2018/05/25 - 2018/05/25
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frau.himmelさん
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ブダペストの街の中央を悠久のドナウ川が流れています。
その両岸に広がる歴史的な建造物、またいくつも架かる美しい橋、本当にずっと眺めていても飽きない街です。
ブダペストはその美しい姿から「ドナウの真珠」、「ドナウの薔薇」、また「ドナウの女王」などとも呼ばれているそうです。
その美しい街並みはユネスコの世界遺産に登録されています。
登録名は「ブダペストのドナウ河岸とブダ城地区およびアンドラーシ通り」。その歴史的美しい街並みはさることながら、特別に名前が挙がっているアンドラーシ通りって?
国立オペラ劇場見学ツアーを終えた私たちは、世界遺産のアンドラーシ通りを散策します。
通りの中ほどにその名も悍ましい「恐怖の館」がありました。
そこでブダペストが辿った暗黒の歴史を勉強いたしました。
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国立オペラ劇場見学ツアーを終えて、世界遺産となっているアンドラーシ通りを散策します。
この通りはパリのシャンゼリゼ通りがモデルとなっているそうです。 -
これから散策するアンドラーシ通り。
国立オペラ劇場から、英雄広場まで。2㎞以上ありますから、ヘタレな私にはちょっときつい。
途中地下鉄1号線を使用します(黄色線)。 -
その前に、前編では工事中でカバーがかかった美しくない姿しかご覧いただけなかったので、国立オペラ劇場のチケットで美しい全景をご覧ください。ここも世界遺産の要素の一つです。
1858年に創建されたネオルネッサンス様式の歌劇場。
グスタフ・マーラーが音楽監督を務め、リヒャルト・シュトラウスやフルトヴェングラー、カラヤンなどもタクトを振ったことがある劇場です。 -
さすがに世界遺産の通り。
重厚な邸宅や宮殿が並んでおり、その建築様式に目がいきます。 -
見覚えのある名前のレストランがありました。
「カンティン」というレストラン。
ウィーンからの列車で同室になった若者が教えてくれたレストランです。
どこかお薦めのレストランを教えてくださいってお願いしたら、ノートに書いてくれました。
KとC、ちょっと違うけど、読み方は同じだし、なによりも住所はここ。
楽しかったコンパートメントでのことを思い出しました。 -
さらに進むとここは「オクタゴン」という広い交差点。
オクタゴンって八角形の意味、四つ角に各々三角形の緩衝帯が設けられており、ちょうど8角形の形をしているからでしょうか。
トラムもひっきりなしに走っています。
アンドラーシ通りと交差する重要な幹線道路です。 -
そんな中に目指すものを見つけました。
「Hause of Terror(恐怖の家)」の案内標識。
私がブダペストでどうしても訪れたかった博物館です。 -
ここです。
インパクトのある建物でしょう?
「恐怖の館」と言ってもオカルトとかお化け屋敷ではありません。
ハンガリーが辿ってきた恐怖政治の記念館なのです。 -
建物の周りには、数えきれないくらいの多くの人の写真。
これは1956年に起きたソヴィエト支配に対するハンガリー市民が蜂起した「ハンガリー革命」の犠牲者の写真です。 -
そこ至るまでのハンガリーの歴史をさらっと勉強したいと思います。
初代ハンガリー国王イシュトバーン1世の王冠は、様々な歴史を経て、ハプスブルク帝国が継承することになります。
(写真はマーチャシュー教会編より) -
そしてオーストリア=ハンガリー二重帝国となり、マリア・テレジアやフランツ・ヨーゼフ1世が国王となります。
しかし第一次世界大戦で敗戦してハプスブルク家は崩壊。
その後オーストリアと分離したものの、ハンガリーの政情は安定せず。
そこへ入りこんできたのがヒトラー率いるナチスドイツでした。 -
ナチスの後ろ盾によりファシスト政党も生まれました。
サーラシ・フェレンツが率いる矢十字党です。
党旗に用いた矢十字は、ナチスのハーケンクロイツを真似たものでしょう。(写真左が矢十字党の旗)
サーラシらは、ナチスのホロコーストにも加担し、8万人とも言われるハンガリーに住むユダヤ人を強制収容所に送りました。 -
