2019/11/02 - 2019/11/03
83位(同エリア630件中)
ひらしまさん
4日目はプサンからキョンジュに移動する。
キョンジュは新羅(シルラ)の都があった地として知られる。
埼玉県には、志木、新座、新倉など、文字や音が変わっているけれど新羅に起源をもつ地名がいくつかある。それらは、8世紀に新羅の人々が移り住んだ新羅(しらぎ)郡の名残りだという。
でも、昔の社会科の授業では百済に比べ悪役イメージだった新羅。ほんとはどんな国だったのか、現地で感じてみたい。
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プサンで泊まったホテル・キョンソンは週末だけ朝食が付いた。食堂からルーフテラスに出ると開放的で気持ちがいい。
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しばしブランコを楽しんだあとチェックアウト。スーツケースを引いて釜山都市鉄道プジョン駅へ。
窓口でムグンファ号の9時10分発を買おうとしたが、立ち席になると言われる。次の列車も同じということなのでしかたがない。車両だけが指定された切符を受け取った。
とりあえず空いている席に座り、列車は動き出す。車掌の検札でもなにも言われなかったので、空席には座っていいということだろう。
しかし、3分の1ほど乗ったところで、幼稚園の親子遠足だろうか30人余りが乗り込んできて、我々のところにも先生らしき2人が来た。移った席にも次の駅で母子が来て、妻はなんとか別の席に座れたけれど、わたしはそれからキョンジュまで立ちっぱなし。
小さな男の子がわたしをじっと見ていたと思ったら、お母さんが「日本人ですか」と日本語で聞いてきた。そして子どもに「オハヨウゴザイマス」と教えてたけど、まだちょっと難しかったね。しかし、日本語話せる人、多いなあ。 -
11時過ぎにキョンジュに着いた。宿は駅から500mくらいのはずだが、ストリートビューに映っていなくて不安だった。そこでタクシーに乗ろうとしたけれど、場所が分からないと断られた。たぶん、近すぎたからだな。でも、運転手に教えられた観光案内所で場所を確認できてよかった。
シエル・ミニホテル&ゲストハウス。受付の中年女性に荷物を預けたついでに、昼食にビビンパを食べられる店を教えてほしいと頼むと、どこかに電話を掛けたと思ったら外に出た。あとに付いていくと車に乗れという。でも遠いところだと帰るのに困るから近くの店がいいと言うと、また歩き出した。市場に入りずんずん進み、とある食堂に声をかけると急いで帰っていった。
英語を話すのは得意ではないようだが、そのぶん一所懸命に動いてくれる人でありがたい。 -
わたしはビビンパ、妻はパジョン。パジョンは辛いけどいいのかと店の主人に念を押された通りで、妻は赤い唐辛子を取り除いて食べたのに、青い唐辛子がネギの中にまぎれていたそうでご愁傷様。
市場の食堂だけあって2人で6千ウォンという庶民的価格がうれしい。間違いなくこの旅で最安。 -
おなかも落ち着いたところで、まず国立慶州博物館へ行こう。
韓国で初めてバスに乗る。博物館に行くバスを慎重に見極めた上で、念のため運転手に確認する。運転手に英語は通じなかったけれど、近くの乗客がイエスと答えてくれ、さらに降りるときにも合図してくれた。みなさん、普通に親切。
国立慶州博物館。ここは無料で公開されている。いくつかの建物に分かれているうちの新羅歴史館と特別展示館を見学した。
新羅が朝鮮半島初の統一王朝であること、そして黄金の国であったことを誇らかに印象づける展示だ。 -
金細工のセンスと精度がすばらしい。
