょうか?
アレクサンダー大王のモザイクは、世界史の教科書にも載っている有名すぎるナポリ考古博物館の作品が出展されているのでしょうか?
トーハクでの展示は予定が合わず見逃しましたが、展覧会自体は全国巡回中ですので、
もしナポリの作品が来ているなら地方まで見に行っても損はないと思いました。
お手隙の時で結構ですので、ご教示いただけると幸いです。
よろしくお願いいたします。
- noelさん からの返信 2022/05/15 18:52:04
- Re: お尋ねします
- luceさん
私の方こそ、いつもありがとうございます。
ところで、アレクサンダー大王のモザイクの件ですが、確かに世界史の教科書に載っているナポリ考古学博物館のものではありますが、残念ながら本物ではありません。
本物そのものではありませんが、8Kの映像による展示となっています。
大画面で見られる点が利点ですが、モザイク画ではありません。
やはり有名なモザイク画ですから、本物を見たいですよね。
参考になれば嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします。
noel
- luceさん からの返信 2022/05/16 09:31:53
- RE: Re: お尋ねします
- noelさん、早々にご回答をいただき、ありがとうございます。
なんと、映像だったとは! 想像の上をいってました。さすがの技術ですね。
参考になりました。
今後とも、よろしくお願いいたします。
-
- ジョゼッペさん 2022/05/04 00:25:44
- ポンペイ懐かしい思い出
- noelさん、こんばんは!
どうもジョゼッペです!
ポンペイ展の旅行記、色々と興味深く拝見させていただきました!
今から20年ほど前にポンペイ遺跡を訪問しましたが、当時は時間の関係でざっと遺跡だけを見学しただけで、あまり出土品などを目にする機会がなかったので、とても参考になりました。
また、実際にnoelさんがポンペイを訪問された旅行記も拝見しましたが、実際にご自身が訪問したことのある場所の展示会などが日本で開催されるとなると、何となく親近感が湧きますよね!
ではまた、旅行記を拝見しに訪問させていただきます!
ジョゼッペ
- noelさん からの返信 2022/05/04 16:35:49
- RE: ポンペイ懐かしい思い出
- ジョゼッペさん、こんにちは
私の旅行記をご覧いただき、ありがとうございました。
ジョゼッペさんもポンペイに、行かれたんですね。
実際に旅行しても、スケジュールの都合などで、なかなかじっくり見るのは難しいかと思います。
私自身、まだまだ見たりないと思っています。
最近の発掘で、新たに出土したものもありますし。
> また、実際にnoelさんがポンペイを訪問された旅行記も拝見しましたが、実際にご自身が訪問したことのある場所の展示会などが日本で開催されるとなると、何となく親近感が湧きますよね!
確かにそうですね。
展示会もそうですが、テレビで放映していると、気になって見てしまいます。
私もジョゼッペさんの旅行記を拝見させていただきますね。
今後ともよろしくお願いします。
noel
-
- noelさん 2022/03/21 15:44:12
- ありがとうございます
- たらよろさん、こんにちは
いつもありがとうございます。
しっかりご覧いただき、重ねてお礼申し上げます。
たらよろさんの旅行記も、いつも美味しそうで羨ましいものが盛りだくさんなので、
楽しませていただいてます。
いつか再び海外に行ける日がきたら、どうぞ一度足を運ばれてみてくだだいね。
早くそんな日が来るといいですね。
今後ともよろしくお願いします。
noel
-
- たらよろさん 2022/03/21 13:17:53
- 思いっきり楽しませていただきましたー。
- こんにちは、noelさん
ポンペイ展、行ってみたいなぁーって思っていたんだけれど、
なかなか日程が取れず。
そこで、こうしてたくさん見せて頂けて本当に嬉しい~。
たくさん、ポンペイでの遺跡っていうか、
どのようなものが出土されていたのか、
人々の暮らしぶりとかもよくわかって楽しませてもらいました。
ありがとうございます。
実際に間近でみられたことがあるnoelさんなら
より一層この展示会が楽しかったでしょうね。
いつか、本当にポンペイの街に行ってみたいです。
たらよろ
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