2019/06/05 - 2019/06/05
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ken-kenさん
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2019年6月の初頭、ミラノを訪れレオナルド・ダヴィンチの「最後の晩餐」を鑑賞してきました。
「最後の晩餐」と言えばなんと言ってもミラノのサンタ・マリア・デッラ・グラツィエ教会に描かれたレオナルド・ダヴィンチの絵が一番有名ですが、イタリアにはたくさんの「最後の晩餐」の絵があります。
そんな数々の「最後の晩餐」を載せてみました。
- 交通手段
- 鉄道
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
レオナルド・ダヴィンチの「最後の晩餐」はご存知の通り予約必須です。
けれども団体がほとんどの時間を押さえていてHPから予約を取るのは至難の業。
間際になるとキャンセルが出て取りやすくなるというのですが、せっかくミラノまで行って取れなかったら泣くに泣けません。
なのでここだけは現地の団体ツアーに参加しました。
値段も高く、時間の無駄も多いのですが、ドゥオーモも並ばず入れたので結果的には参加して良かったなと思っています。
最後の晩餐があるサンタ・マリア・デッラ・グラツィエ教会。
「最後の晩餐」は教会の内部ではなく修道院の食堂に描かれています。 -
これがサンタ・マリア・デッラ・グラツィエ教会。
「最後の晩餐」は左横の建物から入ります。
絵画保護のため1グループ20人弱で堂内に入ります。 -
これがサンタ・マリア・デッラ・グラツィエの「最後の晩餐」の入り口です。
-
これが有名なレオナルド・ダヴィンチの「最後の晩餐」。
1498年ころの作品です。
写真撮影はフラッシュなしで可。
ビデオは禁止でした。
人物に動きと緊張感があり、確かに傑作です。 -
でも、アップにするとこの通り。
絵が剥げかかっています。
20年もかけて修復したのに、正直鮮明な絵ではありません。 -
理由はこの絵がフレスコ画ではなくテンペラ画であるから。
レオナルドはぼかしの技法が得意だったのでこの絵もぼかしを使いたいと思っていました。
けれどもフレスコ画は壁のしっくいが乾かないうちに一気に描かなければなりません。
けれどもぼかすためは何度も塗りなおしをしなければなりません。
なのでフレスコ画ではぼかすことは不可能。 -
そこで彼は何度も塗りなおすことのできるテンペラ画で描くことにしました。
ところが壁に描くのにテンペラはやはり向いていませんでした。 -
完成した瞬間からもう絵の劣化が始まっていたといわれています。
その後時間がたつにつれどんどん劣化し、最終的にはこの場所は馬小屋に使われていたといいます。
修復前の写真が飾られていますが、キリストの顔などほとんど黒くてなにがなんだかわからない状態です。
それをここまで修復したのですが、正直言って鮮やかさに欠けていてあまり感動はありませんでした。
「昔、教科書で見た傑作を今目の当たりにしているなあ」くらいの感じでしょうか(笑)。 -
あえて言えば偉大なる失敗作と言えるでしょうか?
その後レオナルドはフィレンツェのヴェッキオ宮の五百人広間の壁に「アンギアーリの戦い」の絵を描くことになりました。
その時はこの時の失敗を教訓に違う技法を試しましたが、もっと酷く、書いてるそばから絵の具がダラダラ零れ落ち、断念せざるを得なかったそうです。
その時、着手金の返却をレオナルドに求めるためにフィレンツェ政府から派遣されたのがマキアヴェッリだそうです。 -
ここにいる三人が右から預言者ヨハネ、ペテロ、ユダです。
-
ヨハネは女性と見まごうばかりに美しく、ユダは金貨の袋を持ち、ペテロは「イエスを知らない」と言うと言われて動揺したか怒ったかしてナイフを持っています。
これは「最後の晩餐」を描くときのセオリーのようになっています。
なのでこの3人だけは見つけやすくなっています。
(後年になると例外もありますが) -
普通ヨハネはキリストの胸に顔をうずめているのですが、なぜかキリストと離れペテロと話をしているような感じです。
ダン・ブラウンは著書「ダヴィンチ・コード」の中でこのヨハネはマグダラのマリアでキリストの妻であったと書いています。 -
ただそうするとおかしいのは聖書の中のこのシーンに重要な登場人物ヨハネがどこにもいなくなってしまうことです。
-
