海へ　サンタ・テレシータ

2018/12/03 - 2018/12/05

ブエノスアイレス市内からバスで南へ５時間ほど、ラプラタ川河口が大西洋に変わる境のちょっと海側の町、サンタ・テレシータへ２泊３日の小旅行。

エリア その他の都市(アルゼンチン)

ブエノスアイレスの長距離バスターミナルがあるレティーロまでは、本来ならば自宅の最寄り駅から電車一本で行けるのですが、現在は高架化工事のため代替バスによる振替輸送中。月曜の朝６時半ですが、通勤のためたくさんの人がバスを待っています。

バスはレティーロの一つ前の駅までしか行かず、それから電車に乗り換えると時間もかかるので、途中で地下鉄に乗り換えます。

一時間ほどかかってバスターミナルに到着。８時発のバスのチケットを発車10分前に購入。925ペソ。バスは30分ほど遅れてやってきました。Mar de Ajó 行きのバスに乗れ、ということでしたが、ajó の発音はアホ、しかも意味はニンニク。行き先がマルデアホ＝ニンニクの海て。一周回ってテンション上がるわ。

座席は２列+１列のふかふかフルリクライニング（古い）。

朝食をとっていなくて、荷物には自宅から持ってきたペットボトルの水のみでしたが、乗車時に軽食セットのサービスが。シリアルバー、アルファフォーレ（アルゼンチン版チョコパイ）と塩味のプレッツェル。朝食にピッタリ。

南へ250キロほど。お昼すぎに到着します（たぶん）。

途中いくつかの集落がある他は広大な牧草地が広がるだけですが、退屈せずに眺めていました。ときどき途切れるとはいえ、4G回線のエリア内でネットも問題なし。車窓からの景色は帰路でたくさん撮ったので、ここでは省略。

大西洋岸に入るといくつかの町を経由します。最初の停留所は San Clemente del Tuyú。地元らしき人たちが数人降りていきます。

次の停留所までのこの景色を見て、とつぜん「ヤチマナコ」という語が頭に浮かびGoogle検索。ぽつぽつとまるい草の塊はヤチボウズのよう。道中にはところどころ湿地もあって、釧路感が強い車窓からの景色。

次の停留所は Las Toninas。こぢんまりとしたかわいらしいターミナル。

午後１時過ぎにサンタ・テレシータに到着。

バスターミナルからホテルやレストランの並ぶ海岸沿いのエリアまでは１キロほど。ぼちぼち歩いていきます。沖縄の離島のようなのどかな道。よく晴れていますが、ここ数日の寒気で20℃前後と涼しめ。

Hotels.com で予約した Hotel Calimera。２泊で75USドル。比較的新しい、元気なインテリアのホテルです。13時からチェックイン可能だったので早朝出発にしたのでした。

ホテル予約の際、サンタ・テレシータの検索結果はとても少なかったのですが、周りにはホテルがたくさん。ほとんどがバカンスシーズンのみの営業で、このホテルは通年営業を売りにしていました。

朝からバスの車内で配られた軽食のみだったのでさっそく昼食を、と思いましたが、現金の持ち合わせが少なかったので、15分ほど離れたATMでキャッシュを確保。さらにホテル近くまで戻って来て近くのレストランへ。オフシーズンで営業中の店が少なく、時間も遅かったのでやきもきしました。

