2013/06/17 - 2013/06/26
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SamShinobuさん
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中国一人旅の始まりである。今回は清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀や張作霖の足跡をたどりつつ、満州時代の建造物を見ながら、満鉄が経営していた旧ヤマトホテルを泊まり歩く旅を実現させることができた。10日間かけて、東北3都市を満喫した。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.5
- ホテル
- 5.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 3.5
- 交通
- 3.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 鉄道 タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
成田から瀋陽桃仙国際空港へ
10時10分に成田空港を飛び立った全日空NH925便は、シートモニターがなかったので機内唯一の楽しみである映画を見ることができず、オーディオプログラムで落語をずっと聴いていた。ANAのチケットは、ぎりぎり残っていたマイレージで手に入れた。
12時40分に瀋陽桃仙国際空港に着くと、あの何とも懐かしい中国の匂いが鼻をくすぐる。毎回ここに帰ってきたと実感する瞬間だ。 -
空港に一つしかない「中国銀行」の両替所で両替しよう。窓口には4~5人並んでいたが、いくら待っても全く進まない。何ごとかと思っていたら、なんと両替する現金が足りなくなって、金庫の鍵を持っている責任者を探しに行っていた。さすが中国、いきなりこれか!
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瀋陽桃仙空港はちょうど新ターミナルを建設しており、大規模な工事の真最中だった。
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タクシーに乗り込み、空港内の凸凹で埃だらけの道を抜け高速道路に入ったかと思うと、いつものことだがF1レーサー並みの荒い運転が始まる。どうしたらここまで無謀な運転ができるのかと呆れるほど、急ハンドル急ブレーキは当たり前で、少しでも遅い車があると、クラクション鳴らしまくって威嚇する。
空港から約50分でホテルに着く。タクシー料金は66元、高速代5元、燃油サーチャージ1元の合計72元だ(1,150円)。 -
遼寧賓館(旧奉天ヤマトホテル)1泊=6,400円(朝食付き)
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チェックイン後、早速ホテル内を隈なく見て歩く。まさに探検家の気分だ。1927年に創建された、歴史という名の風格と威厳のあるホテルだ。
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客室。ホテルは4階建てだが、客室は3階まで。
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客室。
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すべての部屋の前を歩いてみたが、毛沢東、周恩来、張学良らが宿泊した部屋の前にはプレートがあった。
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1階にはかつて李香蘭(山口淑子)が歌った舞台のあるホールがある。扉は閉まっていたが、ホテルの従業員にお願いして中に入れてもらった。一瞬満州時代にタイムスリップしたような錯覚を覚え鳥肌が立つ。ここまで古くなっても、よくぞ当時のまま残してくれたものだ。
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舞台のあるホール。
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ロビーにある1850年製のピアノ。
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創業以来ずっと回り続けているエントランスの回転ドア。
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天井のシャンデリアや階段のステンドグラスひとつとっても、それぞれが刻んできた時の重みにうっとりした不思議な気分になる。
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至福のホテル探索を満喫した後、街に繰り出すことにした。
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ホテル前は中山広場という直径90メートルの公園になっており、毛沢東の巨大な像が立っている。
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この広場の周りはロータリーになっており、信号は無いので渡るのは命がけだ。この辺りは日本人が設計し作り上げた街なので感慨深い。とりあえず瀋陽の駅に向かって歩き出す。
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すると、いきなり牛丼の吉野家に出くわす。まだ3時半だったがちょっと小腹が空いたので入ってみた。中国の吉野家に入るのは初めてだ。
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注文はマクドナルドのようにカウンターでする。「小」が日本の並と同じ位の量だ。味噌汁とキムチがついて21元。それに生卵(1元)を付けて、合計22元(350円)。
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米が少し硬かったのと、卵の黄身が薄い黄色(何故か中国の卵はみんな同じように薄い)だったが、味は全く吉野家だった。中国進出、本当によく頑張った、吉野家! それから工事中の瀋陽駅まで歩いたが、その間になんと「吉野家」を先程の店とは別に2軒も見つけた。どんだけ、進出しとるんじゃ!
