2019/09/09 - 2019/09/09
12位(同エリア325件中)
かっちんさん
十勝平野の北西部に位置する鹿追(しかおい)町に「とかち鹿追ジオパーク」があります。
鹿追町の南部は肥沃で広大な大地の酪農・畑作地で潤い、北部は大雪山国立公園に指定され、公園内には標高804mの高いところに「然別湖(しかりべつこ)」があります。
「とかち鹿追ジオパーク」のテーマは「火山と凍れ(しばれ)が育む命の物語」、「凍れ」が作り出した地形や生態系を体験することができます。
約100万年前~1万年前に繰り返された火山活動が鹿追の大地を作り上げ、この火山活動によって小さな溶岩ドームがいくつも誕生し、川が堰き止められ「然別湖」が誕生しました。
現在、この溶岩ドームには岩塊斜面(ガレ場)及び「風穴(ふうけつ)」地帯が広がり、「風穴」から出る冷たく湿った環境に「エゾナキウサギ」が生息しています。
「エゾナキウサギ」は今から3,4万年前の氷河期に大陸から北海道に渡り、氷河がなくなったあとも涼しい山岳地帯に残ったので、「氷河期の生き残り」といわれています。
日本では北海道だけに生息しています。
今日は帯広駅前から路線バス(北海道拓殖バス)に乗り、十勝平野の広大な酪農・畑作地の景色を楽しみながら然別湖へ向かいます。
然別湖から少し戻った所にある駒止湖(こまどめこ)の遊歩道(山道)へ入ると、風穴とガレ場が続き、そこで待つこと2時間、「エゾナキウサギ」の可愛らしい姿に出会うことができました。
帰りは「鹿追営業所」バス停で途中下車。かつて北海道拓殖鉄道が新得駅から鹿追駅まで走っていたところ。鹿追駅跡に当時のSL-8622が保存されています。
次に「白樺並木前」バス停で下車すると、十勝牧場へ続く白樺並木が1.3km続いています。
帯広の最終日は地元グルメ「インデアン」で帯広で2番目においしいカレーを夕食にします。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・"ビジットトカチ"パスのパンフレット
・ひろしプロジェクト「十勝バス 創立90周年記念復刻塗装車」
・家づくりを応援する情報サイト「屋根の形状」
・日本ジオパークネットワーク「とかち鹿追ジオパーク」
・十勝毎日新聞電子版「北海道の世界、とかち鹿追ジオパーク、大雪山国立公園然別湖」
・書籍、北海道・東北のジオパーク「とかち鹿追ジオパーク」古今書院
・蘚苔類研究、乙幡康之:日本の貴重なコケの森「然別湖周辺の風穴地帯と東雲湖」Sep.2017
・コンサルタンツ北海道第143号、大西潤「火山と凍れが町の個性~とかち鹿追ジオパークの紹介」
・然別湖畔温泉ホテル「風水」HP
・二人の館「エゾフウロ」
・ナキウサギふぁんくらぶHP
・鹿追町「町章の説明」
・北海道のカワイイ!を全国・世界へお届け、ゆるキャラ「ぴぴっとかちまい」
・家畜改良センター十勝牧場「白樺並木」「十勝牧場の概要」
・十勝毎日新聞「人気の景観 十勝牧場シラカバ並木を更新」2014年11月16日
・ウェザーニュース「秋の到来を感じるうろこ雲出現、豆知識も知っておこう!」
・カレーショップ「インデアン」HP
・ウイキペディア「然別」「エゾナキウサギ」「北海道拓殖鉄道」「北海道拓殖バス」「鹿追駅」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
"ビジットトカチ"パス
十勝管内の「すべての路線バス(十勝バス・拓殖バス)」で利用できる周遊パス。
十勝に住まいがないことが購入条件なため、現住所がわかる身分証明書と十勝に来た乗車券などを提示して購入します。
かっちんは2日パス\2,500を購入し、昨日は南十勝、今日は鹿追、然別湖を訪れます。 -
十勝バス復刻塗装車両(帯広駅前)
2016年に創立90周年記念として、かつての「ブルーリボンカラー」をモチーフにした旧塗装復刻車両に出会います。
側面に「ブルーリボンカラー」がどうにか見えます。 -
然別湖ゆきバス(帯広バスターミナル)
7:52発の然別湖行き(拓殖バス)は、途中まで音更高校の通学生と一緒。 -
トウモロコシ畑の大地(駒場付近)
終点の然別湖まで1時間46分、十勝平野の酪農・畑作地の景色を楽しむことができます。
十勝平野は然別川の働きにより作られた扇状地で、日本の平野で3番目に広いところです。
バスは30分程走ると音更町駒場に入り、住宅街から農作地帯の景色に変わります。 -
イチオシ
農家の作業小屋(駒場付近)
北海道に多いギャンブレル屋根、屋根の勾配が途中から急勾配になっています。
