2021/05/22 - 2021/05/22
100位(同エリア102件中)
napaさん
熊本に住む長男と美里町のフットパスを歩きました。
何気ない田園風景のなかにさまざまな遺構が残されていますが、人の手が造り上げた造形のうつくしさ、先人の知恵、地域のためにという気概を感じた一日でした。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 交通手段
- レンタカー 徒歩
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昨夜お世話になった新湯温泉・霧島新燃荘。本来なら昨日も周辺を巡る時間がとれるはずだったのですが、コロナ禍のため予定していた航空便が運休となり、鹿児島空港から直行するともう薄暗くなりかけていました
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青白いお湯をたたえる内湯、硫黄ガスのためか入浴は30分までとの張り紙があります。温泉は入浴中に感じる以上に成分が強く、数日間は体から硫黄臭が抜けませんでした
洗練された接客を感じました by napaさん霧島新燃荘 宿・ホテル
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混浴の露天風呂
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小雨が降るなかの露天風呂は冷たい雨粒が頭に落ちて気持ちが良く、ぬるめの温泉はいつまでも入っていられます。立地的には秘湯といってもいいと思いますが、施設はきれいに整備され、食事も地元の食材を使い洗練されたものでした。
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さて、夜が明けて高速道路を北上して県境を越え、美里町の道の駅で長男と待ち合わせ。フットパスを歩きます。
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「車一切通扁可ら須」と記されているという石碑。摩耗が著しく、どこに刻まれているのかさえ分かりませんでした。
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苔むした馬門橋、この地域にはいくつもの石橋が残されています
馬門橋 名所・史跡
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橋のたもとに落ちる小さな滝と不思議な色合いで流れる川
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幹線道路であったという道は車がひっきりなしに行き交う現在の国道のはるか下、木々に覆われ通る人もありません。
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沈下橋は中岳稲荷神社への参道
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小さな神社ですが、何かいわれがあるのでしょうか。お社のすぐ前をかつては熊延鉄道が走っていました。
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神社から東へ向かうと間もなく熊延鉄道が津留川を渡っていた橋脚が残っているそうですが、やぶがひどいので断念。軌道跡を西へしばらく歩くと木々に覆われて構造物が見えてきました。
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熊延鉄道八角トンネル跡、厳密にはトンネルではなく擁壁補強のためのコンクリート製の構造物です。
八角トンネル(熊延鉄道遺構) 名所・史跡
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上部の黒ずみは蒸気機関車の煤の名残でしょうか、熊延鉄道は熊本から宮崎県の延岡まで延伸する計画でしたが、1964年には廃止されてしまいました。
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はるか昔に役目を終えていますが、今も向こうからがたごと音を立てて列車がやって来そうです。
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八角トンネル跡からすぐ、石積みの橋が見えてきました
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二股五橋、奥に見える年祢橋を含めて新旧五つの橋が見えます。とくに江戸時代に川の合流点に架けられた二股渡、二股福良渡は珍しく、造形としても興味をひかれます。
二俣橋 名所・史跡
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津留川に架かる二股福良渡は熊本地震の際に石積みが大きく崩れ、半壊してしまった橋をいったん解体し、もう一度積みなおして再建したそうです。
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並んで架けられた橋も昭和初期の雰囲気の欄干です
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本州を旅していると有力者がみんなのためにとお金を出したり、地域一丸となって整備したりした施設が残っています。現代の日本には失われてしまった気風だと思います。
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このような遺構を見るたび、重機もない時代の土木技術の高さと人の力の積み重ねに感心します
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蔦の絡んだ古木の脇に猿田彦大神の石柱と荒神様
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一周して元の馬門橋まで戻ってきました。予定のある長男とは別れ、ここからは気ままなひとり旅です。
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霊台橋、1847年架橋、1966年まではバスやトラックも走っていました。
難所であった峡谷に架けられた橋で、工事には石工だけでなく地元民も加わってわずか7カ月で完成したそうです。案内看板には人を渡し、物資を渡し、文化を渡してきたとありました。霊台橋 名所・史跡
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向こう側の橋のたもとには森林鉄道のトンネル跡が見えます。今にして思えば覗いてみるんだったと後悔、やはりできるときにできるだけのことをするべきですね。
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通潤橋、1854年完成。橋の中央部からの放水が有名ですが、新型コロナウイルスのため当面は休止とのこと。
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これまでの橋は人の往来のためのものでしたが、この橋は水を送るためのもので、周囲を複数の河川に囲まれながらも水不足に悩む白糸台地を灌漑するため、地域の庄屋さんが中心となって造られたものです。石橋の大きさと美しさ、手前の高台から導水路に水を落とし、水圧で向こう岸の橋よりも標高の高い地点まで水を上げる技術は類を見ないと思います。
通潤橋 名所・史跡
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通潤用水の円形分水工、上流で取水された用水はここで田畑の面積に応じて分配されます。右側の7割の部分は通潤橋まで6km、総延長30kmの水路を通って、118haもの面積を灌漑しています。
通潤橋のような大規模な構造物はもちろんのこと、緩やかな勾配を持たせた導水路を敷設すること自体、高い土木技術とたくさんの人々の労力があったことが伺われます。通潤用水の円形分水 名所・史跡
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毎分1.2tの水量を公平に分配する知恵にも、構造物としての造形にも感心します。いつまで見ていても見飽きることがありません。
それほど知られていない、しかし地域の歴史や人々の暮らしを支えてきた遺構を再発見する旅をこれからも。
おわり。
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霧島新燃荘
3.35
宇土・三角(熊本) の旅行記
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