2019/06/03 - 2019/06/04
15位(同エリア450件中)
かっちんさん
「落石岬(おちいしみさき)」は海食崖に囲まれた平坦な台地です。
中心部に「アカエゾマツの純林」がある高層湿原があり、ミズゴケからミズバショウが顔を出します。
その外縁をとり囲むように草原があり、北方系、高山植物をはじめ数多くの草花が咲き、「高山植物の宝庫」です。
落石岬は夏でも毎日のように発生する「海霧(うみぎり)」により、水分だけでなく冷たい空気をともなって、日照をさえぎり低温になり、標高1000mを越える高山帯のような自然をつくり出しています。
特に「サカイツツジ」はサハリンの北緯50度が南限とされていましたが、昭和5年(1930)遠く離れた落石岬湿原内のミズゴケのブルト(塊)上に自生していることが発見され、日本国内でここだけに生育するという希少性から、生息地域を含めて国の天然記念物に指定され、厳重に保護されています。
5月下旬から6月上旬に花を咲かせます。
「エゾシカ」は根室で一番観察しやすい動物で、明治初期の乱獲や大雪などによる大量死により一時は絶滅が心配されました。
その後、保護のため狩猟を厳しく管理し、昭和55年(1980)頃からは、逆に農林業、自然植生へ深刻な被害を出すほどまでに増加し、落石岬ではよく見かけるようになりました。
湿原周囲の草原には「キタキツネ」なども見かけます。
落石はサケ・マス・コンブなどを生産する漁場として古くから漁業が営まれてきたところです。
「落石」という地名は、土砂災害の多いところという意味ではなく、アイヌ語の「オク・チン 人の首の付け根のくぼみ」に由来。落石岬と本土につながる付け根の低地「落石漁港」周辺をさしています。
旅行記は前編「海霧の落石岬湿原とサカイツツジ」と後編「湿原周辺の草原で見られる植物と動物」に分け、この旅行記は前編を紹介します。
落石岬には昭和61年(1986)と平成23年(2011)のいずれも7月に訪れたことがあり、今回は6月初旬のサカイツツジ開花にあわせて来ています。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・ねむろのお花情報「根室市落石岬木道周辺_150531」
・落石シーサイドウェイ「落石の歴史」「落石の暮らし」「落石の自然」「おちいし岬パス」
・二人の館、花図鑑 野に咲く花・山に咲く花 北海道「シコタンキンポウゲ」
・北の大地植物図鑑「オオアワガエリ:チモシー」
・落石岬の現地説明板
・林業試験場研究報告 第84号「根室における霧の統計について」
・根室市「霧が育む根室の自然」
・総合花サイトみんなの花図鑑「クリンソウ」
・燈台のページ「落石岬燈台」2005年9月17日新規
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
花咲線落石駅
根釧原野の中にある「落石駅」で列車を降ります。 -
無人駅の落石駅
大正9年(1920)国鉄根室本線が延伸し落石駅が開業しています。 -
落石周辺の案内図
今晩の宿は落石港が見下ろせる「カジカの宿」。落石にある宿は現在この一軒だけ。
「落石岬」は落石漁港から太平洋に突き出す台地で、地元では「灯台山」と呼ばれています。
翌日、宿の車で「落石岬」の車止めゲートまで送ってもらいます。
散策するコースは、①落石無線送信所跡、⑥⑦落石岬湿原・サカイツツジ、⑤落石岬灯台、④草原、③落石岬、西側の道を通り、ゲートへ戻ります。
⑤落石岬灯台~③落石岬までの海岸線は草原で高山植物の宝庫ですが、アップダウンがあります。
落石駅から全部歩くと、落石駅~落石漁港が約3.0km(約1時間)、落石漁港~散策コース~落石漁港が7.4km(約3時間)です。 -
道道142号「根室浜中釧路線」
落石駅前から車道を通り、1.2km先の「カジカの宿」へ向かいます。
カントリーサインは根室特産物の「花咲ガニ」。 -
牧草の「チモシー」(車道沿い)
牧草地ではなく道端に生えています。 -
ミズバショウ(車道沿い)
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オオバナノエンレイソウ(車道沿い)
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落石では「黄色い消火栓」(車道沿い)
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原野の風景(車道沿い)
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イチオシ
紫色の「ハクサンチドリ」(車道沿い)
線路脇にたくさん自生しています。 -
珍しい白色「ハクサンチドリ」(車道沿い)
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ガサガサッ(車道沿い)
線路を横断してきたのは何と「タヌキ」 -
「カジカの宿」に到着
落石漁港を望む高台に宿があります。
福岡出身のご主人は若い頃に訪れた北海道に憧れ、サロマ湖、納沙布岬の宿を経て、落石には平成5年(1993)から民宿を開業しています。 -
霧にかすむ落石漁港(宿の海側)
霧の発生する時刻は夏(6~8月)の日の出前と日没近くに多く、現在の時刻は16時過ぎ。
この霧は太平洋上にできた高気圧から流れ込む暖かい空気が、根室沖を流れる寒流の冷たい海水面にぶつかり発生する海霧です。 -
紅紫色の「クリンソウ」(宿の前)
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イチオシ
海の幸が並ぶ夕食(カジカの宿)
地元根室をはじめとする季節の魚介が並びます。
カレイの煮つけ、お刺身、北海しまえび・・・ -
翌日の朝食(カジカの宿)
食堂の窓ガラスから海を眺めながらの朝食です。 -
落石漁港と落石岬の台地(写真は午後の帰り道にて)
今日は落石岬湿原・落石岬の散策をするので、宿の車で送ってもらっています。 -
車止めゲート
