2018/04/01 - 2018/04/01
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そんごくうさん
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北関東の秘密の場所で、氷の下をダイビングする「氷結湖ダイブ」に行ってきましたよ~。
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皆さんは「ダイビング」というスポーツにどのようなイメージをお持ちでしょうか?
爽やかな夏の時期に行う水遊び。
この写真のような青い空と、どこまでも透明な海… -
イチオシ
穏やかな波間に漂うボート、ただただ広い空には大きな虹が…
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水中から見上げれば、複雑な地形の間から射す陽の光…
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バラクーダ(オニカマス)の大群に囲まれたり…
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ウミガメさんとにらめっこしたり…
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時には巨大なマンボウくんと遭遇することもあります。
…こんな感じでしょうかね?
確かに今までそんな場所で多くのダイビングを楽しんできました。 -
しかし、今回潜る場所は 一転してそんな環境ではありません。
GW頃まで春スキーが楽しめるような北関東の某所にある湖です。
おととい(2018年3月28日)、私の住む埼玉県内の熊谷地方では、早くも最高気温25.5℃という「夏日」を記録しているというのに、ここでは冬景色が色濃く残っています。
しかも、当然そこはダイビング施設ではありませんから、何の用意もしてありません。
全て自分たちで準備・設置し、問題が起きてもその場で解決していかねばなりません。 -
「危険につき 立入禁止」の立て看板が示す通り、レジャーとしては結構過酷な環境なので、このダイビングに参加するには条件があります。
・経験本数400本以上
・頭上が閉塞した環境での訓練・ダイビング経験がある
・氷の下でのダイビング経験がある
・PADI OWSI(プロレベルの中のインストラクター資格)と同等以上のランクである事
…です。
要は「他人に頼らず、迷惑をかけずに、トラブル含め全ての事を自分で対処・解決できる事」という条件です。
そういうことなので、OWD~MSDランクまでのアマチュアの方や、プロ資格でもダイブマスター・アシスタントインストラクターの方々にはご遠慮願いました。 -
勿論我々は地元の漁協様の許可を得てダイビングしますが、大挙してショップ単位で来られても対応できないそうです。
今回参加の皆様も所属するショップはバラバラで、それぞれ各ショップでイントラをなさっている方々が中心です。
そんな訳なので、今回の場所は「北関東の とある湖」ということで秘密でお願いいたします。 -
午前9時。
雪解け水でグチャグチャになった駐車場に車を停め、服を汚さないように気を付けながらダイビングスーツに着替えます。
普段だと立派な温水シャワー付き更衣室がある現地サービスショップを利用するのですが、そんな快適で便利なものはありませんww。 -
イチオシ
ちなみにここからの4枚の画像は、北方領土のすぐ隣、北海道・知床ウトロにて、接岸した流氷の下をダイビングする「ドリフトアイスダイビング」に数年前に参加した時の様子です。
晴れてはいるものの、大変寒いです。
気温マイナス20℃(!)、水温マイナス3℃(!!)という中でダイビングします。 -
器材をそのままにしておくと、たちどころに凍ってしまいます。
-
通常の海やスイミングプールではありえないのですが、「頭上が閉塞された水中環境」というのは、水面に直接浮上できないために、万一何かあった時に直ちに対処できません。
例えば器材が故障して空気が供給されなくなったりしたら、普通だったらどんなに深い水深の場所にいても、何とか水面まで浮上すれば呼吸も出来ますし、誰かに発見してもらえる場合も多いです。(まあ、減圧障害の可能性はありますが…。)
ところが氷の下のような閉鎖空間では浮上したところで呼吸ができず、パニックに陥り、誰からも発見されずに取り返しのつかない事になりかねません。
そのため、相応の訓練を積んでからでないと絶対に入ってはいけません。
そして何か連絡したい時には、お互い索(ロープ)でつながっているので、クイッと軽く引っ張って合図をします。
これは地上に残している緊急連絡係からの合図用でもあり、水中で行方不明にならないための予防策でもあります。 -
「俺ちゃん、寒さに強いんだけど、マイナス3℃の水って実際問題どんだけ冷たいんだ?」と思い、信頼するZERO製 http://zero-zero.co.jp/lineup/sports_dry のアイスダイビング用のマスクフードと極厚ミトンを付けずに水に入ってみました。
…その結果、あまりの冷たさ(痛さ)に30秒ほどしか我慢できず、泣きながら逃げるように陸に帰ってきた想い出があります(苦笑)。
恐るべし、流氷ダイビングっ!
