西山動物園 がんばれっ、ミンファちゃん！！ 逆境に立たされた強く美しいパンダに会いに鯖江へ

2019/07/28 - 2019/07/28

ミンファちゃん・・・、

伝説の美パンダと超イケメンパンダを両親に持ち・・・、
本人も超美形に生まれ・・・、
同じく超美形の双子の姉（妹かも？）と共に園のアイドルになり・・・、
１歳で関東のファンに惜しまれつつ鯖江にお嫁入り・・・、
お嫁入り直後、まだ非公開の時期に園から脱走、大捜索隊が結成され翌日確保・・・、
まだ公開前なのに一躍有名になり市民証交付・・・、
チャタ君との間に５匹の子宝に恵まれ・・・、
押しも押されぬ鯖江のエースパンダに・・・、
８歳にしてファン驚愕の神戸への移動・・・、
あまりの運動能力の高さに放飼場が追いつかず展示出来ず・・・、
脱走防止策で”ミンファ返し”と”４００万円の壁”設置・・・、
王子に２５年ぶりとなる仔パンダをもたらし・・・、
王子の王子様ガイア君を１１歳にして初めてのパパにしてくれ・・・、
美しい母と愛らしい娘は動物園ファンとクールな風貌のキーパーさんの心をメロメロにし・・・、
その娘は鯖江に移動した後、なんと母と同じように脱走して確保・・・、
もう無理かな？と思いきや今度は双子を出産・・・、
またもやファンとクールな風貌のキーパーさんの心をメロメロに・・・、
１３歳で所属園である鯖江市西山動物園に復帰・・・、
etc、etc・・・、

これだけの逸話を持つ稀代のレッサーパンダが、現在、苦境に立たされています。
元々良くなかった後ろ足が西山に戻ってからの数か月で急激に悪化、口腔内にも問題があり歯周病が疑われていますが、なかなか有効の措置が取られていません。

今日はそんなミンファちゃんの様子を確認したくて、急遽、西山動物園を訪問しました。


これまでのレッサーパンダ旅行記はこちらからどうぞ→http://4travel.jp/travelogue/10652280

エリア 武生・鯖江(福井)

昨晩は鯖江泊。
西山公園近くの鯖江シティホテルを取ったつもりが駅向こうの８号線沿いの鯖江第一ホテルを取ってて（苦笑）・・・今朝はホテルから駅のコインロッカーを経由して４０分ほど掛けて西山公園まで歩きました。

西山公園と言えばやはりこのレサパン親子の像・・・なんか他にはない神々しさ？を感じます。

西山動物園は西山公園内の小高い丘の上にある入園無料の小さな動物園です。

入園は無料ですが、門の左側に協力箱があります。

僕は入園料代わりに少ないですが志を入れさせて頂いていますが、皆様ももしよろしければどうぞよろしくお願い致します。

西山動物園のレッサーパンダ舎は大きく分けて３つのエリアに分かれます。
動物園に入り鳥類、リスザルを越えたところにある旧レッサーパンダ舎（旧とは言え現役で使われています）、その奥にある２０１６年３月にオープンしたレッサーパンダの家の屋内施設と屋外放飼場、そして、事務所の裏側にある非公開施設です。

旧舎のメンバーはこの３匹。
ティアラちゃんとまつばちゃんは出産の可能性があるので展示はされてないと聞いていましたが・・・いずれにせよ９時の開園直後はまだ誰も出ていませんでした。

レッサーパンダの家屋内展示場に入ると、

ミンファちゃんと、

ひかりちゃんが竹の葉で朝食中でした。

別の展示場の梅香（メイシャン）ちゃんは歩き回っていて上手く写真が撮れず・・・後で彼女が落ち着いた頃に写真を撮りたいと思います。

最近、ファンの間ではミンファちゃんの状態を危惧する方が増えています・・・もちろん僕もその一人。
一番の危惧は加齢などによる当たり前のミンファちゃんの衰えを施設の問題（放飼場の構造、温度設定、同居人の有無など）が加速させている様に思われること。
また、それらについて少なからぬ人数が園や市に直接的、間接的に改善を求めても、なかなか見える対応がなされていない事。

