2018/09/07 - 2018/09/09
76位(同エリア1113件中)
Pメテオラさん
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ラグーザ(またはラグーサ)は、シチリアに行ったら、イの一番に行こうと決めていた場所。私のシチリアのイメージ事始めは、1980年代に見た映画「カオス・シチリア物語」のロケ地のひとつ、ラグーザだった。
南国ムードいっぱいの広場の奥にそびえたつイブラのドゥオーモの雄姿、谷の対岸から見たイブラの立体的な街並み、そして、ムーロ・ア・セッコという石積みの塀で仕切られた田園風景を、この眼で見られて満足。イブラ界隈のうっとりする夜景も堪能できた。ただ、ドゥオーモ前のヤシの木が切り倒され、ソテツのしょぼしょぼした植え込みになっていたことだけが、ちょっぴり残念。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 高速・路線バス 徒歩
- 航空会社
- エミレーツ航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
イチオシ
( イブラのドゥオーモと初対面 )
この場面こそ、ラグーザに来て、イの一番に見たいと思っていた場所。ラグーザ・イブラのドゥオーモこと、サン・ジョルジョ大聖堂だ:Duomo, San Giorgio, Ragusa Ibla。
東京から飛行機を乗り継ぎ、約20時間でカターニア空港。そこから高速バスで1時間45分でラグーザへ着いた。イブラのホテルにチェックインした私は、すぐさま、ドゥオーモ広場:Piazza Duomo に足を運んだ。
広場の端から見た、緩やかな坂の上にそびえるサン・ジョルジョ大聖堂は、午後の光の影のせいか、美しいながらも少し寂しげであった。明るく親切な人たちが住むシチリアの歴史の影を垣間見るような場面だ。 -
ドゥオーモ広場の緩やかな坂を少しずつ上ってゆくと、広場に対して少し斜めに建っているサン・ジョルジョの堂々とした三層の正面が迫ってくる。見上げるような位置関係になるので、とても大きく、高く見える。
アップの写真は、翌日の朝、撮影したもの。ドゥオーモは東向きなので、午前中が順光、午後が逆光になる。
階段の前に横たわる、聖と俗を分けるかのよう鉄の柵も、頭の中の印象どおりである。
「やっと、ラグーザ・イブラのドゥオーモを、この眼で見られたあ!」
これぞ、映画「カオス・シチリア物語」で私の脳裏に焼き付いていた場面、のはずだった。 -
「違う!。ヤシの木がなくなっている!」
映画では、ショット写真のように、ドゥオーモ広場中央にヤシの木が生えていた。私にとっては、ヤシの木こそ、この場面を決定的に印象づけてくれたアクセント。そのヤシの木は切られ、しょぼしょぼとしたソテツの植え込みに変わっていた。
キリスト教の権威を示すような派手なバロック建築の前で、リゾート気分いっぱいのヤシの葉が、権威などどこ吹く風のように茂っている様子が、多少、皮肉っぽい場面を創り出していたと感じていたので、ちょっぴり残念。古い投稿写真を見ると4、5年前に模様替えしたようだ。
「ちょっと来るのが遅かったか!」と、一瞬思ったものの、ずうっと訪れてみたい場所に立てた歓びの方が、格段に大きかったことは言うまでもない。 -
( 映画カオス・シチリア物語 )
この映画は1984年製作。監督はタヴィアーニ兄弟で、アメリカンビスタ社が配信。日本語版は187分。原題は”KAOS"。ルイージ・ピランデッロという、ノーベル文学賞も受賞したシチリア島出身の劇作家が書いた、故郷”カオス”村の話しの一部を映画化したもの。村や近隣での悲喜こもごもの日常生活のエピソードが6話入っている。ロケ地では、ラグーザの他、リパリ島が有名。 -
( 見ごたえあったイブラの教会 )
ラグーザ・イブラは、18世紀前半の後期バロッコ様式:Tardo Barocco、の建物がびっしりと建ち並ぶ、ベージュ色の街だった。”ラクダのこぶ”の上のような場所にあるので、街中は坂だらけ。結構、急な上りや階段が多く、よく歩き、早目の水分補給が必須。
週末の夕方、ドゥオーモでは結婚式が行われていた。運良く正面ゲートも開いていたので、するすると入って行って見学。着飾った親戚友人がいっぱいいて、華やかな雰囲気に満ち溢れていた。
