食とインスタ映えのウラジオ紀行　?　週末に楽しむお洒落なヨーロッパ　?（1）

2019/05/25 - 2019/05/25

　東京から片道2時間半のフライトで行くことができて、綺麗なヨーロッパの街並みと美味しい食事を楽しめる場所があると言ったら、みなさんはどう思いますか？ みなさん、スマホのグーグル地図を開いてください。そしてスタート地点を山口県に設定したらひたすら上にスクロールしてみてください。見えてきたでしょうか。日本海を北上したところにあるのは、そう！ウラジストク！！

　┐(ﾟ?ﾟ)┌？？？ 初めてこの名前を聞いた人は今こんな顔をしていないでしょうか。私の友人達はほとんどこんな顔をするので慣れてしまいましたが。そしてそれがロシアの都市だということを付け加えるとさらなる驚き。真っ先に、

「気温は年中マイナスでしょ？」、
「映画でよく見るロシアンマフィアが普通に町中にいそう」、
「ボルシチって美味しいの？」

など皆それぞれの印象を述べますが、その多くが偽りの負のイメージなのです。よくインターネット上では冗談半分に“おそロシア”と、何かとロシアで事件が起きる度に揶揄されますが(個人的には結構好きです)、それがあたかもロシアンスタンダードだと思い込んでロシアが敬遠されてしまうのは非常に残念です。

　しかし、冒頭で述べたような魅力を詳しく話していくと、誰もが徐々に本当のロシアの良さに惹かれていきます。今回はそんな“良い意味でのギャップだらけ”のウラジオストクについて紹介したいと思います。


1．そうだ、週末はウラジオ行こう！

　ウラジオストクまでは成田からロシア航空（SU）かシベリア航空（S7）を利用して行くことができます。フライト時間は約2時間半！ 近いですね〜。東京駅から京都駅まで新幹線で行くのと同じくらいです。テレビCMで“そうだ、〇〇行こう”と宣伝するくらいなら、“そうだ、週末はウラジオ行こう！”ってなってもよいと思うのです。そのくらい地理的に近いということです。これだけでもロシアに対して親近感が湧きませんか？ ウラジオストクは日本に一番近いヨーロッパなのです。

　そこで早速5月下旬に、「インスタ映え観光スポット」を探して、ウラジオストクに行ってきました。今回は3連休の週末を使った旅行を想定していくつかお勧めスポットを書いてみます。では、早速、見ていきましょう！


2．ウラジオストクでグルジア料理！？

　そもそもグルジア料理ってなに？というところから始めないといけませんね。グルジアは今や日本ではジョージアと呼ばれていますが、ロシア語ではグルジアを用いているので、ここではグルジアと表記します。グルジアは黒海とカスピ海にはさまれた南コーカサスに位置する旧ソ連構成国です。ヨーロッパとアジアを結ぶ結節点の一つで、貿易の中継地点だったことから様々な文化や食材が持ち込まれ、独自の食文化が形成されました。古くからブドウが栽培され、アルメニアと並び世界最古と言われるワインの産地です。

　グルジアの予備知識を入れたところで、実際にウラジオで人気のグルジア料理の店に入ってみましょう。

今回訪れたのは地元の人に大人気のグルジア料理店“スプラ”です。ガイドブックを読んだ人なら一度は目にしたことがあるかもしれません。でも、これから紹介するのは、恐らくまだどのガイドブックにも載っていない方のスプラです。場所は市内から金角大橋を渡ってマリーンスキー劇場の先を少し行ったところ、ハリコーフスカヤ通りにあります（Ulitsa Khar'kovskaya,8）。オープンして半年ほどしか経っていないにも関わらず大盛況。予約していたのに20分くらいは外で待ちました（予約の意味不明?! 笑）。でも受付でリンゴや無料のワインが配られるので、それを飲んで待ちましょう。

　いざ店内に入ると美しい衣装の店員さんが迎えてくれます。内装も独特の美しさで、別の世界に迷いこんだような感覚になります。メニューは豊富で、ほとんどが写真付きなので指で示せば注文できて安心です。一言でグルジア料理を表現するとすれば、小麦粉オンパレード！（笑）。代表的なヒンカリ（三角形の可愛い餃子）、ハチャプリ（チーズパンてきな？）やチェブレキ（チェブラーシュカのファン歴？ 因みに私はチェブ歴3年目です）等々。

もちろん肉や魚の料理、サラダなども豊富な種類がありますが、私のお気に入りはチェブレキ！大きさはラグビーボール並みに巨大で雲のようにフワフワしていて、中には焼いた子牛の肉とチーズが入っています（写真）。店員さんがビニール手袋をくれるのでこれを装着してゆっくりこの雲を潰していきます。そしてクルクル丸めれば準備OK！ここからはフォークとナイフでいただきます。私は勢いで持ち上げてかぶりつきましたが、肉汁がズボンにビシャーッ！（笑）。ズボン1着失うくらいの価値があるほどの美味さでした。

エリア ウラジオストック(ロシア)

■チャーチャに願いを込めて

　さて、ここまでは食べ物の話でしたが、ここからは美味しい料理にピッタリのお酒をご紹介。グルジアと言えばまずはワインですね。世界最古のワイン生産地・グルジアのワインはなかなか日本で飲めないので是非試してもらいたいです。おすすめは赤ワイン MARANIのアラザンスカヤ。渋すぎずグルジア料理独特の香辛料とうまくマッチしています。

　美味しいワインを堪能して次は何を飲もうか考えていると、現地の友人のグレフが「チャーチャを飲みますか？」と日本語で尋ねてきました。みなさんはお茶のことか？と思ったかもしれませんが、その正体はなんとグルジア版ウォッカ！やはりロシアに来たらウォッカは外せないですね～。一般的なアルコール度数は40%ですが、田舎のお手製は50 %もあるとか。ロシアの思い出作りに普段日本では飲まないウォッカのショットをやるのは非常に面白いと思います。

　しかし、このスプラではもっと楽しく飲む方法があるんです！チャーチャを注文するとテーブルで飲むか、別の場所に移動するかと聞かれるので、是非後者を選んでみてください。ロシア語が分からなくても気さくな店員さんが連れて行ってくれると思います（笑）。ハイテンションな店員さんに連れられて店内奥の厨房前のカウンター前に行くと、その上にはなんと女神像!? よく見ると蛇口がついています（笑）。もうお分りですね。ここからチャーチャが出るのでショットグラスに注いで準備完了！

と思いきや、ただ飲むのではなく、作法があるのです。まずはグラスを持って、願いを込めながら女神の鼻をこすります。それから一気に飲み干して、全員が飲み終わるとみんなで肩を組んで女神の横のベルを鳴らし、再度願いを込めます。これで終了。一緒に飲んだもう一人の友人のスラーヴァはお酒が弱いので、“生きて帰れますように”と願いを込めたに違いありません（笑）。

　こんな感じでたらふく食べて飲んで初日を終えることができて、いいスタートが切れた感じです。初日はウラジオストク着が夕方なので、観光の時間がありません。まずはスプラに全力を注ぎましょう！！

（つづく）