2019/07/01 - 2019/07/05
40位(同エリア108件中)
タヌキを連れた布袋(ほてい)さん
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「モルドヴァ共和国の特徴的な建築遺産のひとつに,河岸の崖地に掘り込まれた一群の岩窟修道院がある。この国では最古の歴史的建造物と位置づけられている。修道院はこの地域を南北に流れるいくつもの河川によって浸食された深い谷の岸壁につくられていて,崖に開いた多くの洞窟の様子から『真珠の首飾り』とも呼ばれている。建築物というよりは天然の洞穴を掘り広げた大地の彫刻といった方がわかりやすい。この種の洞窟は侵入者から身を守るのに適した場所であったので,これらの地域からは古代ダキア人をはじめとした先住民族の集落や要塞の遺跡も発掘されている。
紀元2世紀から3世紀にこの地域にキリスト教が伝播した時に,キリスト教信徒たちは修行を目的にこれらの洞窟を隠修のための洞(ほこら)として活用しはじめた。やがて,集団生活が営まれるようになり,空間的にも個々の洞がつながれて修道院へと発展した。険しい地形ゆえに防御に向いた立地が,僧院としての繁栄を後押しし,東方正教会の府主教座が創設された13世紀末以降になると,これらの修道院は全盛期を迎えるようになる。」
「木造教会は,モルドヴァ共和国の建築遺産を考える上できわめて重要な建築物である。一般の教区聖堂は修道院のように有力な寄進者をもたないこともあって,地域の住民が一致協力して建設した。そのため材料調達から建設技術にいたる一連の作業は民家に倣って建設が進められた。木造が多いのもそのためで,事実,見た目もどことなく民家風である。
この地域に現存する木造の聖堂は,耐用年数の問題もあってか,中世までさかのぼるものは認められず,18~19世紀に建設されたものが多い。18世紀に建設されたものはモルドヴァ様式を踏襲し,東西方向を軸線として,東からベーマ,ナオス,プロナオスの三室構成となっている。天井は半ドームとトンネル・ヴォールトからなっており,その上に大屋根をのせ,木製の瓦で葺いている。ナオスとプロナオスは,垂れ壁や袖壁あるいは天井の仕様によって緩やかに分けられるが,明確な間仕切りはない。エクソナルテクスがある場合は南側に設けられていて,鐘塔は別棟として建設された。構造は民家と同じく丸太組構法で,いわゆるログハウスである。丸太を露出することはせず,漆喰仕上げか縦に下見板を貼り付けるのが一般的である。」
「19世紀になると,スタイルが大きく変わる。当時多く建設されていたロシア風のビザンティン様式や古典主義様式の建築の影響が見られはじめ,ナオスの上にドームや塔がつくられ,西側入口部分には上階が鐘塔となったエクソナルテクスが配置されるようになる。また,既存の聖堂にも鐘塔を兼ねたエクソナルテクスが増築された。」
「モルドヴァ共和国に現存する歴史的建造物は,長い歴史の中で結果的に残った建築で,逆説的にいえば,放置されてきたものといっても過言ではない。特に中世の歴史的建造物は希少で,ほぼ建設当初の姿で現存するものはソロカ要塞だけである。岩窟修道院は洞窟の形にその痕跡が認められるが,ソ連時代に急速に荒廃し,現在,実質的に遺跡化している。修道院として用いられているものは,逆に度重なる改築や再建により建設時の様式は維持されていない。
他の国であれば丁重に扱われる宗教建築でさえも,この国できちんと継承されなかった理由は,戦乱による破壊や異民族支配によるキリスト教施設への弾圧,さらには無人化して劣悪な環境下に放置された結果としての劣化など,枚挙にいとまがない。しかし一番に考えなければならないのは,何よりも『モルドヴァ共和国』という自国の建築文化への関心が希薄であることではないだろうか。この地域はバルカン半島とウクライナの平原を結ぶ交差路に位置し,その結果として多くの民族がこの地に侵略を繰り返す。さらに,第二次世界大戦に伴って1940年にソ連に組み入れられたことが決定的な文化の荒廃をもたらした。共産党政権下で行われた正教会の弾圧は,多くの修道院や聖堂の破壊や聖職者の追放を引き起こし,この地域の文化の尊厳を根底から覆すことになった。」
舘﨑麻衣子「モルドヴァ共和国における中世建築の継承」(三宅理一・羽生修二監修『モルドヴァの世界遺産とその修復 ルーマニアの中世修道院美術と建築』(西村書店)収録)より