しかし、第二次大戦でナチスドイツが降伏すると、矢十字党も消滅。
サーラシは処刑されました。
そしてスターリン支配の、ハンガリー人民共和国が成立します。
赤い星はソヴィエト共産党のマーク。
ソ連によるハンガリー支配の中で、多くの政治活動家や宗教家など反対勢力が拷問・処刑されました。 -
1956年10月、ソ連の権威と支配に対する抗議行動として、ハンガリーの民衆が蜂起しました。
ソ連のKGB(秘密警察)とも言うべき、ハンガリー国家保衛庁が鎮圧しようと試みますが歯が立たず、ついにソ連軍が軍事介入するのです。
この一連のハンガリー革命により2万人の犠牲者と、20万人とも言われる難民がハンガリーから逃れました。 -
恐怖の館の壁にずらりと並んでいる人々の写真は、すべてその時の犠牲者です。
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1989年10月23日、ハンガリーは共和国に体制変革しました。
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恐怖の館があるのは「アンドラーシ60番」
ここはかつてナチスや、ナチスに後押しされた矢十字党が本部を置いていた場所、そしてソ連支配の社会主義時代にはハンガリーの秘密警察(ハンガリー国家保衛庁)などが置かれていた場所です。
また地下には牢や拷問室などもあった、まさに「恐怖の館」だったのです。 -
チケットを買って、ここから入ります。
館内は撮影禁止。 -
入り口のバーの隙間からちょっとだけ中を見ると、そこには戦車が。
ハンガリー革命時に軍事介入して民衆を蹴散らしたあの戦車ですね。
もっと写真を撮りたいけど、見張りが厳しいのでこれが限度(笑)。 -
写真はパンフレットより。
館の内部はファシスト党の矢十字党のことや、ナチスのこと、当時のソヴィエト連邦とハンガリーとの関係、地下の拷問室など。
写真がないので忘れてしまって説明もうろ覚えになってしまいますが、結構緊張しました。
また館内の至る所に犠牲者の写真が掲げられていました。
例えば、エレベーターの中にもビッシリ写真が展示してあり、あまり気持ちのいいものではありませんでした。
ここはそれら犠牲者の慰霊の館でもあるのだと感じました。 -
恐怖の館を改めて下から見上げます。
TERROR(恐怖)と言う文字と、矢十字党、ソ連の赤い星のマークが太陽の光に透けて、黒い壁に写っています。
当時の暗黒の歴史を知ったからか、やはり背筋が寒くなるのを感じます。 -
世界遺産のアンドラーシ通りをさらに進みます。
この通りもその当時は「スターリン通り」と呼ばれていたそうです。 -
通りの向こう側にある大きな建物がリスト記念館です。
向こうに渡ります。 -
壁にはリスト・フィレンツ(1811-1886)のレリーフ。
ハンガリーでは日本と同じように姓・名で呼ぶのですね。
リストは、オーストリア=ハンガリー帝国時代のハンガリー圏ショプロン近くの生まれ、亡くなったのはドイツのバイロイトでした。 -
壁には、コダーイ・ゾルターン(1882~1967)ハンガリー生まれの音楽家、
フェレンツ・エンゲル(1810-1893)ハンガリーの作曲家、ピアニストのレリーフも。
アンドラーシ通りのリスト音楽院で、それらハンガリー音楽史を代表する人物を輩出したことも世界遺産登録の一つの要素だったようです。 -
記念館の前にはピアノの鍵盤を模したベンチがおいてあります。
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リスト記念館のお隣はブダペストの人形劇場。
二階部分が黒光りのした重厚な建物です。 -
ここから地下鉄に乗ります。
アンドラーシ通りが世界遺産に追加登録されたのには、地下をヨーロッパ大陸発の地下鉄1号線が走っていることも評価の要素でした。 -
降りたったところは「英雄広場」。
ヨーロッパ大陸で一番古い地下鉄と言うことで、駅舎も相当レトロです。 -
古いタイル張りの壁、低い天井、木造の駅舎。
駅を支える鉄柱もかなり古い。
古い世代のシニア達にとって懐かしい思いが詰まった駅舎です。 -
走っている電車のシンボルカラーは黄色、古い型の車両です。
地下鉄銀座線の古い車両を思い出します。 -
古い地下鉄だけあって浅いので、階段を大して登ることなくすぐ地上に出ます。