もともとは牛舎の2階に干し草を収納する目的のために、真ん中に柱を使わずに屋根組を支えるように設計されています。 -
緑の畑に佇む作業小屋(駒場付近)
-
白樺並木(十勝牧場付近)
-
畑とサイロ(上然別付近)
このあたりから鹿追町です。 -
黄色く染まるヒマワリ畑(大草原の小さな家付近)
ヒマワリは観賞用ではなく緑肥になります。 -
戦車の並ぶ自衛隊(自衛隊前)
陸上自衛隊鹿追駐屯地です。 -
2つの似た形の山(瓜幕付近)
西ヌプカウシヌプリ(中央)と東ヌプカウシヌプリ(右)です。
然別湖は2つの山の間の奥側にあります。
バスは左に回り、これから西ヌプカウシヌプリの白樺峠へ向かって登ります。 -
然別湖の山々と十勝平野の地形図(下が北方向)
然別湖は、6~1万年前に十勝平野に向かってまっすぐ流れていた旧然別川の流路が、然別火山群の溶岩ドーム(白雲山、他)によって堰き止められてできた、堰き止め湖です。
湖から流れ出る川は、溶岩ドームを西へ大きく迂回して流れ、十勝川へ合流するようになったのが、現在の然別川です。
また、崩れた溶岩が溶岩ドームを覆い、岩だらけの斜面が連続する独特の地形が広がりました。
岩の隙間には永久凍土が発達し、夏に冷風を噴き出す風穴ができ、1万年前まで続いた最終氷期の森に似た姿を保ち、エゾナキウサギが生息しています。 -
扇ヶ原展望台
バスは西ヌプカウシヌプリの「扇ヶ原展望台」に到着。
わずかな停車時間ですが、広大な十勝平野を眺めます。 -
東ヌプカウシヌプリ(白樺峠手前)
バスは出発し、右手に標高1252mの「東ヌプカウシヌプリ」が見えてきます。 -
純白の白樺(白樺峠手前)
-
駒止湖(白樺峠付近)
西ヌプカウシヌプリと東ヌプカウシヌプリの間にある「白樺峠」を越え、しばらく下ると駒止湖(こまどめこ)が見えてきます。
爆裂火口の跡に誕生した湖です。
あとで訪れる駒止湖の遊歩道は、湖を挟んだ対岸の山道です。 -
「然別湖畔温泉」バス停に到着
現在は一軒宿になった「然別湖畔温泉ホテル風水」。
以前営業していた「しかりべつ湖ホテル福原」は平成29年(2017)休館、「然別湖畔温泉ユースホステル」は閉館しました。 -
然別湖畔
標高804mと北海道で一番高いところに位置する「然別湖」。
正面の山は「天望山」、湖面に映ると唇(くちびる)のようなので「唇山」とも呼ばれています。 -
エメラルドグリーンの湖面(然別湖畔)
-
然別湖周辺の地図
駒止湖は然別湖畔温泉の南側にあります。
風穴のある遊歩道入口までは、湖畔から1.5kmの離れています。 -
「ナガボノシロワレモコウ」(道端)
湖畔から遊歩道入口まで車道を歩いています。 -
「キオン」(道端)
-
新白雲橋の欄干
「ナキウサギ」がデザインされています。 -
然別川(新白雲橋の下)
然別湖から流れ出る「然別川」は、溶岩ドームを避け西へ大きく迂回して流れています。 -
「アキノキリンソウ」(道端)
まもなく、然別橋手前にある遊歩道入口です。 -
ナキウサギの現れるガレ場の案内図
然別湖ネイチャーセンターにあった案内図です。
駒止湖の遊歩道入口から徒歩15分のガレ場では、運が良ければナキウサギが現れます。 -
然別風穴地帯(遊歩道入口)
風穴とは岩の隙間から冷風の噴き出す穴のこと。
穴の奥には、夏でも氷が残っていて、氷に冷やされた空気は、周囲の空気に比べると冷たく重いため、岩の隙間を通って斜面の下に移動し、出口となるのが風穴です。 -
風穴(遊歩道入口)
風穴周辺には、高山植物や湿地のコケ、高山チョウやナキウサギなど特徴的な生き物が棲んでいます。 -
淡紅紫色の「エゾフウロ」(遊歩道入口)
-
「ゴゼンタチバナ」の赤い実(遊歩道)
ガレ場へ通じる遊歩道の山道を登っています。 -
風穴
穴の中の白いものは、氷かも・・・ -
岩のゴロゴロする遊歩道
-
赤い「ゴレツミズゴケ」群落
風穴のアカエゾマツ・トドマツ林の林床に広がる珍しい「ゴレツミズゴケ」。 -
苔に覆われる風穴
-
ガレ場に到着
山腹に溶岩ドームが崩壊したガレ場で、かなり広い斜面です。
先に来ていた人から、30分前にエゾナキウサギが現れたと聞きました。
ちょっと期待できそうかな・・・ -
駒止湖(ガレ場)
ガレ場の斜面の下に駒止湖が見えます。 -
イチオシ
現れました!エゾナキウサギ
待つこと、35分。岩の隙間から現れています。
でもすぐに隠れてしまいます。 -
別のエゾナキウサギ
最初に現れた時点から、待つこと1時間10分。
あきらめかけていたとき、誰かのカメラのシャッター音が聞こえます。
離れた場所に現れたので、音を立てないようにして近づきました。 -
