2021/11/19 - 2021/11/19
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たびたびさん
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江田島は、何といっても全国的な知名度のある海軍兵学校で有名です。海軍兵学校は明治9年から終戦の昭和20年まであった日本海軍の将校を養成する機関ですが、明治21年からは江田島に移転し、日露戦争でバルチック艦隊を撃破した日本海海戦参謀の秋山真之、太平洋戦争で真珠湾攻撃を成功させた山本五十六なども卒業生。戦前「江田島」といえば、それは海軍兵学校のことを意味していたというくらいですからね。
ただ、今回はそれが目的ではなくて、かきしま海道サイクリング。江田島を自転車で縦断してみようという試みです。ところで、計画をしてみると江田島ってそもそもどの範囲だったっけ?今回初めて気が付きましたが、江田島は能美島と陸続き。地図で見ると江田島は独立した島の姿にはなっていないんですね。それも江戸時代に埋め立てられてそうなったんだとか。そして、陸続きとなった江田島と能美島は合わせて、行政区としての江田島市。何となく、江田島とか能美島とか言ってましたけど、そういう関係なんですね。これはびっくり。そういう意味でいうと、今回のコースは、広島の宇品港から江田島の切串港に入って、江田島から能美島をぐるっと回って、能美島の三高港へと至る。三高港から再び、宇品港に戻ってくるということ。やっと、頭の整理が付きました。
で、もう少し付け加えると江田島は呉市と音戸大橋でつながる倉橋島と早瀬大橋でつながっているので、広島市から呉経由陸伝いでも行けないことはない。広島中心部から海軍兵学校まで行くと50キロちょいです。それと、広島市と呉市の関係ですが、戦前の海軍と陸軍で言うと海軍は呉市、陸軍は広島市。江田島に海軍兵学校が置かれたのも呉市との関係。一方で宇品港は陸軍の港です。
さてさて。どっちにしても、かなりマイナーな旅だと思いますが、私的には瀬戸内海に開けた広島市をきちんと理解するには、やはり必要な旅じゃないのかなと思った次第。そして、結果として、その思いは間違っていなかったかも。江田島から対岸にある広島市はほんの目と鼻の先なんですが、しかし、広島市街の賑わいをけっこう身近に感じながらも、牡蠣の養殖場やミカン畑は長閑だし、昔ながらのゆっくりとした島の時間が流れるこの感覚。明確な意識ではないと思いますが、もしかしたら、広島市民にとっても、こうした風が吹き込むことで、どこか心の余裕につながっているような気がしないでもないですね。
海岸沿いの比較的平坦な道には、それがサイクリングロードであることを示すブルーラインが引かれていてちょっと安心感があるし、瀬戸内海らしい海と島々を眺めて走りながら、ぼんやりそんなことを考えていました。
広島市を瀬戸内海の街と見る見方は少ないかもしれませんが、この江田島の旅からそうしたところを少しでも実感を持って見てもらえたら嬉しいです。
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自宅を出て、まずは早朝の宇品港に到着。
乗船券を買って出発です。
といっても、江田島ですからね。そんな旅に出るというような感じでもないですね~
ご近所にちょっと行ってきますの感覚かな。 -
宇品港から江田島の切串港までは、上村汽船。
所要時間約30分。料金は、大人470円と自転車190円。
一日22便もあるし、本当にお手軽です。 -
船がやってきました。
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ささっと乗り込んで
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即、出発。
なんか渡船の感覚。
あっさりしたもんですよね~ -
似島を過ぎて
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正面には早くも江田島。
というか実は宇品港からすでに見えていたんですが、あんまりそれが江田島だとは認識していませんでしたからね。 -
さらに近づいて
切串港に -
着岸です。
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下船して
これは切串港のターミナル。
ターミナルは古くて、小さなおばあちゃんがやっている売店とレンタサイクルのお店があるくらい。ちょっと寂しいです。 -
ターミナルの前にある地図で、今日のコースを確認します。
この江田島と能美島で囲まれた湾を右回りに一周する感じです。 -
切串港の隣りの小さな漁港。
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牡蠣いかだから、牡蠣の付いたロープを引き揚げて牡蠣の収穫。
海水がざあざあ流れる中を牡蠣がどんどん上がってきます。いやはや、豪快です。 -
ここからは、まず海軍兵学校のあった自衛隊地区を目指します。
山越えの道が一番近いのですが、交通量とかも考えて、反時計回りに海岸のルートで向かいます。距離は12キロ。途中に少し峠越えの場所があって、たぶんここが今日一番の難所となるはずです。
瀬戸内海の穏やかな海の向こうには島々が見えていて、やっぱり、ここは別天地ですねえ。 -
ただ、その奥すぐに見えているのは広島市街。こんな目と鼻の先なんですね。
そして、なんか広島市街の賑わいが何とはなしに感じられるような。。
ここは島だけど、これだけ近いと広島なんていつでも行ける。すごい距離感の中で暮らしているんだなあという感じ。 -
