2018/03/15 - 2018/03/16
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鯨の味噌汁さん
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3月15日、快晴。気温24度。日本の初夏の陽気。むしろ暑い。
ゆっくり起き、午前10時にホテルを出て、朝食を兼ねて町をぶらつき、昆明駅へと向かう。
前日に切符は手に入れたけど、何しろここは中国だ、なにがあるかわからん。
念のため2時間前に到着。空港じゃあるまいし…とも思ったが、これが正解だった。
(1)駅舎入場で身体検査、荷物検査(空港と同じX線を通す)
(2)待合室入場で切符とパスポートチェック(中国人は身分証明書)
(3)改札で切符に鋏を入れ
(4)さらには乗車時に切符の確認
…まさかまさかの四重チェックだった。ホントにヒコーキなみだ。
しかもその全部が行列付きであるから、たかが中距離列車に乗るのにたっぷり1時間かかってしまう。
「なんじゃこりゃーーーー」(松田優作)
ちなみに、駅前広場は「公安」と大書きされた監視塔に、自動小銃に引き金を当てた兵が、「なんかあればすぐに撃つかんなコラ」てな感じでガン睨みしてるし。
つまりは現在進行形の鎮圧の現場なんだろうなぁ。報道されてないだけ。
火種は、お隣のチベット自治区、それから新疆ウィグル自治区。
Googleニュースで「ウィグル族 弾圧」「チベット族 弾圧」検索すると、ギョッとするニュースが読める。(⇒ニューズウィーク日本版が詳しく書いてた)
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
列車は定刻通りに昆明駅を出発。車内は満席だけど、どうやら全席指定らしく混雑はない。皆さまひたすらスマホを見ていて、本なぞ読んでるのはハゲの日本人くらいだ。
だんだんと山が深くなっていくが、秘境感はない。山を越えた盆地にはそれなりの規模の町があり、駅がある。
土の色は見事に真っ赤だ。よって家の壁も赤煉瓦が使われる。日本で言えば中国地方の山の中の風景に似ている。つまりは古代の鉄の産地なのだろう。
ここら辺はメコン川の源流の一つだ。あのオシルコ色の流れには、この赤土も混じっているんだろうな、なんてことをぼんやりと考える。
いくつかの長いトンネルを抜け、午後3時半、建水駅に到着。
快晴、でもって暑い。シャツ一枚になり、バスで市内を目指す。 -
建水では一泊の予定で、バス通りに近い路地に、安宿を予約していた。一泊1200円。
地図と町並み、それにgoogle mapを睨みながら
「ここだーーーーー」
と、確信をもってバスを降りる。
だがしかし。google map で場所を特定しているのに、それらしい建物が見当たらない。周辺は路地が入り組み、裏通りにみっちりと家が詰まっている。
「ここら辺のはずなんだけどなー。今夜のお宿はどこかいなー」
などと呟きつつ、荷物を抱えて歩き回ることたっぷり1時間。
ごく普通の民家の玄関がツタで覆われていて、よもやと思ってよく見ると「××旅舎」の看板が隠れていた。
ふふふふふ、ふざけるな、こんなの見つかるわけないじゃないか!
