1999/08/23 - 1999/08/24
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Miyatanさん
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1999年7月、生まれて初めての海外一人旅。当時は都内の某私立大学の政治学科の学生でした。
デジカメやSNS、スマホなんてなかった時代ですが、何気に旅行記を自作のHPにアップしていました。1999年に独学でhtml勉強して、個人的に開設したジオシティーズのホームページですが、2019年3月をもってサービス終了で閉鎖になります。現在移転先を検討中ですが、一部をフォートラの写真付旅行記として復刻版として再作成します。誤字脱字等は修正し、表現も一部改めますが、なるべく当時のままの文章でと思っています。写真は、APSフィルムで撮った当時の写真をデジカメで撮影しています。
当時は英語も怪しかったし、情報もあまりなかったですが、二週間の国際ボランティアキャンプを含んでの約一ヵ月半、人生で初めての大冒険でした。航空券の買い方もよくわからなくて、授業の合間を縫ってHISに何度も行きました。あと今考えると、この時にマイレージカード作成しておけばよかったかと。
今改めて文章を振り返ると、初めての事だらけで新鮮に感じて興奮している状況がわかります。ちなみに当時は、旅行中にノートに旅行記を書いて、帰国後に書き写してWEBにUPするスタイルでした。あと、タイトル結構凝っていたかも。^^
はじめに
これは、僕が1999年7月18日から8月29日までのおよそ6週間、一人でアメリカへ行ったときの記録です。2週間ほどの国際ヴォランティアキャンプに参加したあと(国際ヴォランティアキャンプについては別のところに書く予定です)アメリカ最北東端のMaine州から西海岸のSan FranciscoまでGreyhound Bus(アメリカのほぼ全土を網羅する長距離バス)を使って旅したときの記録です。初めての海外一人旅でいろいろ大変なことがありましたが、自分なりにいい経験にもなったし、得たものは大きかったと思います。
アメリカ横断日記INDEX
第一幕
第一章 旅立ちの唄
~Narita,Boston~
第二章 大瀑布を前にただ立ち尽くすのみ
~Niagara Falls~
第三章 自由の国、憧れの都
~New York~
第四章 合衆国誕生の地
~Philadelphia~
第五章 桜の枝と白亜の殿堂
~Washington D.C~
第六章 フロリダの太陽とそよ風を浴びて
~Miami,Key west~
第七章 異国の街角でふと酔いしれて
~New Orleans~
第八章 月までも続く道
~Houston~
第九章 歴史を変えた一発の銃弾
~Dallas~
第十章 標高1マイルの街角で
~Denver~
第二幕
第一章 粉雪とオリンピックと教会
~Salt Lake City~
第二章 荒野の不夜城
~Las Vegas~
第三章 偉大なる大自然の芸術
~Ground Canyon~
第四章 映画の都の熱き情熱
~Los Angeles,Hollywood~
第五章 麗しき動植物の楽園
~Yosemite National Park~
第六章 あの橋の彼方に
~San Francisco~
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8月23日(月)
早朝、Ground canyonの玄関口Flagstaffに到着。LasVegasが灼熱の暑さだったのに対して、少々寒い。でも行き方がよくわからない。ちょうど日本人が3人いたので話し掛けてみた。そのうちの二人はペアで、ロッジの予約もすでにしてある。無謀な旅を続ける僕と違って、計画的である。あとに一人は宿をとっておらず、できればツインで一緒に探さないかと提案してきたので、了承することに。ナバホピツアーという会社がバスを出すそうである。でも突然おじいちゃんがあらわれ、Groundcanyon行きのバスを出すというので、少々不安ながら他の人同様に乗る。ああ、なんとも成り行き任せな日本人の性。
無事Groundcanyonに到着。何とか宿を無事に取ることができた。荷物を置きに行って、手続きを済ます。なぜだろう、フロントからこっちを見て微笑む若い女性と視線があう。なぜだろう。心臓がときめいた。ちょっとした恋の予感。