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- 旅行の満足度
- 3.5
- 観光
- 3.5
- ホテル
- 3.5
- グルメ
- 3.5
- ショッピング
- 3.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- その他
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
午前中,コヴリッジCovrigとエスプレッソで軽く食事をしてから,
-
中央市場へ出かける。
キシナウでもっとも面白い場所は,中央市場である。
やや大袈裟に言うなら,おとなしいキシナウの街で活気があるのはここくらいなのである。 -
市場周辺の路上には,立ち売り市も出現する。
-
公設市場なので,青果,乳製品,生活雑貨や電化製品,衣類など商品によってエリアが分けられており,どこもかなり混雑している。
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さまざまな安っぽい製品が所狭しと並べられている様子は,まるっきりアジアの市場と同じだ。
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キッチン用品を扱う店には,地域の特色がよく現れていた。
↑の店先にある,
・手回し式のミートミンサー(赤丸)
・多面式のチーズおろし(黄丸)
・家庭で作る瓶詰めのふたを密封する道具(緑丸)
・モカエキスプレス(直火式エスプレッソメーカー)
なんかは,アジアの市場ではあまり見かけないかもしれない。 -
それでは青果エリアに足を踏み入れよう。すごい人混みだ。
(IMDL=約6円) -
アプリコットの値札には「SUPER DULCE(超甘い)」と書いてある。
(IMDL=約6円) -
こちらにも「SUPER DULCE」。決まり文句なのだろうか。それとも,品種名という可能性もある。
(IMDL=約6円) -
ゴールドトマトと赤いトマト。
-
豆類。収穫年まできっちり表示されている。
(IMDL=約6円) -
フェンネルの花。モルドヴァでは,おもにどうやって食べているのか知りたいところだ。
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さて,キシナウの青果市場を特徴づけていたのはこれだった。
(IMDL=約6円) -
ラズベリー,
-
グースベリー(セイヨウスグリ),
(IMDL=約6円) -
ブラックベリーに,奥は赤いグースベリー,
(IMDL=約6円) -
そしてレッドカラント(赤スグリ)など,
-
季節によるかもしれないが,モルドヴァの青果市場はベリーで充ち満ちていた。
今回旅したバルカン諸国のどこよりも豊富だった。バルカンから,ロシア・北欧圏へじわりと近づいたことを実感した。
(IMDL=約6円) -
もちろん桜桃もたくさん出回っている。
(IMDL=約6円) -
こちらは干しプルーン。高いほう(40MDL/kg)は種ぬきだ。
この店の値札はロシア語表記のみになっている。
(IMDL=約6円) -
かなり暑くなってきた。
飲みものを売っている露店を見つけた。社会主義テイスト満点の古ぼけたベンダーを使っている。
品書きを見ると「クワスCvas(クヴァース)」があった。ソビエト時代を象徴する清涼飲料である。麦芽を発酵させて作り,琥珀色からコーラのように濃い色のものまでさまざま。炭酸を含む。
さっそく一杯もらった。小カップは2.5MDL,大カップは5.0だ。(IMDL=約6円)
机の上にのっているまっ黄色の飲みものは「レモネードLimonad」。黄色いだけでレモンの風味はしない。
別の店では,色が赤いだけの「Capsun(イチゴ)」を売っていた。
日本のかき氷と同じである。こういう素朴な命名の感性に共通が見られるのは,考えてみれば不思議なことだ。 -
続いて乳製品エリアへ。
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壁には,なかなか素敵な絵が飾られている。
-
羊や乳牛のミルクから作られたばかりのまっ白なチーズが並んでいる。