昼のセットメニューの鶏を注文。ビネガーのきいた野菜の付け合せが美味しかった。食後のデザートはフラン（カスタードプリン）。300ペソほどでした。

さっそく海へ。プンタ・デル・エステを旅行したときは悪天候で海に近づけなかったので、これが正真正銘はじめての大西洋です。日差しはありますが風が強く、寒く感じます。

とりあえずあの桟橋まで歩いてみます。この寒空で海に入っている人たちが数組。やるなあ。

桟橋の下はこんなかんじ。木造です。

桟橋の向こうには実物大の船の展示が。コミュニティーセンターのような施設があり、地元の人たちが集っていました。

桟橋は釣り堀兼展望デッキなので、中へ入ってみます。

入場料は60ペソ。

これがけっこう怖いの。

たくさんの人が釣りを楽しんでいました。今晩のおかずでしょうか。

ひとしきり楽しんだので引き返します。桟橋の入口付近の砂の小山にきれいな風紋が描かれていました。

シーズン前の砂浜もまたいい雰囲気。散歩する人の服装がけっこう厚着です。

海岸を離れるとすぐに風はおさまって温かい日差しを感じます。広場では子どもたちがサッカーを楽しんでいます。コンクリートのフィールドを元気に駆け回っています。

ホテルにもどってしばし休憩します。

夕食に向けてふたたび外出。いいかんじに夕暮れてきました。最近の日の入り時刻は午後８時ころ。

刻々と空の色が変わっていきます。

さて夕食。何にしましょう。

ピザと迷いましたが、大西洋まで来たので海鮮を。ハーフボトルの白ワインとともに。メニューをひと通り見ましたが、結局ウエイターにおまかせ。あまりたくさんは食べられない、と言ったらこれが出てきました。トマトベースのスープ。500ペソほど。砂抜きがあまいので時々ジャリッとなるのがアルゼンチン流。

このスープの味わい深さを肉料理にも応用してほしい。ぜひ...。

翌朝。いい天気。ホテルの部屋は眺望はありませんが、ビーチ沿いのホテルらしく、海水浴グッズをすすいで干せる小さな流し台付きのパティオがありました。

サンタテレシータは小さすぎて、昨日半日でほぼ見尽くした感があるので、南に５キロほど離れた Mar del Tuyú という町まで歩いて行くことにします。そこでお昼を食べて戻ってこよう。町並みを楽しむため、海岸沿いではなく内陸の道を歩きます。

海岸に並行して走る道路には海側から順に１通り、２通り、とシンプルに名前がつけられていて、ホテルのあるのは４通り、バスターミナルは１６通りです。８通りまでは舗装されていますが、この９通りから砂の道になります。ちょっと足を取られますが、ふわふわして思ったより歩きやすい。車が通ると砂埃がまき上がります。

このお宅には満開のハカランダが。にしてもすごい数の乗用車です。

左後方からやってきたバイクの青年。こちらがカメラを構えていると止まって待っていてくれましたが、むしろ彼を入れて撮るほうが絵になります。

ブエノスアイレスは巨大な都市で、ヨーロッパ各国のルーツを持つ人々や南米各国からの移民も多いため、人々の顔つきもインターナショナルですが、郊外の町に住む人たちを見ていると、こういった顔だちがもともとのアルゼンチンの人たちなのかなと思いました。

右側の木陰にUMAが。

民家の庭先では住人が何かしら作業をしていて、通り過ぎるたびに挨拶をするのでせわしなく感じて、予定を変更して海岸を歩くことにします。

海へと続く道路。お出かけの御婦人。

リゾート地らしく、ゲームセンターがけっこうあちこちに。

そして海にたどり着きます。

左よーし。

右よーし。

ライフセーバーの皆さんが出動準備中でした。

とにかく風が強いですが、お昼の日差しは暖かです。現在向かい風なのですが、帰りには風向きが変わらず追い風になることを祈ります。

フォーメーション台形。

小一時間ほど歩いてようやく Mar del Tuyú の桟橋が見えてきました。

風の強さがおわかりいただけると思います。

桟橋の向こうにも延々と砂浜が。海岸沿いに小さな町がてんてんと続いています。

ここの桟橋には被写体になりそうなオブジェがたくさん。

入場料が100ペソだったので入りません。眺めは昨日と変わらないでしょう。

浮きをモチーフにしたオブジェ。

サンタ・テレシータの桟橋よりも立派なつくりです。

海も空も淡い青色で、アルゼンチン国旗に使われているのがセレステという色なのも納得がいきます。

Mar del Tuyú で昼食を、と思っていたのですが、住宅地ばかりで食堂などは見当たりません。やや空腹のままサンタ・テレシータまで引き返すのか。残念。

桟橋の手すりがアルゼンチンカラー。

引き返します。追い風でよかった。

平日ですが、家族連れもちらほら。

海の家。南米らしいカラフルな色使いです。

水温はぬるめの温泉かというくらい温かめでした。風が強いので気が付きにくいですが、日差しがかなり強くて、日焼け止めを塗りきれない額の生えぎわが真っ赤になっていました。

海らしいデザインの建物とマリア像。

マリア像の背後にはアルゼンチンの国旗が。

小さな建物は海上保安庁の出張所のようです。

海沿いの家々には人気がほとんどありません。シーズンオフだからというのもあるでしょうが、サンタ・テレシータの中心部のアパートにも売家や貸家の看板が目立っていました。景気の悪いアルゼンチン。底が見えません。