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工事中の瀋陽駅。
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謳迪足道(マッサージ)
ホテルから5分位の所に、マッサージ屋を見つけた。足裏中心の全身マッサージのコースをお願いしたら、90分86元(1,380円)だった。かなり歩いた後だったので、足裏マッサージが効いた。 -
居酒屋千秀
夕食はホテルの近くの居酒屋に行った。日本料理店が少ない瀋陽では貴重な店のようで、すぐ日本人でいっぱいになった。カウンターの隣りで飲んでいた駐在の日本人2人と知り合いになる。東北地方を旅行しているというと珍しがられ、「何か困ったことがあったらいつでも電話して」と名刺をくれた。瀋陽には日本人は500人程度しか住んでいないそうで、皆お互いに助け合って生活しているようだった。早速、ハルビン行きの列車の切符は当日でも駅で買えるか聞いてみると、希望する列車に乗りたかったら、前もって買っておいた方がいいとアドバイスを貰う。 -
2013年6月18日
ホテルのビュッフェは酷い代物だった。まともに食べられたのはトーストくらい。中華の点心は不味いし、コーヒーは砂糖、ミルク入りのインスタント。オレンジジュースはHOTだった。 -
昨夜、居酒屋でシャツを汚してしまったので、ホテルのクリーニングに出すことにした。部屋に申込書があって、それによると朝10時までに出せばその日中にできると書いてある。早速フロントに持って行くと、フロントの女性は「今日中にはできない」と素っ気ない。申込書を見せてここに英語で書いてあるよと言うと、同僚に聞きに行き随分揉めた後、結局出来ることになった。おいおい!
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明日のハルビン行きの列車「和諧号」の切符をホテルで取ってもらおうと、先程と同じ女性に頼んだ。案の定、速攻で「出来ない」と言う。ただクリーニングの件があったからか、申し訳なさそうな顔をしているので、どうしたらいいか尋ねると、近くに鉄道の切符の取扱所があるからそこに買いに行ったらどうかと、かなりテキトーな地図を書いてくれた。抽象画のような地図を見ながら、勘を頼りに5分位歩くと立派な取扱所を見つける。そこで今回の旅行で必要な列車の切符を、3枚全て買うことにした。ホテルや旅行社に頼むと、1枚につき手数料として50元かかるらしく、ここでは1枚につき5元の手数料だったのでかなり節約できた。購入にはパスポートが必要で、貰った切符にはそのパスポートナンバーが印字されていた。
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太原街駅から地下鉄1号線に乗って中街駅へ。
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地下鉄は例によってⅩ線の手荷物検査があったが、ラッシュ時にいちいちこんな検査をしていたらどうなるのか、いつも不思議だ。中街までは、2元(30円)。
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中街は故宮の街だ。と言っても、いにしえの奉天城内旧市街の面影はほとんどなく、ショッピングタウンとなっている。
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ここも大工事をしており、目抜き通りの路面を掘り返しているので凄い埃と騒音だ。なんでも今年の中国全国運動会(日本でいうところの国体)が夏に瀋陽で開催されるため、街中突貫工事で整備しているそうだ。
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瀋陽故宮博物院(入場料60元)
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瀋陽故宮博物院
1625年に創建され、清朝太祖ヌルハチ、二代皇帝ホンタイジが住んだ宮殿。 -
瀋陽故宮博物院
大政殿に向かい左右対称に十軒の方形亭が並んでいる。 -
瀋陽故宮博物院
方形亭の一つに八旗が飾ってあった。前から八旗制度の旗を見たいと思っていたので、実物を見られて嬉しい。 -
瀋陽故宮博物院
三代皇帝順治帝が生まれた部屋には弓矢が飾ってあり、清朝を建国したとはいえ、もとは東北を駆け巡る騎馬民族だったことが窺い知れて興味深かった。 -
全体の作りは、北京の故宮(紫禁城)を10分の1以下に縮小した感じで、見て回るにはちょうどいい大きさだ。
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ケンタッキー
お昼になったので、どこで食事をするか随分さまよい歩いた。ようやくケンタッキーを見つける。 -
ケンタッキー
チキンバーガーとチキン2ピース、コーラのセットを頼んだ。合計19.5元(310円)で、苦手な八角の心配をせずに安心して食べられただけでも、美味しく感じた。 -
張氏帥府博物館(入場料60元)
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張氏帥府博物館
辛亥革命の後、袁世凱が政権をとっても、東北地方は張作霖が実権を握っていた。その張作霖と息子張学良の邸宅だ。創建は1914年で、さすが東北王だった張作霖の家だけあって立派な作りをしている。 -