今回の北陸遠征では、実は富山市ファミリーパークの訪問を予定していたのですが、それを急遽西山動物園に変更したのは自身の目でその辺りを見極めたかったからです。

室温２４℃、湿度５９％・・・５月に訪問した時に比べると格段に快適です。
ただこの季節にクーラーを稼働させるのは当たり前で、どういう基準で稼働させるのかが問題です。
例えば７月から入れる、とかではなく基準の温度を決めてそれ以下に保つのが正しいやり方だと思います。

ちなみに国内の基準ではありませんが、AZA(Association of Zoos & Aquariums)の飼育基準では、
・レッサーパンダの熱ストレスは高湿度で非常に悪化するために２６．６℃を越えるとクーラーを稼働させる
・レッサーパンダの飼育環境は理想的には１．６℃から２３．８℃に保つ
と規定されています。
まあ、これは国内のほとんどの園が守れてはいないですけどね（汗）

レッサーパンダの家の屋外放飼場にも順次レッサーパンダが出て来ました。

向かって右からタイヨウ君。
主食の竹の葉もありますがまずはサラダバーから。

昔から渋い系のイケメンだとは思っていましたが更に渋みに磨きが掛かってきましたね。

そして、タイヨウ君のお隣は現在、日本一の焦げパンと言っても過言ではないでしょう・・・ライト君。

そして、一番左の放飼場にミルキーちゃん。

タイヨウ君とのペアリングで２０１５年には出産も経験しましたが上手く育てることは出来ませんでした。
気がつけば今年６歳のミルキーちゃん、経産婦なのでまだ数年はチャンスはあると思いますが、今年のティアラちゃん、まつばちゃんの結果次第来年以降は繁殖組から外れることもあり得るのかな？と思います。

屋内展示室に戻るととりあえず朝食を食べ終えたミンファちゃんとひかりちゃん。

渡り橋の上にいるのがミンファちゃん、左のタワーにいるのがひかりちゃん。
ひかりちゃんがこの場所にいるのでミンファちゃんは左側の運動場に行く事ができません・・・広く歩けるスペースや飲み水は左にしかありません。

これまで姉妹、夫婦、親子全てのフェーズで精神的優位に立ってきたミンファちゃんですが、どうやらひかりちゃんとの同居で初めてそれが崩れてしまったようです。
自由に動きたいと言う欲求が高いタイプのミンファちゃんにとっては自由に動けないストレスはかなりとものだと想像されます。

なお、この渡り橋以外にも逆側にも左側に行くルートはあるのですが、全く人工的で急な梯子となっており２月の西山帰還後から急激な後ろ足の機能低下が見られる今のミンファちゃんには到底使えるルートではなく、ひかりちゃんの居場所によってはミンファちゃんが狭い場所に封じられてします状況が度々発生しています。
これにより、元来食欲旺盛なミンファちゃんが自由に動けず体重が適正体重を越え、それが後ろ足に更に負担を掛けるという悪循環を生んでる様に見えます。

百歩譲って、これがミンファちゃんの娘のミルキーちゃんやティアラちゃんとの同居なら僅かながらの同居の意図や意義を汲み取ることも出来るのでしょうが、自身の娘ではないひかりちゃんとの同居ではそれすらも曖昧で・・・。
何も無理に同居させなくても午前午後や日替わりでの交替展示でいいと個人的には思います。

もちろん、これはひかりちゃんが悪いとか言う話では全然ありません。

人間でもそうですが動物が同居する限りその関係に優劣が生まれるのは必然で、今回はたまたま６歳のひかりちゃんが１３歳のミンファちゃんの対し優位に立ったと言うだけでの事です。
ミンファちゃんとしてもそれを受け入れてはいると思いますが、残念ながら今回は展示場の構造上の理由もありミンファちゃん側に体重増、後ろ足への負担増と言う形で実害が出てしまいました。