金冠などが発見された古墳群は5世紀に造られている。同時代の列島も古墳時代だったわけだけれど、黄金の副葬品なんてあったっけと帰国後調べてみたら、あるにはあった。5世紀後半の新沢千塚古墳群というもので、黄金の副葬品は新羅からもたらされたものらしい。大王の墓ではなさそうなので、新羅からの渡来人有力者の墓かなあなどと想像する。 -
ところどころの概説には日本語表示もあるけれど、個々の展示解説はもちろん韓国語と英語だけ。英語解説はとても読み切れないし疲れる。
壁に映像を投影している展示室でしばし休憩。 -
鯨や虎、鹿などが豊かにいる中で古代の人が生き抜いてきた様を描いて印象深かった。
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東宮と月池は、博物館から歩いてすぐのところにある。
新羅王宮である月城の北東に隣接する月池は、674年に新羅の三国統一を記念し造成された人工池で、貴族たちが船を浮かべて池に映る月を楽しんだという。新羅滅亡後廃墟となっていたが、1980年に新羅宮殿の苑池として復元され、発掘調査時に出土した木造建築材料と新羅時代の他の遺跡を参照して3つの楼閣も復元された。
とはいうものの、史料の少ない中での復元には「史劇のセットをつくるのと同じだ」という批判がある。
実際見てみると、楼閣には観光客が自由に出入りできるので傷みが目立つ。安直な観光施設という印象はぬぐえない。 -
その中で、展示されている「ろうそくを切るはさみ」が正倉院所蔵のものと同じというのが興味深かった。
わたしの中では、倭/日本と新羅は敵対関係というイメージがあったけれど、千年も続いた王朝なのだからその間に敵対することもあれば友好関係を結ぶこともあるのは当然のことだったのだ。
半島と列島とはお互いにモノはもちろん人も行き交い、しばしば定着して影響を与え合ってきた。埼玉の新羅郡もその一つだ。やはり切っても切れない縁なのだと、この旅で実感した。 -
バスで戻り、昼食をとった城東市場を今度はゆっくり見て回る。海も近いから魚介類がおいしそう。鶏の丸焼きもいいにおいだ。
夕食はここで食材を買って部屋で食べようという話になったが、まずは部屋を見てからと宿に入る。 -
部屋は広くキッチンがある!と喜んだけれど、よく見ると包丁も鍋も一切ない。クッキングヒーターはあるものの使えない。もったいない。アパートメントホテルとしてつくったが運営方針が変わったとかかな。
湯沸かし器もテーブルもなく、椅子は一つだけということで部屋食は断念した(帰国してからハングルを解読したら、食事は食堂でどうぞと書かれていた)。
寒いので暖房を入れようと思ったが、空調リモコンがハングルのみでわからない。空調リモコンなんてどこのメーカーでもそう変わらないだろうと当てずっぽうで操作してみるも、どうにも暖房にならない。結局、受付へリモコンを持って行きなんとか教えてもらった。手間のかかる旅行者で申しわけない。 -
夕食をとるのに駅付近へ行ってみたけれど、あまり店がない。鉄道駅が街の中心から外れているのか、キョンジュという街自体がにぎやかではないのかもしれない。
それでも全面ガラス張りのきれいな店があり、英語メニューがあるのを確かめて入る。妻が食べたがっていたキョンジュ名物サムパを二人でシェアするようおかみさんに勧められた。半分ずつでも腹一杯になり満足。冷えた体も温まった。
5日目。
朝食堂に行くと若い親子連れがいっぱいいる。この宿はベッドでなく布団の部屋なので、彼らには過ごしやすいのだろう。
驚いたのは、食べ終わった人が食器を洗っていること。しかも例外なく。自炊なら当然だけど、料金に含まれている朝食で、なぜ?