張氏帥府博物館
張作霖は、1928年に蒋介石との軍事衝突を避けて瀋陽に帰る途中に、関東軍によって爆殺された。 -
張氏帥府博物館
東北王から万里の長城を越えて、中国統一という張作霖の夢に思いを馳せると、二進院の入り口にかかる「望重長城」の額が泣かせる。 -
遼寧賓館のカフェ
かなり歩いて疲れたので、ホテルに戻りロビーでビールを飲んだ。時の止まった様なホテルで、歴史の染み込んだ空気を肌で感じながら飲むビールは「雪花ビール」だ。2.5%の薄いビールだが、今日は30度近い気温なので、水代わりに渇いたのどを潤すには丁度いい。 -
ロビーにはホテルに宿泊した著名人のプレートが貼ってあり、蒋介石や愛新覚羅溥儀の名前もあった。
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西塔
昨日のマッサージ店にまた行き、その後タクシーでコリアタウンの「西塔」に行った。街はハングル文字であふれ、朝鮮の食材を扱う市場や朝鮮レストランが数多くある。 -
新羅城(韓国料理)
韓国焼肉屋に入ってみた。 -
店員は皆中国人だが、あまり自分の中国語が通じない。とりあえず牛肉、イカ炒め、水キムチを頼んだ。店の子は日本人が珍しいのか、他の店員たちとこちらをチラチラ見ている。一瞬反日ムードなのかと心配したが、自分が中国語が分からないと思ったのか、日本人っていいねというようなことを大声で話していた。
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そこにきたのが、すでに焼いて皿に乗っている肉だった。てっきりテーブルで焼肉ができると思っていたのでちょっとがっかり。でも、キムチと一緒にサンチュで巻いて食べたらとても旨かった。
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イカ炒めもとても辛くて、韓国で食べるのと変わらない味だったので満足した。
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昨日居酒屋で貰った日本人向けのフリーペーパーを見て、日本領事館近くのBAR「Deep’s bar」に行った。マスターひとりのカウンターバーだったが、東京に9年間住んでいたという夏マスターは日本語ぺらぺらで、話していて面白かった。青山でマッサージ師をしていたそうで、また日本に行きたいと言っていた。ジャックダニエルを2杯飲んで、別のバーをはしごする。
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すぐ近くに「街角」という店があり、こちらもフリーペーパーに広告が出ていたので入ってみる。女性4人がカウンターの中にいて、どちらかというとスナックっぽい。「安く飲める?」と聞くと、ママが「ボトルを入れたら、チャージ80元です。でも、初めてなら、飲み放題150元でも構いません」というので、飲み放題にしてもらった。この店で知り合った駐在2人と意気投合し、気が付くと一緒にカラオケを歌いまくっていた。ハルビン、長春に行った後、また瀋陽に戻ってくると話すと、「ではそのときこの店でまた会いましょう」と言われ、再会を約束してホテルに帰った。
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2013年6月19日
瀋陽北駅へ
昨夜のスナックで知り合った駐在の人が、地下鉄で行ったら瀋陽北駅には入れないと教えてくれたので、ホテルからタクシーで向かった。 -
この駅は中国が威信をかけて作った新幹線の駅なのでまるで空港のようだ。そのためか中国で鉄道に乗るストレスは全く感じられない。待合所は広くて清潔で、吉野家、ケンタッキー、マクドナルドなどレストランがたくさんあり、一瞬(ほんの一瞬だが)ここが中国だと忘れてしまいそうになる。
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新幹線・和諧号
10時02分に瀋陽北駅を出た高速鉄道G65は、時速300km以上で荒野を走り抜ける。二等座席でも245元(4000円)もするだけあって実に快適だ。 -
車窓からは東北地方の肥沃な土地が広がり、田植えが終わったばかりの水田や畑が果てしなく続いている。まるで北海道のような景色だ。時々線路近くに小さな村を見つけたが、そこにはかつて日本人も多く住んでいたと思われる。というのも、満州国建国以前から南満州鉄道の線路に沿った土地は「鉄道付属地」として日本の租界のようなものだったからだ。また同じく線路沿いに朽ちた無縁墓が点在していたが、中には日本人のものもきっとあるのだろう。そんな墓地を眺めながら、戦前満州に渡ってきた大勢の日本人や、戦後は中国残留孤児としてこの大地で必死に生きてきた人々に思いを馳せる。ふと隣りの太った中国人を見ると、座席下のコンセントから電源をとって、タブレット端末でずっと日本のアニメを見ているオタクっぽい青年だった。70年前ここには日本人が独立国家と言いながら実質植民地化していた満州国が存在していた。今、当時と殆ど変わらない自然が広がる大地を、新幹線の中から日本のアニメ好きな中国人の横で眺めていると、何とも不思議な気分になる。
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ハルピン篇に続きます。
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