近くのスポットに足を運ぶ。夢にまで見たGroundcanyon。眼下に広がる想像を絶する光景。言葉が出ない。松島に行った松尾芭蕉の気持ち。どこまでも続く大峡谷。なんとも壮大。アメリカにきて本当によかった。数千年にわたって大地を削りつづけたコロラド河。自然の脅威に、言葉を失い、立ち尽くすことしかできなかった。 -
しばらくTrailを歩く。見る角度によって眺望が変化する。日光や雲加減でも風景が変わる。まるで1000面相。崖の淵に近づく。足元には吸い込まれていくばかりの峡谷。ふとこんなところで死ねるなら、なんて思えてきたのが不思議だ。
夕日の見えるスポットに行く。だが雲が邪魔して見えなかったのが残念だ。ただボーッと崖淵に立ち尽くす。それだけで大地の鼓動を感じる。あたりがすっかり暗くなった。帰ろう。
帰りのバスがなぜか動かなかった。なんとも終点まで行って折り返してくるので、40分くらいかかるが、別のバスがくるのでそちらに乗れって言ってる。僕たち二人はバスから降りようとしたが、何もわからずに座り尽くす集団がいる。中国人である。バスの運転手が動こうとしない中国人にしびれを切らして、「誰かこの英語のわからない日本人に猿でもわかるように説明してやれ!」くらいに言ってる。近くの老婦人が身振り手振りで教えて、やっと動いた。彼らは、かなり激しい口調で怒っていたようである。なんとも、日本人と間違えられたことに腹を立てているようだ。日本人と間違えられて怒るなんて、なんとも失礼だと思えた。ケンブリッジで中国人と間違えられたときには、別に対して気分を害さなかったのに。でもそれ以上に、英語ができないアジア人=日本人というイメージが、悔しかった。絶対に頑張ってそのイメージを崩してやると思った。
Groundcanyonは国立公園なので、その内部にはY.Hはない。ロッジのツインに泊まる。アメリカではホステルばかりに泊まっていたので、かなり豪華に感じた。貧乏バックパッカーが身にしみてきたような気がしてきた…。 -
(グランドキャニヨン)
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(記念の一枚、ミスチルの「Tomorrow never knows」のPVを意識 笑)
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(グランドキャニヨン)
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8月24日(火)
日の出を見ようと朝一番でおきる。だが昨日夕日を邪魔した西の空の雲が、今度は東の空の雲になって邪魔する。このときばかりは、雲を恨まずに入られなかった。眠いのでまた寝る。
ドアをたたく音がする。何か叫んでいる。警戒してそのままにしておくと、今度は鍵を開ける音。なんとも部屋を掃除に来たおじさんだった。気まずそうに出て行く。もうそんな時間なんだ。慌てて荷物を整理し、再び出発。 -
今度は谷底を下る。谷底まで馬で下るツアーがあるらしいが、そのおかげで馬糞の悪臭に苦しめられる。馬糞の臭さに耐えられなかったが、彼はぜんぜん平気である。そのわけを聞くと、彼の意外な経歴を聞くことになった。現在は大阪の某国立大に通うが、もともとの出身は東京の下町亀戸である。中学を卒業した後、親戚のいる新潟で農業をしていたらしい。なんとも大変な資産家で、跡取が上京しているのでその後を継ぐつもりらしかった。だが慶応卒で農業がいやで都会に飛び出した跡取が、ひょんな拍子で後を継ぐことになり、彼のもとには一握りの土地が譲り渡される。その後大検を受験し、大学に入学。だが新潟に行くときに相当親ともめたらしく、今でもまったく仕送りをもらわずに生活しているらしい。土地の収入とバイト代で、大学に通いそしてアメリカの地にもいるわけだ。
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ひたすら下る。陽射しが強くとても暑い。すれ違う人の表情が本当に苦しそうだ。次第に景色が変わってくる。谷底から見上げるGroundcanyonもまた格別である。だが時間の都合もあり、途中で引き返す。雲行きが怪しくなる。谷を上りきったその瞬間に、雨が降り出す。急に寒くなる。さっきまでの灼熱の暑さがうそのようだ。山の天気は変わりやすいというが、まさにそのとおりである。
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(グランドキャニヨン)
