2018/07/01 - 2018/07/01
10位(同エリア274件中)
かっちんさん
空知郡富良野町と上川郡新得町の境界にある狩勝峠(かりかちとうげ)。
明治40年(1907)に十勝線(現、根室本線)の落合~新得(しんとく)間に旧狩勝線が開通し、その途中に狩勝信号場、新内駅(にいないえき)が開業しました。
新得から狩勝峠(標高644m)まで上る線路は、最大勾配25パーミルと急カーブが続くのですが、車窓から十勝平野を一望できる風景が見渡せ、日本三大車窓のひとつに数えられています。
昭和41年(1966)に旧狩勝線は勾配緩和のため新線に切替られ、その後貨物列車の脱線事故のメカニズムを解明する狩勝実験線として昭和54年(1979)まで使用されました。
かっちんは昭和41年当時まだ10代で、この三大車窓が眺めることができませんでした。
学生時代に札幌から釧路行きの夜行鈍行列車に乗り、落合に到着した時は夏場の早い夜明け。窓を全開し十勝平野を眺めながら清々しい風を浴び、大カーブを新得まで下りました。新線でも雄大な景色が引き継がれています。
平成28年8月31日、台風10号により根室本線落合~新得間が甚大な被害を受け、代行バス輸送になりました。このバスは狩勝峠を通る旧狩勝線沿いの国道を走るので、昔の三大車窓が眺められます。
旧狩勝線新内駅のあった狩勝高原には「旧狩勝線ミュージアム」と「エコトロッコ鉄道」の施設があり、旧狩勝線の歴史とその雰囲気を感じることができます。
この場所は新得駅から10km程離れているのですが、平成29年(2017)12月からJR代行バスが近くのサホロリゾートに停車するようになり、落合~新得駅間の乗車券があれば途中下車ができます。
今日は旭川から富良野線、根室本線に乗り、東鹿越(ひがししかごえ)からJR代行バスを利用してサホロリゾートで下車し、旧狩勝線と展示施設を訪れます。
なお、旅行記は下記資料を参考にしました。
・NPO法人 旧狩勝線を楽しむ会「旧狩勝線ミュージアム」
・狩勝高原エコトロッコ鉄道
・駅と駅舎の旅写真館「布部駅~北の国 此処に始まる~」
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
朝のご挨拶(旭川駅)
旭山動物園から応援に来ている駅員さん。 -
旭川に停車しているディーゼルカー
旭川から出発する稚内、網走、富良野方面の列車は、すべてディーゼルカーです。 -
美瑛の風景(車窓)
富良野線の車窓では、一番景色のいいところ。 -
美馬牛では反対列車と交換
「びばうし」と読みます。 -
サイロのある風景(中富良野付近の車窓)
-
黄色く染まるキカラシ畑(学田付近の車窓)
キカラシは緑肥になります。 -
北海道のへそ「富良野」に到着
富良野市は北海道の中心に位置しています。
顔に見えるところはお腹です。 -
列車の乗り換え
富良野では富良野線から根室本線に乗り換えます。
次の発車まで18分あるので、ホームでウロウロします。 -
かっこいい!「クリスタルエクスプレス」がいます
札幌と富良野を結ぶ特急「フラノラベンダーエクスプレス1号」です。
1990年度の通産省グッドデザイン商品に選定されたキハ183系のリゾート気動車なんです。 -
美しい彩りの「ノースレインボーエクスプレス」
先頭からラベンダー・ブルー・ライトグリーン・オレンジ・ピンクの5両編成。
特急「フラノラベンダーエクスプレス3号」の入線です。 -
では、東鹿越行きに乗ります
この列車は台風で一部区間が不通になるまでは「日本一運行時間が長~~い定期普通列車」でした。 -
これが「日本一運行時間が長~~い定期普通列車(2429D)」
平成27年(2015)8月24日に、滝川から釧路まで348.5kmを8時間27分かけて乗りました。
このときの旅行記も良かったらご覧ください。
「釧路行き日本一運行時間が長~~い定期普通列車-1(北海道)」
https://4travel.jp/travelogue/11048852 -
富良野を出発(車窓)
-
布部駅(車窓)
布部駅(ぬのべえき)は、倉本聰のドラマ「北の国から」第一話に登場にしたところ。
東京から富良野に移り住んだ黒板五郎と子供たちの純と蛍が、この駅で列車から降り立ち、新天地での生活が始まります。 -
山部駅の油庫(車窓)
レンガ造りの油庫と、隣に古い木造倉庫があります。 -
東鹿越駅に到着
新得からのJR代行バスがちょうど到着したところです。 -
富良野方面への列車(東鹿越)