だいたいレオナルド・ダ・ヴィンチという方は洗礼者ヨハネ(キリストに洗礼を与えた人物で、預言者ヨハネとは別人)をこんなにも美しく書いてしまう方。(しかもなまめかしい)
この絵は写真を撮ってなかったので美術サイトからの転載です。
実物はパリのルーブル美術館にあります。 -
一般的な洗礼者ヨハネはこんな感じに描かれます。
ティツィアーノ作の洗礼者ヨハネ
ヴェネチアのアカデミア美術館所蔵です。 -
ヴェロッキオが描いた洗礼者ヨハネ(右端のおじさんです)
フィレンツェのウフィツィ美術館所蔵です。
その後、ラファエロやカラヴァッジョが少年時代の洗礼者ヨハネを描いていますが、それでもレオナルドのように女性と見まごうようには描いていません。
ましてやレオナルド以前の洗礼者ヨハネはみんなおじさんとして描かれます。
一方預言者ヨハネはキリストが一番可愛がっていた一番年若の弟子となっていますのでだれもが美しい少年として描いています。
そしてレオナルド・ダ・ヴィンチは女性のように美しい少年を好んだお方。 -
なのでこの絵の女性のように見える人物が預言者ヨハネであったとしてもなんらおかしくはないと思います。
預言者ヨハネはキリストの弟子の中では一番若かったのですが、唯一殉教せずに長生きをして、福音書と黙示録を書いたと言われる人です。
フィレンツェのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会の礼拝堂に老いた姿のヨハネが描かれています。 -
ちなみにこれがサンタ・マリア・ノッヴェラ教会にあるフィリピーノ・リッピが描いた予言者ヨハネの絵です。
真ん中で釜茹でにされている老人がヨハネ。
時の流れは残酷です(笑)
ちなみに釜茹でにされても助かったそうです(笑) -
ついでに。
こちらは磔にされているヨハネ。
とにかくどんなことをされても死ななかったみたいです。
弓矢で撃たれても死ななかった聖セヴァスチャン、車輪に括りつけられて転がそうとしたら車輪が壊れた聖カタリナ、釜茹でにされても死ななかった聖ゲオルギウス。
しかしみな最後には殺されています。
なにをされても死なかったのはヨハネひとり(笑)。
黙示録でいろんな予言してるし、ある意味イエスより遥かにすごいかもしれません(笑)。 -
それではイタリアに残る他の画家の「最後の晩餐」を巡ってみましょう。
まずは1300年ころにヴェネチア近くのパドヴァの町、スクロヴェーニ礼拝堂に描かれたジョットの「最後の晩餐」
フレスコ画です。
まだこのころは聖書の一部分として描かれ、修道院の食堂に描くという習慣はなかったようです。
なので使徒たちは一列に横並びしていません。
預言者ヨハネはキリストの胸に顔をうずめ、その右横でペテロがナイフを握りしめています。
手前の列の左端、後ろ向きでイエスと同じようにパンに手を伸ばしているように見える男がユダです。 -
トスカーナ地方サンジミニャーノ(フィレンツェ近郊)の参事会教会の壁に描かれた「最後の晩餐」のフレスコ画。
バルナ・デ・シエナ作。
1330年ころの作品。
やはり新約聖書のキリストの生涯の連作として描かれています。
使徒は一列に並んではいませんが、キリストを中央に配しているのが後年の作品に近いです。
ジョットの作品では預言者ヨハネは聖書の記述通りキリストの胸に顔をうずめていますが、この作品では寝ているように見えます(笑)。
多分、ジョットみたいに聖書通りに書くとBLに間違えられるので自主規制が働いたのではないかと・・・・・
これ以後の予言者ヨハネはみな寝ているように描かれます。
そして右端が切れていて分かりにくいのですが、右端でペテロらしき男がナイフを握っています。(ただ絵の感じではキリストの左に座っている男がペテロっぽいのですが・・・・)
キリストが正面の光輪のない男にパンを渡しているのでこの男がユダでしょうね。
真ん中にグロテスクな子羊の丸焼きらしきもの(最初見た時ネズミかと思いました)が描かれているのも面白いです。
このころの「最後の晩餐」の絵は羊の丸焼きが入るか、パンとワインのみかに別れていますね。
1500年台後半になると他の料理も入るようになります。
(ただルネサンス以前の絵でザリガニが描かれた「最後の晩餐」もあるようです。地方によるのかもしれませんね。) -
ジョットの弟子であるタッデオ・ガッディがフィレンツェのサンタ・クローチェ寺院の食堂に描いた「最後の晩餐」
1360年ころの作品です。
使徒が横並びになっています。
上部にはキリストの磔刑図とそれから派生した信仰の樹が描かれています。 -
タッデオ・ガッディの「最後の晩餐」