さて、気を取り直して。

旧レッサー舎に動きが・・・ムータン君登場です。

おやっ？

続いてお籠り中と聞いていたティアラちゃんが出て来ましたね。

お食事中のティアラちゃん。

なかなかこちらを向いてくれずまずは横顔だけでも押さえときます。

そして、続いてこちらもお籠り中のまつばちゃんも！！

ティアラちゃんとまつばちゃんは３０分くらいでバックヤードに戻って行きましたので、寝室の掃除と朝食を兼ねた放飼の様に思われました。
今年はどうだったんだろう？ティアラちゃんとまつばちゃんがママになっているなら嬉しいんだけど・・・。

産んだ、産んでない、の話はは割とセンシティブで、場合によってはキーパーさんに嘘をつかすことにもなり兼ねないのでこの時期は確認することは控えています。

こちらが非公開施設・・・写真左の建物を挟んで左右に２つ放飼場があります。
現在は非展示施設にヤンヤン君、キラリちゃん、モッチー君、かのこちゃんが暮らしています。

こちらの放飼場はリスザル舎横から、そして、向こう側の放飼場は事務所横トイレの横から放飼場の一部を見る事ができます。

レッサーパンダの家に戻るとミンファちゃんが残った竹の葉を食べていました。

現在、彼女が抱える大きな問題として、
・後脚の機能低下
・口内環境の悪化による採食の難化
が挙げられますが、それに対して彼女の持つ芯の強い部分・・・動きたい欲求、食べたい欲求、そして、展示場の構造の観点も加わり以下の問題も出て来ています、
・展示場の構造による後脚への負担増
・ひかりちゃんとの同居による動きの制限
・動きの制限による体重増
・体重増による後脚への負担増
・・・負のスパイラル、どこかで裁ち切らなくては。

そして、彼女の並外れた美貌、運動能力の高さ、心根の強さが問題点をマスクしてしまっている感も否めません。

本当に強い子なのです、だからこそ、彼女に頼るのではなく、彼女の小さな変化に寄り添う形を取らないと、気付いた時には完全な手遅れになりそうで怖いのです。
これが野生動物ならばほっておくと言う考え方もありかもしれませんが、彼女らは動物園動物なので園は彼女らが快適に暮らすための努力を怠ってはなりません・・・それこそが園の仕事なのですから。

やっと梅香ちゃんの写真を撮ることができました。

両手を合わせて手の甲を使って洗顔・・・なんて可愛らしいことをするのでしょうか。

可愛いなぁ。

梅香ちゃんが狭い運動場に封じられているのも気になるとこなんですよね。
それ以前にそろそろどこかにお嫁入りしてもいい年齢ではありますね。

ひかりちゃんと鉢合わせしてアスレチックの上に上がり道を譲るミンファちゃん。
動能力が高いので他のパンダと同じ様な動きをすることが出来ていますが、アスレチックを登る時は懸垂の様にほぼ前足の力だけで上がっている様な感じを受けました。

そんなミンファちゃんの配慮を知ってか知らずか橋の上に留まるひかりちゃん（苦笑）
そして、明らかに「あの子、早く渡ってくれないかしら？」と言う表情のミンファちゃん。

再び非公開施設を覗いてみると・・・この毛色の真っ白いお顔は！！

かのこちゃん！！

かのこちゃんは今年３月に多摩動物公園から移動してきましたがここまで非公開施設での暮らしが続いています。
噂ではミンファちゃんが体調管理のために非公開施設に移動するとの話もあるので、ひょっとしたら交代でかのこちゃんが展示組に入ることになるかもしれませんね。

時間はそろそろ１１時・・・みんなお待ちかねのフルーツの時間ですよ。

ひかりちゃんは待ちきれないのか竹の葉を食べながら待機です。

今日のメニューはリンゴ、キュウイ、おイモ、ニンジンでした。

レシピにはバナナも入っていたはずですが、口内に残りやすく虫歯の原因になりやすいバナナは抜かれていました。
常連さんのお話ではたまたあ今日が抜かれているだけのようでしたが・・・。