↑わざわざ好んで自分から体験しに行っている -
話を今回を戻します。
通常のレジャーダイビングなら、潜る直前までダイビング用インナーで過ごすのですが、ここはガチガチに凍っているとはいえ湖の上です。
万一、氷が割れて水中に落下してしまうと、救助が困難なうえに急激に体温が奪われ、死に直結します。
なので「ドライスーツ」という、頭と手だけしか濡れないダイビングスーツを着用しての行動になります。
こうしておけば万一落下した時でも浮力の確保と、救助を待つ間の体温・体力の温存が出来るからです。 -
「全て自分の事は自分でやる」と言っても、メンバーみんなで協力しあって初めてダイビングは成立します。
ソリに器材を積んでポイントまで運びます。 -
ある程度の水深が無いとダイビングできないので、沖の方まで機材を運びます。
みんな、頑張って~♪←おまえも運べ! -
ダイビングポイントから駐車場方面を。
言われなければここが湖の上だなんてわかりませんね。 -
奥に氷が割れて水面が顔を出している部分が見えますね。
てっきりここでダイビングするものと思いましたが、リーダー曰く「いや、そこは昨日潜った場所。すでにある場所に潜っても、それじゃあ何にも面白くないでしょ?自分たちで氷を割って削り出し、その場所でダイビングするのですよ」とのこと。
なるほど、この本格的な道具はそのためのものだったのかー! -
リーダーから
「ここの場所は、比較的柔らかくて薄い表層の氷の下に、こぉーんなに厚くて硬い、大型トラックが通ってもビクともしない、まるでコンクリートのような氷層がありますからね。全力で立ち向かってください!」と、激励を込めたブリーフィングがあります。 -
道具の使い方も説明してくれます。
似たようなものは関東地方のホームセンターでも入手できるそうですが、リーダーによると「関東で買えるような奴はヤワで全く使い物にならない。なので本場・北海道から道具を取り寄せている」とのこと。
さすがです!
たしかに近所のホームセンターでこんな道具見たことないわwww -
「はい、じゃあ各自道具を使ってみて!」と言われたので、皆さんおそるそる道具を手に取ります。
全員ぎこちない感じがいいですね~。 -
まずは氷の上に穴をあける予定の大きさに三角形に線を引きます。
そしてそれぞれの頂点に、ワカサギ釣りに使うようなアイスドリルで穴をあけます。 -
そこから氷屋さんがつかうような大きなノコギリで氷を切っていきます。
-
それと平行して線上をドリリングしたり、巨大バールで氷を突き崩したりします。
さっきリーダーが「比較的柔らかい」と言ってましたけど、この氷、普通に硬いんですけど…。 -
氷が細かくなったら、スケルトンスコップを使ってすくい出します。
-
ほとんど氷をかき出しました。
やったー!
…と思ったらリーダーが一言。
「はい、そこまでは誰でも簡単にできる『表層』です。これからが本番の硬い『深層』の氷ですよー。」
我々:いや、「簡単」って…。普通に硬くて、そこそこの重労働でしたが…。 -
我々、ヘバって一旦休憩するの図です。
ダイバーさんならご存知だと思いますが、「ドライスーツ」って地上の5倍以上の圧力がかかった水も通さない構造になっていますから、それを着てあの重労働をしたら、そりゃヘバりますよ。
サウナスーツなんか目じゃないくらいに汗かきますし。
かと言って脱いで作業していたら、氷が割れて氷点下の水に落下…なんてこともあり得ますので、絶対に脱ぐことはできません。
ただ、暑さにやられて背中の防水密封チャックをあけてもらっちゃっている人がいますが(笑)。 -
休憩後、気を取り直して作業再開です。
ここの深層部分は本当に硬いです!