「ご結婚おめでとうございます!」 -
天高くそびえたつ素敵なファザードは、実は、張りぼて。裏には何もない。
けれども、ドゥオーモの内陣は、適度にきらびやかでメンテも良く、安心感のある空間だった。祭壇は結婚式対応で、きれいに飾られてた。旅の者も、いっしょになって新郎新婦に幸あれと祈る。 -
正面玄関から出ると、縁者友人が新郎新婦のお迎え準備。その先、大階段の下にはゆるやかな下り坂となっているドゥオーモ広場:Piazza Duomoが見える。観光客は、のんびりとドゥオーモに出入りしたり、バルのテラスでおやつタイム。
彼方には、ラグーザ・イブラを囲む丘陵の岩や緑が、傾きかけた晩夏の陽ざしに照らされていた。 -
ドゥオーモ広場から、バロック建築の家並み沿いを少し下ったポーラ広場:Piazza Pola にあるサン・ジュゼッペ教会:Chiesa San Giuseppe に行った。ドゥオーモを小さくしたような外観だが、同じ人が設計したのだから、当然と言えばそれまで。全体の造りはドゥオーモより柔和な感じだ。
ここも東向きなので、午前中が順光。 -
サン・ジュゼッペ教会の内陣。清楚な感じがする。他の映画のロケ地になったそうだ。ラグーザは、古きシチリアを思い出させる要素がいっぱいの、世界遺産を擁したインパクトのある観光地だと思う。
-
( イブラの詩情ある街並みに見入る )
180度反転して、イブラから西のスーペリオーレへ向かう。
ラグーザの旧市街は、二つに分かれていて、ラクダのこぶの上にある古い方がイブラ:Ibla。新しい方のスーペリオーレ:Superioreは、イブラの丘を下り、”こぶ”の先で、再び盛り上がっている丘の斜面に作った市街。イブラの方が100メートルくらい低い場所にあり、ラグーザ観光のメイン。
ドゥオーモの脇をすり抜け、イブラの中心を貫く通りを歩いてきて振り返ると、ドゥオーモの頂上が家並み越しに見えた。透きとおった青いガラスが新鮮な色合い。観光客は、みんな写真を撮っていた。
つまり、ちょっと気の利いたラグーサ旅行記には、欠かせないシーンである。 -
定番の、ちょっと不気味な彫刻。大きな屋敷や宮殿のバルコニーの下で、ふと、見上げると、たいてい何らかの彫刻が目に入る。不自然な派手さや誇張がバロッコの特色のひとつらしい。
このデザインに魔除けみたいな意味があるのかなあ?幾らくらいで作れたのかなあ?。 -
寄り道気分で、迷路のような小径に入ると、うす茶色や、淡いピンク色の家並みが連なっていた。思わぬ場所にカフェやB&Bもあったりした。女性読者向け旅行誌などに、もってこいのシーンだと思う。イブラは、地図で想像するより小さい市街なので、人の歩いた気配を追って、小径を進むと、すぐにメインの道に出たりする。ふらふら歩きは楽しいが、少し健脚家向け。
いま、目指している場所は、イブラとスーペリオーレの境目の、くびれた部分。 -
イブラのドゥオーモから、寄り道しないで歩くと、約10分で、くびれ部に着く。イブラを振り向いて、まず、目に入ったのが時計台:Orologio。1日2回しか時計の役目を果たしていないようで、観光客には不人気。
-
人気の高いプルガトリオ教会:Chiesa delle Anime del Purgatorio もイブラの端っこに建っている。西日に照らされた、うす茶色のファザードに目を奪われる。次の上り急階段に備えて体力温存のため、中を見るのはパス。
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( 急階段を昇って、超人気の絶景ポイントへ )
ここから道は一転、急な上り坂。車道は、6段くらいのヘアピンカーブで大回りしてスーペリオーレへ上がって行く。ヒトは、車道を伝ってもよし、ほぼ、直登ルートの、スカーレ(Scale:”階段”の意味)という急階段を選んでもよい。
正統派観光客は、私も含めて、たいてい階段を昇降する。
写真は、くびれ部にある市内循環バスの停留所。共和国広場:Piazza Repubblica、というのが、一応の名前だ。背後の青い屋根の塔が、このあたりのランドマークのサンタマリア・デリトリア教会:Chiesa Santa Maria Dell'Itria。
地図によっては、デリ”ド”リア教会:Dell'I [d]ria 教会と書いてあるが、どっちが、なまっている方なの?