いつもの季節では屋外組にもフルーツが供されるのですが、今日は気温が高いために、レッサーパンダの家の屋外放飼場の３匹は１１時の時点で展示が終了となりました。

僕が気付いた時には既にミルキーちゃんは収容済で、続いてタイヨウ君が収容されるところでした。

涼しい寝室で美味しいフルーツ食べてゆっくりしてね。

今日は暑い中展示お疲れ様でした。

タイヨウ君に続いてライト君も収容。

お疲れ様でした、ゆっくり涼んでね。

旧メイン放飼場のムータン君は半屋内を開放してもらった上で展示継続。

美味しそうにフルール食べてました。

ミンファちゃんの食べ残し。

やはり口内環境が悪くリンゴも最後まで食べるのが辛いようですね、適性体重をオーバーしていることもあり体重管理は難しいと思いますが、口内環境を改善し適切な量、質のご飯をしっかり食べつつ体重を適性まで落とす必要がありますね。

この日は福岡まで移動する必要があり１２時過ぎには西山動物園を後にしました。

この訪問から４日後の８月１日、西山動物園からミンファちゃんの今後についてのリリースが出されました→https://www.city.sabae.fukui.jp/nishiyama_zoo/news/oshirase.html#news6
そして、翌２日にはミンファちゃんの非展示施設への移動が実施されました。

とっても強い彼女のことですから、晩秋か秋には今より良い状態で展示に復帰してくれると信じています。
スタッフの皆様、どうぞよろしくお願い致します。
そして、がんばれ！！ミンファちゃん！！

この旅行記へのコメント （2）

• hot chocolateさん 2019/08/10 02:18:45

  ミンファちゃんが気がかり・・・

  jilllucaさま
  
  こんばんは。
  レッサーパンダの旅行記、いつも楽しく拝見しております。
  
  ミンファちゃんといえば、市川市動植物園生まれの美パンダですよね。
  （私、市川市在住ですので気になります・・・笑）
  13歳という高齢に加えて、住環境やストレスで、体調を崩してしまったのですね。
  jilllucaさんは、飼育員以上の観察力でミンファちゃんのことを心配なさっていらっしゃるような気がします。
  
  ミンファちゃんの非展示施設への移動が実施されてよかったですね。
  新しいお部屋でゆっくりと静養して、秋には元気な姿を見せてくれるといいですね。
  
  hot chocolate

  jilllucaさん からの返信 2019/08/11 07:00:09

  RE: ミンファちゃんが気がかり・・・

  hot chocolateさん
  
  おはようございます。
  そうです、その美パンダのミンファちゃんです。
  もともと持病の様な感じで後ろ足が悪かったのですが、西山に戻って以来、体重が増えてしまい動きが急激に悪くなっちゃったのです。
  また、口腔内環境も悪化してて・・・。
  多分、西山のご飯に糖分が多いためと思われるのですが・・・。
  食べれないのではなく、過剰に食べちゃうのが原因かと（汗）
  西山がやっと深刻さに気づいてくれたのでまずは様子を見ようと思います。
  後ろ足は治るものではない様に思いますが、これ以上の進行を止めて、
  涼しくなったら展示に復帰して欲しいと思います。
  
  jillluca
  
  
  > jilllucaさま
  >
  > こんばんは。
  > レッサーパンダの旅行記、いつも楽しく拝見しております。>
  > ミンファちゃんといえば、市川市動植物園生まれの美パンダですよね。
  > （私、市川市在住ですので気になります・・・笑）
  > 13歳という高齢に加えて、住環境やストレスで、体調を崩してしまったのですね。
  > jilllucaさんは、飼育員以上の観察力でミンファちゃんのことを心配なさっていらっしゃるような気がします。
  > ミンファちゃんの非展示施設への移動が実施されてよかったですね。
  > 新しいお部屋でゆっくりと静養して、秋には元気な姿を見せてくれるといいですね。
  >
  > hot chocolate