2020/05/11 - 2020/05/28
1137位(同エリア17084件中)
ばねおさん
2020年5月11日、約2か月に及んだフランスの外出禁止規制が解除となった。
誰もがこの日を待ち望んていたに違いないのだが、目に見えぬウイルスの存在を考えると手放しで喜ぶ気持ちにはなれない。
特にグリーンゾーンにならないパリではなおさらだ。
100km以内であれば自由に移動ができるようになったとはいえ、カフェやレストランの店内営業は禁じられ、映画館、美術館などは依然として閉鎖されている。
ブローニュやヴァンセンヌの森などは開放されたが、市内の公園は立ち入り禁止になっている。
さて、5月11日に解放感に満ちた人々のとった行動は、案の定というべきかまさに弾けてしまった。
セーヌ河岸、サンマルタン運河にはどっと人が押し寄せ、ソーシャルデスタンスなんぞ何のことか
マスクも着けず、肩を寄せ合い語らうグループや、楽器にダンス、持参したシャンパンやワインで乾杯する光景がTVで報道された。
翌日にはただちに警察の規制が入ったが、これまでの禁足生活から脱した喜びを爆発させる気持ちはまあ分からなくもない。
ましてやラテン民族の血を受け継ぐフランス人にはごく自然な行動なのだろう。
彼らにとっては外で初夏の日光を浴び、公園で語らい、ピクニックやサイクリングに出かけることは食事と同等に大事なことであり、夏のヴァカンスをいかに過ごすかが解放後の最大のテーマなのだ。
6月にはカフェ、レストランの段階的営業再開が予定されているが、今や新しい生活ルールが至る所に出現しており、このままのスタイルで観光再開とでもなればガイドブックの「現地の習慣、マナー」の部分は改訂が必要になるに違いない。
建物や店舗の入り口には路上に等間隔の線が引かれ、出入りの別を守り、入場あるいは入店の際には消毒ジェルを手指に擦り付け、店内では矢印に従って一方通行で進む。
透明のアクリル板で囲まれたたレジ係とやり取りし、会計は極力カードを用いて非接触型のカード読み取り機で精算する、という具合だ。
カフェやレストランも席を間引くだけでなく、店内では個々にアクリル製の仕切りで囲ったブースの中でマスクを外すことを許され食事をすることになるかもしれない。
小さなテーブルを囲んで、お互いの肘がつきそうなくらいの距離で時間を過ごすビストロやカフェのかっての光景はいつ戻るだろうか。
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
いよいよ迎えた5月11日の「解放日」。
各地の情景をTV各局はトップニュースとして取り上げていた。
特にセーヌの河岸や、森のピクニック風景など好天にも恵まれたため人々がどっと繰り出した様子が映し出されていた。 -
中でもサンマルタン運河の密集ぶりは、各局が繰り返し放映していたが、昨日までの生活がまるで別世界のできごとであったかのような賑わいをみせていた。
マスク姿はほとんどなく、お互いに肩を抱かんばかりの距離でおしゃべりに興じ、中にはシャンパンやワインを持参して乾杯するグループもあったという。
まさに解放感に満ち溢れた喜びの光景なのだが、これはやはりどうにも受け入れがたい。 -
理美容院も営業が再開されたので、翌12日にはおよそ3か月振りに散髪をしてもらったが、店でもこのサンマルタン運河の出来事がもっぱらの話題であった。
-
ある程度予想していた出来事とは言え、ここまでとなるとまさに「サンマルタン運河事件」であり、翌日にはただちに規制が入った。
運河には警察がボートを浮かべ、一定以上の人数が集合していないか、距離は保っているか、酒をもちこんでいないかを監視し取り締まりにあたることになった。
アルコールは禁止となり、違反者には罰金が科せられることとなった。 -
その結果は、見ての通りとなった。
-
こちらが前日の光景
とても単純でわかりやすい比較だ -
5月18日にはオペラ通りにある銀行へ行く用事があって久々にバスを利用した。
交通ストが行われていた昨年12月下旬に、数少ない運行バスに乗ったのが最後だったと思うので、ほぼ5か月ぶりになる。
バスの利用にも新たなルールが始まっていた。
まず、運転席側の乗車扉は開かない。
後部扉からの乗り降りだけになったので、連結車両でないバスでは降車専用口から乗車することになる。
そして車内のシートにはひとつおきに着席不可のシールが貼られていて、乗客が隣同士あるいは前後に座らないようにしている。 -
