2019/05/09 - 2019/05/10
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アテネ 国立考古学博物館 その1では先史時代を中心に紹介しました。その2ではアルカイック期を中心に展示品を紹介したいと思います。
記念碑的彫刻の誕生
紀元前7世紀はギリシャ美術の「ルネッサンス」にとって最も重要な時期です。紀元前8世紀に行われた政治的および社会的枠組みの広範な変化。芸術的表現の新しい方法を追求する必要性を生み出しました。都市国家の成長に伴い、個人は自分の個性に気づき、記念碑的な芸術作品を作成し、それを通じて自分の力、個性、野心を表現しています。
この時代に記念碑的な彫刻が現れ、最初の大きな石造りの寺院が建てられ、画家は花瓶にギリシャ神話を描き始めました。同時に、アーティストは自分の個性と芸術的価値を認識し、作品に名前を書き始めます。
原則として、幾何学時代の小さな置物とは対照的に、彫刻の作品は大規模です。記念碑的な彫刻の特徴的な性質はサイズだけではありません。作品自体の本質とその真髄もあります。彫刻は、自律的で「自由な」存在であり、建築作品の一部ではなく、外部の形態と内部の精神の間の顕著なバランスを示します。
記念碑的な彫刻の誕生は、東洋のおかげです。東部王国との貿易のために広範囲に旅行したギリシャ人は、エジプトの宮殿の彫像の規模に感銘を受けました。それらを機械的に再現し、生気のない彫刻を作成する代わりに、ギリシャの島々の明るく光沢のある大理石を使用して、同様に記念碑的であるが自分の芸術的ニーズに適合する像を作成しました。
ギリシャの記念碑的な彫刻の開始が行われた特定の場所に関して学者の間で分かれています。さまざまな理論がギリシャ彫刻の誕生をクレタ島、イオニア、キクラデス諸島、北西ペロポネソスに置いています。おそらく、ギリシャ世界のすべての地域がこの現象に寄与しており、おそらくクレタ島とキクラデス諸島が主導しています。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 25万円 - 30万円
- 交通手段
- 鉄道 徒歩
-
国立考古学博物館の入り口の正面から入ると先史時代のコーナーですが、左の部屋に入るとアルカイック期の展示があります。
大理石の女性像と2つの断片
ボイオーティア、7thC BC
2つの小像は、同様の3番目の小像とともに、ペリランテリオンの3本の柱として機能していた。もともとは3匹のライオンの上にそれぞれ女性が立ち女性の頭には巨大なお皿が乗っていたようです。ペリランテリオンは高い脚を持つ水盤のこと。たぶん直径2メートル以上ある水盤ってなんに使っていたんでしょうか。 -
記念碑的なアンフォラ。
ケラメイコス墓地、760-750BC
メインシーンは、奉献台と死者のための哀悼を示しています。 棺桶の上に死者が乗っています。 男性、女性、子供は哀悼のジェスチャーで両手を頭に置いて嘆きを示します。 アンフォラは両側に取っ手がある容器をさします。 -
クーロスの像。
スニオン、600BC
クーロスはギリシャアルカイック時代のヌード男性の若者を表します。ナクシアの大理石で出来たこの像はポセイドンへの奉納品であり、スニオンのポセイドン神殿の前に立っていたそうです。ナクシアの大理石とはキクラデス島のナクソスの採石場で取れる大理石のことで古代から現在まで採掘されているようです。 -
黒絵式のアンフォラ。
マラトン、490BC
首部分にはヘルメス神とスフィンクス。本体部分には翼のあるアルテミス、動物、花柄、スフィンクス、ガチョウが描かれている。 -
黒絵式のルトロフォロス。
アッティカのブルバ、580BC
ルトロフォロスとは花嫁の婚前の儀式用の風呂の水を運ぶのに使われたそうです。また未婚の女性の葬儀では儀式に使用され未婚の墓に置かれたそうです。つまりこの壷が置かれたお墓は未婚女性ということに。花瓶画家ソフィロスの晩年の作品。 -
大型のキクラデスクラテール
パリス島 640BC
クラテールは古代ギリシアでワインと水を混ぜるのに使われた大型のかめ。花瓶の本体にヒュペルボレイオスの土地からデロスへのアポロの帰還が描かれている。翼のある馬が戦車を引いており、戦車に立っているのはアポロとヒュペルボレイオスの処女2人。姉妹のアルテミスが鹿を伴ってアポロの帰還を歓迎している。ヒュペルボレイオスとはギリシア神話の伝説上の民族で彼らの住む地は理想郷とされていた。 -
パリアン大理石のスフィンクス像。
ピレウス、540BC
それはもともと墓碑の上に載っていたもののようです。 -
パリアン大理石のクーロス像
アッティカ ヴォロマンドラ、560-550BC
おそらくアテナイの貴族の墓に立っていたと思われる。パリアン大理石は古代にパロス島で採掘された半透明の大理石。アルカイックスマイルがよく分るクーロス像 -