あっ、帰らないで(エゾナキウサギ)
体毛は夏毛の赤褐色。
冬毛は灰褐色から暗褐色になるので、年に2回毛変わりします。 -
イチオシ
帰らず、チラッとこちらを見る「エゾナキウサギ」
「キィッ」という鳴き声が聞こえます。
足は短く、前足の指は5本。
耳は丸くて短く、ウサギの耳とは違います。この耳は岩の隙間を自由に動き回れるようになっています。
ねずみでなくウサギである証拠に上あごの前歯(門歯)の裏側にも歯がついていて歯が二重になっています。 -
日光浴に出てきた「エゾナキウサギ」
今日は風がなくてほどよく暖かいので、岩の上にじっとして日光浴にきたようです。 -
青空の然別湖周辺
「エゾナキウサギ」を、2時間待って2回現れたので満足です。
では、然別湖畔へ戻ることにします。 -
白雲橋付近の湖畔から眺める然別湖
ナイタイ山の方角です。 -
帯広行きの拓殖バス(白雲橋バス停)
然別湖畔温泉まで戻らず、途中の「白雲橋」バス停から帯広行きバスに乗ります。 -
扇ヶ原から眺める十勝平野(車窓)
遠くに日高山脈の山並みが見えます。 -
拓殖バス鹿追営業所で途中下車(鹿追)
この建物は、昭和3年(1928)に新得~鹿追間に開業した北海道拓殖鉄道の鹿追駅舎が、後に開業した拓殖バスの営業所と兼ねていました。
拓殖鉄道は昭和43年(1968)に廃止となり、現在はバス営業所として引き続き使用しています。 -
ボンネットバスの写真(営業所内に展示)
新得、然別湖への路線バスは、戦後の写真と思われます。 -
鹿追家畜診療所(鹿追営業所近く)
家畜専門の診療所があります。
ちょうと乳牛が診察に来ていて、建物の外で待っていました。
待合室は外なのかな? -
SL-8622(鹿追営業所近く)
北海道拓殖鉄道鹿追駅跡に保存展示されています。
昭和3年汽車製造株式会社大阪工場製の8600形SLで、拓殖鉄道を走っていました。 -
デザインマンホール(鹿追町)
大きな鹿と上部に鹿追町の町章が描かれています。
町章は中央に頭文字の「鹿」、そのまわりに主産物の馬鈴薯の花、これを囲む円で太陽をかたどり輪(和)を表しています。 -
かちまい鹿追(鹿追町)
誰かがこちらを見ている・・・
十勝毎日新聞社のイメージキャラクター「ぴぴっとかちまい」です。
ニュースをキャッチする「耳」と洞察力に優れた「目」、そして情報を発信する「ひげ」をもつ大地の妖精なんだとか。 -
中市街(鹿追町)
神田日勝記念美術館へ行く予定でしたが、休館日でした。
仕方なく、「道の駅しかおい」前の「中市街」バス停から帯広行きに乗ります。 -
イチオシ
十勝の風景(十勝牧場付近)
-
十勝牧場「白樺並木」
「白樺並木前」バス停で途中下車します。
白樺並木は、道道133号線から十勝牧場内に通じる1.3kmの並木道です。
十勝牧場は、明治43年(1910)に当時の内閣馬政局管轄の「種馬牧場」として創設されました。
戦後は農用馬の改良、めん羊の改良・増殖、飼料作物種子の原種供給、肉用牛・乳用牛の改良等の業務が加わり、現在に至っています。 -
イチオシ
美しい白樺並木(十勝牧場)
音更町の「美林」に指定されており、テレビドラマのロケにも使われたことがあり、最近人気の観光スポットです。
白樺の幹が太く、樹齢は50~80年に達しており、老朽化が進んでいる樹木から更新する計画があります。 -
反対側から眺めた白樺並木(十勝牧場)
-
酪農用の大型車にビックリ!(白樺並木付近)
調べてみると、ドイツGEAの液状堆肥散布機のようです。 -
イチオシ
青空に浮かぶ「秋の雲」(白樺並木付近)
うろこ雲と呼ばれる「巻積雲」です。 -
カレーショップ「インデアンまちなか店」(帯広)
帯広に戻り、今晩の夕食は「帯広で2番目においしい店:インデアン」。
その理由は、一番おいしいのは妻と母の料理だから・・・ -
エビベーシックルーー・中辛・大盛りのカレー(インデアン)
ムキエビがたっぷり入って、ぷりぷりとした食感と風味が魅力のカレーを味わいます。
然別湖は学生時代に然別湖畔温泉ユースホステルに何回か泊まっています。
当時は、湖の遊覧船に乗り東雲湖へ行ったり、山田温泉の露天風呂に入ったりしていました。
「とかち鹿追ジオパーク」は2013年に日本ジオパークとして認定され、然別の火山活動がつくった然別湖と周辺の独特の生態系が紹介されました。
今回の然別の旅は、ジオパークの視点で訪れ、エゾナキウサギに出会ことができました。
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