島の暮らしは暮らしなんでしょうが、ちょっと妙な感覚です。
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まあ、私もさっき宇品港を出たばかりですからね。
それなのに、こうして別天地のような島で自転車をこいでいる。 -
確かに、それはあんまりない経験したことがない感覚だったかもしれません。
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少し走ると何かのスポットですね。
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なるほど、かきしま海道の案内地図。
こんなのがあると、また安心です。 -
正面の海を眺めて、また元気が出てきます。
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さらに進むと海中に見たことがないような赤い構築物。
あんまりはっきりしませんが、牡蠣船が何か作業の合間にここに係留される。そんなことのようですね。 -
ほか、小さな入り江に小舟。
対岸はもう能美島でしょう。この辺りから湾の奥に向かうことになります。 -
とここで、例の峠越え。ここは無理せず、自転車を押していきたいと思います。
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峠のピークを少し過ぎたあたりに古鷹山の看板です。
古鷹山は、旧海軍兵学校の背後にある山くらいの認識でしたが、ここがふもとのよう。トイレ付きの駐車場があるし、登山ルートも分かりやすい。山頂までは約40分。家族連れとかで比較的気軽に登れる山だということです。 -
ここで、近所の人にここから市街の方に降りて行って細い道を辿って行くのが近道だよと教えてもらいました。じゃあそうしてみますか。
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結局、何となく勘で行きましたが、これは自衛隊の前。
無事に迷わず行けましたね。 -
そのすぐ向かいにあるのがふるさと交流館。
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観光案内所も兼ねていて、ちょっとお話を聞きましたが、旧海軍兵学校の方はコロナ禍で完全予約制となっているんだそう。まあ、予定はしていなかったので問題はなかったんですが、知らないで来ると大変なことになっていましたね。
私は一度来たことがありますが、何年前だったかなあ。東郷平八郎が今でも神様みたいに扱われていて、それが強く印象に残りました。太平洋戦争の軍人は戦犯なんですが、日清戦争や日露戦争の軍人は英雄扱い。なんだかなあという感じはしないでもないですね。 -
交流館の方ですが、この建物のレトロな雰囲気も悪くないですね。
では、せっかくなので二階の展示室を拝見しましょう。 -
イチオシ
ひと部屋の展示室にはコンパクトな展示がありまして
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山本五十六の関係の資料がそこそこあったりして、
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やっぱり山本五十六は特別な存在かな。
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揮ごうは何と書いてあるのかよく分かりませんが、皇国とか皇紀2601年とか。やっぱり戦時中の軍人ですから、そうなりますね。
旧日本海軍の匂いとかそれなりに感じることができると思います。 -
展示室を出たところにあった「日本海軍艦船喪失一覧図」。
ミッドウェイの敗戦以降、ガダルカナル、ニューギニアからフィリピンのレイテとか。おびただしい艦船が沈んでいます。平和を守るためにも戦争の記憶を風化させないようにすることは大事ですが、しかし、それをまずどのように理解し、教訓とするのかはやっぱり難しいところ。日本はそこを少し曖昧にして、平和主義を徹底していきました。それがある意味では成功したのですが、これでよかったのかな。いつも胸に引っかかっている疑問です。 -
で、もうひとつ気になっていたのが江田島市学びの館。これも同じ市街のすぐ近く。
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イチオシ
特徴のある外観ですが、特に歴史的なものではないようです。
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まあ、それはそれとして、
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展示は江田島の旧家、久枝家の所蔵品とか。
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久枝家は伊予水軍、河野氏の一族。蒲刈島、倉橋島の多賀谷氏、能美島の山野井氏も一族なんだとか。
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伊予水軍の勢力が今の広島県の方にも深く浸透していたことにちょっと驚きました。
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係の人がいて、ほか江田島のことをあれこれ親切に教えてくれましたが、
瀬戸内海の航路の関係で言えば、江田島はあまり表舞台に立った島ではないということでしょうか。ローカルな文化を静かに育んだ感じ。
