二重の滝と二重社

2018/11/21 - 2018/11/21

　大山阿夫利神社下社から見晴台に向かう途中に岩がゴロゴロしている沢があり、崩落した跡が伺えるが沢には水は流れてはいない。そんな様子を眺めていると、すれ違った女性から、「この先に水が流れていますよ。」と言われた。その流れている水とは沢から落ちる二重の滝のことであった。大山観光電鉄（株）の「大山」パンフには「二重の滝」とあるが、伊勢原観光ガイドマップには「二重滝」とある。しかし、袋田の滝（https://4travel.jp/travelogue/10411779）と同様に「の」を入れておく。また、いづれのパンフでも「二重神社」となっているが、大山阿夫利神社では「二重社」としているのでそれに従う。
　二重の滝は、上では2つの流れが合流して滝として落ちている。大山詣ででは最後の禊場であった。「二重の瀧について」には「大山川の源流をなし、大自然の巨岩が二段にわかれ、上段の断崖（八ケ）より突如として湧水し水場（ヤツホ）を形成し、二段の岩壁に流れ出ずる所より二重の瀧と言われております。神聖にして清浄なる所から浄めの瀧とも呼ばれ、修験者の禊の行場でありました。　又、江戸時代には、新年早々大工、鳶、左官職等の代表者が数日間下社に篭り二重の瀧に打たれ、心身を浄めてその年の賃金を決議したといわれています。」とある。
　大山川に架かる二重滝橋を渡ると二重社である。二重社は大山阿夫利神社の摂社で、高龗神（たかおかのかみ）を祀っている。高龗神は「殖産、潅漑、雨乞いの守護神で、霊験のあらたかさは良く知られているところであります。特に、萬物の生命の根元である「水」をつかさどり、俗に龍神にもたとえられて、廣く根強い信仰と崇敬が集められています。」とある。二重社では狛犬の代わりに阿吽の龍の像を狛龍にしている理由が知れる。それにしても狛龍は珍しい。
　「呪いの杉」についても、「震災前までは、二重の瀧つぼのほとりに、樹齢千年をこす老杉がありました。　この杉は呪いの杉とよばれ、神秘的楼獪な伝説が伝えられております。　毎夜「丑の刻」に参り呪いの相手を形どった人形を杉の木にうちつけて呪いをはらしたといわれておりますが、現在は参道、道下の二本の杉がその面影を伝えております。」とある。横にある杉の大木に注連縄が張られている訳が理解できる。
（表紙写真は二重社の狛犬ならぬ狛龍）
　

エリア 伊勢原(神奈川)

大山川に架かる二重滝橋と二重社。

二重の滝。

二重の滝。

「二重之滝（雨乞の滝）」。

二重社。

二重社の狛犬ならぬ狛龍。

二重社の狛龍。

二重社の狛龍。

「　　二重社について
　二重社は大山阿夫利神社の摂社で、高龗神（たかおかのかみ）が奉祀されております。
　御祭神は殖産、潅漑、雨乞いの守護神で、霊験のあらたかさは良く知られているところであります。特に、萬物の生命の根元である「水」をつかさどり、俗に龍神にもたとえられて、廣く根強い信仰と崇敬が集められています。　
　真摯なる祈りを捧ぐとき神威炳乎（しんいへいこ）（輝やくの意）詰願は成就すと言われております。

　　　二重の瀧について
　大山川の源流をなし、大自然の巨岩が二段にわかれ、上段の断崖（八ケ）より突如として湧水し水場（ヤツホ）を形成し、二段の岩壁に流れ出ずる所より二重の瀧と言われております。神聖にして清浄なる所から浄めの瀧とも呼ばれ、修験者の禊の行場でありました。
　又、江戸時代には、新年早々大工、鳶、左官職等の代表者が数日間下社に篭り二重の瀧に打たれ、心身を浄めてその年の賃金を決議したといわれています。

　　　呪いの杉について
　震災前までは、二重の瀧つぼのほとりに、樹齢千年をこす老杉がありました。　
　この杉は呪いの杉とよばれ、神秘的楼獪な伝説が伝えられております。
　毎夜「丑の刻」に参り呪いの相手を形どった人形を杉の木にうちつけて呪いをはらしたといわれておりますが、現在は参道、道下の二本の杉がその面影を伝えております。
　大山阿夫利神社」。
注。「震災前」とは関東大震災（大正12年（1923年）以前のことであろう。

語句の漢字表記と仮名表記の統一がなされていないが、原文のまま載せる。

二重の滝。

二重社社殿。

二重社社殿に掛かる「二重社」の扁額。

二重社下の渓谷。

注連縄が張られた杉の木。