2021/11/14 - 2021/11/14
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アルデバランさん
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秋の観能記録はまだまだ続きますが、能楽堂シリーズはこれがラスト。
ラストは私が大好きな矢来能楽堂!
今回のお目当ての演目はお能ではなくお狂言1曲のみでしたが、矢来能楽堂に行く機会もなかなかないので、今回は矢来能楽堂という空間自体をご紹介。
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矢来能楽堂は公式HPによると最寄り駅は
東京メトロ東西線「神楽坂」駅 2番出口(矢来口)より徒歩2分
都営地下鉄大江戸線「牛込神楽坂」駅 A1出口より徒歩5分
JR飯田橋駅から行くことも出来ますが、こちらは徒歩15分ほどかかるということで、
私はなぜか大江戸線好きなこともあり、牛込神楽坂からいつも行きます。
牛込神楽坂からは肉汁餃子ダンダダンのある通りを右折して、さらに坂を上りながら直進。
すると…どっかのタイミングで「矢来能楽堂こちら」的な看板が出てきますので左折するとすぐ見えます。
いい雰囲気ですねぇ、こちらは能楽最大流派である観世流、観世流は更に5つに枝分かれしていてその一つ九皐会の本拠地となります。 -
この程よく茂った植栽なんてとっても好みです。
お能の静謐さにとても合っていると思いますし、”お能を観に来た”という雰囲気を盛り立ててくれます。 -
今日は前から3列目…
毎回「しまった…」と思うのですが、私が好んでとる席は毎回舞台にある四本の柱向かって左2本のあたりの正面席が多いのですが、この辺りはシテ方(能の主役)や狂言方が舞台に登場した時に定着するポジションで、舞台を9つの枡に区切った時には常座と言われる場所のド正面。
シテ方や狂言方は毎回必ずというわけではありませんが、舞台左にかかっている橋掛かりを渡って舞台に登場すると、この常座で正面を向き「私はこれこれこういう者です」とその役の紹介=名乗りをするのが常なので、常座は名乗り座とも呼ばれるのだとか。
仕事でお世話になっている演者さんと…目が合っている気がする…
舞台を観に来たことはバレたくない…別に悪いことをしているわけではないのだが…
能楽堂に着く前、何なら数か月前にネットでチケットを買う時には、お能が見れることにただワクワクしているので、その座席が演者さんのド正面であることはすっかり頭にないわけですが、能楽堂に着いて座席に座って毎回「またやってしまった!」と思うわけです。
でも、こりゃぁバレているのでは?と思い、現場でお会いした時に舞台を観に行ったことをお話しするとビックリしていたので、全然気付いていないらしい。
確かに演能中の演者さんの目線をよくよくみると、お客さんの顔など見ていない。
とある演者さんは瞬き一つする・しないも気を付けているとのことだったので、こちらがドギマギしていたのはおそらく完全に杞憂。 -
矢来能楽堂の好きなところは、このこじんまりとした空間。
舞台がとにかく近く感じるので、非現実的なお能の雰囲気が目の前で行われていることに軽いトリップ感を覚えます。
このような空間では、「安宅」や「道成寺」など派手目な曲より、深い精神性を表した曲をじっくりじっくり味わうのがぴったりな気がします。
何を隠そう、私がプライベートで初めてお能を観たのがこの矢来能楽堂で、能「隅田川」という名曲を観ました。
「隅田川」は人さらいに子供をさらわれた女性が京都から旅をしながら探して探して、ついに東国の果て今の隅田川のあたりまでやって来る、隅田川を渡ろうと渡し守にお願いするも最初意地悪な渡し守に「面白く狂ってみせろ」と言われ、なんとか自分の身の上を話して船に乗せてもらう。
その道中で向こう岸から大念仏が聞こえてきて「あれは何の弔いか?」と聞くと、渡し守はちょうど1年前に亡くなったとある子供の話をはじめ…というとてつもなく悲しいお話なのです。
私がこの矢来能楽堂で初めて「隅田川」を観たときもすごく覚えているのは、渡し守に案内された子供のお墓から探しに探し続けた子供が「南無阿弥陀仏」と唱えながら亡霊の姿で現れたのを抱きしめようとするのですが、亡霊だからかするりと腕をぬけて行って抱きしめられない、というこの曲最大のクライマックスで隣の女性が泣いていたこと。
あの時はこんなにお能にどっぷりハマるとは夢にも思っていませんでしたが、最初のイメージ・経験というのはとても重要だと思うので、そう考えると最初の観能経験がこの矢来能楽堂での名曲「隅田川」だったことはなかなか良い経験だったなぁ。
矢来能楽堂は座席一つ一つに能の様々な曲の小謡プレートが。
私の座席の前には、能「柏崎」の謡の一節「西に向へば善光寺 生身の弥陀如来」。
柏崎という能はあまり演能されるイメージがないのですが、座席ごとにこうして小謡が書かれているのは何だか一種のおみくじみたいで、今日はどんな言葉かなぁ~と楽しみにするのも一興ですし、その謡や能を観てみたいという気持ちになります。
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