パリアン大理石のコレ像
アッティカ メレンダ、550-540BC
コレはギリシャアルカイック時代の若い女性像を表します。 台座に文字が刻まれており、Phrasikleiaの墓の上に立ってたことが分ります。 衣服にはロゼット、カギ十字、星や曲線が描かれている。彩色が残っており、現存するアルカイックスタイルのもっとも保存状態のよい作品の1つ。 -
パリアン大理石のクーロスの像
アッティカ メレンダ、540-530BC
この像は先のPhrasikleiaのコレ像と同じピットで発見されたもの。膝から下の彫刻がすごく生々しい。アルカイック時代のクーロスの最高傑作の1つ。 -
ケア島のクーロスの像。
ケア島、530BC
ケア島の大理石で作られたクーロス像。ケア島の芸術家によって作られた。 -
パリアン大理石のクーロスの像
アッティカのAnavyssos、530BC
この像は盗まれてフランスに送られたが1937年に返還されたようです。土台の文字からクロイソスの墓の上に立っていたようです。クーロス像はどれもこれもアスリート体形ですが、本当に故人の見た目そのままなのか。 -
黒絵式のアンフォラ
530-525BC
右手に棍棒、左手に盾を持つ3人の男性がミリタリーフォーメーションを組んでいる。 -
アクロポリスのコレ像
アクロポリス、500-490BC
女性はキトンと短いヒマティオンを着けています。 彼女の髪は花輪で飾られ、丸い円板のイヤリングをしている。 衣服や宝石類に塗装の跡があり、髪の毛にもに赤い塗装の跡がある。キトンとは古代ギリシャの男女の衣服のことでヒマティオンはキトンの上に羽織るワンピースの総称だそうです。 -
Penteli製大理石の墓碑の断片
アテネ、500BC
赤い背景に馬と騎手の絵が描かれています。Penteliはアテネの北にある採石場。 -
Penteli製大理石の墓碑
アッティカ Velanideza、500BC
右手にカンタロス(ワインカップ)を持ち左手に月桂樹を持っている。下方には ギャロッピする馬と騎手が描かれています。碑文によるとセモンが息子のLyseasのために立てたようです。 -
パリアン大理石レリーフプレート
アテネTheseion、500BC
葬儀の記念碑。 裸の若者はヘルメットを装着して左を向いているが体は右に走っているように見える。彼は、ホップライトレースに参加しているアスリートか、あるいは熱狂的なダンサーかも。 ホップライトレースはギリシャで古代に行われた武装競争でヘルメットに盾をもち競争したそうです。 -
パリアン大理石のクーロス像
Attica Mesogeia、510-500BC
この像はアテナイの若い貴族アリストディコスの墓の上に立っていた。 筋肉や腕の動き、全体としての像の勢いが彫刻の発展における画期的な出来事であり、アルカイック後期から古典期への移行を示している。 -
レリーフが描かれたPentelic大理石のクーロスの土台
Athens Kerameikos、510BC
たぶんアスリートの墓にあった。2人のレスラーが戦っています。 これって最近テレビCMでパロディが流れてましたよね。たしかカップラーメンのCMだったか。 -
同じ台座の左側
さまざまな運動競技に参加している6人の運動選手。 -
同じ台座の右側
若者が椅子に座り犬と猫を戦わせている -
レリーフが描かれたPentelic大理石のクーロスの土台
Athens Kerameikos、510BC
正面には6人の若い運動選手が現代のホッケーに似たゲームをしており、曲がった棒でボールを打っています。 -
両方の側面には戦車と重装歩兵が描かれています。これは左面ですが、右面はほぼ同じ構図のミラーなので省略します。
-
アッティカ黒絵式アンフォラ。
ロードス島、510BC
両側にテトリッポスが描かれています。 戦士は、戦車レースの開始を待っています。テトリッポスは4頭立ての戦車のことだそうです。 -
大理石の重装歩兵の碑
アッティカのベラニデザ、510BC
墓碑の名前はレリーフの上に刻まれてたAristion。完全武装していて、キトニスコス、cuirass、ヘルメット、そしてグリーブを身に着けており左手に槍を持っています。キトニスコスは古代ギリシャの衣装、cuirassは胸部の甲冑のことだそうです。石碑の底には彫刻家アリストクレスのサインが残っています。最も美しいアッティカの墓碑の1つ。 -
コレの銅像。
BoeotiaのPtoonにあるApollonの聖域、520BC
ラコニアワークショップ。 -
アポロンのブロンズの置物
アルカディアのコスマス村、5thC BC
アポロンは左手を伸ばして弓を握っています。 -
ライオンとイノシシが描かれた石棺
クラゾメニアン、530-515BC
