2020/10/21 - 2020/10/21
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ばねおさん
コロナウイルスにすっかり見込まれたフランス。
とりわけ感染度の高いパリでの行動は、用心の上に用心を重ねていかざるを得ない。
人との接触を避け、外出は必要最小限。
移動手段は徒歩を基本として、時にバス利用。
バスも混雑状況をみてから乗車を判断するほど念を入れている。
それでも、行かなくてはならない用事があり、せめてそのついでに美術館のひとつも寄ってくるかというのが、ここ数か月の限られた楽しみになってしまった。
それも2度目の全土外出禁止となった今では、それすらも叶わぬことになったが....
まだ昼間は行動自由であった10月下旬、グランパレからコンコルド広場までの小散歩とオランジェリー美術館のキリコ展見学記。
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
10月21日。少々風雨。
この日、グランパレ内の事務局まで用事があり、利用したのが28番の路線バス。
モンパルナス駅~サンラザール駅を結んでいる、比較的短いルートだ。
28番を含め、20番台のバスルートは昨年(2019年)4月に大幅改正となり、従来とはかなり変更されているので注意が必要だ。
乗車してあまりにも綺麗な車内にビックリ。
まだ、新車なのだろうが、内部の仕様も従来のバスとはだいぶ異なっていた。 -
特に行先案内は大きな画面表示になり、2つ先の停留所名まで表示されるのにこれまたビックリ。
これまでのバスはといえば、次の停留所がどこなのか見えにくいテロップが流れるだけ。
下手をすればテロップすら流れず、ひたすら外の風景から読み取るか、居合わせた乗客に訪ねる他ないときすらあるが、これは飛躍的な進歩だ。
行きのバスはこの表示画面が修理中であったので、これは帰路のバスで撮ったものだが、ちょっぴり感動すら覚えた。 -
行先のグランパレにはちょうど建物裏側のルーズベルト通りに停留所があって都合がよかったのだが、あらかじめ指定された通用口に行ってみると、何と閉鎖中。
こうした「手違い」は、フランスでは日常的な出来事なので、いちいち驚いてもいられない。 -
多分、どこか近くに別の入り口があるだろうと、フランス的アバウト思考に回路を切り替え、セーヌ側にあるレストラン「MINI Palais」 の階段を上がってみる。
-
これはこれで素敵なホール。
ここのレストランを利用したことはないが、雰囲気は上等に違いない
但し、敷居も値段も高そうだが -
結局、ここからは進入できぬことが分かり、正面に回ってみることにした。
今までグランパレには何度も来てはいるが、それは展示会場なり美術館のほうで裏方に入るのは初めて。
裏口は裏側にのみあると思っていたのだが、案外おもてがわにもあるのかも -
パリコレや秋の美術展で知られるグランパレ展示会場には
「 NOIR & BLANC (白と黒)」の大きな垂れ幕があった。
国立図書館のコレクションを中心にした写真展らしいが、今は開催されておらず延期になった模様だ。 -
お向かいのプチパレでは、たしかデンマーク絵画の企画展をやっていたと思うが、どんな作品があるのだろうか興味がある。
だからといって簡単に立ち寄れないのが、コロナ以降のシステム。
すべて事前予約が必要になってしまった。 -
正面の展示会場付近には通用口らしきものはなく、美術館の側に回ってみると入館チェックをしている係のマダムがいた。
グランパレ美術館では「ポンペイ展」が開催中
これも大いに興味はあるけれど、とても人気のようで混み具合が心配
マダムにセーヌ側の裏口が閉鎖されていて、入れないことを告げると、
「それは私にも分からない」という、まことにフランス女性らしい明快で論理的な返答が得られた。
でも、この先に警備員のいる出入り口があるから、そこで聞いてみたらとのこと。
それそれ、それだよ。 -
ということで、なんのことはない巨大な建物をぐるりと半周回ってようやく開口部を発見。
それにしても、なんとも立派な裏口じゃありませんか。 -
簡単な入館チェックを済ませて、いざ中へ
巨大な建築物だけあって奥の奥はずっ~と先
遮るものはないが、向こうまでは容易に見通せない。 -
通路を少し進んだ先の壁面に何やら書かれていた言葉。
「ようこそむき出しのグランパレへ」
ずいぶんしゃれた迎え方をしてくれるものだ -
こうした一般には目に触れない部分を観察するのが昔から大好き
料理屋へ行けば料理そのものより、職人の手元を見るのが好き
彫刻があれば裏へ回って制作の痕跡を探すのが好き
単に好奇心が旺盛ということになるのだろうが
ということで、今回も時間の約束がないのを幸い、本来の用事をそっちのけで梁だの柱だの、壁のうしろのレンガだのいろいろと観察してきた。 -
いつまでもうろつきまわっていると、警備員に咎められそうなので
本来の用事を済ませに階上へ。 -
さて、無事に用向きは済んで外に出ると雨はすっかり上がり、晴れ間がみえてきた。とはいえ、いつ急変するか分からない秋の天気だ。
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クレマンソー広場のド・ゴール将軍立像。
今年11月は、ド・ゴール没後50年になるというので、さまざまなイベントが予定されていたが現下の状況ではどうだろう
功罪評価は色々だろうが、やはり偉大な存在だ。 -
雨上がりのシャンゼリゼ大通りに出て、コンコルド広場に向かう
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紅葉の違いで樹木の種類が一目瞭然だ。
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コンコルド広場に到着。
コンコルド concorde とは「和合、融和」の意味
ここはフランス革命時にギロチン台が置かれ、ルイ16世やマリーアントワネットをはじめ多くの人が処刑された場所。
さまざまな怨念を捨て、共に手を携えようという願いを込めて -
今、広場の中心にそびえるのはオベリスク。
エジプトから贈られた「Luxor Obelisk(クレオパトラの針)」
少し離れないと全景がカメラに収まらない
正面のシャンゼリゼ通りの行きつく先には凱旋門が小さく見える -
人間との大きさ比較
