2020/03/23 - 2020/03/23
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motogenさん
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天竜川河口にある掛塚の町。
天竜川と掛塚港の水運で栄えた町だ。
江戸時代には幕府の御用材や御用米の回漕拠点となり、明治になると木材や諸物資の積み出し拠点となって繁栄を続け、遠州の小江戸とも言われた華やかな港町だった。
当時は花柳界、置屋、料理屋、湯屋、娯楽場などが軒を並べ、盛大な祭も行われていたという。
しかし東海道本線が開通すると衰退し、数度の大火で町の中心部は消失し、目立たない田舎町と化してしまった。
河口付近は野原と畑になっていたが、アウトドア活動で活性化しようと、海洋公園やサイクリングロードが作られ、風力発電も行われている。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 自家用車
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かって港があった海岸を走ってみる。
防波堤となっている道路に上がると、 -
真っ青な海と砂浜が広がっている。
強い西風と荒波で、海の難所と呼ばれた遠州灘だ。
久々に眺める海原の、その迫力に度肝を抜かれながら、東に向かってみる。
サイクリングロードも並走している。 -
8km先には太田川の河口と福田漁港、その先には浜岡砂丘と原子力発電所、そして御前崎へと続く遠州灘の海岸。
天竜川が作った砂浜の海岸だが、船明ダムができて以来砂浜は年々痩せ細り、場所によっては波消しブロックが置かれている。 -
健康ウォーキングに励む二人に出会った。
地元の人、それとも観光客だろうか? -
1.5kmほど走った所で、車は通行不可となり、
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迂回路ができていて、
-
再び堤防に上がると、
-
未舗装の道となっていた。
遠方では工事車両が動いている。
南海地震に備えての、大規模な防波堤の造成工事と思われる。
この辺で引き返した方が良さそうだ。 -
隣にあるのはスズキ自動車のテストコース。
間に間にバイクのエンジン音が聞こえてくる。 -
どれどれ、どうなっているんだろうと、空から眺めると、
走っているのは競技用でなく、市販のバイクのようで、平時のスピードで周回しているだけだった。
長居は無用。
スパイと疑われてはかなわない。 -
テストコースは東西に3kmほどはあった。
聞いてはいたが、こんな立派な施設だとは知らなかった。 -
霊園近くの駐車場に車を停めて海岸を歩くことにする。
-
駐車場の隣に小さな祠と記念碑があった。
説明板もある。
この時それを読んでおくべきだったのに、 -
既に気持ちは海に飛んでいて、砂浜に急いでしまった。
-
駐車場は海岸の所々にあるが、停めたのは灯台から1kmほど離れた場所だ。
津波防波堤が目の前まで造成されている。 -
足裏に砂の感触。
潮の匂い。
波の音。
そして強い風。
コロナウイルス騒動に揺れる世間から、隔絶された空間だ。 -
「見て!地球が丸いって、良くわかる!」
妻の叫ぶ声が、風で消し飛んでいく。
波が砕け、しぶきが舞い上がる。
本物の海はすべてがダイナミックだ。
モニターの中とは違う。
彼方に灯台がちょこんと見えている。
しかし波打ち際に小石が集まっているのは、なぜだろう。 -
かがみこんで小石の中から何かを拾い集める妻。
何を集めているんだろう? -
見れば、白くてつるつるした石だった。
綺麗なので家に持ち帰るつもりのようだ。
「それ、チャートだよ。
ケイ酸質の殻をもつプランクトンの死骸が、堆積してできたものだよ。」
赤石山脈から流れてきた石だ。 -
見渡せば狭いようで大きな砂浜。
どこかの砂丘を歩いているかのようだ。
津波対策の堤は、遠州灘の海岸全てに設置する予定となっているが、これでまた景色が変わる。 -
上空から爆音が響いてきた。
自衛隊のヘリが後方から近づいてくる。 -
砂を踏みしめ、灯台を目ざす。
灯台の名は『掛塚灯台』
靴の中に砂が入り込んでくるが、そのままにしておく。 -
昔この灯台を見に来た記憶が残っているが、それはいつのことだったのか?
誰と一緒に来たんだろう?
何をしたんだろう? -
その時の灯台は、こんな高台にはなかったはずだ。
砂浜の岩の上にあったと思うのだが・・ -
「波がこんなに近くまで押し寄せて来ている・・」
「このままじゃ、灯台は海の中だね・・」
そんな話をしたことを思い出した。
灯台の足元まで波が押し寄せるようになったため、移転したとの噂も思い出した。
では、元の灯台はどこにあったんだろう? -
灯台に登りたいと思ったが、柵に囲まれていて、入ることも近づくこともできなかった。
しばらく眺めていたが、 -
車に戻ろうと歩き出すと、
-
海辺から一組の家族が現れて、
-
拾ってきた流木の根や貝殻を、宝物のようにして、はしゃぎながら歩いていく。
海洋公園にキャンプしに来た旅行者のようだ。
コロナ騒動で都会の学校は休校となっている。
都会の密集地から、広々とした野外を求めて来たんだろう。 -
入り江の向こう側に『竜洋海洋公園』が見える。
オートキャンプ場をはじめ、各種のスポーツ施設や温泉が作られている市営の公園だ。 -
20年前のこの辺りは、葦の茂る野原と農学校の試験畑や牧場だったはずだ。
その葦原でラジコン飛行機行の練習をしたのは35年前。
そこが一変して綺麗な公園となっている。
近くにありながら、いや近いからこそ関心が薄かったのだが、この機会に見学しておこう。竜洋海洋公園 公園・植物園
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元の灯台はどこにあったのか、気になってしかたがない。
記念碑に手掛かりはないかと、数日後に見に来ると、 -
灯台の説明と写真があった。
今の灯台は3代目で、最初の灯台はこの地点から100mほど離れた砂浜にあったと記されている。
明治13年に、遠州灘で難破する船を救おうと、地元の荒井氏が資材を投げ売って造営したのが初代の「改心灯台」で、明治30年に造り直されて官営の「掛塚灯台」となった。 -
その後灯台の根元まで波が押し寄せるようになったため、ここより1km西に移転されたと書いてある。
移転は2002年のことだ。
昔見た灯台は、2代目の灯台だったことが分かってすっきりした。 -
元の灯台の立っていた場所はこの辺りの波打ち際だが・・
今は何も残っていない。 -
この海岸は釣り客も多く、県外からも釣りマニアがやって来る。
太刀魚やヒラメが釣れるという。 -
砂浜にテントを張って釣りをする家族も見られ、
-
付近の漁師はずいぶん減ったが、シラス漁の漁船が走り回っている。
人の都合で陸地は様々に変わってきたが、この海は100年前も1000年前も同じ海で、そしてこれから先もきっと変わらないだろう。
海を見ていると雑念が吹っ飛んでいく。
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旅行記グループ コロナウイルスが忍び寄る中、霊園を下見に竜洋海岸へ
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