この作品では後ろ向きのユダが登場します。
独りだけ後ろ向きになっている構図はこのころからでしょうか? -
アップです。
ヨハネはやはり寝ています。
分かりにくいのですがイエスの右隣にいる人物がナイフを握っているようなのでペテロだと思われます。
これ以降フィレンツェの最後の晩餐はこのパターンがほとんどになります。
(ヨハネはキリストの隣で眠り、ユダは後ろ向き、ペテロはナイフを持っている) -
フラ・アンジェリコがフィレンツェのサンマルコ修道院の僧坊に描いた「最後の晩餐」
1441年ころの作品
食堂ではなく僧侶たちが寝る部屋に描かれたフレスコ画なので先ほどのセオリーを全部外しています。
「最後の晩餐」と言っても場面は有名な「この中に裏切り者がいる!」とキリストが言ったシーンではなく、その前のキリストが使徒たちにパンを与えて、「これは私の肉だ」と言っているのどかなシーンです。
パンを貰っているのが多分ヨハネです。
前面に座っていた4人は右端に控えています。
(多分その中で光輪が黒いのがユダであると思われます)
さらには聖母マリアらしき人物も左端にいます。
「最後の晩餐」としてはかなり珍しい構図だと思います。 -
フィレンツェにあるアンドレア・デル・カスターニョの「最後の晩餐」
1447年ころの作品
フィレンツェ市内の建物でこれだけを公開しています。
もとはアポロニア修道院の食堂でした。
人間の目は縦より横のほうが視野が広いので、使徒を横並びにして正解だったと思います。 -
ユダは一人離れて後ろ向き、ヨハネは寝ていて、その右横でペテロがナイフを握りしめている。
とすべてセオリー通りの絵です。
壁に描かれた不思議な文様が面白いです。 -
ただ緊迫感にかけているのは否めません。
-
そしてギルランダイオがフィレンツェのオニサンティ修道院の食堂に描いた「最後の晩餐」
1480年ころの作品です
撮ったカメラがまだそれほどいいものでないのでピンボケです。
気品にあふれた作品です。 -
この作品ではヨハネはイエスの胸に顔をうずめて(というか寄せている)いてやや聖書に近い感じがします。
ユダは後ろ向きでペテロはイエスの左横でナイフを握っています。 -
そしてその六年後にギルランダイオがフィレンツェのサンマルコ修道院の食堂に描いた「最後の晩餐」
1486年ころの作
オニサンティのものとほぼ同じ構図です。
大きな違いはユダがパンの欠片を持っていることと、ユダの足元に猫がいることでしょうか?
自分が一、二を争うほど好きな作品です。
レオナルド・ダ・ヴィンチもこの作品を参考にしたと言われています。
見事に修復されて色彩も鮮やかで見ごたえがあります。 -
ユダは後ろ向きでヨハネは完全に寝ていて、ペテロはナイフを握りしめています。
鳥が空を飛んでいる後ろの風景画も美しい。
ちなみに右後ろにいる孔雀は「不死の象徴」を、背景に描かれた棕櫚の木は「受難の象徴」で、糸杉は「死の象徴」だそうです。 -
キリストとヨハネの右にいる人物もキリストに見え、ユダですら気品に満ちています。
絵の主題を考えればいけないのでしょうが、それすら忘れてしまうほどの美しさです。
なお散らばった赤い実はサクランボだそうで、「血の象徴」だそうです。 -
キリストのアップ。
ここまでアップにするとお分かりだと思いますが右のユダはパンの欠片を持っています。 -
そしてユダの右横に猫が描かれています。
猫は「裏切りの象徴」だそうです。 -
右側の使徒。
-
左側の使徒。
一番右でナイフを握りしめ、怒った顔をしているのがペテロです。 -
上部右側の絵。
-
ともかく美しい絵です。
ファミリーレストランの「サイゼリア」ではイタリア絵画のコピーが飾られているのですが、「最後の晩餐」に関してはレオナルド・ダ・ヴィンチではなくこの絵が飾られていて、それ以後親近感を持ってしまいました(笑)。
なんか趣味が同じだなあと思っています(笑)。 -
フィレンツェの駅近くの建物内にある、ペルジーノの「最後の晩餐」
1995年ころの作品。
レオナルド・・ダ・ヴィンチのものとほぼ同時期です。
元々はフリーニョ修道院という女子修道院だったようです。
長い間女子修道院だったので人の立ち入りが禁じらていました。
なのでほとんど人の目に触れなかった絵です。
1800年代に女子修道院は廃院となり、始めて人の目に触れることとなりました。
当時の人が最初に見た時、あまりの美しさにラファエロの絵ではないかと騒がれたそうです。
ペルジーノはラファエロの師匠で特にラファエロの初期のころの絵はペルジーノそっくりですから、ラファエロ作と思われても仕方ないかもしれません。