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ロッジに荷物をとりに戻る。昨日の女の子が屈託のない笑顔で迎えにきてくれる。彼女は台湾の学生で、バイトでここにきているらしい。ここを離れなければいけない。別れを言うのが本当につらかった。彼女も本当に寂しそうな瞳で見つめる。一緒に写真をとってもらうことに。仕事中の急な申し出に、応じてくれる彼女の笑顔はまるで宝物のようだ。彼がカメラのシャッターに手を触れる。すると、触れ合う腕と腕。柔らかくて優しくて暖かい。フラッシュが光る。このまま時が止まってほしい。時間が迫っている。何とかもう1枚とってもらうことに。ポーズをとる。さらに触れ合う肩と肩。どこか懐かしい温もり。
昨日まで女の子に対して氷のように心を閉ざしていた自分が嘘のよう。ほんのすれ違い。もう絶対恋愛なんてしないなんていって、「もはや恋愛なんてしているひまなどない、ただ駆け抜けるのみ」をモットーに、「彼女作らない、男は孤独だ」会を勝手に結成していたつもりになり、生涯独身を貫く心積もりが、もろくも崩れ去ってくるようだ。一人で強がっていたけど、本当は無意識のうちに誰かの胸に甘えたかったのかもしれない。自分より大切と思える人を探していたのかもしれない。かけがえのない人を求めていたのかもしれない。強がっていたけど、本当に弱虫だったのは僕の方だったのかもしれない。
住所を交換する。台北に住んでいるらしい。日本に帰ったら中国語を勉強しようかな。別に語学学校行かなくても、周りに先生がいっぱいいるし。今度の海外は、台湾かな。
そして別れの時。彼女は少しだけ日本語をしゃべれる。
「ありがとう、さようなら。」
「謝々(シェイシェイ)。再見(ツアイジュン)。」
少しだけ知ってる中国語で応じる。
「Thank You! Good Bye!」
3ヶ国語が、何回も何回も木霊する。
Flagstaffに戻るバスの中で、しばらく彼女のことを考えていた。閉ざされていた僕の心を開いてくれた。もう一度会えたらな。
そのごLas Vegasに向かう。目の前に広がる光景。宝石をちりばめたようだ。この世のものとは思えない。前回来た時には夕方だったため、この光景には出会えなかった。到着。ちょうどアーケードで、光のパレードをやっていた。アメリカらしいアニメーションが頭上に広がる。この街も十分楽しめたかな。そして今晩この街に残る彼ともここでお別れ。短い間とはいえ、本当にいい友達だった。またどこかの町でめぐり合えたらな、そんな思いを秘めながら、いつものように別れの握手。
大切なものを一気に失った気がしないわけでもない。でも、少々のことではへこたれない、強い人間になってやる、心に誓いながらも目から零れ落ちる光。歯を食いしばる。また新しい土地で、新しい出会いを求めて、この不夜城を後にするバスはLos Angels行きである…。
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この旅行記へのコメント (2)
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- fuzzさん 2020/08/19 18:02:57
- なんかキュンとします
- Miyatanさん、こんにちは~
毎日暑いですね・・・
岩手はとうとう梅雨明け宣言もなく夏になりました(;^ω^)
旅先で出会った台湾の女の子。
次会えるかどうかも分からないからこそ、この出会いは貴重で別れがたい。
そんな事もあったなぁ・・・私も。
あの人、今どうしているかなあ・・・
まだドイツで働いているのかなあ・・・
fuzz
- Miyatanさん からの返信 2020/08/19 22:02:01
- RE: なんかキュンとします
- fuzzさん、こんばんは。
梅雨明け宣言、無いってこともあるんですね。北陸はありました。
台湾の女の子の事は、話を盛り上げるためにも少しオーバーに書いていますが、いい思い出です。このイメージがよくて、内心仮に国際結婚するなら台湾の子がいいなーと思っています。^^
fuzzさんにも、青春の思い出があるんですね。でもなんだかんだ巡り合って今の旦那さんに巡り合えて、お子さんもいらっしゃって、結果的に良かったと思います。
でもやっぱり、そういう思い出って誰にもあるんですよね、きっと。
Miyatan
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