床には立ち位置を指定するシールまで貼られていて、お互いの距離が保てるように工夫されている。
確かに個々の判断に任せてしまうと、距離をとっているとかいないとかの乗客同士の争いが生じるに違いない。
運転席の手前には赤白のテープが巡らされ、乗客は運転手に近づけないようになっている。
公共交通機関を利用の際にはマスクの着用が義務となったので、当然誰もがマスク姿である。 -
今や人との距離を置くというのはあらゆる場所、あらゆる場合に適用されるのが原則となり、宗教行事も例外ではない。
教会の椅子も着座可、不可が区分けされている。 -
ほとんどの人は他者との距離を置くことを意識していて、道でのすれ違いにも気を遣うことが多い。
外部からの来訪がある建物には入り口や周辺に必ず等距離のマークや線が引かれている。 -
これはボンマルシェの入り口
こうした大きな建物では入り口と出口は必ず別々に設けられ、誤って出口から入ろうとすると注意される。
出入り口が同一だった今までの習慣から無意識に入ろうとして注意を受ける人は、どこの店でもかなり多い。 -
屋外のマルシェにもしっかりと並ぶ位置が線で示されている。
現金での支払いは極力少なくさせ、カードをかざして端末に読み取らせる非接触型が次第に増えている。 -
バスのように扉や窓でこまめに換気ができる訳ではないメトロやRERには、自分としてはまだ利用する気持ちにはなれない。
メトロでは主要60駅をあえて閉鎖し、混雑の分散化を図っている。
ホームには係員が立ち、ひとつの乗降口に集中しないように整理したり人数のコントロールをしているという。
また、朝夕の混雑時には利用を必要とする証明を提示しなければならない。 -
すべての駅ではないだろうが、こうした消毒液のタンクを背負ったブルーのユニフォームスタッフによる手指消毒サービスが行われているという。
-
利用客が差し出した手にスタッフが消毒液をかけてくれる。
実は駅だけではなく、大きな商業施設でもこうしたことはすでに行われている。
これまでに自分が経験した中では、スーパーのMONOPRIX、デパートのボンマルシェ、ショッピングセンターのボーグルネルでも入店時に消毒用ジェルを持ったスタッフが待機している。
スタッフを配することができない個人商店では入り口に消毒用ジェルを置いている。
街の要所要所に無料の消毒用ジェル機を設置する案もあるようで、実現すれば観光名所には必ず置かれるに違いない。 -
こちらはフランスのTVが紹介したメキシコの地下鉄光景。
消毒用ジェルを持ったスタッフの出で立ちが何とも面白い。 -
メキシコもマスク着用が義務化され、手指消毒の励行があるのだろうか
こうしたスタッフの指示なら誰もが従いそうな気がする。 -
対する乗客にもこんなマスク姿があるらしい。
完全にフランス人のお株を奪うようなユーモアあふれるセンスではないか。 -
フランス人のマスクの付け方はまだまだの感がある。
何しろ必要ないと言われていたことが、一朝にして必要だ、義務だとなったのだか面食らうのも無理はない。
とりあえずワンコを使ったフランスの例示。
街でよく見かけるのは鼻の下にマスクをしている人。
顎にマスクをしている姿も多い。
やはり高い鼻の形状のひとには平面のマスクではうまくフィットしないようだ。
一方で、まったくマスクなしのひとも一定数はいる。
マスクなしで商業施設に入ろうとして断られたり、とがめられたりする人もいるが
持参していない人のためにマスクを提供する店も多い。 -
さて、外出目的の銀行であるが日本とはだいぶ接客スタイルは異なる。
日本のように店舗にカウンターがあって、その前で順番を待つというのではなく、予約を取ったうえで担当者の個室での対応となる。
したがって入店規制など必要なさそうに思えるのだが、行ってみると仕切りのシャターが下ろされた状態で受付が先客の振り分けを終えるのを離れたところから待たなくてはならなかった。 -
事務所内での密を避けるため、銀行も半数づつの出勤であるという。
週替わりで在宅勤務と出勤で業務をこなしているが、さほど大きな問題はないようである。
近くのオペラ通りはまったく閑散としていた。 -
写真の正面はオペラ座で、以前であれば人も車も多くが行きかう場所であるが、観光客がいないことはもちろん、多くの店舗が休業中であるので食事や買い物に行く人もいないわけだ。
ちなみに同じデパートでも売り場面積の違いからボンマルシェは営業しているが、ギャラリー・ラファイエットはまだ閉鎖されている。 -