表層部分は力を入れれば何とかなりましたが、とにかく硬い。
なによりアイスドリルの刃が全く食い込んでくれません。
「歯が立たない」とは正にこのことです。 -
それでも気合いを入れて、ちょっとづつ氷塊を切り出していきます。
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大きな塊も切り出します。
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どんどん切り出していきます。
重労働ですが、みんな頑張っています。 -
全ての氷塊を切り出し、「やったぞー!」と雄叫びをあげるメンバー。
確かにこれだけの厚みがある硬い氷を切り出すのには苦労しましたね。 -
EN/EXの邪魔になるので、最後に丁寧に氷の削りカスをすくっていきます。
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ついにやり切りました!
周囲は氷点下の気温ですが、皆さん汗だくです。
外部からの水の浸入を防ぐために手首に密着した袖口を開くと、ドバドバと汗が流れ出てきます。
真夏に沖縄でドライスーツでダイビングしても、ここまで汗をかいたことがありません!
思わずサウナに入った後の水風呂みたいな感覚で氷水に浸かっちゃってますな(苦笑)。
冷たくて気持ちイイ~。 -
あれだけ苦労して作った三角穴。
そりゃ記念撮影したくなりますよね~。
もう、我が子のようにカワイイくていとおしいですぅ。 -
14時半。
なんだかんだで5時間以上も氷上で作業をしておりました。
遅い昼食です。
鍋焼きうどんが身体に沁みますな~。 -
15時半。
ようやく器材のセッティングです。
通常のダイビングだと、セッティングし終わった器材は寝かせておくのが鉄則ですが、氷上では寝かせておくとバルブやシリンダーが凍り付いてしまい、ひいてはフリーフロー(シリンダー内の空気が出っぱなしになって止まらなくなる事)を引き起こし、各部の動作不良に結びつくので立てたままにしておきます。 -
ここでも索を用いたダイビングになります。
何かあった時の「命綱」であると同時に、陸と水中との大切な通信手段です。 -
まずはリーダーが先頭を切り、水面下の様子を確認します。
リーダーの器材は「サイドマウント」です。
https://www.youtube.com/watch?v=1IMhokibBRo
通常は背中に空気シリンダーを背負うのですが、ものすごく上下方向が狭い水中洞窟等に進入すると、背中が引っかかってしまうので、そんな時にはこのサイドマウント方式が有利です。
さらに狭く、本当に体だけしか通らないような洞窟に直面した場合、「スイング」(動画1:40位~)と言って、シリンダーを前方に振って通り抜ける技もあるので、冒険野郎には最適なんですよ~(但し相当の訓練を積まないといけませんが)。
さすが我等がリーダー、変態ダイバー(←誉め言葉)ですな! -
我々も2班に分かれて潜ります。
皆さんインストラクター&流氷ダイブ経験者なので、手際の良さも装備もバッチリです! -
エントリー!
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そして潜降していきました。
いってらっしゃ~い♪ -
私は2回目に潜る班なので、その間地上にて水中班のサポートに廻ります。
索を使って合図をしたり、異常を感知する役割です。 -
20分後、最初の班がエキジットします。
通常のダイビングだと、その区域の水深にもよるのですが、深いところで30~40分位、浅いところだと50~60分位潜っています。
しかし、アイスダイビングは環境が過酷な事から、潜水時間が20分以内推奨となっています。 -
次は私の班がエントリーします。
水中から改めて見ると、その氷の厚みにビックリします。
上部の白っぽい部分が柔らかめで、下の透明っぽい部分がメッチャ硬かった部分です。 -
皆さん思い思いにアイスダイビングを楽しんでいます。
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さっき切り出した氷塊で遊ぶ人もいます。
まるで真夏の動物園のシロクマのようですな(苦笑)。 -
氷の下に潜り込んでみます。
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太陽光がいい具合に透けて、氷が非常に美しいです。
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地上班から索を引かれ、エキジットの合図を受け取ります。
楽しかった氷の下でのダイビングも もう終わりです。
たった20分の為だけに朝から重労働しましたが、貴重な体験をする事ができました。
一緒にダイビングした皆様、ありがとう&おつかれさまでした!
<終>
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