2019/11/07 - 2019/11/07
83位(同エリア340件中)
みーみさん
関西の高級住宅街といえば、芦屋の六麓荘が有名ですが、戦前は神戸市御影の住吉村と呼ばれた緩やかな南斜面に広がる地域に大阪や神戸の実業家が桁違いの大邸宅を構えていました。
御影は良好な住宅地として今も人気の場所ですが、大邸宅はほとんど消えてしまいました。
わずかに残っている邸宅のひとつが今回訪れた旧乾邸です。
設計は渡辺節。大阪綿業会館や神戸商船三井ビルディングなどの設計者とし
て有名です。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
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白鶴美術館前のバス停留所で下車し、坂を少し下ると、見えてきました。
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素焼きのタイルの壁がずっと続きます。
旧乾家住宅は昭和10年ごろ、乾汽船株式会社の乾新治氏が自宅として建てました。
当時住吉村には住友財閥の住友友純や田辺貞吉、朝日新聞創業者・村山龍平や日本生命創業者の一人・弘世助三郎、武田薬品の武田長兵衛など錚々たる面々が邸宅を構えていました。 -
入り口に到着です。
旧乾邸は普段は公開されておらず、今回は抽選制の事前申し込みの特別公開で
中に入ることができました。 -
玄関を進むと車寄せのある玄関ポーチが現れます。
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イチオシ
玄関アプローチ部分。
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建物は鉄筋コンクリート造りですが、黄竜山石が貼ってあり、やわらなかな雰囲気
になっています。
天井もたいへん凝ったつくりになっています。 -
天井に灯り取りがありました。
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正面玄関。
繊細なアイアンワークが美しい。
住居として使用されていた時はこちらは来客や特別な時だけ使ったそうです。 -
日常的にはこの茶色のドアを使っていたそうです。(内玄関)
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イチオシ
正面玄関を入ると一面に薄いグリーンのタイルが貼ってあります。
それぞれ微妙に色が違って、何とも言えない風合いを出しています。 -
渡辺節設計の綿業会館の談話室のタイルタペストリーを思い出しました。
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イチオシ
玄関のアイアンワーク。
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玄関の床。
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すてきなデザインの照明です。
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イチオシ
玄関を入ったところは階段室。
ただし、明治時代の大邸宅にあったような大階段室みたいなものではありません。
でも、てすりの彫刻はしっかり。すてきですね。 -
こちらのアイアンワークもすてきです。
乾邸はこれだけの洋館ながら、戦後GHQに接収されませんでした。そのため
装飾や照明器具などがほとんどオリジナルで残っています。
GHQの接収に合うと、ペンキを塗られたり、色々改築されてしまうので・・。 -
そして、階段室の床の素材は「ゴム」。
特殊なゴムだそうで、現在ではもう手に入らないそうです。
90年近く経った今も状態は良好なようでした。 -
玄関ホールからゲストルームへ。
イギリスのマナーハウスのような雰囲気のする吹き抜けの部屋です。
シャンデリアも当時のまま。 -
暖炉の上はチーク材の精密な彫刻が施されています。
小磯良平の絵がよく似合います。(もっとも絵自体は印刷ですが) -
暖炉上部にはブドウの彫刻が。
ブドウのモチーフはこのお屋敷では他にも使われているところがあります。、なぜ
ブドウなのかはわからないみたいですが、ブドウは豊穣・繁栄を表すので用いられ
たのではないかという話も。 -
英国マナーハウス風の天井。
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イチオシ
ゲストルームから2階へ上がる階段。階段を上がった左側は主人寝室になっている
ので、来客があった時、主人はこの階段から下りてきたのでしょうね。 -
花の模様のアイアンワークが繊細で華やか。
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ゲストルームの横には部屋続きの書斎がありました。
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ゲストルームの横は食堂になっています。
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天井装飾と照明器具。
照明器具もオリジナルです。 -
食堂にはオリジナルのこんな装飾も残っています。
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鏡の前の蜀台。
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食堂の横にあるのが次の間と夫人室です。
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次の間。
造りつけの収納。何気に扉が模様になっています。 -
夫人室は純和室になっています。乾邸はほかにもいくつか和室があり、違和感なく和洋折衷になっています。