「さあ、呼吸を整え、絶景ポイント目指して出発だ!」
「暑いので、水を、一口、飲んでからにしましょう」 -
スーペリオーレ方向に登り始めて50段くらいの場所に建つデリトリア教会の祭壇。あまり、寄り道する人もなく、がらーん。質素な作りで好感が持てた。
-
デリトリア教会から、少し右の方にまわり込むと、イブラのドゥオーモが家並み越しに見え始める。もう、この辺から、やや興奮気味。
付近一帯は、車道や階段が入り組んでいるので、幾通りかの道を通ると、いろんな構図のパノラマ風景が展開する。私も、2日かけて、体力の許す限り、行ったり来たりした。 -
スーペリオーレは、イブラより高い位置にあるので、階段を昇っていくうちに、いつしかイブラを見渡せるようにある。
「おおーーーーー」
人気の絶景ポイントのひとつ、”デリトリア教会の青いドーム越しのイブラ”、が望める地点に行きついた。
午後は、スーペリオーレからイブラを見る方角が順光。びっしり並んだ、うす茶色の屋根や壁が明るく連なり、青屋根がピンポイントになっている光景に声も出ない。
実際のイブラは、写真以上に、見る者の前に大きく、そして、立体的に鎮座していた。 -
( 絶景ポイントは、お気に召すまま )
もう少し昇って、遠目にイブラを見るような構図で撮った写真。青屋根のデリトリア教会は左に寄っている。
イブラ正面の横長の建物はラグーザ大学なので一般人は入れないし、近くに展望ポイントもない。私の第一目標であったサン・ジョルジョ大聖堂のドーム屋根は、大学の建物の左少し下に見える。
数カ所ある絶景ポイントでは、観光客が立ち止まって写真を撮ったり、しばし景色に見入っている。お互い、同じ思いなので、にっこり笑うと、話がはずんだりして、ラグーザ詣でした者どうしの同胞意識を感じたりする。
階段を、ふうふうしながら上下した苦労が報われた瞬間だ。 -
やがて、目線の上に姿を現わしたのが、別の絶景ポイントの目印になっている、サンタ・マリア・スカーレ教会:Chiesa Santa Maria Scale。やたらと、サンタ・マリアが多い。
気がせくが、一歩、一歩、階段を上がるしかない。 -
ここも、素晴らしいイブラの街並みが見渡せるポイントであった。
スカーレ教会の尖がった屋根を入れて撮るのがお決まりのようなので、私も、1-2枚撮影。写真で見ると、イブラは遠そうだが、実際は階段昇降込で、15分か20分もあれば、ドゥオーモまで着いてしまう。 -
イチオシ
スカーレ教会前から、アップで見たイブラ。
傾きかけた夕陽がイブラ全体に当たり、バロッコ建築一色で固められた市街地が、ややオレンジ色になっていた。季節や天気によっては、きれいなオレンジ色に染まるのだろう。 -
ここで、水分補給と休息を兼ねて、陽がかげるまで待つこと30分。
家々に、ぽつりぽつりと明かりが灯り始めたイブラの黄昏風景は、旅情をいっそう書き立てた。ぬくもりあふれる、ひととき。
夕ご飯を食べたあとで、また戻ってくることにした。 -
( スーペリオーレの風情も楽しむ )
イブラを堪能した翌日、旧市街の新しい地区であるスーペリオーレ:Superiore 歩きを、ざっとした。1693年の大地震のあとで、計画的に造った街並みは、道路が碁盤目状で整然としているが、想像以上に急坂である。イブラの絶景ポイント、スカーレ教会からスーペリオーレの中心まで、勾配のきつい坂を10分くらい上った。 -
家並みは、イブラと同じく、うす茶色のバロック様式であるが、イブラより、明らかに新しいし、ばらばら感も強い。
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エッチェ・オーモ通り:Via Ecce Homo、の坂の上にも、バロック様式の教会がのぞいている。バルコニー下の細工が延々と続くさまは、ラグーサならではの光景だろう。
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スーペリオーレの中心は、イタリア通り:Corso Italia の中ほどに鎮座するカテドラーレこと、サン・ジョバンニ・バティスタ教会:Cattedrale di San Giovanni Battista 。
イブラのドゥオーモと同じ、後期バロッコ様式だが、こちらの塔は中身がある。運悪く、中が開いている時間帯に通らなかったので外観のみ見物。それなりに風情のある光景だった。 -
( ラグーザの新市街も捨てたものではないぞ )