古くは平清盛が開いた音戸の瀬戸とか、下蒲刈島の三之瀬や大崎下島の御手洗。そうしたちょっと華やかな歴史を思うと地味な感じは否めません。この辺りだとあえて言えば倉橋島の鹿老渡だそうで、それは貴重な情報としてインプットさせてもらいました。 -
二階は地元の有志の作品展示。
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まあまあ、それなりに
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拝見させていただきました。
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次の目標は、昼飯を予定している海辺の新鮮市場。今回のコースのちょうど中間といった辺りです。
自衛隊から2キロくらい行って、これは長田製菓。江田島の老舗お菓子屋さんです。商品はあれこれありますが、いただいたのは「古鷹旅情」というブッセ。ブルーベリーのジャムとかなかなか強烈な甘さですね。これまでにない甘さに軽く衝撃を受けました。 -
さらにもうちょっと行って、これはよってみん菜。
小さな産直のお店ですが、地元の人も出入りしていてちょっとした活気がありますね。 -
限られた種類ですが、
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滋養が豊かそうな野菜が並んでいました。
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イチオシ
第二目標地点に到着。
ここは、湾の一番奥に当たる場所。江戸時代にこの辺りが埋め立てられて、江田島と能美島が陸続きとなったということですね。 -
イチオシ
ここから沖を眺めて、この先が湾の出口。
右手が江田島、左手が能美島です。 -
はい、これが海辺の新鮮市場。
地元の漁協と関係がある食堂で、公的なパンフレットなんかにも積極的に紹介されています。 -
開店の11時にはもう何組かのお客さん。一階の売り場でいくつか並んだお刺身のパックからお気に入りを選んで、二階に持って上がる。それをメインにした刺身定食をいただくというシステムです。
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イチオシ
鮮度のいい刺身のうまさがまず第一なんですが、付け合せのかき揚げや小鉢もなかなかいい。江田島湾を正面に見ながらの明るい席で、とっても健康的な食事が出来ました。
ここで、ちょっと時間に余裕があるので、予定にはなかったのですが、少し南下して大柿地区をチェックします。江田島の市役所があるのも大柿地区。江田島市では一番賑わっているエリアです。 -
南下してすぐにあったのが島の駅豆ヶ島という豆腐のお店。徳永豆腐店という老舗の豆腐屋さんがプロデュースしているのだとか。
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鬼ヶ島をもじったネーミングといい、
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商品のラインナップといい抜群のセンスが光っていますね。
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これは福豆腐という汲み上げ豆腐みたいな豆腐。
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イートインでそれをいただきました。
大豆の香りがしっかりあるし、合わせた醤油のおいしさにもインパクトがありますね。なかなか良いお店です。 -
そして、ゆめタウン江田島は江田島市の中心部ならでは。駐車場もゆったりだし、人の出入りも多くて、のんびりした江田島でもここに来るとちょっと我に返ったような気がしました。
ここには岡林花月堂というイタリアンロール、生クリームたっぷりのロールケーキが名物のお店がありまして。しかし、あまりにも大きくてお土産にするにしてもちょっと躊躇してしまいました。切ったのを提供しても、品質が落ちてしまうからということのようですね。江田島にはこういうものがあるということだけで今回は良しとしました。 -
さて、ここからはまたコースに戻って
能美島を走ります。次の目的地は長瀬海水浴場とかある中町地区です。 -
道端にはあちこちどこでもみかん。能美島のみかんもスタンダードですからね。
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峠を越えて中町に向かって下って行く道の途中にあるのは、能美産直市場。ざっくりした空き地の中に産直で近くの農家がそれぞれに持ち寄った農産物を置いている施設です。
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商品の前にはそれぞれお金を入れる竹筒みたいなのがあって、つまり無人販売ですね。のどかな島の販売所です。
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さらに少し下ると
あれれ~ -
穏やか入り江が現れて
浅瀬には牡蠣の養殖杭。沖合には牡蠣いかだが広がります。 -
イチオシ
牡蠣の一大養殖基地みたいなところでしょうか。
これは素晴らしいです。 -
で、これを下り切ったところが長瀬海水浴場。ヒューマンビーチ長瀬です。
