2018/07/19 - 2018/07/19
3位(同エリア41件中)
かっちんさん
渡島半島西海岸の北檜山区新成「鵜泊(うどまり)海岸」では、花崗岩や「縞状ホルンフェルス」の岩場が見られます。
そして、北檜山から内陸部に入った今金町「住吉橋」付近では、後志利別川(しりべしとしべつがわ)の河岸に約1,500万年~500万年前の「黒松内層」と「八雲層」の異なった地層が露頭しています。
今日は「北海道地質百選」ホームページに掲載されているジオサイトから、上記2ヶ所を訪ねます。
NHK「ブラタモリ」ではまだ放送されていない地域なので、「ブラかっちん」が紹介します。
「鵜泊海岸」へのアクセスは、北檜山から渡島半島西海岸を南下する路線バス「太櫓線(ふとろせん)」を利用します。なお、翌年から事前予約が必要なデマンドバスに変わっています。
地層が露頭する今金町「住吉橋」は、北檜山と長万部を結ぶ路線バス「瀬棚線」の途中にあります。
今晩の宿は今金町の美利河(ピリカ)温泉「クアピリカ」に泊まります。
アイヌ語に由来する地名「ピリカ」は、先住民族であるアイヌ民族がかつて後志利別川流域に居住したことによります。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・せたな観光協会「太櫓海岸」
・北海道地質百選「北檜山 鵜泊の縞状ホルンフェルス」「今金 住吉橋の黒松内層と八雲層」
・書籍:北海道自然探検ジオサイト107の旅「水垂岬」「せたな鵜泊海岸」「後志利別川(住吉橋)」、北海道大学出版会
・成瀬健太ブログ、日本の過疎地「せたな町(北檜山町)日中戸」
・村影弥太郎の集落紀行「日中戸」
・いこーよ「DE・MOLEN いまかね(デ・モーレンいまかね)」
・今金町HP「今金町の概要」「今金町観光ガイド」
・クアプラザピリカHP
・檜山振興局「ピリカ温泉クアプラザピリカ」
・せたな町HP「せたな町の公共交通路線」
・歩鉄の達人「廃線探索 瀬棚線」
・緋山酔恭の山水石美術館HP「花石めのう」
・J-POWER「瀬棚臨海風力発電所」
・かぎけん花図鑑「アカバナルリハコベ」
・エバーグリーン植物図鑑「ノラニンジン」
・ウィキペディア「北海道道936号丹羽今金線」「花石駅」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
北檜山バスターミナル
今朝はここからスタートします。
昨晩は近くの三本杉岩の民宿に宿泊していました。 -
「鵜泊」行きバス(北檜山)
終点は「鵜泊団地」です。
では、8:37発のバスで出発します。 -
北海道の風景(車窓)
-
風資源を有効活用した「瀬棚臨海風力発電所」(車窓)
平成17年(2005)に営業開始したJ-POWER(電源開発)の2,000KWの風力発電機6基です。 -
太櫓川河口(車窓)
太櫓(ふとろ)川は曲線を描きながら海に注ぎます。 -
「太櫓海岸」(車窓)
太櫓から岩礁、岩壁が連なる海岸が続きます。
海に突き出ている「弁天岬」には、海の太平と豊漁を願い天保9年(1838)創立の「太櫓弁天・厳島神社」が岩上に佇んでいます。 -
「鷹の巣トンネル」(振り返りの車窓)
「鷹ノ巣岬」の岩壁を貫いた「鷹の巣トンネル」を通って来ました。 -
遠くに「鵜泊漁港」(車窓)
岩山に囲まれた「鵜泊漁港」が見えて来ます。 -
「鵜泊築港前」バス停で下車
北檜山から21分で到着。ここから歩きます。
終点の「鵜泊団地」は港から高台に上がったところにあり、集落の住民はこの高台に住んでいます。 -
漁船の停泊する「鵜泊漁港」
漁港からさらに先(南方向)へ進むと、「ホルンフェルス」の海岸があります。 -
漁具を収納する木造小屋(鵜泊漁港)
-
イチオシ
巨大な「立岩」(鵜泊漁港)
防波堤の先にある立岩を見ると、黒色泥岩中に白色の「アプライト」脈がゆるい傾斜で貫入しています。
「アプライト」とは花崗岩マグマから枝分かれしてできたものです。 -
夏の花「タチアオイ」(鵜泊漁港)
-
「ネコが横断します 徐行願います」の看板(鵜泊漁港)
「黄色い可愛いネコ」がいるのかな?と探してみたら、そばにいたのは「白黒のネコ」でした。 -
「縞状ホルンフェルス」の海岸(鵜泊海岸)
この海岸はバス停から約600m離れたところにあり、漁港を抜けた切通しの先です。
「ホルンフェルス」とは、地下において高温の熱源に接触し続け、変成した岩石(接触変成岩)のこと。 -
縞々の岩(鵜泊海岸)
鵜泊の「ホルンフェルス」は、砂岩を原岩とする石英を主体とする白色部と、泥岩を原岩とする黒雲母を主体とする黒色部の互層です。 -