粘土を焼結して作成された石棺。なので正確には石棺ではなく陶器棺とかセラミック棺が正しいと思う。写真は上部ですが下部にはライオンと山羊が描かれています。クラゾメニアンは現トルコの西海岸の都市でこの石棺の産地の1つだったようです。 -
半身半女の海の精セイレーン
Lemnosヘファイエスティアの聖域、600-550BC
おそらく香水の壷かと。Lemnosはエーゲ海北部のギリシャの島。 -
腕を上げた女性像のテラコッタの置物
Lemnosヘファイエスティアの聖域、7thC BC -
ピツァ村の洞窟で発見された4つの木製の飾り板
コリントスのピツァ村、540~530BC
紀元前500年の木製の絵画が残っていることは驚異的です。木製のパネルを神の聖域に奉納するのは当時の最も安価で人気のある行為だったそうです。日本の神社の絵馬みたいな感じでしょうか。
生贄の子羊を祭壇に捧げるための行列。フルートと琴の奏者を伴っている。奉納者の名前がエウシディカ、ユーコリス、エセロンチャと書かれている。その横には絵馬の作成者または画家名前も書かれている。 -
ピツァ村の洞窟で発見された4つの木製の飾り板
コリントスのピツァ村、540~530BC
3人の女性像とネコ科動物が描かれた大きな飾り板の下部の断片。3人の女性は足だけ。かろうじてネコ科動物の一部はありますが。ニンフに捧げると書いてあるようです。 -
ピツァ村の洞窟で発見された4つの木製の飾り板
コリントスのピツァ村、Last quarter of the 6thC BC
女性のサークルダンスが明瞭な飾り板。Telesoioという名前のみはっきり読むことができます。 -
ピツァ村の洞窟で発見された4つの木製の飾り板
コリントスのピツァ村、Late 6thC BC
大きなネックレスを持っている人物のヒマティオンを対面する人物が持つ絵が書かれた大きなプラークの断片。 -
スフィンクスのテラコッタ
Calydon, 630BC
コリントスの職人の素晴らしい作品 -
ブロンズのグリフィンプロトーム
630-620BC
イラン航空のアイコンでおなじみのグリフィンヘッド。プロトームは人や動物の胴体上部を装飾とするもので、古代ギリシャでは建築物や彫刻、陶器の装飾として使用されていた。 -
ヘルメットが描かれた黒絵式のアンフォラ
Phalero、575-550BC
ヘルメットに草冠があるのが特徴。結婚式の花輪に用いるらしいので、兵士の結婚式の引き出物かな。 -
アッティカの黒絵式アンフォラ
出所不明、580BC
正面に馬のプロトームが描かれている。 裏面にはライオン。 -
コリントス式クラテール
コリントス、620ー590BC
正面に雄鶏と白鳥、裏面のパンサーと雄牛が描かれている。 -
黒絵式のアンフォラ
ピレウス、620-610BC
ゴルゴンメデューサを斬首したペルセウス神話が描かれているらしい。裏面には主人公はすでに去っていて頭のないメデューサは地面に倒れている。 正面はゴルゴンの姉妹であるステノとエウリュアレがペルセウスを追いかけて海の上を飛んでいる姿のようです。 花瓶の首部にはヘラクレスはケンタウロスネッソスと格闘しています。 -
棺桶を墓に運ぶワゴンのテラコッタモデル。
バリのアナギラス古代墓地、7thC BC
4人の喪女がワゴンを囲み子供は手を挙げ嘆きのジェスチャーをしている。シートとカバーは取り外し可能になっている。 -
向かい合ったスフィンクスが描かれたアンフォラ
625-600BC
首に鹿とおんどり。本体に向かい合ったスフィンクス。 -
ナクシアンアンフォラ。
Thera、Early 7th c. BC.
首部分にはライオンと神話上の動物が描かれている。 肩部分には羽のあるライオンとスフィンクスが。 それ以外は水平な平行線で覆われています。 -
アッティカ後期幾何学模様のクラテール
ディピロン、750ー735BC
中央には馬に引かれた棺桶の上で故人が運ばれている。周りには多くの喪服の女性と剣を持った男性がが描かれています。 壮大な葬儀だった様子が描かれています。 -
アッティカ後期幾何学模様のアンフォラ
ディピロン、750BC -
キプロスのブロンズ三脚ベース
アテナPnyx近郊の墳墓
中から故人の骨が出てきたそうです。骨壷というより棺桶ですね。同じものがデルフィの博物館にありました。 -
大理石のクーロス
BoeotiaのPtoonから、500BC
髪は二本の紐でとめられて首の後ろで結ばれている。 -
アスリートの墓碑
アテネ、550~540BC
アスリートは裸で左手に槍を持っています。精巧な頭飾りはリボンで結ばれている。 -
戦士のブロンズ像
カルディツァ、700BC
初期の円錐形のヘルメットを装着している。ボルオティオタイプの盾を背中にかけている。勇者アキレスの可能性が高い。
次回は古典期の作品を紹介します。
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