２つの街の境の標識を過ぎて、

サンタ・テレシータに戻ってきました。

昨日同様、海岸を離れると風がおさまり日差しの暖かさを感じます。

昨日は昼も晩も食べ過ぎ気味だったので、昼食はハム・チーズのトーストとバナナジュースですませます。晩はピザを食べるぞ。

かなり歩きました。ホテルに戻って晩までしばし休憩。

昨日より少し早くホテルを出て夕暮れの海へ。相変わらず風が強く、潮も満ちてきているのでかなりの迫力。眺めているとなんだか気分がゾワゾワしてきます。夜の海は怖いですね。

夜は予定通りピザを食べました。Google で評判のよかった Brutta Pizza へ。口コミではルッコラのピザが評判らしいので、パタゴニアのビールと一緒に注文。小さい方のピザでも一人前にはやや多く、満腹をやや通り越してちょっとテンション低め。500ペソほど。

翌朝。朝食をとってからホテルをチェックアウトして、再び海へ。

毎日が犬の散歩日和。

海を見るなら午前中、という色と眺めでした。帰るのが惜しくなってきます。

ずっと撮りたかった写真を、ズームとトリミングでなんとかおさめることができました。

午前中の日差しが海沿いの建物を照らします。これはいいピンク。

さてぼちぼち帰ります。バスターミナルへ向かって歩きます。

ターミナルに着いて、行きと同じバス会社でバスのチケットを購入。845ペソ。行きよりも安いのはなぜでしょう。出発まで小一時間ほど時間があります。

バスは定刻どおりにやってきました。

道中はほぼずーっと写真を撮り続けていました。延々と草原が続くだけなのに見飽きない。

牛だらけ。

父方の実家が酪農、母方の実家が稲作農家なのでこうした風景は見慣れていますが、ここの農業にはシリアスさがまるでないなぁ、と。気候は暑すぎず寒すぎず、雨も適当に降るし、あまり手をかけなくても勝手に作物が育つので、みんなのんびりしてるんだ、という、こちらに赴任した当時の上司によるアルゼンチン人評が思い出されました。

ときどき湿地があらわれます。大きな湖もありました。

いかにも田舎といった景色。

集落が近づくと、特産品販売の屋台がぽつぽつとあらわれました。バカンスシーズンには品物が並ぶのでしょう。ここははちみつやサラミの屋台のようです。

あてにしていたバスの軽食が乗車時には受け取れず、５時間水だけか...、と思っていたら、１時間ほど経ってから配られました。内容は行きと同じでしたが、プレッツェルが塩味からチーズ味に。

線路のある風景。朝と晩の２本だけですが、ブエノスアイレスとマル・デル・プラタをむすぶ列車が運行しています。列車からの景色もきっと最高でしょう。

映画に出てきそうな風車。

池の畔でたくさんの牛が草をはんでいます。

時々集落があらわれます。

３時間ほど車窓を眺めまくったところで力尽き、フルリクライニングに身を任せて爆睡。

目が覚めるとバスはすでに市街地に。

料金所向こうのアパート群が昭和のモダン建築っぽくてクール。

ラプラタ川沿いの港湾施設を通過するとレティーロまではすぐ（のはず）。

ここで高速を降りてまっすぐ５分ほど走ればレティーロバスターミナルに到着なのですが、バスは引き続き高速をぐんぐん飛ばします。

ブエノスアイレスにはリニアレスというもう一つのバスターミナルがあり、しれっとそちらに到着しました。乗車時に確認したのですが何というテキトーさ。地元だし、むしろ自宅に近いからいいようなものの、旅行者がこんなシチュエーションになったらちょっと慌てそうです。

ダウンタウンからはけっこう離れた、ローカル感の強いリニアレスのバスターミナル。普段よりちょっと強めにスリに警戒。

バスで15分、電車で二駅で、行きよりもラクに自宅に到着できました。ダウンタウンで買い物してから帰ろうというプランでしたが、結果オーライ。

ブエノスアイレスのウォーターフロントには、向こう岸も見えない広大な水が広がっているのですが、いつも茶色いし、それが海でないという事実はけっこう精神を削られます。時間はかかりますが、こうして正真正銘の海を眺める小旅行も時々いいかなと思いました。