それほどに美しい絵です。
ペルジーノの最高傑作と言ってもいいかもしれません。
ただし一週間に一度火曜日の午前中しか公開していません。
最初は運よく入れたのですが、それ以降見ることが出来ませんでした。
なのでカメラが古くピンボケです。
もう一度見てみたい絵の一つです。 -
レオナルド・ダ・ヴィンチのものと違い人物にあまり感情の動きがありません。
でも美しさではギルランダイオのものと並ぶほどです。 -
ユダは後ろ向きで、ペテロはキリストの左側でナイフを握りしめています。
そして眠っているヨハネが素晴らしく美しい! -
後ろに描かれているのは多分「オリーブ山の祈り」の場面だと思います。
-
フィレンツェ近郊の(と言っても中央駅から一駅、歩いても30分ほど)Campo di Marte駅から歩いて10分ほどのところにアンドレア・デル・サルトが描いた「最後の晩餐」がある修道院があります。
と言っても今では廃寺になっているようで、一種の美術館になっています。
入館料はなしでした。 -
1520年ころの作品です。
アンドレア・デル・サルトはラファエロがフィレンツェを離れてローマに行ってしまった後、フィレンツェで活躍した人です。
ただ絵がラファエロに似ていることもあって、あまり脚光を浴びてません。
実際ラファエロに比べると絵の出来もいまいち感があるのですが、このフレスコ画に関しては素晴らしいと思いました。
アンドレア・デル・サルトの最高傑作だと思います。 -
訪れる人も少なく、椅子に座ってゆっくりと鑑賞が出来るのもいいですね。
-
レオナルド・ダ・ヴィンチの影響を受けて、感情があらわになっていてすごくいいと思います。
なのに上では召使が我関せずという感じで覗いてるのも面白いです。 -
キリストとヨハネのアップ。
この中に裏切り者がいると言われて思わず「それは誰なんですか?」と詰め寄るヨハネって感じで自然でいいですね。 -
そして左側で「え?私ですか?」って感じの弟子の表情もいいです。
この人がペテロかと思いましたがこの絵では誰もナイフを持ってないのでちょっとわかりません。
(ペテロにしては若すぎる気もします) -
足もしっかり描かれていて、キリストだけはきちんと揃えていますが、ほかの弟子は動揺して足元がバラバラです。
-
右側の弟子たち。
後ろを向いているので一番右の男がユダでしょうか? -
左側の弟子たち。
-
上のアーチにも聖人が描かれています。
そしてこうしてみると外は夕焼けしているようですね。 -
今回はこの絵を見るためにフィレンツェを訪れたと言っても過言ではないので大満足いたしました。
自分の中ではサンマルコ修道院のギルランダイオ、フリーニョ修道院のペルジーノ、そしてアンドレア・デル・サルトの3つが三大「最後の晩餐」ですね。 -
フィレンツェ、サンタクローチェ寺院の食堂にはタッデオ・ガッデイのフレスコ画以外にジョルジョ・ヴァザーリの「最後の晩餐」掲げられています。
ヴァザーリは1511年生まれ。
画家としてより著作である「芸術家列伝」で有名です。
メディチ家出身のトスカーナ大公コジモ一世に重用され、フィレンツェのドゥオーモのキューポラの天井画や、ヴェッキオ宮の五百人大広間の壁画を描いています。
そしてこの「最後の晩餐」
この絵の情報があまりないのはこの絵が1966年のフィレンツェの洪水で水浸しになり、50年もの間修復不可能と言われて修復工房で保存されていたからです。
2015年から修復プロジェクトが始まり、2016年にサンタクローチェ寺院に戻ってきました。 -
アップです。
このヨハネはイエスにもたれかかっているというより失神しているかのようです(笑)。
ユダは後ろ向きでペテロはナイフを握りしめています。 -
右側です。
ただ動きは驚いてる感じが出ているですが、肝心の表情がいまいち緊迫感がないようなします。
俳優の演技中に監督が「はい、ストップ!」と言ってみんなストップモーションになったという感じですね(笑)。 -
これは左側。
右から二番目、赤い服を着てパンを後ろ手で持っているのがユダです。
修復されてはいても細部に傷跡が残り、やはり痛々しい感じがします。 -
そして羊料理が描かれていることが結構多いのですが、この羊はリアルすぎてかなり不気味です(笑)。
-
上の二本のレールは、いつまた洪水が来てもいいように、引き上げる装置らしいです。
-
フィレンツェ以外の最後の晩餐を見てみましょう。
ミラノ、サンマウリッツィオ教会に描かれたベルナルディーノ・ルイーニの最後の晩餐。