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湾の奥の穏やかな海に面した砂浜は、先ほどのたくさんの牡蠣いかだを望む遠浅のきれいな海岸。きめの細かい砂浜で水質もけっこういい感じですね。昔は宮島でも普通に海水浴をしていたそうですが、もしかしたらこんなだったのかも。瀬戸内海の海水浴場っていいものですね。
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砂浜の後ろには江田島荘という立派な宿泊所があって、そのプライベートビーチみたいな雰囲気もありますよ~
ちなみに、宇品港からだと中町港まで高速船で行ってそこから歩いて数分ほどですから、実はアクセスも抜群。隠れたお宝スポットのような気がします。たびたびさん、けっこうテンションが上がりました。 -
砂浜をさらに進んで、ちょっと裏手に出たところ。これは軍艦利根資料館です。無人の施設なので自由に見学。
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何気なく見ていると、この利根って。。ミッドウェー海戦の敗因の一つに挙げられる偵察機「利根四号機」の利根なんですね。これは、びっくり。
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そしてその後の経緯もまた数奇なもの。マリアナ沖海戦等に参加した後、傷ついたために練習船となり帰国。江田島湾に停泊していたところを空襲に遭い大破。乗組員128名と島民17名が犠牲となったというのです。
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資料館の裏には犠牲者を悼む碑が建てられていて、長閑な島の悲しい事件も知りました。
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中町港もすぐそこなんですが、
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向かう途中に
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イチオシ
またまたすごい景観。
養殖杭は今ではあまり見ることがなくないような気がしますが、ここではこんな大規模にやっていますよ。 -
よほど条件がいいんでしょう。けっこう延々続いていて。
能美島の牡蠣養殖、恐るべしです。 -
で、これが中町港。
切串港や三高港と違ってフェリーはなくて高速船のみ。しかし、きれいに整備されていて、ターミナルにはお好み焼き屋さんが1軒ありました。
ここからは、もう三高港を目指すのみです。 -
イチオシ
しばらく殺風景な海岸を走りましたが、こんなクレーン船の基地も。
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大型クレーンがゆっくりゆっくり動いていて
それなりに見応えがありました。
運んでいるのは鉄くずとかかなあ。造船ではないですよね。 -
そして、三高港に到着。切串港と違って、こちらはピカピカのターミナル。
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みたかゲートハウスと名付けられていて、ちょっとした産直の売り場があったり。
待ち時間も快適に過ごせました。 -
イチオシ
宇品港までは、この瀬戸内シーラインのフェリーで。
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大人690円、自転車220円は切串港より少し高めかな。
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宇品港へ出発。
正面に見えている島は似島。 -
フェリーは、それをかすめるようにして進みます。
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似島を過ぎると
一気に宇品港が近づきます。 -
前を走るフェリーは切串港からのフェリーです。
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そして、着岸。
無事に帰ってきましたよ~
お疲れ様でした。
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この旅行記へのコメント (2)
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- Masakatsu Yoshidaさん 2022/05/02 18:38:18
- 私は半世紀ほど前に江田島を訪れたことを思い出しました。
- たびたびさんへ:江田島の近況をとても興味深くは拝読しました。50年以上前に私は広島県の大竹に住んでいましたが、ゴールデンウイークの時期にヨットのクルージングで江田島まで出かけたことがあります。そこには海軍兵学校があったことで有名ですが、私の会社には海軍兵学校出身の社員もおりましたので、江田島は身近な存在でした。その頃は、牡蠣の養殖は行われていませんでした。-ヨシダ
- たびたびさん からの返信 2022/05/02 20:28:25
- RE: 私は半世紀ほど前に江田島を訪れたことを思い出しました。
- 遠い記憶の江田島。いいですね。
私も今は広島県人ですが、にわかですからね。なんとか根の生えた広島県人になるべく勉強中です。
力をもらえるようなコメントありがとうございました。
たびたび
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