2020/10/02 - 2020/10/02
4位(同エリア58件中)
かっちんさん
日本海沿いの坂町と内陸部の米沢を結ぶ「米坂線(よねさかせん)」。
今日の午後は、米坂線を山形県側の小国駅から米沢駅まで乗ります。
紅葉にはまだ早いのですがススキが風でたなびき、宇津峠(羽前沼沢~手ノ子間)を越えると急に視界が開けて飯豊町に入り、長井・米沢盆地に黄金色に染まる田園風景が広がります。
どこの農家も稲刈りの真っ最中で、昔ながらの稲干しの棒掛けや最新のコンバインを使った収穫風景が車窓から眺められます。
飯豊町は飯豊連峰の扇状地として古くから稲作が盛んなところ。
山形県の中でも雪深く、厳しい冬の風や雪を防ぐための知恵として、敷地内に「屋敷林」を配して農作業にも役立てたと言われています。
その生活の歴史が、田園に屋敷林が点在する「散居集落」という独特の景観をつくり出しています。
鉄道雑学解説では、跨線橋に使われた古レールの刻印、電気式気動車、列車交換線路の名残り、駅名標の英語表記、駅名由来、旧白川信号場、木造の上屋、遠方信号機など。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・米坂線整備促進期成同盟会「沿線市町村ガイド」
・嵐 路博著「古レールの刻印の内容」
・民俗学の広場「伊佐、手の子の地名の由来」
・イベントのつくりかた、コラム、雑記『「P(ぱ行)、B(ば行)、M(ま行)」の前の「N(ん)」が「M」になってる、ヘボン式ローマ字表記の駅名一覧』
・日本で最も美しい村連合「山形県飯豊町」
・あらい農産「稲わらロール作り」
・やまがたアルカディア観光局「花結びより」
・旅東北「飯豊町散居集落展望台」
・やまがた山「祝瓶山」
・べこ飼い伊藤「わら返し」
・ウィキペディア「JR東日本GV-E400系気動車」「今泉駅」「日本の鉄道信号」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
米坂線(小国~米沢間)の路線図(米坂線整備促進期成同盟会資料を引用)
小国~米沢間は、5つの市町村をまたいでいます。
小国駅から列車は坂を登りはじめ、羽前沼沢~手ノ子間にある宇津峠までが小国町。
峠を越えるとやがて視界が開け、田園風景の飯豊町・長井市・川西町・米沢市になります。
飯豊町・長井市が長井盆地、川西町・米沢市が米沢盆地にあります。 -
青空に映える「小国駅」駅舎
昭和19年(1944)建築の赤屋根と白壁の美しい駅舎は、「東北の駅百選」に選定されています。 -
ホームに到着する「坂町行き」(小国駅)
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跨線橋の古レール支柱(小国駅)
支柱に使われている古レールの刻印は、「50 PS 丸Sマーク 1958 ||| OH」。
「50PS」は50kgレール、「丸Sマーク」は八幡製鉄所、「1958 |||」は1958年3月製造、「OH」は製鋼法のOpen Hearth(平炉)のことです。 -
新型の「米沢行き」(小国駅)
令和元年(2019)8月から走り始めた「GV-E400系」気動車。
ディーゼルエンジンの動力で発電した電力をモーターで駆動する電気式気動車です。
この列車で米沢へ向かいます。 -
ススキの中を走る米坂線(羽前松岡)
列車の後部窓から眺めています。 -
黄金色に染まる稲穂(羽前松岡)
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伊佐領(いさりょう)駅に到着(後部車窓)
ホーム手前で線路が少し右側に曲がっています。
これは、かつて左側に曲がる線路とホームがあり、上り下りの列車交換ができた名残りです。 -
駅名標に注目!(伊佐領)
「伊佐(常陸国伊佐郡をルーツとする)」は伊達家が常陸にいた頃に名のっていた名字で、「伊佐領」は伊達家の領地を意味します。
両隣駅の英語表記を見ると、Uzem-MatsuokaとUzen-Numazawaになっています。「ん」に使われているmとnの違いがわかりますか?