1520年ころの作品です。
ルイーニはレオナルド・ダ・ヴィンチの弟子ではなかったですが、一緒に仕事をしたこともあってレオナルドの影響をすごく受けています。
なので後世になって彼の絵はダ・ヴィンチ作と間違えられたものが数多くあるそうです。
ミラノの街の美術館は彼の絵であふれていました。 -
アップです。
ヨハネはキリストに寄りかかり(どう見ても甘えているようにしか見えません笑)ペテロはナイフを握りしめています。
全体的には感情表現豊かなんですが、ヨハネのせいで「おっさんに甘える少年、そしてみんなこの少年目当てだったのに、意外な結果に驚く回りの男たち」というBLにしか見えません(笑)
それから数ある「最後の晩餐」でもこのヨハネが一番ふくよかな気がいたします。
そしてヴァザーリのほどじゃないにしても、この子羊も結構不気味です(笑)。 -
ヴェネチア、サンマルコ広場対岸に浮かぶサンジョルジョ・マッジョーレ教会にあるティントレットの最後の晩餐。
1561年ころの作品。 -
今までテーブルを真横にして、使徒たちを横並びにしていたのですが、ティントレットはテーブルを斜めにして奥行きを出しました。
そして召使たちも参加させたのでなにがなんだかわからないって感じでもあります(笑)。
ただ、マニエリスムの時代の絵なんですが、すでにバロックを思わせる絵ですね。 -
アップです。
キリストの右でひじをついて寝ているのがヨハネでしょう。
そしてこのシーンは「これが私の肉だ」と言ってキリストが弟子にパンを与えているところでしょうか? -
ティントレットの絵って全体的に暗く、人物がはっきり描かれていないので、写真を撮るのが凄く難しいです。
(カラヴァッジョ、レンブラントと並んで写真を撮るのが難しい絵を描く三大画家ですね。) -
ヴェネチアでティントレットと競い合っていたのがヴェロネーゼです。
ヴェネチアはアカデミア美術館にあるヴェロネーゼの「レヴィ家の饗宴」
1573年ころの作品
一目見ただけでは「最後の晩餐」とはわかりません。
当時のヴェネチアの晩餐会を模して、酔っ払いや小人などを描いたので、不謹慎すぎるということで、書き直さなければ宗教裁判にかけると脅されたらしいです。 -
そこでヴェロネーゼはタイトルを「レヴィ家の饗宴」とすることで宗教裁判を逃げ切りました。
アップにすればそれらしいのですが(笑)。
2019年の旅行では残念ながら修復中で展示されていませんでした。
カメラが古い時のものなのでピンボケです。 -
そして1585年ころ、ヴェロネーゼが晩年に描いた「最後の晩餐」。
ミラノのブレラ絵画館に展示されています。
左側が「最後の晩餐」右側が召使たちという感じでしょうか。
けれども残念ながら構想だけが空回りしてしまいティントレットのものには及ばない気がします。 -
左側の「最後の晩餐」部分。
キリストの右にいる女性のような男性がヨハネ。
右前で後ろを向いている禿げ頭の男はキリストからパンを渡されているので多分ユダでしょう。 -
右側の部分です。
犬がいたり、子供が乞食に何かを恵んでるようにも見えたり、こちらは完全に俗世間です。
しかも左側が緊迫したシーンなのに、こちらはのどかな感じです(笑)。 -
左側のアップです。
やはり一つの絵とは思えません。(笑) -
そしてベルギーの画家ではありますがルーベンスの作品もミラノのブレラ絵画館にありました。
1631年ころの作品です。
縦長の作品です。 -
バロック期なので全体的に暗い感じです。
(それでもティントレットに比べると写真は撮りやすいです)
みんながパンをのぞき込んでいる感じです。
多分ユダはこちらを向いている人物だと思われますが、他は誰が誰だかわかりません。 -
さらにアップです。
-
絵が縦長なので縦にして撮ってみました。
-
ユダらしき男の足元には猫ではなく犬が横たわっています。
-
これからはあまり有名でない画家の作品です。
パドヴァの市立美術館(スクロヴェーニ礼拝堂がある修道院が美術館になっています)にあるジローラモ・ロマニーノの描いた「最後の晩餐」
1535年ころの作品です。
ロマニーノはミラノ近郊のブレーシアで生まれました。
レオナルド・ダ・ヴィンチの影響を受けた絵だと思います。 -
ナポリのカポディモンティ美術館にあったディルク・ヘルンドリックスの描いた最後の晩餐です。
1580年ころの作品。
アムステルダム出身の画家です。
この人に関しては調べましたがほとんど資料がありませんでした。
右側、後ろ向きのユダが金貨の入った袋を持って逃げようとしているところでしょうか?