地下鉄が造られた当時は、地上から手掘りで掘り進められたそうですから、そんなに深くはできなかったのですね。 -
地下鉄を登ると、英雄広場があり、その先には国立西洋美術館。
絵画好きなシニア達はこの美術館で絵画鑑賞を楽しみにしていました。 -
国立西洋美術館。
1896年から1906年にかけて建造された新古典主義の建物です。
イタリア、スペイン、フランス、オランダなどの多くの絵画が収蔵されており、特にスペイン絵画の充実ぶりに特色があります。 -
でも、そんな人気の美術館なのに、なんだか静か、嫌な予感。
K氏が様子を見に行きました。
予感的中、10月31日まで閉館だそう。がっかりです。 -
英雄広場にはハンガリー建国一千年を記念して記念碑が建てられています。
ハンガリーの基礎となったマジャールの7部族の首長の騎馬像を中心に、歴代の王や英雄たちの像が並んでいます。 -
中央の騎馬像の人物はハンガリー建国の英雄アルバート。
初のハンガリー国王イシュトバーン1世の祖先です。
また手前のコンクリートの大きな箱型は第1次、第二次世界大戦で亡くなった兵士の慰霊碑です。 -
記念碑の頂上にはガブリエルの像。
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手にはイシュトバーンの王冠と十字架を捧げています。
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ちなみに左翼の一番橋の人物がイシュトバーン1世。
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楽しみにしていた国立西洋美術館へ入れなかった私たち、
反対側にある現代美術館に入ります。 -
現代美術の非常設の展覧会を中心としたアート・ギャラリーだそうです。
こちらは今何をやっているのでしょう?。 -
入り口にもあったパックを剥がしている女性、ぎょっとしますよね。
そして別な会場では手工芸品展、こちらに心惹かれます。 -
部屋の中は可愛い手工芸品で溢れています。
いくつになっても女性はこういうものが好きですから、I女史と私、目を輝かせて見て回ります。 -
ハンガリーの民族衣装。
ふわっとしたスカートが可愛い。中に何枚くらいペチコートを重ねているのだろう。 -
何と言っても有名なのはカロチャ刺繍。
かわいいですね。
私も自分で買ったりお土産にいただいたりして何枚か持っています。 -
藍染もハンガリーの手仕事。
手前に飾ってある同じテーブルクロスが家にもあります。 -
カロチャ刺繍模様のタイル。
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絵皿やツボ、それに土器など。
ハンガリーで有名なヘレンド焼きは見ませんでしたね。 -
民族楽器が飾ってある部屋で、一人の女性が古楽器を奏でていました。
しばし聞きほれる。
演奏が終わったので拍手をしたら、にっこり笑って挨拶をしてくれました。 -
面白かったのはこれ
組みひもや革で造ったおもちゃの馬?
ハンガリーは騎馬民族ですから。 -
K氏はそのころもう一つの展示会「サンドロ・ミラー展」に行っていました。
アメリカの有名な写真家です。 -
マリリン・モンローも、チェ・ゲバラも、舌出しアインシュタインも、有名な写真ですよね。
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英雄広場の向こうに見えるのは、ヴァイダフニャディ城でしょうか?
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再び、レトロな地下鉄1号線に乗っていったんホテルへ帰ります。
ホテルで待っていたものは・・・。
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この旅行記へのコメント (6)
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- kaoluさん 2019/06/27 11:42:10
- 恐怖の館・・
- frau.himmelさん 、こんにちは。
いらっしゃったんですね、恐怖の館。
私はあの前を通りかかっただけでも、気分が悪くなりました。
私の友人などは頭痛に襲われて入れない、とか写真を見ただけで耳鳴りがする・・っていうのもいます。
大丈夫でしたか?