また、かつては、洋館主屋と隣に渡り廊下でつながる和館がありましたが、阪神大震災で倒壊し、現存していません。 -
暖房の吹き出し口も青海波を逆にしたような和風のデザインになっています。
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こちらは日常使いされていた内玄関を内側から見たところです。
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内玄関にもやはりきれいにタイルが貼られています。
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内玄関を入って北側の部分は料理場や事務室などのスペースになっています。
これは各部屋からブザーを鳴らすと、どこの部屋から呼んでいるかわかるようになっている機械です。 -
背面階段で、二階に上がってみましょう。
このお屋敷は階段は全部で三つあります。 -
2階には和室が3部屋並んでいます。
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夫人の衣裳部屋です。
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一面に造りつけの箪笥・引き出しが。
引き出しの様子からすると、夫人の衣装は着物が多かったんでしょうか。 -
夫人の寝室です。
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夫人の寝室にも壁一面の収納がありました。
このお屋敷にはつくりつけの収納がたくさんあって、とても機能的にできています。 -
主人寝室と夫人寝室の間にはバスルーム・洗面所・トイレがあります。
浴室は天井までタイル張りです。 -
バスタブ。
窓の柵にもさりげない装飾が。 -
浴室・洗面所の床のタイル。
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主人の寝室。
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主人の寝室にも片側壁一面に造りつけのタンス・棚があります。
とても使いやすそうですね。 -
棚の引き出しには傷痕が。
鍵を失くして無理やりこじあけようとしたのか?
なんだか生活感がありますね。
実際、1993年に相続税として物納されるまで、乾家の方がこのお屋敷に住んでおられたそうです。
普通に住んでいる家を手放さないといけない相続税って・・。 -
主人の寝室には造りつけの金庫もありました。
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主人の部屋からはゲストルームを見降ろせる窓がありました。
どんなお客さんが来たのか見るためだったとか・・。こちらかはよく見えるけど、
ゲストルームからは主人寝室はあまりみえません。 -
階段上からゲストルームを見下ろしたところ。
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2階から見た階段。
やはり階段は建築家の腕の見せ所ですね。 -
階段室には中世風にタペストリーをかけて・・。
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階段室の天井にブドウのモチーフの装飾がありました。
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現在ももちろん乾汽船は健在ですが、調べてみると、本社も東京になっていました。
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イチオシ
右手のアーチのむこうの3階はサンルームが広がっています。
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3階のサンルーム。
ダンスルームとしても使われたとか。 -
地下一階にはボイラー室があって、全館暖房が行われていたようで、その吹き出し口が部屋によってデザインが色々違って、装飾の一部になっています。
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イチオシ
サンルームにはテラスもあり、海が見渡せます。
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山側に目をやると白鶴美術館の緑色の屋根が見えます。
白鶴美術館より植木が高くならないようにという、乾家庭園の剪定マニュアルというのがあるそうですよ。 -
ちなみに乾邸見学のあと、白鶴美術館に行きました。
内部の写真撮影は原則禁止なので、写真はほとんどありませんが、
国宝・重要文化財の展示もあり、建物自体も見応えがありました。 -
3階から見下ろすと屋根の瓦がよく見えます。
赤っぽい色、緑っぽい色、様々な色の瓦が取りあわされているのがよくわかります。
今ではこんな瓦はないそうですが、元々の瓦のストックがあるそうで、当面修理のための瓦の心配はないそうです。 -
コンクリート製のガレージ。
主屋と同時に建てられ、神戸市指定有形文化財に指定されています。 -
壁泉とパンフレットには書かれていました。
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土蔵と洋館。
手前のブルーシートのところに和館がありました。 -
土蔵ですが、鉄筋コンクリート造りです。
二つの土蔵の前に屋根付きの廊下が付け加えられています。 -
中はこんな感じになっていました。
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庭も神戸市指定名勝となっています。
清流の流れる和式庭園。 -
洋館の前の洋式庭園も神戸市の名勝に指定されています。
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