シチリア島をぐるりと一周

2011/12/29 - 2012/01/02

新型コロナウイルスで旅行が困難になりました。徒然なるままに、以前行った旅行を記憶を辿りながら纏めてみました。

2011年の年末にマルタ島とシチリア島を訪問しました。地中海の中ほどにあり、先史時代から多くの人々が海洋交易の中継地として利用してきた島です。古代ギリシャ、ローマ時代の遺跡も残され、地中海交易で栄えていた時代に建造された見事な大聖堂もありますので、前から行ってみたかった場所です。

コゾ島とマルタ島の観光を終え（https://4travel.jp/travelogue/11625628）、マルタ国際空港からマルタ航空KM0642便でシチリア島のカターニア・フォンターナロッサ空港に移動しました。空港でレンタカーを借り、時計回りでシチリア島を一周します。最初の目的地は、カターニャ南方70kmにあるシラクーサです。

エリア シチリア島(イタリア)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• ホテル: 4.0
• グルメ: 4.0
• 交通: 3.5

• 同行者: カップル・夫婦
• 交通手段: レンタカー 徒歩
• 航空会社: マルタ航空 ルフトハンザドイツ航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

12月30日
カターニャ空港から車で1時間ほど走って、シラクーサの町に到着しました。町の西方にあるネアポリス考古学公園を訪問しました。ギリシャ、ローマ時代の遺跡が多く残されています。

公園入口にある「イエロンII世の祭壇, Altar of Hiero II」で、紀元前3世紀にイエロンII世王が作ったものです。幅22ｍ、長さ198mもあり、古代に建造された祭壇のなかで最大だそうです。オリンピアのゼウス神のお祭りで使用されました。

ヒエロン2世の祭壇 史跡・遺跡

コーダリ洞窟は石切り場の後にできた空洞で、保管庫として古代から使われてきたところです。切り出した石材は、教会などの建造物素材として活用されたそうです。

天国の石切り場 史跡・遺跡

同じような洞窟が近くにあり、こちらは「ディオニソスの耳」と呼ばれています。シラクサの専制君主ディオニシウスが洞窟を建設したと伝えられ、洞窟内の音響効果が良くて耳の形をしていることから、名づけられたものです。

ディオニュシオスの耳 史跡・遺跡

洞窟内部です。確かに音が大きく響き、音響効果は抜群でした。

紀元前5世紀の古代ギリシャ時代に建造された劇場です。ローマ時代に改装されて、使われ続けたそうです。ギリシャ人、ローマ人は演劇好きで、彼らが構築した大きな都市には殆どこのような劇場があります。

ギリシャ劇場 劇場・ホール・ショー

ギリシャ劇場から徒歩数分のところに、シラキュースのローマ円形闘技場があります。結構大きな闘技場です。

古代ローマの円形闘技場 史跡・遺跡

シラキュース歴史地区のオルディジャ島の港です。島の先端付近にある「アレテュサの泉」を見てみたいと思いました。淡水が湧き出ている泉は、多くの文学作品に登場し、また「パピルス」が自生していることでも知られています。
「パピルス」は古代エジプト時代から「紙」の原料として使われてきた葦で、これまで見たことが無かったので、見てみたいと思いました。

アルテミスの泉 建造物

「アレテュサの泉」の名称から、清水が滾々と流れ出る綺麗な泉が想像されますが、実際は泉というより溜池のような水場に葦が茂ってるだけでした。美しい訳ではありません。

アルテミスの泉 建造物

これが「パピルス」です。多分、太い茎を切り裂いて伸ばし、紙に加工するのではないかと思います。

「アレテュサの泉」の近くにシラクーサ大聖堂があったので、立ち寄りました。教会の創立は紀元前5世紀まで遡りますが、現在の大聖堂は7世紀に建造され、1753年に再改修されたもので、2005年にユネスコ世界遺産に指定されています。コリント様式の優美な石柱が目を引きます。