左側後ろ向きの男の足元に「裏切りの象徴」の猫がいたので最初はこの男がユダかと思いました。 -
アップです。
絵自体はともかく、料理がグロテスクではなく美味しそうになっています(笑)。 -
そしてディルク・ヘルンドリックスの絵が何故かもう一枚並んで飾られていました。
こちらは縦長の絵になっています。
1580年ころの作品です。 -
こちらはかなり傷みが激しくなっています。
そしてヨハネも殴られて失神しているかのようで痛々しいです(笑)。 -
ユダは右下にいて金貨の入った袋を持っています。
そして足を洗っているかのようです。
かなり傷みが激しいようで和紙がそこら中に張られています。 -
イタリアはミラノで活躍したダニエレ・クリスピの作品です。
1624年ころの作品。
ミラノのブレラ絵画館にあります。
縦長でルーベンスの作品に似ていますが、光と影を重んじたバロックの感じはありません。
なのでこの時期にしてはやや古さを感じる絵です。
ただ食卓に魚料理があるのが新鮮な感じがします。
そしてこちらの絵の料理もちゃんとした料理という感じです。
(レモンの輪切りらしきものも描かれていてなかなか凝ってるなという感じです。)
ヨハネはすぐわかりますが、ペテロは右でナイフを持っている比較的若い男、ユダはパンを持っているので手前でこちらを見ている黒ひげの男でしょうか? -
アップです。
みんな動揺しているのに我関せずといった感じのキリストとヨハネです。 -
フランスはブルゴーニュ生まれでありながら主にローマで活躍したヴァレンティン・ドゥ・ブルゴーニュの「最後の晩餐」
1626年ころの作品です。
これはいかにもバロックという感じの絵ですね。
そしてこちらの羊の丸焼きはもう食べられているんじゃないかって感じです。 -
キリストとヨハネのアップです。
ヨハネがこんなにも下卑た少年というのも珍しいですね(笑)。
ちょっとカラヴァッジョを思わせる絵です。 -
ヴィチェンツァで生まれヴェネト地方で活躍したフランチェスコ・マッフェイの最後の晩餐。
1650年ころの作品です。
ヴェローナの市立美術館に展示されていました。
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この旅行記へのコメント (12)
-
- 熟年ドラゴンさん 2020/02/17 07:28:36
- 勉強になります。
- 私はミラノのサンタ・マリア・デッラ・グラツィエ教会へ行きましたが、予約してなかったので冷たく門前払いに遭いました。
最後の晩餐は大塚美術館でたっぷり見ましたが、こんなに知識があると色々楽しめますね。
- ken-kenさん からの返信 2020/02/17 20:21:36
- RE: 勉強になります。
- 熟年ドラゴンさん、始めまして。
この度はフォロー、また投票をありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。
ken-ken
-
- makiさん 2019/10/19 21:42:57
- いいですね!
- ミラノと言えば絵画ファンにとって最後の晩餐ですよね!
でも入場制限で個人では中々厳しいと見てないんですよ!
この度写真の無い退屈な、しかも大昔のフイリッピン慰霊に
いいねを頂き恐縮です!
でも旅行っていいですね40年前のに鮮明に覚えてるって!
今後もken-kenさんの旅行記の絵画でヨーロッパ美術館を
思い出します!