かっちんの乗ってきた列車はここで折り返します。
新得からJR代行バスに乗ってきた人たちが、この列車に乗り継ぎます。 -
JR代行バスは新得方面行き
十勝サホロリゾート宿泊客用の無料送迎バスにもなっています。 -
JR代行バスの時刻表
代行バスは鉄道休止中の駅を一つひとつ停車していきます。
平成29年(2017)12月1日からサホロリゾートにも停車するようになり、旧狩勝線が行きやすくなりました。 -
イチオシ
幾寅駅に停車(バス車窓)
東鹿越の隣の「幾寅(いくとら)駅」です。
映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地になった幌舞駅です。 -
映画に使われたキハ12の車両(バス車窓)
キハ12は昭和31年から昭和55年まで道北・道東を中心に活躍していたディーゼルカーです。
映画作成当時、実在しているキハ40をキハ12にわざわざ改良しています。
2014年に幌舞駅を訪れたので、このときの旅行記も良かったらご覧ください。
「鉄道員(幌舞駅)で元気づいている南富良野を訪ねて(北海道)」
https://4travel.jp/travelogue/10913322 -
落合駅に停車(バス車窓)
-
旧狩勝線沿いの国道(バス車窓)
落合駅を出発すると鉄道と離れ、旧狩勝線沿いの狩勝国道(38号線)を進みます。
この先に狩勝峠があるので坂道をぐんぐん上っていきます。
それにしても雨が凄い。 -
狩勝峠の展望(バス車窓)
代行バスはここに停車しません。
狩勝峠は霧雨で十勝平野の展望がきかず。
翌日の帰りの展望に期待します。 -
サホロリゾート(代行バス車窓)
狩勝国道から横道に入ると、サホロリゾートがあります。 -
サホロリゾートホテルに到着
落合~新得間の乗車券(大人の休日倶楽部パス)を見せてバスを降ります。
サホロリゾートホテルから旧狩勝線ミュージアムまでは1.6km程なので歩きます。 -
狩勝峠3合目
国道に出てしばらく坂道を下ると、3合目のキタキツネが待っています。
ここから向かい側の横道に入ると狩勝高原です。 -
狩勝高原の案内図
国道から500m入ったところに、旧狩勝線ミュージアム(SL広場)があります。 -
イチオシ
旧狩勝線ミュージアム
旧新内駅跡にSLと国鉄寝台特急客車20系が置かれ、客車内がミュージアムになっています。 -
イチオシ
9600形SL
大正15年(1922)川崎造船所兵庫工場で製造された9600形蒸気機関車 59672号機です。
根室本線、釧網本線、広尾線、士幌線で活躍しました。 -
新内駅名標
新内は、明治40年(1907)官設鉄道十勝線の落合~帯広間が開通し、「新内信号所」として開設。
明治42年(1909)国鉄釧路線となり、旅客・貨物を取り扱う「新内駅」になりました。
その後、釧路本線、根室本線と名称を変え、昭和41年(1966)に落合~新内~新得間の旧線が廃止されました。 -
旧狩勝線の路線図
新得駅(右側)から始まる旧狩勝線は、新内駅を通り、大カーブと急坂を上りながら、新内トンネル、標高644mの狩勝峠の下を貫く狩勝トンネル(全長954m)を通り、狩勝信号場、そして落合駅に至ります。 -
旧狩勝線ミュージアム
寝台特急客車20系の入口からミュージアムに入ります。
開館日は土・日・祝日なので、狙って来ています。 -
北海道の鉄道路線図
昭和37年(1962)の路線図をじっくり眺めます。
すると、道東の根北線(こんぽくせん)斜里~越川間を見つけました。(昭和45年(1975)廃止)
まだ載っていない路線は、昭和39年(1964)に開業した美幸線(びこうせん)美深~仁宇布間です。 -
イチオシ
旧狩勝線を拡大
狩勝峠の前後に、新得、新内、狩勝、落合の駅名があります。
新得からは北海道拓殖鉄道が東瓜幕まで出ています。 -
通信線の電柱(写真)
形から「ハエタタキ」と呼ばれています。
旧狩勝線跡には今でも残っている場所があります。 -
車窓の世界三大車窓(写真と絵)
日本三大車窓だけでなく、世界三大車窓でもあるのですね。
カナダ太平洋鉄道のロッキー山脈の風景、シベリア鉄道のウラル山脈越えの展望、そして狩勝峠からの大展望です。 -
通票閉塞機
タブレット(通票)を使った閉塞機です。 -
連動操作盤
下金山駅なので旧狩勝線のものではありません。
駅構内のポイントと信号の切替装置です。 -
工具や碍子
-
寝台車の洗面所
朝、顔を洗う人が一斉に起きてくるので、洗面台が3つ並んでいます。 -
ナロネ21形
昭和33年(1958)日立が製造した1等寝台車です。