互層状の「ホルンフェルス」(鵜泊海岸)
-
褶曲構造の「ホルンフェルス」(鵜泊海岸)
じっと見ていると、ライオンの顔が潜んでいるような・・・ -
イチオシ
縞模様で埋め尽くされた不思議な海岸(鵜泊海岸)
崖から落ちた「ホルンフェルス」の岩塊が点在しています。 -
漁具置き場(鵜泊海岸)
このあたりは漁具の置き場のようです。
道路のもう少し先には「水垂岬(みだれみさき)」があるので行ってみます。 -
新成~太田間のゲート(鵜泊海岸)
「新成」は「せたな町北檜山区」にあり、約10km離れた隣の集落「せたな町大成区」に「太田」があります。
現在、この間に集落が無く、しかも難所があったため、道路が正式に開通したのはつい最近の平成25年(2013)です。
ゲートが閉まっていますが、雨が降っていないので、少しだけ歩いてみます。 -
今までと違う景色(鵜泊海岸)
道路の先に見える「水垂岬)」まで、花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)が続きます。 -
イチオシ
切り立った板状の節理(鵜泊海岸)
岩体には複数の方向性をもつ節理(割れ目)が発達しています。 -
「ノハナショウブ」(鵜泊海岸)
浜辺には夏の草花が咲いています。 -
「エゾフウロ」(鵜泊海岸)
-
「クサフジ」(鵜泊海岸)
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「ツリガネニンジン」(鵜泊海岸)
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ニョキニョキ顔を出す岩(鵜泊海岸)
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「水垂岬」の岩礁(鵜泊海岸)
「水垂岬」に到着。
ここの岩礁は、ブロック状に割れる方状節理が発達しています。 -
小型の「水垂岬灯台」(鵜泊海岸)
-
黄色い「ミヤコグサ」(鵜泊海岸)
-
朱色の「アカバナルリハコベ」(鵜泊海岸)
ユーラシア大陸原産で、サクラソウ科の一年草の帰化植物です。 -
急峻な崖の下を通る「鵜泊覆道」(鵜泊海岸)
この先に、明治初期にニシン漁獲を目的に開基した「日中戸(にっちゅうべ)」という集落があったのですが、昭和38年(1963)の集中豪雨により甚大な被害を受け廃村となりました。
覆道まで行かずに、ここで戻ることにします。 -
羽根を広げ「魅せられて」を歌う「ウミウ」(鵜泊海岸)
歌うと同時に濡れた羽根を乾かしています(笑) -
イチオシ
綺麗な「ノラニンジン」(鵜泊海岸)
茎先に複散形花序を出し、白色または淡い紅色や紫色を帯びた花を多数密につけます。
花は小さな5弁花。
花序の基部には糸状に細く裂けた苞があり、花後には直立して花序を包みます。 -
草木に囲まれた「鵜泊築港前」バス停(鵜泊海岸)
降りたバス停に戻って来ましたが、帰りのバスまで2時間もあるので、次のバス停まで歩くことにします。 -
ややっ、「ゴリラ岩」(鵜泊海岸)
勝手に付けた名前ですが・・・ -
お隣の集落は「良瑠石」(鵜泊海岸)
難読地名の「良瑠石」は、「らるいし」と読みます。 -
「良留石」バス停
あれれ、文字が「瑠」ではなく「留」。 -
岩壁の間を登る「鵜泊行き」バス(良瑠石)
このバスの折り返しが帰るバスです。 -
海岸線を走る「北檜山行き」バス(良瑠石)
ようやく帰りのバスに乗れます。 -
バス停に夏ダイヤ案内の取付(車窓)
「高山下」バス停では、運転手がバスを降りて看板を取り付けています。
明日(7/20)から学校の夏休みが始まるので、朝一番の檜山北高校行き運休のお知らせです。 -
イチオシ
面白いシャッター(北檜山)
北檜山に到着。次のバス発車まで町なかをブラブラ。
メガネ屋さんの広告が面白く、立ち止まってしまいました。
「当分の間、休みます」の貼り紙があり、メガネの相談に行けませんが・・・ -
面白いシャッター(北檜山)
ちょっと無理やりなところもありますが・・・ -
「北桧山」バス停(北檜山)
14:30発の長万部行きバスに乗り、今金(いまかね)方面へ向かいます。
路線バスは昭和62年(1987)に廃止となった国鉄瀬棚線とほぼ同じようなルートを通ります。 -
「ギャンブレル屋根」の家屋(車窓)
屋根が外側に向かって二段階に勾配が急になっている「ギャンブレル屋根」。
雪の多い北海道でよく見かける建物です。 -
風車の「デ・モーレンいまかね」(車窓)