「Coș de oi」「Brinza de oi」と値札に書いてあるが,これは標準ルーマニア語でいうところの「Caș de oi」(羊乳のカシュ),「Brânză de oi」(羊乳のブルンザ)であろう。
以前にも触れたことがあるが,ミルクに凝固剤を加えると,ミルクの中の蛋白質(カゼイン)が凝固して凝乳(カード)と乳清(ホエー)に分離する。この固まった凝乳を成形したものが「カシュ」だ。
このカシュから余分な乳清を切り(水分を減らして固くし),保存のために加塩したものが「ブルンザ」になる。
カシュを取ったあとに残る乳清には,カゼイン以外の蛋白質が残っている。この乳清を加熱して残りの蛋白質を取り出したものを「ウルダUrdă」という。
↑の画像の左の端に写っている,袋に入ったぽろぽろのチーズがこのウルダである。 -
カシュはできたての豆腐のようなもので,保存はきかない。
この店では,カシュにはラップをかぶせて乾燥防止の措置をとっているのが判る。
乳清を切ったブルンザは,さらに塩水に漬けて保存・熟成されると「テレメアTelemea」になる。ブルガリアのシレネやギリシャのフェタがこれと同じものである。
↑の右端に写っているブロック状のチーズは,外見はほぼシレネと変わらないように見えたのだが,商品札には「Brînză de oi」と書いてある。こういう微妙な境界は,なかなか判らない。 -
このおばさんからはバターを買った。
ほろほろと,とろけていく,無塩の発酵バターだった。 -
それから,市場の近くのカフェテリア方式の食堂に入ってみる。
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斎食期間用のサルマーレがあった。肉・魚・乳製品・玉子・オリーブ油は一切使っていないわけだが,米がたっぷり詰まっていておいしそう。
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モルドヴァ料理を代表するスープ,「ザアマZamă」にいきなり出会ってしまった。ラッキー。これを食べたかった。
発酵調味料ボルシュの酸味と浮きみのパセリがよく効いた濃い鶏スープだ。短く切ったタリオリーニのようなヌードルが入っている。 -
ママリガ(イタリアでいうポレンタ)は「マライMalai」と表示されている。どうやらマライとはコーンミールを指す語のようで,コーンミールを使う菓子もマライと呼ばれることがあるようだ。
ママリガの横の皿に盛ってあるのはブルンザ(チーズ)で,ママリガのトッピング用(別料金)。 -
ママリガにはブルンザを追加したのに,ザアマ(スープ)にスムントゥナSmântână(サワークリーム)を入れてもらうのを忘れた‥‥。おいしく頂いたが。
ちなみに,使い捨ての皿やカトラリーもすべて勘定書きに計算されていた。ひとつ1MDL以下だから気にはならないのだが,細かいシステムだ。
全部で約50MDL。
(1MDL=約6円) -
ザアマがとても気に入ったので,入っていたヌードルをスーパーマーケットで探してみた。
たぶんこれかな。 -
【キシナウ逍遥まとめ】
☆街の概略は↑のマップのとおり。上記のエリアは徒歩圏内と考えてよい。
☆シュテファン・チェル・マレ大通りや上記の「大きな市内バス停留所」と空港を結ぶ公共バスは30番バス。運賃2MDLで車掌に現金払い。所要40分以上。朝6時から22時台まで一時間に2~3便程度。大きな荷物は一人分の運賃を徴収される。市内はトロリーだが,ダチア通りを走って植物園・動物園のあたりで架線が尽き,以降は燃料エンジンで走る。
☆シュテファン・チェル・マレ大通りからキシナウ鉄道駅は4番バス/トロリーなど。ダチア通りを植物園・動物園のところまで走るのは22番バス/トロリー。運賃2MDL。
☆空港では,北部にある第二の都市バルツィBăl?iとの間を結ぶマルシュルートカを見かけた。
☆ティラスポリ(沿ドニエストル共和国)へ行くマルシュは中央市場近くの中央バスターミナルから発着する。
キシナウ逍遥その1
https://4travel.jp/travelogue/11660700
ティラスポリ逍遥
https://4travel.jp/travelogue/11663574
イスタンブル逍遥その1
https://4travel.jp/travelogue/11668952
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