スーペリオーレの南側に広がっているのが新市街。県庁や、バスターミナル、駅などは、全部、新市街にある。市内バスで数回通ったが、住み心地よさそうなところだ。相変わらず、坂が多いのは、ラグーザの宿命。
写真は、駅のすぐそばにあるポポロ広場:Piazza del Popolo。こっちには、南国ムードを演出してくれるヤシの大木が生えていた。いいな。 -
新市街とスーペリオーレは、イブラ側とは別の窪みを挟んで、4本の橋でつながっている。一番、低い場所にあるジョバンニ23世橋:Ponte Giovanni XXⅢ から彼方を見やると、スーペリオーレの丘越しにイブラの高みが見える。
どこから見ても、イブラ風景は印象に残るのだ。 -
橋の反対側からは、スーペリオーレのカテドラーレと市街が見える。立体感のあるラグーザの街並み散歩は、坂道歩きさえ克服できれば、絵に書いたような18世紀ヨーロッパ体験ができる場所のひとつだと思う。
高低差のある橋の背後に広がっているのは、20世紀以降の新市街。けっこう手入れもよく、旧市街と色合いもそろえている。ラグーザの都市造りのセンスは良い。 -
( 暮れなずむラグーザの穏やかな風景 )
イブラをオレンジ色に染めた陽が、スーペリオーレの西に沈むころ、ラグーザの街は、新しい表情を見せてくれる。LED化しているけれど、黄色味を帯びたライトが光のショーのように灯り始め、バロッコや現代風の建物を浮かびあがらせる。
まずは、新市街とスーペリオーレを結ぶ橋の明かりと、薄暮の緑の丘。 -
スーペリオーレの飲食街も、夜が更けるにつれて、賑わいを増す。街あかりに照らされた人々の顔には、1日の終わりの解放感が浮かび上がっている。テラス席で、それを見ながらの夕食も、また、楽しいひととき。
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( 夜景を見ずして、ラグーザを去ることなかれ )
ラグーザの石造りの建物に当たるライトは、艶めかしく反射して、街のあちらこちらをロマンチックなムードに変えていた。
いい気分で、イブラへ帰る私の前に、まず現れたのは、スーペリオーレのカテドラーレ。
ちなみに、ラグーザは、とても治安の良い都市。観光客が、およそ行き交うルートなら、真夜中まで安心して、そぞろ歩きができると感じた。 -
その、はす向かいにある、市の中央郵便局。ヨーロッパに多い、黄色味のあるオレンジ色の街灯が、ニッポン人観光客には新鮮。赤ちゃん連れで家族総出の夜のそぞろ歩きも、楽しそうだ。
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スーペリオーレからイブラへは下り坂。イタリア通り:Corso Italia の静かな夜。
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イチオシ
スカーレ教会から眺める薄暮のイブラも息を呑むくらいの絶景だったが、夜のイブラも、長く見とれるほどの美しさ。青く輝くドゥオーモのドームがピンポイントで華を添えていた。
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近くに目をこらせば、プルガトリオ教会が闇に浮かびあがっていた。イブラの丘に点々と連なる街明かりが幻想的。
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夜のスカーレ。曲がり角の向こうには、何かが潜んでそうな気配。夜歩きをする人たちの長い影が近づいたり、遠ざかったり。隠れ家を覗くときのような、ぞくぞく感がある。
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青い屋根のデリトリア教会前も、昼間と夜とでは、雰囲気が激変。バロッコの複雑で大げさな装飾の影がきれい。
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イブラの入口、プルガトリオ教会前まで降りてきた。まだまだ宵の口と言わんばかりに、バルの前では観光客のおしゃべりが続く。100年単位で変わらない街並みの持つ良さを感じるひととき。
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あくる日の夕暮れ時に、ちょっと寄り道して、プルガトリオ教会前をさらに下り、イブラの谷底から暮れなずむスーペリオーレを見上げた。青から黒へと染まりつつある空をバックに、スーペリオーレも凛として輝きを増してきていた。