旧国鉄瀬棚線今金駅の跡地に建設された建物です。
内部には今金町商工会、観光協会などが設置されています。
オランダ語で「風車」を意味する「デ・モーレン」から付けられた建物です。
「今金町」は、西側の日本海に面した「せたな町」、東側の内浦湾に面した「長万部町」に挟まれた内陸部にあります。 -
「住吉橋」バス停
後志利別川に架かる「住吉橋」を渡り、ここでバスを降ります。
ここは旧国鉄瀬棚線のルートではなく、集落の点在する後志利別川沿いの道道936号(旧国道230号)です。
住吉橋付近では、北海道南部の新第三紀の代表的な地層である「八雲層」と「黒松内層」を間近に見ることができます。 -
後志利別川と「黒松内層」(住吉橋)
住吉橋上から見える白っぽい岩盤は、厚い板状の地層「黒松内層」です。
「黒松内層」は、中新世紀後期~鮮新世紀の凝灰質シルト岩および凝灰質砂岩からなり、海底火山の周辺に堆積したものです。 -
さらに上流に「八雲層」(住吉橋)
河岸の灰白色と茶色の細かい互層が「八雲層」の硬質頁岩泥岩互層です。
「八雲層」は、中新世紀中期~後期の硬質頁岩を主体とする海成の地層です。 -
住吉橋を渡る北檜山行きバス(住吉橋)
バスの通過時刻に川沿いの土手から眺めています。 -
堰と魚道(住吉頭首工)
「後志利別川」は全国の一級河川で毎年行われている水質調査で、過去十数度「日本一きれいな川」に選ばれている清流です。
川の名前は、アイヌ語の「ツウシベツ」(山の走り根・大きい・川)あるいは「トゥッ・ペッ」(縄・川)によったものと考えられています。
十勝地方の利別川と区別するため「後志」を冠したものです。
魚道には石をいくつか置き、水の流れを変えて魚が登りやすいようになっています。 -
イチオシ
大古の地層が露頭(住吉橋)
水面の上に見える灰白色と茶色の細かい互層の「八雲層」。
その上に暗灰色のブロック状の「黒松内層」が重なり、二つの地層の境界が容易にわかります。 -
茅葺屋根の建物(花石付近の車窓)
再び長万部行きバスに乗り、美利河へ向かっている途中で見つけました。
住吉橋の滞在時間は1時間40分ほどで、ゆっくりと地層が眺められました。 -
ヨーロッパの古城のような「クアプラザ」
今晩の宿です。路線バスの運転手に宿泊することを伝えておくと宿の前を経由してもらえます。
後志利別川流域には、かつて先住民族であるアイヌ民族も居住しており、現在も「美利河(ピリカ)」や「カニカン」などアイヌ語に由来する地名が数多く残されています。
バス道の近くには平成3年(1991)に竣工した道南最大の「美利河ダム」があります。 -
メノウ石(クアプラザの展示)
かつて旧国鉄瀬棚線に花石駅があり、この周辺でメノウを多く産出していました。
花石の駅名や地名は、メノウの美しさを花にたとえています。
「花石メノウ」は、明治時代に日本で流通するメノウの95%を産出していましたが、その後ブラジル産の安いメノウが現れ、現在は採掘していません。 -
夕食(クアプラザ)
緑に囲まれた露天風呂で汗を流し、夕食を美味しくいただきました。
今日は二つのジオサイトを訪れ、火山活動の歴史を間近で感じることができました。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (2)
-
- tabinakanotaekoさん 2020/06/16 05:45:26
- ブラかっちん、楽しかったです!
- かっちんさん、
旅行日時を見たら2年前の来月、コロナ自粛がやっと緩まってきましたが、まだ旅ができるまでにはなりません。
ブラかっちん編、面白くて何度も戻りながら読みました。地層や岩石の名前は聞いても覚えられないですが、何億年もかけて形作られてるというところ好きでプラダモリのファンです。
かっちんさん命名の「ゴジラ石」、私は「けんこつ石」にしたいなと思いました。「じゃんけんグー」でもいいかな。
taeko
- かっちんさん からの返信 2020/06/16 17:41:31
- RE: ブラかっちん、楽しかったです!
- taekoさん
こんにちは。
ブラかっちん編をご覧いただき、ありがとうございます。
地層や岩石を見るだけの1日でしたが、長い歴史を経て地上に姿をあらわしていることは凄いことです。
専門家の詳しい説明を載せていますが、私も何となく理解できる程度です。
「げんこつ石」、「じゃんけんグー」のネーミングもいいですね!
かっちん
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