国鉄20系客車は、主に九州寝台特急に使われ、青い車体色の特徴からブルートレインと呼ばれました。 -
1等寝台車の車内
中央通路を挟んで左右に上下2段寝台をレール方向に7区画づつ28名分寝台が配置されています。
かっちんは20系の2等寝台3段ベッドを利用したことがあります。 -
昼間はボックスシート
寝台が2人分なので、昼間のボックスシートはゆったりです。 -
1階の寝台ベッド
座席と背ずり部分をずらしてベッドにします。 -
イチオシ
2階の寝台ベッド
壁面に折りたたまれた上段寝台が引き出されてベッドになります。
乗客は梯子をのぼって2階へ上がります。
なお、寝台や座席のセットは、専門の作業員が乗り込んで行います。 -
エコトロッコ鉄道
ミュージアムを後にし、保線用軌道自転車で新内駅構内のレール走行を楽しむ施設「エコトロッコ鉄道」に来ました。
資材のほとんどがリサイクル品なので、エコトロッコの名前がついています。
今日は雨のためお休みです。 -
タブレット
駅構内の線路を2周するのですが、1周したところでタブレットを受け台に掛けると、ポイントが変わり別の線路を通り2周目に入ります。 -
交差している線路
-
イチオシ
ホームと信号機
線路には信号機が13箇所あり、その信号指示に従い進行、徐行、止まれを守って運転します。 -
踏切のある線路
トンネルや踏切手前では、警笛を鳴らします。 -
ミュージアムと並ぶエコトロッコ鉄道
エコトロッコ鉄道には旧狩勝線と同じように、落合、狩勝信号場、新内の駅名標があります。 -
煉瓦積みの官舎
外から眺めるだけです。 -
狩勝ポッポの道の案内図
狩勝ポッポの道は、新得から狩勝高原の新内駅まての約10kmにおよぶ旧狩勝線の鉄道跡地にできた、歩行者・自転車・馬車等のための道です。
途中には、当時作られた橋梁や狩勝実験線の通信に利用した無線鉄塔が残されています。 -
狩勝ポッポの道
旧狩勝線の雰囲気を感じます。
今日は時間がなく歩きません。
別の機会にこことは反対方向の新内トンネルまで旧狩勝線を歩くつもりです。 -
JR代行バス
サホロリゾートに戻り、新得行きの代行バスに乗ります。
今晩の宿は、帯広手前にある芽室町の国民宿舎「新嵐山荘」です。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 横浜臨海公園さん 2018/09/09 10:56:47
- 狩勝峠
- かっちんさま、こんにちは。
旅行記を拝見させて頂きました。
狩勝峠旧線は、現在線とは全く異なった地点に敷設されていたものが、勾配緩和を理由に現在線に切替えられたもので、事実、旧線時代は制動機不良が原因で、数回、列車が暴走状態となり脱線転覆事故を発生させております。
小生が根室本線初乗車は昭和50年(1975年)冬で、石勝線は未だ開通しておらず、優等列車は全列車共に富良野経由で、道路が完備していなかった事もあり、現在よりも乗車率が遥かに高かった事を記憶しております。
その際に、当時乗務されていた札幌車掌区の方から、隧道を越えた際に目の前に拡がった旧線の雄大な眺めの話を聞き、何時か小生も見たいものと思い、25年前に、レンタカーで通過し峠の頂上でソレが事実で感激したものでした。
兎に角、道路と云えども勾配は急で、十勝側への下り坂では、自動ミッションながら2レンジに入れたままエンジンブレーキで下り、昔の蒸気機関車では、さぞかし苦労も多かったものだと感得したものです。
旧新内駅の20系寝台車、外装など過酷な気象条件が原因で、相当荒れ果てた印象を受けました。
20系客車でもナロネが無事に残っているのは新内だけですから....
横浜臨海公園
- かっちんさん からの返信 2018/09/09 12:11:32
- RE: 狩勝峠
- 横浜臨海公園さま こんにちは
いつもお便りをありがとうございます。
今回新線切替の件で間違いに気づき、すぐに修正しました。
石勝線の開通時期は昭和56年でした。
ありがとうございます。
札幌車掌区の方の話がきっかけで、横浜臨海公園さんが訪れた峠からの眺め。
感激した状況がよくわかります。
私も翌日の帰りに雄大な眺めに出会い、感激しました。同時に過酷な勾配も。
旧新内駅の20系寝台車の外装は荒れ果てています。
現在、旧狩勝線を楽しむ会が管理されているようですが、資金面の支援が必要だなと感じました。
かっちん
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