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( イブラの夜は、幻のごとく )
プルガトリオ教会前からイブラのドゥオーモへは上り坂になる。時計塔もライトアップされていた。 -
イブラの街中を戻るにつれ、ドゥオーモの大きなドームが行く手に迫ってきた。通りに張り出した彫り物の影と合わさった場面は、とても幻想的。2,3分たたずんで、イブラのイリュージョンをじっくりと胸に納めた。
定番の夜景のひとつだが、誰もが感動する場面だと思う。 -
イチオシ
ドゥオーモ広場でも、まだまだ、多くの旅人が歩いたり、座ったり。幻のごとく闇に浮かび上がるドゥオーモのファザードと、奥の青いドームに、一様にうっとり。
日帰り観光客がいなくなった夜のラグーザこそ、300年前の雰囲気に、より強く浸れる空間だと思う。そういう演出に、心からありがとう。 -
ただただ、少し斜め前を向いて闇夜にそびえ立つドゥオーモを見つめるだけのひととき。
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同じく、闇に浮かび上がるサン・ジュゼッペ教会。
静謐(せいひつ)な雰囲気が漂うように見えるが、広場にある数軒のバルから聞こえてくる賑やかな声のせいで、実際は、けっこう陽気なムード。ドゥオーモ前の方が、よっぽど静か。
私も、グラニータを食べながら、しばし、ぶーらぶら。 -
イブラのレストラン街も、夜遅くまで、旅人の笑い声が絶えない。
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( 晴れ渡るイブラの朝 )
翌日は、朝から快晴。
カオス・シチリア物語に登場した、ラグーザの他の場面を見に出かけた。横向きのイブラ風景と、郊外のムーロ・ア・セッコ風景探索である。
その前に、朝のすがすがしいイブレイ庭園:Giardini Ibrei、をぐるりと一周。
庭園前バス停で、市バスのルートと時刻表チェックもした。 -
( 輝くスーペリオーレも捨てたものではない )
朝は、イブラからスーペリオーレ方向を見る角度が順光。ドゥオーモ広場から南側にまわり込む。 -
朝日を煌々と受けるスーペリオーレの市街地が、眼前に、どんどんと広がってきた。
-
道路の隙間からスーペリオーレが手に取るように見える場所もあった。
急斜面に広がる統一感のある家並みが見事。 -
( イブラとスーペリオーレの両方を見たい )
イブラの端のプルガトリオ教会前をバス通り沿いに下り、イブラの谷の南側に出て歩くこと20分。別のアングルのラグーザ風景に出会えた。国道115号線の、市民病院:Ospedale Civile, Maria Patern, Arezzo へ上がる分岐点付近だ。
イブラとスーペリオーレの両方が連なっている光景が見えた。それも、朝の若々しい陽の光に照らされた姿である。
「こちらも、それなりの絶景ポイントなのだ!」
また、両者の間のくびれも、くっきりと分かる。私たち観光客は、素晴らしい風景を見たさに、”火事場の馬鹿ぢから” よろしく、けっこう急斜面を昇り降りしていることも実感できて、少しびっくり。 -
イブラ側に視線を移せば、深い谷を隔てて、ラクダのこぶ、あるいは、馬の背のような地形の上に街並みがあることが一目瞭然。
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病院前の駐車場も展望ポイントになっていて、イブラとスーペリオーレの両地区が視野いっぱいに広がっている。手前の深い谷と、背後の岩山状の丘陵の緑の間に浮かぶようなラグーザ旧市街は、どこから見ても美しかった。
イブラを経由する市内バスの半分くらいは、市民病院前を経由するので、歩きが苦手な人は、是非、バスに挑戦してほしい。ツアーバスや、クルマの方は、国道115号線からの眺望もお忘れなく。 -
イチオシ
( 横向きにドゥオーモが見たかった )
私が見たかったアングルがこの写真。イブラのドゥオーモを、谷を隔てて横向きにアップで見たかったのだ。カオス・シチリア物語では、朝ぼらけのドゥオーモが、ぼおっとした感じで映し出されていた。「世俗の喜怒哀楽に関係なく、シチリアの時は無情に流れる」みたいな雰囲気で、そのシュール感、無情感に私も接したかった。
「うーん、確かに、手の届かないところに見えると、『ドゥオーモなんて、俺たちの今日明日に関係ないね』、という感じがしてきた」
「ちょっと、思い入れが強すぎると思う」
「そう思わないと、こんな場所まで歩いて来る力は出ないぞ!」 -
( 寄り道してイブラ霊園体験 )
