アンコール時代の年代によってピラミッド型の寺院の規模や形などの変化

2020/05/05 - 2020/05/05

カンボジアはインドから建築技術の影響を受け、6世紀頃に山のトンネルや丘の斜面や丘の上などに造られた寺院であり、7,8世紀八角形、四角形、正方形、などのクメールらしく独特な技術で造り始めたのが真臘時代のサムボープレイクック寺院です。

8世紀末にアンコール王朝が始まり、国の経済が良くなると共に建築の技術が少しずつ変化していきます。カンボジアでは基本的に先祖のために造られた平面型の寺院と王様自身のお墓であったり、お参りしたりしたピラミッド型の寺院か国家寺院があります。これから年代によって変化した、主なピラミッド型の寺院だけ投稿してみます。

エリア シェムリアップ(カンボジア)

①オクヨム

建立年代 8世紀後半
治世 不明
カンボジアでは一番古い三層のピラミッド型の寺院であり、周りにレンガ造りの福祠堂が12基あったけど、今は殆ど崩れていて当時の構造が分かりにくいです。

中央祠堂に「674年6月10日土曜日｣という日付が書いてある碑文が残り、これはジャヤバルマン1世の治世に当たりますけど…。11世紀頃西バライという感慨用の貯水池を掘って堤防に埋まっています。

ここから発見下11世紀初めの碑文にこの寺院が「ガンビンレシュバラ」つまり、奥様の神に奉納されたと考えらてます。

西バライ 滝・河川・湖

②アラムロンチェン
建立年代 8世紀
治世 ジャヤバルマン2世

ジャヤバルマン2世ジャワからの独立を国民に宣言したり、宗教的な儀式をやったり、正式な即位式をやったりしたと言われています。今はこの基礎しか残っていません

プノン クーレン 滝・河川・湖

③バコン

建立年代 881年
治世 インドラバルマン1世

ハリハラーラヤという都の中心に建立された5層基壇のピラミッド型の寺院です。上からの２層基壇の四隅に象の像が置いてあり、一番上には小さな福祠堂があります。寺院の周りにレンガ造りの祠堂が沢山あります。

バコン 史跡・遺跡

バケン寺院

建立年代 9世紀後半から10世紀初期（907年に奉納）
治世 ヤショーバルマン1世
4代目の王様であるヤショーバルマン1世（889～910）がアンコール地域へ遷都し、プノンバケン（山）を中止にして「ヤショーダラプラ」という都を造りました。プノンバケンの上に5層基壇のピラミッド型の寺院を建て、東西南北に階段があり、各基壇に２本ずつの獅子と沢山の祠堂が立ち並んでいます。寺院の周りにレンガ造りの祠堂も沢山あり、合せると１０８本＋１本の中央の塔＝１０９本となっています。

プノン バケン 山・渓谷

コーケーで最大プラサットトム寺院

​建立年代 １０世紀前半
治世ジャヤバルマン４世

ジャヤバルマン4世が王位を奪ったという説もあり、この王が９２８年に一時的にコーケーへ遷都し、都の中央に７層基壇のピラミッド型のプラサットトム寺院を建てました。地面からの高さが36メートルもあり、各層基壇に何も無いですけど、一番上にシバリンガーが置いてあったと言われています。他の寺院と違って周りではなく本殿の前に複雑な煉瓦造りの福祠堂が沢山あります。

コーケー遺跡群 史跡・遺跡

⑥バクセイチャムクロン寺院

建立年代 １０世紀初期（９４８年に再度奉納された）
治世 ハサバルマン１世
完成者：ラージェンドラバルマン2世
３層のラテライトで造られた基壇上に１基の祠堂を載せたピラミッド型の寺院です。東西南北に階段が一つずつあり、各層の基壇に何もありません。

バクセイ チャムクロン 史跡・遺跡

⑦夕日のスポットでも有名なプレループ寺院

建立年代 １０世紀中期（９６１年）
治世 ラージェンドラバルマン2世(961年）

また寺院の形が変わってきてラテライトで造られた４層基壇のピラミッド型の寺院です。３層の基壇に付けられた階段の両側に獅子の像が置き、頂上に４つの祠堂で囲まれていた煉瓦造りの中央祠堂があります。寺院の周りに回廊のような建物ができました。

プレ ループ 寺院・教会

⑧ピミアナカス寺院
建立年代 １０世紀末から１１世紀初期
治世 ジャヤバルマン５世、ウダヤーディティヤバルマン１世、スーリヤバルマン１世

３層のラテライト基壇を積み上げた、最上層に小さな祠堂を載せています。東西南北にとても急な階段がありますけど、裏の階段だけは少し緩やかです。１３世紀カンボジアを訪れた週多観という中国人の書いた見聞録には寺院の上に頭を９つ持つ大蛇が棲み、毎晩美しい乙女に姿を変えました。王様が毎晩必ず寺院の上まで上がり、その美しい乙女と交わないといけないと書いてあります。

ピミアナカス 史跡・遺跡

⑨タケオ寺院

建立年代 １０世紀末期から１１世紀初期
治世　 ジャヤバルマン５世、ジャヤヴィーラバルマン

砂岩で造れた３層の基壇の上に４本の祠堂で囲まれている中央祠堂があるピラミッド型の寺院です。地面時から３メートル程の所に回廊があり、格子状の窓もあってとても見事です。
碑文には当時の名前である「ヘーマスリンガギリー＝黄金の山頂のある山」と書いてあります。９７５年に建築工事が着手され、１０００年頃に主神が奉納されたと…その後スーリヤバルマン１世はタケオをバラモン僧のヨギシュバラパンディタに授与したと…

タ プローム 寺院・教会

⑩バプーオン寺院

建立年代 １１世紀中期
治世 ウダヤーディチャバルマン
第２次ヤショーダラプラの中心に造られた、５層の基壇を持つピラミッド型の寺院です。このバプーオン寺院から回廊の壁に部分的にヒンズー教の神話、日常生活などの彫刻が彫ってあるのが分かっています。

バプーオン 史跡・遺跡

⑪アンコールワット

建立年代 １２世紀初期（1113年から1150年）
治世 スリヤバルマン2世（1113～1150）
規模が一番大きなピラミッド型の寺院です。第1，2，3回廊で囲まれていますけど、第二回廊の四隅に塔が一本ずつ、第3回廊の隅に塔が1本ずつ、真ん中に塔が1本あり、合わせると9本ありましたが、今は5本だけ残っています。回廊の長い壁にヒンズー教の神話、日常生活などのレリーフが沢山彫ってあります。

アンコールワット 史跡・遺跡

⑫バイヨン
建立年代 12世紀末から13世紀末
治世 ジャヤルマン7世からジャヤバルマン8世
一番複雑な3層の基壇を持つピラミッド型の仏教寺院です。観音菩薩の顔が付いている塔が49本もあります。

回廊は2週だけですど、アンコールワットと同じように回廊の長い壁にレリーフが沢山彫ってあります。

バイヨン 史跡・遺跡