外出禁止期間中はすっかり人通りが絶えたこのコメディ・フランセーズあたりにセーヌから上陸してきたカモが歩いている様子をTVでみたが
人通りは少ないとはいえ、さすが今はにカモさんたちの散歩コースにはなっていないだろう。 -
帰りの39番のバスに乗るためにSquare Louvois前の停留所に向かった。
途中の日本食店の多いプティシャン通りもほとんどの店が閉まった状態で、通行人もまったくと言ってもよいほどいない。 -
バス停が前にあるSquare Louvoisも当然閉鎖されていて、立ち入り禁止である。
残念ながらバスが当分来ないことが分かり、少し歩いてボザール裏から70番のバスに乗ろうと考えて左岸へと向かうことにした。 -
リヴォリ通りを横切り、カルーゼル門の前で信号待ちの車両が数台あるだけで歩行者はやはりほとんど見かけない。
-
カルーゼル門のあたりは必ず観光客が写真を撮る姿があるはずなのに誰もいない。
撮影にはまさに絶好のチャンスなのかもしれないが、出演者のいない映画のセットのようで何となく空虚さを感じてしまう。 -
ルーブルのピラミッド付近。
もちろん閉鎖しているゆえではあるが、それでも必ず観光の人々はいたはずの光景であったはずだ。 -
人が造った広壮な建築物というのは、やはり人が居てこその存在だと改めて思ってしまう。
-
カルーゼル橋からルーヴルを振り返ってみた。
はしだのりひこのセリフを借りれば「そこにはただ風が吹いているだけ」 -
23日にはポンヌフの園芸店へ出かけた
ここはパリでも有数の品揃えなので、必要なものは大体手に入る。
5月は苗の植え付けや種まきのシーズンでもあり
外出禁止期間中は自宅で園芸に精を出す人も増えたというので
11日以降はどこの園芸店も園芸材料店も混み合っていたが、一段落したのか意外と空いていた。 -
買い物を終え、セーヌを覗きに行ってみたが、わずかにジョギングをしているひとが走り去るだけ。
向こうにみえるのはポンヌフ。 -
ポンヌフ近くのサマリテーヌ百貨店(La Samaritaine)もずいぶん長い期間修復工事が行われてきたがようやく完成に近づいたようだ。
このパリでも歴史ある建物の修復は日系の建築事務所が担当しており、果たしてどのように再生されているのか楽しみだ。 -
所有者のLVMHグループの店舗だけでなく、高級ホテル、公共施設などが入る予定とのことで、いわゆる百貨店、デパートの形態ではないという。
ルーヴルとノートルダムの中間地点という恵まれたロケーションにあることもあって開業すれば新たな観光名所となるに違いない。 -
この「旅行記」を書き終えようとしている時点で政府の新たな発表があり、6月2日以降の規制解除第2段階の指針が示された。(5/11~6/1が第1段階)
それによると100km以上の移動も自由にできること、レストラン、バー、カフェの営業再開が認められることなどがあるが、パリでは店内の飲食は禁じられたままでテラス席のみが許可される。
政府の補償があるとはいえ、どの店もそんなものに頼ってはいられないという焦りも強い。
早速、この写真のようなレイアウトで再開準備にかかっている店があった。
テーブルには2脚づつの椅子、テーブル間の距離は2mくらいだろうか。 -
パリ市内の公園も週末から開放されるという。
さあ、どういう光景になるのだろうか。 -
上空には毎日朝から深夜までコロナ患者搬送用のヘリコプターが行きかっている。
たまたま自分の住まいがこの航路近くにあるので目撃できるのだろうが、このヘリコプターの飛ぶ姿が見られなくなった時が個人的には安心の目安のように思っている。
残念なことは、あれだけ盛り上がっていた医療従事者への感謝の拍手がなくなってしまったことだ。
近隣の中心的役割を担っていた隣のコの字形のアパルトマンが申し合わせたようにぴたりと止んでしまったのだ。
参加人数が減ったということではなく、まさにピタリと中止である。
これはどうしたことだろうとずいぶん考えてみたのだが、開始も終わりも申し合わがあったとしか思えない。
他にも隣合ったり、向かい合ったりする建物はあり、呼応する人たちもいたのだが
結局、自然消滅のようになってしまった。
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
パリ(フランス) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
37