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これほどしげしげとオベリスクを眺めるのは初めてだ。
そもそもわざわざオベリスクを見学に来た記憶もない。 -
冬になると止められる噴水も、今はまだ勢いよく水を放っている
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コンコルド広場に面するチュイルリー庭園からの眺望もなかなかのもの
エッフェル塔、グランパレ、凱旋門 等々
カメラを引けばすべてが一望できる
コロナの存在がなければ、ただただうららかな秋の日の午後の情景 -
やってきたのはこちら
キリコ展を開催中のオランジェリー美術館
今はどこの美術館も予約制で、決められた時間でないと入場できないのだけど、先日、年間会員パスを購入したおかげで予約不要かつ出入自由となった
もし、混んでいたら惜しまず退館し、出直せばよい -
オランジェリー美術館といえば、0階にあるモネの睡蓮の間が有名ではあるが、-2階の展示は20世紀初頭の名作揃いで、ルノワール、セザンヌ、ローランサン、マティス、ドラン、ユトリロ、スーティンなどのいずれも誰もがどこかで目にしたことのある絵ばかり。
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そして「パリの芸術」区画には、画商、収集家であったポール・ギョームのコレクションがずらりと並んでいる。
オランジェリー美術館の収蔵作品はポール・ギョームのコレクションが核的存在となっていると言っても良いのだろうが、収集作品の選択はギョーム・アポリネールのアドバイスが色濃く反映しているという。
ということはアポリネールの選んだ作品をわれわれは鑑賞しているということになるか -
そのポール・ギョームのお部屋がこちら
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居間も食堂も壁一面に”世界の名画”が並んでいる。
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実際はかっての部屋を再現したミニュチュアなのだが、実に精巧にできていて壁の絵のどの一枚もおろそかにしていない見事さ
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そのポール・ギョームはこんな人
モジリアーニの描いた「ポール・ギョーム」
オランジェリー美術館の館内マップの表紙絵にもなっている -
さて、キリコ展の会場入り口
Giorgio de Chirico ジョルジョ・デ・キリコ または ジョルジュ・デ・キリコ
形而上学の画家とある。
キリコの絵には一度見たら忘れない不思議さがある
なぜそうなのか、いろいろ解説はあるだろうが
あえて言えば、強烈な違和感、説明不能の不条理な世界
後味を引く不思議な感覚にとらわれてしまう -
キリコの絵と言ったら何をまず思い浮かべるだろうか
La tour rouge(1913) 「赤い塔」 -
vaticinateur (1914-1915) 「予言者」
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「幽霊」(1917-1918)
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「ギョーム・アポリネールの肖像」(1914)
無名であったキリコの作品は、ギョーム・アポリネールに見いだされ世間に注目されるようになった。
アポリネールの肖像画は、ピカソ、シャガール、マックス・ジャコブ、マリー・ロンランサン等が描いたものもそれぞれ知られているが、この作品は「予言的」な存在としても有名である。
この絵が描かれた2年後、第一次大戦に従軍したアポリネールはヘルメットを貫通した銃弾で頭部を負傷することになるのだが、作品にはその銃創部分にあらかじめ印がつけられていたという、まことに不思議な伝説をもっている。 -
Le Cerveau de l'enfant (Le Revenant) (1917)
「こどもの脳(幽霊)」
作品名を聞くとますます分からなくなる作品のひとつ
多くの画家がポール・ギョームの画廊にあったこの作品をみて大きな衝撃を受けたといわれている。
このあと1920年代からはキリコは古典に回帰し、作風はまったく別なものとなるのだが、一方で1910年代の作品のレプリカを大量に作り出して世間を混乱させる行動で物議を呼んでいる -
キリコに大いなる影響を受けたシュールレアリストたちの中心的存在のアンドレ・ブレトン
キリコの作品を背景に、写真家として成功したマンレイが撮影した「作品」 -
キリコ展会場に展示されていた Alberto Magnelli (1888-1971) の作品
Homme au chapeau (1914 )
「帽子をかぶった男」
キリコとの関わり合いはもちろん、アポリネール、ピカソ、マチス、レジェ、ジャン・アルプとの交友が知られている。 -
こちらも会場に展示されていた Carlo Carrà (1881-1940) の作品
Le fils du constructeur ( 1917- 1966 )
キリコとともに「未来主義」芸術運動をすすめたイタリア人画家である。 -
観覧者も多くないので、キリコ展のあとは、名作揃いの常設展示もゆっくりと堪能し、帰りはバスを利用することに。
コンコルド広場の一隅にある高級ホテル・クリオンの前で94番のバスを待ったがなぜか一向に来ない。
当日、市中で大規模デモがあるという予定を聞いていたので、バスがルートを変えた可能性がある。
やむを得ず、来た時と同じ28番を利用することにして、今度はシャンゼリゼ通りを凱旋門方向に向けて歩いて行くことにした。
昨年の歴史的交通スト以来、今では歩くことがまったく当たり前になって何の抵抗もないのだが、あれはコロナへの備えのひとつだったのだろうか -
15分ほどで帰路のバス停に到着
バス停前にあるのは「発見の殿堂」(Palais de la Découverte)
グランパレと背中合わせに在る有名な科学博物館であるが、入場したことはまだない。
考えてみれば、足を運んでいないパリ市内の美術館、博物館はまだまだある。
すべてを制覇しようなどと言う考えは毛頭ないが、こうした状況を逆手にとって見て歩くのも悪くはない。
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