激怒しつつ中に入ると、誰もおらん。
中は真っ暗で、なんだかヒト以外の何者かが住み着いてるいやーな気配が漂っている。
ニーハオー、と呼んでも暗闇からは何の反応もない。
ひさびさにワシの危機管理アラームがピコピコ作動する。
…ここに泊まったら、あすの朝にはワシ、マンジュウの具になってるのではないか。
よって、とっととスマホを取り出し、その場でキャンセル。ピューと路地を脱出した。
失敗だと思ったら、その宿は捨てた方がいい。安全には替えられん。
かーちゃんに生きて帰ると約束したし。 -
そろそろ夕刻。旧市街に向かって30分ほど歩く。「酒家」の看板を頼りに、表通りのホテルに飛び込んでみた。
すると、フロントを守っていたのは、なんとなんと、かわいらしい10代の娘さん2人組だった。
しかもあでやかな民族衣装。
ここでワシのヒットポイントが一気に回復。
うんうん、ここでいいぞ。ここに決めたもんね。
が、お嬢さんたち、突然現れた日本人のハゲに明らかにおびえているのであった。
怖がらなくていいよー、見た目はアレだけど、ホントはキリンさんみたいに安全なのよワシ。
言葉は全く通じない。それでもスマホを使ってなんとか一室を確保。
一泊2800円。案内されると、新しくはないが綺麗に片付けられた部屋だった。
着替えて夕刻の旧市街をゆっくりと歩き、屋台でビールを飲んでホテルに戻った。
どうなることかと思ったけど、しっとりとした街並みを歩けたからよしとする。
清潔なベッドで眠れることに感謝しなくてはいけない。 -
明けて3月16日。
きょうは、元陽の棚田を見に行く。この旅の最大の目的地だ。
建水の上空には薄いモヤがかかっていた。誰かが雲南を「雲烟の地」と書いていたが、まさにそんなお天気。
建水郊外のバスターミナルで元陽・南沙鎮までの切符を買い、オンボロバスに収まる。
すると「町に買い物に来た」てな感じのおばちゃん、おねーちゃんたちが、馬鹿でかい荷物と一緒にドカドカ乗り込んで来た。
小さなバスの通路はたちまち荷物で埋まる。
でもって、皆さま赤・青・黄色、信号機みたいな衣装をまとっている。おおおー、これがウワサに聞く少数民族の方々ですね。
被り物や服のデザイン、色で何族か見分けられるらしい。ワシにはチンプンカンプンだけどね。
小さな赤ちゃんを背負った若い母親が、通路を挟んだ隣に座った。鮮やかなオレンジ色の模様入りセーター、スカーフもオレンジ。
何しろ子育て中でオッパイがセーターからはみ出しそうなので、ハミ族に違いない。(うそ。ハミ族は紺色の衣装)
が、横顔を見てギョっとする。
38年前、出会った頃の配偶者の顔と同じだった。
どんぐりまなこの二重。濃くて太い眉。厚めの唇。浅黒く健康そうに光る肌。丸い顔の輪郭まで、そのままじゃないか。
『こんなところで再会できるなんて…オレ、なんとか生きてきたよ、元気でやってるよ。ユメなら醒めないでくれ』
…などと、脳内で勝手に物語が進行しかける。
いやいや、かーちゃん生きてるし。元気だし。 -
赤ちゃんは見事な刺繍の産着。女の子だ。おばちゃんたちがバスの中で交互にあやす。
ワシも触りたいなぁ。ダメだったら母親の方でガマンするから。
バスはデコボコ道を峠越えにかかる。山が深い。よく揺れるバスの中で、若いお母さんは赤ちゃんをあやしていた。
それにしてもヒドイ道だ。カーブもきつい。車窓からの景色は素晴らしい。これぞ雲南、といった柄の大きな山並みが続く。
でもって、山の彼方の空遠く、はるかな場所にぽつぽつと村がある。畑もある。
景色に見とれていると、真横で気配。お母さんがオレンジの民族衣装をたくし上げ、オッパイをあげていた。
ここここここ、これはーーーー。(喜)
ココロでガッツポーズをしつつも視線をそらす鯨の味噌汁である。
神さまありがとう、ホントにありがとう。(知らんだろうけど) -
つづら折りの山道をバスはごんごん登って行く。
真下には千尋の谷、向かいはアジアの深南部の山並みがどこまでも続く。
いく山川、こえさりゆけば、さみしさの果てなん国ぞ、今日も旅ゆく。
牧水が若いころに作った歌を思い出す。すげーなぁ。
いちおうガードレールはあるけど、対向車線に大型トラックやらダンプやらがバシバシ現れるので、あまり心臓によろしくない。
ちょっと間違えたら転落だわい、などと心からビビっていると、山側にトラックが脱輪していた。崖側じゃなくてヨカッタね。 -
峠を幾つか越え、バスは山を巻きながらゆっくりと高度を下げていく。
大きなダムを湖を過ぎると、山あいに突然、巨大な町並みが現れる。元陽の盆地側の町・南沙鎮だ。ここまで3時間半、ケツが痛い。
終点のバスターミナルで乗り換え。
探し当てたバスに乗り、ドライバーさんに地図を示し、「多依樹」とゆう棚田のポイントで下ろしてくれ、と頼む。
さらに走ること1時間、バスはようやくにして棚田地帯に差し掛かる。
窓の外にだだだだだっと、見渡す限り、見えるとこ全部、余すことなく棚田、なんて景色が広がる。
すげーなオイ。前後左右タテヨコナナメ、全部棚田ではないか。 -
教えてもらったバス停で降り、100元払って展望台に上ってみる。
田植え前で水が張られ、午後の日に光って綺麗だ。観光客はぱらぱら。海外からのバックパッカーも見かけた。
ガイドブックによると、とりあえず棚田をウオーキングしなさい、とある。
地元の村人も親切です、とある。ハミ族の古い村もあるし、民泊だってOKとある。
なるほど、展望台の下へは階段が続いている。
だがしかし。
下っていくとゆうことは、また登る、とゆうことではないか。下の方なんて霞んで見えないぞ。
この旅では、階段は1センチたりとも上がらない、と決心したワシではなかったか。
バスの車窓からも見たし、すでにして目的は達したのではないか。
・・・そうだそうだそうに決まった。
はいお疲れー。
とゆうわけで、やってきたバスに飛び乗って、天下の絶景と10分でサヨナラする鯨であった。
エスカレーターができたら、また来ても良い。
バスはとっとこ走り、夕方前に元陽の山側の町・新街鎮にたどりついた。
きょうはここで宿を探そう。
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この旅行記へのコメント (4)
-
- ほいみさん 2018/03/28 09:17:51
- 中国は棚田も桁違い
- クジラ節、毎回冴えてますね~!