ウイーンの宮殿前の美術館行かれたら教えて下さい?
- ken-kenさん からの返信 2019/10/19 23:10:20
- RE: いいですね!
- makiさん今晩は。
またのコメントありがとうございます。
> ミラノと言えば絵画ファンにとって最後の晩餐ですよね!
> でも入場制限で個人では中々厳しいと見てないんですよ!
そうですね。
ただ「最後の晩餐」は修復したといっても絵はすでに結構劣化していますし、これ一つだけしかありません。
正直こんなに高いお金を払って見る価値があるだろうか?などと考えてしまいます(笑)。
> ウイーンの宮殿前の美術館行かれたら教えて下さい?
もしかして美術史博物館のことでしょうか?
それでしたらこの旅行記に記してあります。
(もしクリムト、エゴン・シーレ中心のベルヴェデーレ上宮美術館のことでしたら当時写真撮影禁止だったのでまだ行っておりません)
https://4travel.jp/travelogue/10681573
ただ、この頃のカメラはまだいいものではなく、SDカードのビット数もさほど多くはなかったので、綺麗に取れていませんし枚数も少ないです。
ウィーンは大好きな街なのでまた行きたいと密かに思っております。
またよろしくお願いいたします。
ken-ken
-
- たらよろさん 2019/10/05 14:46:56
- 最後の晩餐
- こんにちは、ken-kenさん
最後の晩餐って、たくさんあるんですねー
知らなかったです。
まあ、聖書の場面だから、いろいろあって当然ですね。
そんなことも考えてなかって、有名なダヴィンチの最後の晩餐しか知りませんでした。
そして、こういう絵画や建築物なども、
保存って大事なことなんだなぁって最近よく思います。
せっかくの素晴らしい作品も消えてしまったら、壊れてしまったら価値がわからないので、、、
破壊活動の行われている遺産もありますが、
やっぱり古の遺産はいつまでも残していってほしいなぁ。
たらよろ
- ken-kenさん からの返信 2019/10/05 20:49:12
- RE: 最後の晩餐
- たらよろさん、今晩は。
この度は投票とコメントをありがとうございました。
> 最後の晩餐って、たくさんあるんですねー
> 知らなかったです。
> まあ、聖書の場面だから、いろいろあって当然ですね。
> そんなことも考えてなかって、有名なダヴィンチの最後の晩餐しか知りませんでした。
最後の晩餐は確かにたくさんありますが、聖書の場面で一番多いのは「受胎告知」ではないかと思っています。
「最後の晩餐」と違って人数が少ないことも画家にとって大きな利点ではないでしょうか(笑)。
最後の晩餐はこうして追いかけることが出来ますが、「受胎告知」は多すぎてちょっと無理かなと思っています。
でも聖書のテーマとしては「最後の晩餐」と「受胎告知」が一番好きですね。
どちらもとてもドラマチックな感じがします。
> そして、こういう絵画や建築物なども、
> 保存って大事なことなんだなぁって最近よく思います。
> せっかくの素晴らしい作品も消えてしまったら、壊れてしまったら価値がわからないので、、、
> 破壊活動の行われている遺産もありますが、
> やっぱり古の遺産はいつまでも残していってほしいなぁ。
そうですね。
自然現象で劣化していくならともかく、人間が破壊することは悲しいですね。
今イスラム原理主義者の偶像破壊が言われていますが、キリスト教徒もかつては結構していたんですね。
ローマ遺跡なんかも壊されて教会の建築資材に使われたりしています。
仏像に関してもタイなんかではその中に宝石を入れておく風習だったので同じ仏教徒のビルマ兵が首を切って取り出したらしいです
そのためタイの寺院には首のない仏像も結構あります。
エジプトも王の墓の大半が墓荒らしに荒らされています。
宗教と欲のために数多くの芸術作品が壊されたかもしれませんね。
これからもよろしくお願いします。
ken-ken
-
- お黙り!さん 2019/08/01 08:31:53
- 流石です!
- ken-kenさん、おはようございます。いつも素晴らしい絵画の説明、楽しみにしております。今回は特別ですね。いや~~~素晴らしい!お勉強させて頂きました。
だいたいレオナルド・ダ・ヴィンチという方は洗礼者ヨハネ(キリストに洗礼を与えた人物で、預言者ヨハネとは別人)をこんなにも美しく書いてしまう方。(しかもなまめかしい)
私、この絵、大好きなんです。そして、「モナリザ」より美しいと思ってるひとりなんです。今回、また実物を見に行きたいと思いました。ありがとうございました。
マリー
- ken-kenさん からの返信 2019/08/01 21:43:05
- RE: 流石です!