納得できないから断固そのまま帰ろう、とも思ったけれど、自分が使った食器を自分で洗うこと自体は嫌いじゃないし、昨日世話になった彼女が一人で切り盛りしているみたいなので、人情的になんとなく食器洗いの列に加わった。今思い出してもよく分からない、不思議な体験だった。
ちなみに、洗っているのは女性ばかりだったので韓国ってやはりそうなんだなと思っていたら、男性も現れた。ウチはもちろんわたしだ。 -
この日は歩いて10分ほどの大陵苑へ。
途中の路上には魚がズラッと並べられていた。 -
昨日の月池・東宮もそうだったが大陵苑も65歳以上は無料。金額はわずかなのだけど、年をとるといいこともあると思わせてくれるところに意味がある。
大陵苑には新羅王朝の古墳群が集中していて、大きな墳墓の緑と色づく木々がとてもよい景色をつくっている。朝一番の人が少ないときに見られるのは、キョンジュに泊まった者の特権だ。 -
23基もある古墳の中で天馬塚だけは内部を見学できる。
中央に置かれているのは棺と副葬品のレプリカ。実際の発掘現場にいるような雰囲気のある展示だ。 -
副葬品の馬具に白馬(麒麟との説もある)の絵があったことから天馬塚とよばれるこの古墳は、6世紀前半のものとみられている。
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天馬塚の遺物はすべて昨日見た慶州博物館に移され、ここにはレプリカが展示されている。
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最新の解説設備もあり、見たいテーマを選んで自国語解説を聞きながら映像を見ることができる。まるでミニ博物館だ。我々はあの見事な金細工の工程の解説を選び、興味深く見た。
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糸魚川産ヒスイの勾玉。倭との交流の証だ。
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こちらは琉球産の夜光貝でつくった杓子だそうだ。あの時代に、琉球~倭~新羅とはるかな海を渡って交易がつながっていたことにちょっと感動。
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天馬塚を出て大陵苑を歩く。
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苑内の道は竹林あり、実をつけた柿の木あり、散歩道としても楽しい。
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この古墳はある一族の祖先の墓として敬われている。
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次第に人がふえてくると、KEEP OUTの芝生に入り込み写真を撮る人が目につく。看板は英語でなくてハングルで書くことをおすすめします。
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最も大きい皇南大塚。5世紀につくられ、長さ120m、高さ23m。
左の北墳は王妃の、右の南墳は先につくられた王の墓とみられている。北墳からは金冠を始めとする装身具、武器、土器類が4万点弱、南墳からは武器が大部分の2万点余りの遺物が発掘され、王妃の墓のほうが豪華なので女性の地位が高かったという説もあるようだけど、いずれにせよ仲の良い夫婦だったんだろうな。 -
色づく木々の間を散歩しながら千数百年前の世界に思いを馳せる楽しい時間だった。
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帰り道、ここの名物らしい皇南パンという名の饅頭の店に寄る。店の前で、たくさん買って出てきた女性が妻に「ここの皇南パンはおいしいよ。ぜひ買ってきなさい」みたいな感じ(あくまで想像)で熱心に語ってくれた。
箱は20個入りで我々には多すぎたので10個だけほしいという言葉は通じなくても伝わって、おばちゃんどら焼きもおまけに入れてくれた。カムサハムニダ!
今日はこのあとバスでトンデグ駅に行き、そこからスウォンに向かう。
宿に戻って、バスターミナルまで乗るタクシーを頼むと、受付の彼女はいくつか電話した後、我々を乗る場所まで連れて行ってくれた。英語は不得手でも精一杯やってくれた彼女に感謝の握手をして別れた。
タクシーの運転手にバスはプサン行きかと聞かれてトンテグと答えたら通じず、どうもトンデグというらしかった。テグの頭にトンがつくと濁ってトンデグとなるのかな。
それにトンデグは鉄道駅の名前で、バスターミナルの名前はただのテグだった。 -
テグ行きバスに乗ると、車内前方に座席表示盤があり、乗車済み席、予約済み席、空席が色分けされている。これは初めて見た。
1時間ほどでテグBTに着いた。ターミナルの建物が大きくきれいで、大都会に来たと感じる。左右を見回しても鉄道駅が見つからなくて人に尋ねると、なんと上の階から通じていた。やっぱり都会だ。
駅窓口に行きスウォン行きの切符を求めると、なんとなんと5時間後まですべて立ち席だという。思わず天を仰いだ。
1時間に2本くらいあるから大丈夫と思っていたけれど、甘かったなあ。日曜日だからとくに混んでいたのかも知れない。バスで行く手もあったと気づいたのは後のことでその時は思いつかず、やむなく13時13分の切符を買った。
■主な支出
シエル・ミニホテル(前払い) 6951円
鉄道プジョン~キョンジュ 5600W
市場での昼食 (2人) 6000W
夕食サムパ(2人) 19000W
皇南パン10個 8000W
キョンジュのタクシー 3600W
バス キョンジュ~テグ 5600W
昼食サンドイッチ(2人) 7000W
■諸費用込みレート 1ウォン≒0.095円
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