朝のうちは陽気もさわやかなので、脇道を進み、イブラ霊園:Cimitero まで来た。市内バスも1日4本くらい迂回してきて停まる。
イタリアの霊園には、糸杉が多く植えられていて、独特な静寂感を醸し出している。花屋さんもあり、墓参の市民が出入りしている。私を見て、「あのガイジン、何しに来たんだろう」いう表情をした人がけっこういた。 -
( ラグーザ新市街の西端へ )
市内バスを乗り継ぎ、ラグーザのスーペリオーレの背後の新市街を通り抜け、できるだけ、西のはずれの停留所まで行った。
写真は、スーペリオーレのはずれ、イタリア通りの終端で、植え込み上部から現代風の市街になる。 -
市内バスは、循環ルートで、ヨーロッパ通り:Viale Europe を経由し、アメリケ通り:Viale delle Americhe へ向かう。最西端と目を付けた場所で下車。
10分ほど西に向かって歩くと、市街地も切れかかり、大きなロトンダ(ラウンド・アバウト)を横切る。地図を見ながら、どんど先へん歩くが、だんだん暑くなってきた。水は1リットル持っているので、多分、大丈夫だ。 -
( ムーロ・ア・セッコの優雅な曲線 )
目星をつけていたあたりで、州道を適当に折れて、10分ばかり進むと、
「あったあ。『ムーロ・ア・セッコ』の続く農村風景!」( Muro a Secco )
もうひとつ、
「カッルーバの木!」( Carruba )
左隅の丸っこい樹木だ。
普通の方には「何のこっちゃ」の、ラグーザ風景。でも、私は、これも見たかったのである。
「カオス・シチリア物語」では、ムーロ・ア・セッコに囲まれた農家の新婚カップルの、てんやわんや騒動が出てくるが、その風景描写も、とても印象的だったのである。 -
イチオシ
ムーロ・ア・セッコ:Muro a secco、( 複数形は、ムーリ・ア・セッコ:Muri a secco ) は、地元の石灰岩を積み上げて作った石垣である。言葉の意味は、「乾いた壁」。ラグーザ一帯だけで見られる独特な農村風景。
解説書によると、ムーロ・ア・セッコの材料は、農地を開墾したときに出てきた石灰岩。職人は、それを砕き、大小を上手く組み合わせて人の胸の高さくらいに積み上げ、延々と石の壁を作るのだそうだ。農地の境目や、道路の壁として、あたり一面に広がっている。
白い色は、あくまで人目に柔らかく、石垣は、ゆったりとしたカーブを描いて延々と優雅に連なっている。温かみのある石積みだ。またまた、見入ってしまった。 -
ムーロ・ア・セッコと一体化した農家。ラグーザの典型的な田園風景だと思う。もちろん生活は現代風。クルマ2台にクーラーの室外機もある。トラクターを運転して農作業から帰ってきたと思しきオジサンとすれ違いざま、「おっす」。
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イチオシ
カッルーバ:Carruba の木が自生しているムーロ・ア・セッコに囲まれた牧草地に放牧中のウマ。実に絵になる光景。
カッルーバの実は、乾燥させた黒いエンドウマメみたい。訳語を見たら「イナゴマメ」と書いてあった。シチリア島内でウマやウシがたくさんいたり、カッルーバの木がたくさん生えているのはラグーザ近辺のみだという。
木々も少ない荒涼とした大地と火山というシチリア島のイメージから遠い風景。ラグーザは、想像以上に緑も多めで、豊かで、街中も掃除が行きとどいていて、のんびりムード。親近感が湧いた。 -
ムーロ・ア・セッコの囲いが縦横に連なり、遠くにカッルーバの木かげが見える道を、てくてくと歩く。とっても気分良く、ラグーザ中心部に戻ってくることができた。
-
私が思うに、ラグーザ観光に来たニッポン人の方は、”ちらり”とかも知れないが、ムーロ・ア・セッコを目にしているはず。ガイドさんが説明しなかった、ガイドブックに書いていなかった、バスで寝てた、夜ドライブしていた、という理由で記憶にないようだ。
最後は、雄大なムーロ・ア・セッコを望める車窓風景。カターニア発ラグーザ行きの高速バスが、ラグーザに着く15分くらい前の車窓右側の眺望が、それはそれは見事。キアラモンテ・グルフィ:Chiaramonte Gulfi という村の近くの丘の中腹を走る場所。実り多そうな農地が広がる遠くの平野と、ムーロ・ア・セッコが縦横に作られた近くの丘の風景が、ぴったり合わさっている。
バロッコのラグーザ、ムーロ・ア・セッコのラグーザこそ、大いに見るべし。
了
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