元陽、行ってみたいところの一つですが、どうも中国は苦手意識があります。
>何しろここは中国だ、なにがあるかわからん
なんですよね~。
一昨年、ビザ無し滞在2週間の最終日に帰国便に乗り遅れる(中国の事情で)というのをやってしまい、5年分の冷や汗をかいてしまいました…実際にはそこら中走り回ったので、普通の汗も大量にかいたけど。
中国は近いので、老後のために残してあったのだけど、このまま国内温泉旅行に突入か。クジラさんの日記を読むと、行ってみたいなぁ。しかもスマホだけという旅のスタイルが羨ましいです。写真が好きだと荷物が増えちゃうんですよね。
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2018/03/28 21:18:33
- でもクセになりそうな中国辺境…
- ほいみさま、
いつもお手紙ありがとうございます。
>写真が好きだと荷物が増えちゃうんですよね。
はい。
板違いになりますが…ここ1週間くらい、ほいみさまのタッシリナジェールの踏破録を読みふけっておりました。
すごい写真のカタマリに気圧されるとゆうか、写真でゴーインにそこに連れてかれて、なおかつ横っ面ひっぱたかれるとゆうか。うまく言えませんが、夜中にひとりでコーフンしてました。
実際にカメラを持っての旅って、気合がなくちゃいけませんよね。
一人一人、旅のスタイルは違って当然ですが、すごいな。と率直に思います。
中国はたしかに近いですが、はじっこまで行こうとすると、それなりに時間かかりますよね。今回の元陽は、初めての個人でもなんとかたどり着けたので、辺境入門編、みたいなとこなんだろうなと。少しづつ、浸潤して行こうかなーと。
-
- ももであさん 2018/03/27 00:18:12
- すごすぎる!!
- 鯨さんが麗江や香格里拉をあきらめたように、ボクは元陽も
考えたのですが、GWにはすでに田んぼの水が抜かれてると
あって、あきらめました、
元陽といえば、世界最大の棚田
元陽へ行った誰もが広い棚田のあちこちをタクシーで移動し
写真を撮りまくっているのに、100元払って10分でサヨナラ
それって、すごすぎまする。
元陽の素晴らしさについて、4traで見た人も1センチくらい
しか分からないことでしょう。
でもでもその感覚、何だかとても共感できます。
さんざんある、そこまでの過程にこそ旅の醍醐味って
あるもんですよね。だから棚田は美しい。ハイおしまい。
- 鯨の味噌汁さん からの返信 2018/03/27 05:59:55
- カメラ持ってくと脳ミソが怠けるの
- ももであさん、
100元は…実は展望台に登らなくても棚田の絶景、見えるんです。
でもねー、棚田の周囲は道も綺麗でトイレも整備されてんですよ。
そこにたどり着くまでの建水ー元陽の、頭蓋骨がズレるような凸凹道や、悶絶ニーハオトイレとは大違いなんです。
それはつまり100元がその原資になってるわけで、こら払わなあかんなと。
>さんざんある、そこまでの過程にこそ旅の醍醐味って
>あるもんですよね
ですよね。移動も観光~。(→居直り)
旅のスタイルは人それぞれですもんね。
恥ずかしながらワシの場合、カメラ持ってくと、脳ミソが怠けて記憶しないとゆう欠陥があり、カメラは基本スマホだけにしてます。
その景色を脳ミソに焼き付けて帰れれば上々と思います。
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