2018/10/26 - 2018/10/26
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motogenさん
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静岡県掛川市の南の端に、小さな町がある。
遠州灘の海岸と、標高270mの小笠山に挟まれた東西に細長い町で、
東に行けば浜岡砂丘、御前崎、駿河湾となり、西に行けば天竜川、浜松市の中田島砂丘となる。
東海道本線や新幹線、国道1号線や東名高速からは、少しばかり離れているために、静かな田園地帯となっている。
町の名前は横須賀。
その町を東西に貫く横須賀街道は、昔の面影を残していて、今日から3日間、ここで『ちっちゃな文化展』が開催される。
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
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-
自宅からの距離は20km。
そんなに遠くはないのに、めったなことではやって来ない地域だ。
どんな地域なのか、ドローンの眺めで紹介してみたい。
https://youtu.be/oLmQRkB7VaM -
町の西端にある横須賀城址が、無料駐車場となっていた。
城址となっているが、城跡と分かるものは残っていない。 -
ちっちゃな文化展とは何だろう?
と歩き始めると、すぐ近くにお寺があった。
妙徳寺というらしい。
小さな町なのに、立派なお寺だ。
-
路上ではフィギュアやモデルカーが、フリーマーケット風に並べられている。
もしかして、鑑定団で高値がつくお宝も混ざっているのでは・・
と、しばらく眺めて、 -
隣の酒屋をのぞくと、店内はガラクタ市に模様替えされていて、楽しくなるものがゴタゴタと積まれている。
ちっちゃな文化展とは、フリーマーケットなのか・・
と思ったら、 -
この家では「江戸型彫り」が展示されていた。
展示されているのは、それはそれは微細に切り抜かれた染型紙で、カメラを構えると、
「すみません。撮影は禁止です・・」とおばさんに叱られた。
話してみるとこのおばさん、見かけよらず凄い職人のようで、展示されている型紙はこのおばさんの作品だった。
型紙は布を染めるためのもので、れっきとした伝統工芸だ。 -
街道を進んでいく。
街道は道幅を拡張されることもなく、経済発展から取り残された生活道路となっているが、今はこれがかえって新鮮に見え、有形文化財となっているのだ。
午後から始まったばかりの文化展なのに、たくさんの人が歩いていて、知る人には知られている文化展のようだ。 -
路地の奥に鳥居が見え、参道が山の中段の神社に続いていた。
平地にあればありきたりの神社だが、このような場所にあると、風格のある神社に見える。 -
その近くで目にとまったのは、藍染の手ぬぐいなどを展示してある民家で、
先ほどの江戸型彫りの型紙で染めた布が並べられていた。
型紙を作る職人、染料を作る職人、布を織る職人、染める職人・・
浮世絵と同じで分業なんだ、と知る。 -
ここでは100円の古着と、薬用ハーブのマンジュリコンの苗が売られていて、
-
この家では木工製品が置いてある。
いや、そんじょそこらの木工製品ではない。
急須を持たせてもらうと、ズシリと腕が下がるような重さ。
陶磁器の急須より重いのではあるまいか。
「簡単に水に沈むよ。」
と店番のおじさん。 -
素材は海岸地方で生育するドングリの木。(イマメというらしい)
それを乾燥させること10年で、たたけばキンキンと金属音のする固さとなり、手彫りでないとこのような作品はできないらしい。
塗料なしでつやつやとした光沢を出す職人技術。
仕上がるまでには数カ月。
「これができるのは、世界で私だけ!」
「売り物ではないよ。展覧会に呼ばれているもので・・」
と自慢するが、さもあらん・・
財力と見識の持ち主でなければ、似合わない品々で、
ここは、普通ならお目にかかれない巧の職人と、自由にお喋りできる楽しい場だ。 -
外に出れば、またまた神社の鳥居があって、山の上には神社の屋根が見える。
こんなにたくさんの神社仏閣があるということは、この町もタダモノでなく、 -
今はひなびた田舎町となっているものの、昔は名のある町ではなかったのか?
忘れてしまった昭和の風景を、懐かしさを感じながら歩いて行く高齢な人々。
あなたたちも、昔は世間や家庭の中を仕切っていた、名のある人だったはずだ。 -
そうこうして歩けば、また寺院が現れた。
もしかして、ここは江戸時代には宿場町・・?
いや、武将や豊かな庄屋たちを抱える城下町だったのかも知れない。 -
町のあっちこっちにそんな感じが現れている。
-
ベレー帽のお嬢さんが立っているこの民家も、その中の一軒で、
-
部屋の中には写真が展示されている。
このお嬢さんの力作で、芸術家を目指す若者たちが、ここで個展を開いているようだ。
フリーマーケット、個展、展示会、即売会、露店と、この文化展は多様だ。 -
酒屋さんの店先には、ガラス工芸品が展示されている。
作者は静岡市の女性で、出展者の多くは近辺の方だと分かってきた。 -
「すご~い!」
そんな声が聞こえてきて、入ってみると、布を素材とした3Dアート。
「その昔、黒柳徹子さんの叔母さんから習ったのよ・・」
「材料は着物なの・・」
作者は浜松市のおばさんで、実益を兼ねた趣味のようだが、制作時間に見合う収益を得るには大変なようだ。 -
頭を下げてのびをする猫。
それに惹かれてガレージをのぞくと、 -
ジブリのキャラクターが勢ぞろいしている。
フラップター、ガンシップ、森の人、オーマ、ネコバス・・・
彫刻刀の跡が残る木彫り作品で、 -
霊犬悉平太郎や、鬼を題材とした数々の作品も、ギョッとなって面白い。
-
作者は袋井の男性で、木工で生活しているというが、
特に芸術系の学校を出ているのでもなく、偉い先生に師事したこともなく、趣味が高じてこの道に入ったとのこと。
これで生活できるのか・・と考えてしまうが、
このような風変わりの人との話は、夢を見るように胸がうずうずしてくる。 -
白い提灯が立てられている家が、文化展に貸し出されている家のようで、全部で71軒あるようだ。
それとは別に、もともとの地元の店や、急遽作られた模擬店や露店が散らばっていて、町全体がにぎわっている。 -
この露店で売られているのは、五平餅やみたらし団子で、観光地のぼったくり店と違ってお手頃な価格だ。
醤油が焦げる香りに引き寄せられて食べてみたくなったが、夕食のことを思って我慢した。 -
西城秀樹ファンのお宅では、
-
秀樹のポスターやら色紙やら、グッズやら中古レコードやらが並べられ、
どこから集めてきたのかと、頭をひねる。 -
そんな街道を、学校帰りの可愛い子供たちが、ヘルメット姿で歩いて来るのだった。
子供たちもいつになく楽しそうだ。
話が長くなるので、一端ここで休憩にして、続きは後編とします。
お疲れ様でした。
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