- マリーさん、今晩は。
投票とコメントをありがとうございました。
今回は自分が一番好きなテーマだったのでちょっと力が入ってしまいました(笑)。
自分も「モナリザ」より「洗礼者ヨハネ」と「受胎告知」が好きです。
何度も実物を見に行く・・・・・少し前だととてつもなく贅沢だったことが今、結構普通に出来るようになったのがすごく嬉しいですね。
またこれからもよろしくお願いいたします。
-
- cookieさん 2019/07/31 06:30:26
- 最後の晩餐
- kenkenさん
いつも楽しく読ませていただいてますが、読み逃げで ごめんなさい
しかし 凄いです。お見事
私も 絵画見るのが好きなんで 最後の晩餐まとめて 説明していただけて
読むの楽しいし こんなに いっぱいあるなんてね。。
牧師さん?ってなわけないかーと思いながら 読んでます。
笑
もしかして 最後の晩餐 フェチ??
笑
ごめんなさい ちゃかして。。
これからも 読み逃げばかりかもしれませんが
また 遊びにきますねー
cookie
- ken-kenさん からの返信 2019/07/31 20:15:07
- RE: 最後の晩餐
- cookieさん、今晩は。
この度は投票とコメントをいただき誠にありがとうございました。
そうなんです。
完全なる「最後の晩餐」フェチです(笑)。
「受胎告知」フェチでもありますが、フレスコ画が好きなのでフレスコ画として描かれることが多い「最後の晩餐」のテーマは滅茶苦茶好きなんです。
特にフィレンツェの「最後の晩餐」は修道院の食堂の壁に大きくフレスコ画として描かれていて、フレスコ画好きの自分としては絶対に外せない場所なんです。
そして「最後の晩餐」は画家によって構図が全く違うので、それも大好きな理由なのかもしれません。
またよろしくお願いいたします。
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- wakupaku2さん 2019/07/30 22:35:29
- すごい、博識!!
- ken-kenさん
驚きました。
最後の晩餐の解説、鮮やか、というかお見事。
難しくて知識の薄い私は何度も読み返さねばなりません。
ミラノは予約が難しい→ツアーで忙しく周った人も見ていませんね。私も見ていないと思います(というか、ミラノに行ったのは昔すぎて覚えてません)
大塚国際美術館でふむふむ、と見ただけです。
旧約聖書の世界、神父様もこんな解説はできないでしょう・・と思いながら、見せて頂きました。
- ken-kenさん からの返信 2019/07/31 20:06:50
- RE: すごい、博識!!
- wakupaku2さん、今晩は。
この度は投票とコメントをいただき誠にありがとうございました。
一番最初に「最後の晩餐」を見たのはもう40年近く前でミラノのダ・ヴィンチだったのですが、自分もその時はなんの感慨もありませんでした。
(実際並ばずに見れましたし、拝観していた人もあまりいなかった記憶が・・・・)
ミラノの「最後の晩餐」がこんなにも人気になったのは修復後に人数制限をしてからだったと思います。
おかげでツアーがまずほとんどのチケットを抑えて、そのお余りを個人客が頂戴するという最悪の事態に。
たかだが一つの絵を見に行くためにこんなに面倒な思いをしてお金を使わなきゃならないのかとちょっと腹立たしい気持ちになりました。
なので5年前まではまるで興味がなかったのですが、5年前にフィレンツェのサンマルコ修道院のギルランダイオの「最後の晩餐」を見て衝撃を受け、それ以降「最後の晩餐」フリークになってしまいました(笑)。
なので今回一番有名なミラノのダ・ヴィンチをもう一度見てみようかと言う気になったのです。
が、結果は「?」でした。
覚悟はしていたものの、やはりあまりにも色落ちしていてガッカリ感が半端なかったです。
もしかしたら大塚国際美術館の作品のほうがいいかもしれません(笑)。
なので今回、他の画家の「最後の晩餐」を紹介させていただきました。
いずれもダ・ヴィンチのに比べて色彩が鮮やかなだけにずっと感動が大きかったです。
ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」だけが名作ではないと声を大にして言いたいです(笑)。
と、なんか熱くなってしまいましたが、これに懲りずにこれからもよろしくお願いいたします。
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