続きが気になりますね。ホテルでなにがあったんでしょう。
- frau.himmelさん からの返信 2019/06/27 22:21:46
- RE: 恐怖の館・・
- kaoluさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
あの恐怖の館の目前を通っただけで気分が悪くなる・・・、頭痛に襲われる・・、耳鳴りがする・・・!?
ってどんだけ〜〜(笑)。
あの館の中、写真撮影禁止だったもので、今となってはそんなに怖かったかな〜〜、記憶にないのです。
齢ですね・・・。写真がないと1年前のこと、すっかり忘れているんですものね。
ところでご紹介くださった旧東独の交通チケット、あれ優れものですね。
いろいろ調べては絶対あのチケットで回ろうと思いました。
バイロイトからカルロヴィ・ヴァリまで使えるなんて、凄いですね。
教えてくださってありがとうございました。
himmel
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- ねもさん 2019/06/26 21:09:43
- 恐怖の館
- frau.himmelさん シニア旅は佳境ですね。
ハンガリー動乱といえば、プラハの春とならぶ旧ソ連の負の遺産と思いますが、こちらのほうがよりおぞましいです。一昨年プラハで共産主義博物館を訪ねましたが、ブダペストに行ったら、ここに寄らねばと思いました。
ハンガリーが世界に誇る作曲家はバルトークと思いますが、彼の足跡などはなかったのでしょうか?
- frau.himmelさん からの返信 2019/06/27 22:17:07
- RE: 恐怖の館
- ねもさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
ねもさんはプラハで共産主義博物館をご覧になったとか。
「旧ソ連の負の遺産」、おっしゃる通りですね。
私たちはプラハではナチスの負の遺産の方を訪れました。一貫性がなく思考があちこちフラフラしています。
バルトークもそうでしたねブダペストでしたね。
気が付きませんでした。
コダーイ記念館はアンドラーシ通りのリスト記念館の先にあったはずなのですが、ヘタレな私たち(私)は地下鉄に潜り込んでしまいまして訪れずじまいでした。
ねもさんはこれから夏山のシーズンですね。
また素敵な山を見にお邪魔させていただきます。
himmel
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- jijidarumaさん 2019/06/25 21:05:25
- 欲しいな!藍染のテーブルクロス
- himmelさん、
今晩は。
精力的に見て回りますね。
矢十字党の名は初めて知るような・・。第二次大戦時からハンガリー動乱を経て、
1989年のハンガリー共和国の設立、今の体制も芳しいとはいえず、ハンガリー
の人々も何やらオーストリア=ハンガリー二重帝国時代が懐かしいかもしれませんね。
ハンガリーの藍染は手仕事の由、素敵なテーブルクロスですね。
ご自宅にもお持ちだとか、素晴らしい。
そうそう、本日は・・歳のお誕生日、おめでとうございます。
我が家も家内の誕生日、一寸遠出して安い昼飯を御馳走しました(笑)。
jijidaruma
- frau.himmelさん からの返信 2019/06/25 21:55:53
- RE: 欲しいな!藍染のテーブルクロス
- jijidarumaさん、お祝いのお言葉ありがとうございます。
もうこの齢になりますと笑い話です。
あら、今日は25日、私の誕生日だわって毎朝呑む薬袋の日付で気が付き、また今日は東京に出かける日だったもので夫からメールが。
「ケーキは帰りに自分で買ってきてね」でした。
まあ年々そんなものです(笑)。
私が持っている藍染は手染めではないかもしれません。
センテンドレかどこかの土産物屋さんで買ったものですから。
でも今出してみましたら、藍地に白いスタンプの連続花模様が押され、生地もしっかりしていました。
テーブルクロスとテーブルセンターの2枚もありまして、今では使わないで箪笥の肥やしになっていました。これを機に時々使いたいと思います。
どうか奥様にも、「おめでとうございます」ってお伝えください。
himmel
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