これは『撥音(はつおん)「ん」は原則として「N」で示されますが、後ろにP、B、Mが続くときには「M」で表記する』というヘボン式ローマ字表記だからです。
「Uzem」は貼り紙で修正したのでしょうか・・・ -
左に分岐するレール(後部車窓)
伊佐領駅を出発したところでは、左に分岐していたレールが残されています。
これから羽前沼沢へ向かって急坂を登っていきます。 -
「手ノ子駅」に到着
羽前沼沢から宇津峠を越えると、小国町から飯豊町に移り、「手ノ子駅」に到着。
地名の由来は、宿場町の荷負い人夫を「手ご」といい、「手ごの町」から現在の「手の子」になったといわれています。 -
豊穣な稲作地帯(手ノ子)
このあたりは飯豊連峰から流れ出る清流白川が肥沃な扇状地を形成し、流域は豊穣な稲作地帯となっています。 -
イチオシ
家の周りに植えられた「屋敷林」(羽前椿駅から)
冬期間の厳しい北西風を防ぐため、家の周りには「屋敷林」を植えて防風や防雪に備えています。
「屋敷林」は、その枝を「影切り」と称し切り落として燃料の不足を補い、また、秋に収穫された稲束の稲掛けとして多様に利用されてきました。 -
稲干しの「棒掛け」(羽前椿)
山形県でよく見られる稲穂の干し方です。
中腹に見える建物は飯豊町の役場庁舎です。 -
最近はコンバインで収穫(萩生)
イセキのコンバイン。
あぜ道に座り、今は休憩中のようです。 -
こちらではクボタのコンバイン(萩生)
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秋の田園地帯を走行中(萩生)
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イチオシ
「田園散居集落」の風景(萩生)
水田農業を生業とし、家の周りに屋敷林を植える「散居定住」の形態です。 -
ススキに囲まれた萩生駅を出発(後部車窓)
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円筒形の「稲わらロール」(萩生)
「稲わらロール」は、稲を刈り取った後のわらを乾かしてロール状にしたもの。
主に牛の餌となります。 -
クボタのコンバインで収穫中(萩生)
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ヤンマーとイセキのコンバイン(萩生)
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米坂線とフラワー長井線の合流点(後部車窓)
「旧白川信号場」と呼ばれていたところで、左側の線路が通過してきた米坂線(小国方面から)、右側の線路が山形鉄道フラワー長井線(長井方面)。
ここで2つの路線が合流し、今泉駅まで2kmほど単線でつながっています。
フラワー長井線が元々国鉄長井線だったことが、線路をJRと山形鉄道が共有する経緯です。 -
自動化された稲刈り作業(今泉)
コンバインでは刈り取りした稲を自動脱穀してタンクに溜め、脱穀したモミをトラックに移しています。 -
今泉駅に到着
山形鉄道フラワー長井線との乗換接続のため、米坂線は7分間停車します。
停車しているフラワー長井線は「花結びより」のラッピング車両です。
「花結びより」とは、沿線にある5つの「EN」(沿むすび・園むすび・演むすび・縁むすび・宴むすび)を結ぶフラワー長井線を表しています。 -
ツーショット(今泉駅)
フラワー長井線荒砥行きの2両目は、「紅花(白鷹町)」のラッピング車両です。 -
フラワー長井線の駅名標(今泉駅)
味のある錆・・・ -
JR米坂線の駅名標(今泉駅)
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イチオシ
しばらくして赤湯行きのフラワー長井線(今泉駅)
「あやめ(長井市)」のラッピング車両が今泉駅に入って来ます。
これで3方向の列車が揃い、米沢、赤湯、長井方面の乗換ができます。 -
伝統的な木造の上屋(今泉駅)
では、米坂線は今泉駅を出発。 -
黄金色の絨毯を刈り取るコンバイン(羽前小松)
ここは川西町。 -
脱穀したモミを排出中(羽前小松)
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ススキたなびく米坂線(羽前小松)
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羽前小松駅で反対列車と交換
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「四角い背板」の信号機(後部車窓)
これは遠方信号機というもので、見通しの悪いところに設置しています。
遠方信号機が注意信号なので、この先の羽前小松駅の場内信号機は停止信号です。 -
旋回しながら収穫(羽前小松)
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美しい山容の「祝瓶山」(後部車窓)
羽前小松駅を過ぎると北西方向に朝日連峰の「祝瓶山(いわいがめやま)」(1,417m)が見えます。
ピラミダルな山容の美しさから、「東北のマッターホルン」とも呼ばれます。 -
イチオシ
フワフワ飛ぶススキの穂(後部車窓)
列車が通過する風圧で、ススキの穂がフワフワと飛んでます。 -
モミが山積みのトラック(中郡)
このあたりから米沢市です。 -
イチオシ
コンバインから脱穀したモミを排出中(中郡)
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豆類の畑(成島)
遠くに見えるのは吾妻連峰。 -
稲わら干し(西米沢)
コンバインで刈った後の稲わらの束を乾燥させています。 -
稲わら干し(西米沢)
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西米沢・南米沢駅
米沢の市街地を西側から南→東へとぐるりと周るので、西米沢と南米沢があります。
東側にあるのが米沢駅です。 -
山形新幹線「つばさ」(米沢駅)
米沢駅からは山形・東北新幹線で東京へ帰ります。
米坂線の秋の車窓風景を楽しむことができました。
飯豊町の田園散居集落は別の機会に訪れたいと思います。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- ateruiさん 2021/03/04 19:11:44
- 米坂線 車窓 素晴らしい
- 萩生駅 今泉駅 降りたことがあるので 見入ってしまいました
稲の干し方 それほど広くない範囲で 数種類 あるのは 面白いですね
文化の違いからくるものなのか 民族 人種の違いから くるものなのか
色々と考えられて 楽しいです
この地域の 様子の 日記は少ないので 迚も ありがたいです
aterui
- かっちんさん からの返信 2021/03/05 22:57:40
- RE: 米坂線 車窓 素晴らしい
- ateruiさん
こんばんは。ご返事が遅くなりました。
萩生駅、今泉駅に降りたことがあるとは、個性派旅のベテランですね。
米坂線に乗ったときは丁度稲刈りの真っ最中でした。
コンバインによる収穫が多い中、昔ながらの稲干しを見つけました。
散居集落は昔の人の知恵でできたものですが、今では美しい風景のひとつになっています。
ateruiさんの釧路の町や炭鉱の話、開拓入植地の簡易軌道など、興味ある旅行記で、楽しませてもらいました。
かっちん
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