落石岬の入口で車を降り、散策が始まります。
現在の時刻は8:30。朝の海霧が発生しています。 -
落石岬の案内板
-
落石無線送信所跡
ゲートから歩いて割とすぐのところです。
旧落石無線電信局は、明治41年(1908)、北米航路の要衝として船舶や航空機と無線電信を行うため設置されました。
業務内容は公衆電報・避難通信・気象通報・航行警報および報時通信など。
開設当初は落石岬側にありましたが、大正12年(1923)に現在の場所に移設されました。 -
コンクリートの建物(無線送信所跡)
施設は昭和41年(1966)札幌中央電報局に統合されることとなり、半世紀を越える業務を終えました。
現在は根室出身の銅版画家・池田良二氏のスタジオ(仕事場)になっていて、2008年から「落石計画」というアート活動が続いています。
玄関の上にはイニシャルの「IR」のマークが取り付けられています。 -
アンテナ塔の基礎(無線送信所跡)
90m高のアンテナ塔の基礎が今でも残されています。 -
塔固定ワイヤーの基礎(無線送信所跡)
これも残されています。 -
左へ行くと「落石岬灯台」(無線送信所跡)
無線送信所跡で道が二手に分かれ、左が「落石岬灯台」、右が「落石岬」です。
では、落石湿原木道を通り、「落石岬灯台」へ向かいます。 -
朝露に濡れる「ユキワリコザクラ」(無線送信所跡)
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かすかに見える「エゾシカ」(無線送信所跡)
野生のエゾシカが草原にいます。 -
落石岬灯台への木道入口
落石湿原の中を通るので木道が敷かれています。
案内板は「落石岬」ですが、正確には「落石岬灯台」まで徒歩20分です。 -
「落石岬のサカイツツジ自生地」案内板
「サカイツツジ」は落石岬灯台との中間地点で見られ、5月下旬から6月上旬に花を咲かせます。 -
長い長い木道
丸太を横に並べた木道が約600m続きます。
昭和61年(1986)にかっちんが家族で訪れたときは、落石岬灯台の保守点検用に設置された海上保安庁の木道でした。
今より高い位置に設置した木道で(おそらく冬の積雪時でも通れるようにした)、ある事故をきっかけに、一時期閉鎖されてしまいました。
現在は根室市が管理する新しい低い位置に設置された木道です。 -
イチオシ
幻想的な風景(落石岬湿原)
ミズゴケからミズバショウの花が咲いています。
樹木は「アカエゾマツの純林」です。 -
湿原を彩る「ワタスゲ」(落石岬湿原)
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淡い紅紫色の「ユキワリコザクラ」(落石岬湿原)
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「サカイツツジ」の自生地(落石岬湿原)
アカエゾマツに隠れて見つけにくかったのですが、木道から紅紫色の花を見つけました。
今より気温が低かった氷河期にはサカイツツジは北海道各地の湿原に分布し、氷河期が終わり暖かくなると、冷涼な環境を好むサカイツツジは姿を消したと考えられます。
しかし、霧が多くて夏が冷涼な落石岬の湿原にはサカイツツジの好む環境が残り、生育し続けることができたと考えられます。 -
天然記念物の「サカイツツジ」(落石岬湿原)
今年の開花は少し早かったせいか、木道の近くに花がなく、少し離れた場所に残っていました。 -
綿毛の「ワタスゲ」(落石岬湿原)
「アカエゾマツ」のないところでは、白いワタスゲが目立ちます。 -
中間地点の木道(落石岬湿原)
まだまだ続きます。 -
「ミズバショウ」の群落(落石岬湿原)
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霧の中に浮かぶ「落石岬灯台」
木道の終点「落石岬灯台」に着きました。
霧で視界が1000m以下になると、「ボーッ」という音色の霧笛が平成22年(2010)まで鳴り響いていました。
今は船舶にGPSの設備が取り付けられ、自分自身で位置が確認できるようになっています。 -
好奇心旺盛の「エゾシカ」(灯台付近)
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イチオシ
「エゾシカ」の三姉妹(灯台付近)
じっとこちらを眺める「エゾシカ」は、人間が近づかなければ逃げません。 -
湿原の周りは草原(灯台付近)
「アカエゾマツ」の茂る湿原の周りは草原になっています。
木道の出口を眺めています。 -
赤と白が目立つ「落石岬灯台」
明治23年(1890)に「落石埼灯台」(現落石岬灯台)として、船舶の安全航行のため設置されました。
沖合を航行する船舶はこの光を確認した後に、北米へ針路を取ったといわれています。
北海道で10番目に設置された歴史のある灯台で、「日本の灯台50選」に選ばれています。 -
切り立った断崖の下は海(灯台付近)
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紫色の「ハクサンチドリ」(灯台付近)
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イチオシ
3色の「ユキワリコザクラ」(灯台付近)
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お金持ちの「コガネムシ」(灯台付近)
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落石岬パスの案内板(灯台付近)
草原地帯にフットパスの道が用意されています。
落石地区マリンビジョン協議会は、イギリスにあるフットパスと呼ばれる歩行者専用の道からヒントを得て、根室版フットパスの導入を試みています。 -
高山植物の咲く草原(灯台付近)
これから落石岬までフットパスの道を歩きます。
次の旅行記に続きます。
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