ドゥオーモ 寺院・教会

大聖堂の内部です。バロック様式の装飾が施されています。

色大理石を組み合わせて造られた床、見事です。

シラクーサ旧市街の通路は、中世の雰囲気を感じさせてくれます。

オルティージャ島 散歩・街歩き

シラクーサの町を出る際、教会遺跡があったので立ち寄ってみました。サンジョヴァンニアッレ・カタコノベ教会で、現在は教会として使われていませんが、古代ローマ時代からの地下式墓地があります。現在、地域博物館として公開されており、入場料を払えばカタコンベ（地下墓地）を見学することができます。

サン ジョヴァンニ エヴァンジェリスタ教会 (カタコンベ) 寺院・教会

シチリア島南部を走る道路を進んで、ローマ時代の遺跡が残されていることで有名なアグリジェンドに来ました。この町のホテルに宿泊しました。アグリジェンド旧市街は丘上にあります。

アグリジェント 散歩・街歩き

12月31日
古代ギリシャ時代遺跡が散在する「考古学・神殿の谷公園」は海岸に近い田園地帯にありました。公園内を進むと、見事な建造物遺跡がありました。保存状態が最も良好なコンコルディア神殿です。

コンコルディア神殿 史跡・遺跡

ドリス式の巨大な柱に支えられた神殿は、紀元前５世紀後半に建造されています。2500年前に造られたものですが、保存状態が良好で、近くで見上げると迫力を感じます。

ヘラクレス神殿は、数本の柱しか残されていません。ただ周辺に崩れ落ちた神殿の石材が沢山転がっていました。コンコルディア神殿と同様の大きな神殿であったことが伺われます。

エルコレ(ヘラクレス)神殿 史跡・遺跡

「アグリジェンドの考古学地域」は1997年に世界文化遺産に登録されています。遺跡の保存状態が比較的良く、古代ギリシャ文化を象徴する遺跡として、確かに文化的価値は高いと思います。

神殿の谷 城・宮殿

４本の柱に支えられた重そうな石材が残されているのは、「カストレ・ポルーチェ神殿」です。シチリア島は地震がないので、今日まで残っているように思います。地震が頻繁にある日本なら、このような不安定な遺跡が残っているのは考えられません、

考古学地区 史跡・遺跡

考古学公園は、「神殿の谷」と呼ばれていますが、沢山の見事な神殿遺跡が残されています。比較的狭い地域に、幾つもの巨大な神殿を建設した古代ギリシャ人（？）のエネルギーに驚かされます。

アグリジェントの遺跡地域 史跡・遺跡

海岸に近い丘陵にも神殿遺跡がありました。アグリジェンドの考古学公園は、この他、寺院跡や古代の墓などギリシャ、ローマ時代の遺跡が一杯あります。短時間で全てを見るのは困難なように思います。

シチリア島南岸の道路（SS115)を車で走ると、次々に小さな村に出会います。海岸の景色の良い場所にあったレストランで、遅めの昼食をとりました。マリネッラという小さな港がある村で、ここにも神殿遺跡（セリヌンテ寺院, Templi di Selinunte)が残されています。

カニ入りシーフードスパゲッティー、なかなか良好な味でした。大きな町のレストランに比べて安価で、分量も多く、お得感があります。

家内が注文した貝類やエビの入ったスパゲッティーです。美味しい、と満足そうでした。我々は利用した際（2011年12月）のレストラン名はLa Conchigliaでしたが、グーグルでチェックするとレストラン名がU Cuzzaru di Selinunliに変わっていました。経営者の交代で店名称が変更になったようです。現在も海鮮料理が専門と表示されています。

島の海岸沿い道路を進み、今夜の宿泊地パレルモに到着しました。ホテルは、パレルモ・ヨットハーバーに面した５星ホテルです。2011年12月はヒルトン経営のホテルでしたが、現在は別経営のグランドホテル・ヴィライエシナ・パレルモに変わっています。

Rocco Forte Villa Igiea ホテル

とても豪勢なホテルです。最安価格の部屋でしたが、ホテル設備が超一流で、泊まるだけではもったいない感じでした。
ホテル駐車場には高級車が沢山停まっていました。我々の小型車レンタカーを乗り入れましたが、場違いな場所に駐車したように感じました。

