2019/04/05 - 2019/04/08
1263位(同エリア1750件中)
ちゃおさん
搭乗機は奥多摩山嶺を越えて、長野の盆地に入ってきた。窓の左手には、いつまでも富士が見えている。ひと際高い山だから、360度、どこから眺めても麗しの山麗を見ることが出来るのだ。その手前、冠雪を抱いた連山が横並びしている。八ヶ岳だ!こうして見ると、本当に峰が連なっている。遠くて、峰の一つ一つは数えられないが、確かにピークは8つあるのだろう。高い飛行機の上からは、まるでおもちゃの箱庭のようにも見える。こちらの佐久平と向こう側の甲府盆地を隔てる衝立のような連山。この部分だけ地中から沸き上がったような感じだ。こうして機上から眺めると、富士山と八ヶ岳が背比べ競争をして、どんどん高くなったという、昔物語も新鮮に見えてくる。
この山に登ったのは、100名山登頂を目指してスタートした初めの頃だ。比較的東京からも近く、麓の登山口までは車で行けた。連山の最高峰、赤岳山頂の山小屋から眺めた眼下の甲府盆地の夜の灯りが漆黒の中にきらめき、夜の平野がどこまでも広がっているように思えた。あの時の難行苦行を思うと、こうして機上から眺める山は小さく、箱庭のようで、何と可愛いことか・・。登山の苦労が思い起こされた。
それから直ぐに北岳を先頭にして、南アの厳しい雪山が尾のように先の方まで連なっていた。富士に次ぐ高峰北岳、間ノ岳、農鳥岳に続く兎雪山だ。1日で往復した元気な頃を思い出す。その手前は千丈から甲斐駒だろう。残念ながらこの2峰は未踏に終わっているが・・。
それから間も置かず、殆ど連続して豪雪の雪山の上空に差し掛かる。立山連山だ。途中、木曽盆地に聳える御嶽、乗鞍の2峰が見える筈だが、見逃したのかも知れない。車でも半日がかり、登山だったら2日行程だが、飛行機だと僅かに数分、あっという間に通り過ぎてしまう。それらしき峰も見えたかも知れないが、遠方で小さく、気が付かなったのかも知れない。しかし、この眼下の雪山は圧巻だ。4月になっても尚分厚い雪に覆われていて、一面真っ白だ。人はおろか、鳥獣の姿させ見えない。5月の連休頃には室堂までの立山道が開通し、両側3mを越える雪の壁の中を走っていくが、ここはそれ程雪深い、豪雪地帯なのだ。
飛行機はその室堂の端をかすめる様にして、立山連山の真上を横断していく。国内線は飛行高度も低く、直ぐ真下を3000m級の雪山の上を飛んでいく。ああ、見覚えのある峰が見える。この連山での最高峰、剱岳だ。以前映画「点の記」に出てきた山だ。浅野と香川が好演した。3000mには1m足りない2999m。山頂手前の山小屋、剣前小屋はいつかの雪崩で押し流されて、今は無いはずだ。この小屋のお風呂、多分日本で一番高い場所にあるお風呂だと思うが、今思うと懐かしい。この山の真上から、こんな近い場所で見られるとは! 最高の飛行コースを飛んでいる!
- 旅行の満足度
- 5.0
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