Rocco Forte Villa Igiea ホテル

ホテル海側に広大な庭園があり、ヨットハーバーも庭の一部のようでした。

1月1日
パレルモ旧市街中心部にあるマッシモ劇場です。映画ゴッドファーザーPart3の舞台になった場所で、家内はこの場所が見れたことに感激していました。赤色と白色の花で新年の飾りつけがしてありましたが、門が閉められ、内部見学はできませんでした。

マッシモ劇場 劇場・ホール・ショー

プレトリアの噴水です。中世（1584年）建造の、見事な彫像がある美しい泉で、観光客に人気の場所ですが、新年早々であったためか人出は少な目でした。後方の建物はプレトリオ宮で、現在はパレルモ市役所として使われています。

プレトーリアの噴水 建造物

パレルモ大聖堂に行ってみました。正式名称は聖母被昇天大聖堂（Metropolitan Cathedral of the Assumption of Virgin Mary)で、12世紀以来、継続的に修復され、現在の建物は18世紀に改修された状態だそうです。ローマンカトリックの大聖堂です。

パレルモ大聖堂 寺院・教会

大聖堂の内部です。シチリア王や関係者が埋葬されています。

パレルモ大聖堂 寺院・教会

パレルモからシチリア島東岸のナクソスに向かって山中の道路（A19)を走っていると、山の上部に中世風の町がありました。見晴らしも良さそうでしたので、寄り道をして行ってみました。 エンナ（Enna)はエンナ県の首都で、長い歴史もあるようです。クネクネの狭い山道を進むと、山の頂上付近に城壁があり城跡が残されていました。東方に見える雪に覆われた山は、シチリア島最高峰のエトナ山です。

ロンバルディア城 城・宮殿

山頂の城跡から360度の景観を楽しむことができました。エンナは車がないと来れないような場所ですが、とても素敵な観光スポットだと思います。
中世時代建造の小さな家々が並ぶ旧市街にも見所が沢山ありますが、ゆっくりと見学するだけの時間的余裕がありません。市内見学をスキップして、今夜のホテルを予約してあるナクソスに向かいます。

ナクソス(Naxos)はシチリア島東部の海岸に面した保養地で、海岸沿いに沢山のホテルがあります。ここで1泊します。シーズンオフなので観光客は少な目で、ホテルの値段もオフシーズン価格でした。

Moxy Karlsruhe ホテル

ホテルは海沿いの景色の良い場所にありました。

Moxy Karlsruhe ホテル

1月2日
今日はシチリア島からローマまで移動する予定ですが、航空便出発は夕方ですので、その前にエトナ山に登ってみることにしました。エトナ山中腹までホテルから約50km、1時間ほどのドライブでした。
冬季オフシーズンでしたが、登山道路の終点にあったお店やレストランは開いていました。でも観光客は少な目です。

山腹に雪が積もり、リフトもあります。

リフトに椅子は取り付けられておらず、休業状態です。スキーもできそうですが、スキー場としては運営されていません。でも景観は良好です。

エトナ山頂が見えました。雪を踏みしめて登っていく若者もいましたが、皆、途中から引き返していました。登山に対する注意書きも見当たりませんので、冬のエトナ山では自己責任行動が求められているようです。

空気が澄み切っていて視界がクリアーです。遥か西方に昨日訪れたエンナの山並みが見えました。天気が良ければ、エトナ山中腹からの景観、絶景です。

この後、50km南のカターニャ空港でレンタカーを返却し、夕方のアリタリア航空(AZ1750)でローマに移動し、ローマ空港のホテルに宿泊後、ルフトハンザ機（LH1843, LH714)を利用してミュンヘン経由で帰国しました。
シチリア島の周遊旅行、駆け足気味の慌ただしいレンタカーの旅でした。シラクーサ、アグリジェンド、パレルモなど以前から見てみたいと思っていた歴史遺跡を見学でき、充実感のある周遊旅行であったと思います。年末年始の冬季オフシーズンでも、天候に恵まれ易くて気温も程々の地中海の観光地旅行、お薦めです。