2018/03/03 - 2018/03/05
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tono202さん
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家人から贈られたJR四国のバースデー切符。
これを片手に「乗り鉄」に出かけた私です。
初日は松山からの伊予灘物語に乗り、
二日目は宇和島発の予土線始発便のホビー列車で四万十川を眺めることにしました。
そして、その先は どうなることやら・・
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朝が明けないうちに、やってきたのは宇和島駅のホーム。
線路は行き止まり、ここが予讃線の終着駅。
でも今日はここが私の出発点です。宇和島駅 駅
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まだ、真っ暗ななか、予土線のホームに入ってきたのが「四国の新幹線」
「四国は唯一新幹線が走っていない島国」と言われますが、馬鹿にしないで下さい。かわいらしい一両編成の列車が予土線を走っています。
これに乗るために眠い目をこすりながらやって来ました。 -
定刻6:04分に宇和島駅を出発。
2時間をかけて高知県の窪川まで走って行きます。
乗っているのは「鉄ちゃん」と呼ばれそうな方々が数名。
しばらくは北に向かって走ります。
30分もすると、空が白々と明けてきました。 -
鬼北町の盆地を縫うように、ゆっくりと列車はすすみます。
途中の駅では、こんな列車とすれ違いました。吉野生駅 駅
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「かっぱうようよ号」です。
予土線には面白い列車がうようよいるみたいです。 -
宇和島の背後の盆地を時計回りに回り込み、四万十川の支流松の川沿いに南下すると高知県の江川崎駅に到着。
ここまでが1時間です。
約半分の行程になります。 -
実はこの「新幹線」には、お手洗いが付いていないのです。
利尿剤が入った薬を服用している私は、2時間我慢できるか心配でした。
しかし、ここで一時停車。
お手洗い休憩がありました。江川崎駅 駅
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用を済ませて、横顔をのぞき込みます。
幼い顔立ちです。 -
そして再出発。
江川崎の鉄橋を越えます。
この川の向こうに四万十の本流があります。 -
四万十と合流します。
半毛(はげ)の沈下橋が見えてきました。
カヌーで川下りの際には、ここのキャンプ場にお世話になります。
ここまで下って、上りの列車でスタート地点まで帰ってそれからカヌー回収という方法もとります。しかし、本数が少ないので最近は「ヒッチハイク」が多くなりました。5台の内の一台は停まってくれます。地元のおじちゃん達の軽トラックに乗せられてスタート地点まで遡るというのが恒例になりました。
昨日までの雨雲が少し残り、幽玄な雰囲気もします。中半家沈下橋 名所・史跡
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予土線はいくつもの鉄橋とトンネルで四万十川を串刺しにしています。
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トンネルを抜けると・・・
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また、四万十川に出会えます。
そのたびに少しずつ川の表情が変わっていきます。 -
予土線が開通して間もない頃に、一度乗りに来た記憶があります。
あれから40年以上の年月が流れています。
しっかりと四万十の流れを目に焼きつけておこうという気になってきました。 -
しかし、この列車は四万十川に出会うまでは、のんびりと田園地帯を走っていたのですが、四万十川に出会うと本領発揮というかぐーんとスピードアップ。
ゆっくりと川面を眺めるという走り方はしてくれません。 -
「おいらトロッコ列車とはちがわーい。新幹線だぜ」
と啖呵が聞こえてきそうな走りっぷりです。 -
江川崎から四万十の上流に向けて走ること約一時間で窪川駅が見えてきました。
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ここで中村線に乗り換えて終着地の中村駅を目指すことにします。
ありがとう「四国の新幹線君」と敬礼。窪川駅 駅
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一両だけの新幹線君と別れます。
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JRのプラットフォームの先の中村線0番線に入ってきたのがこの列車。
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窪川と中村を結ぶ列車です。
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「自然を楽しむみはら村」と書かれています。
みはら村がスポンサーのようです。 -
窪川駅を出ると列車は太平洋に向けて急速に、高度を下げていきます。
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そして土佐佐賀で海に出ました」。
ここにも大きな津波避難所が立ち上がっています。 -
春の太平洋を左手に見ながら列車は西へ進んでいきます。
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早朝は四万十川を眺めながら
昼には太平洋を望みながらの列車の旅が続きます。 -
陽光を受けて車窓からの風景を楽しみます。
しかし、太平洋を車窓から望めるのはわずかでした。 -
そして中村駅に到着。
特急 あしずり (高知駅 - 中村駅・宿毛駅) 乗り物
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中村駅に降り立ちましたが、別に行くところは決めていません。
さてどうしようかな。 -
思案しているとこんなポスターが目にとまりました。
土日は500円で宿毛線が乗り放題とあります。
この切符で四国の西南の果ての宿毛まで行ってみようと思い立ちました。 -
宿毛線の列車に乗り込みます。
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宿毛線は全線高架ですが海は見えません。
高架工事だけは早々と終わっていたのがなかなか開業にこぎ着けられず、第3セクター方式でやっと開業したという経緯があります。
日曜日なので市街の大型店に遊びに行く小学生達に出会いました。 -
高架からの景色をぼけーと眺めながら一時間ほどで宿毛駅に到着です。
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「新設路線」なので風情ある昔の終着駅というわけにはいきません。
田園の中に出来た駅の周りは、大型店やパチンコ店が並ぶ区域となっています。
ここまできてどこへ行くか?
ひらめいたのがかつて読んだ高知県の作家大原富枝の小説です。
野中兼山の一族がこの地に幽閉されたのを思い出しました。
行って見ましょう。 -
電動レンタサイクル(500円)を駅の観光協会で借りてやってきたのは、宿毛小学校です。
敷地の隅に碑文が建てられています。
入って見ましょう。 -
江戸時代初期に土佐藩のリーダとして藩政改革や治水灌漑・新田開発に尽力した野中兼山。彼は晩年にその辣腕ぶりから失脚、急死します。残された家族の運命は悲惨でした。
幽閉地としてこの地が選ばれ、8人の幼い子ども達は、竹で囲まれた家の敷地から出ることを許されず、男系が絶えるまでの40年間の生活を強いられます。 -
この地が幽閉先として選ばれたのは、兼山の妻市の系譜によるようです。
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生きてこの地を出て、父兼山の汚名をそそごうとした3女碗(えん)歌が刻まれています。
つらなりし 梅の立枝 枯れゆけば
残る梢の 涙なりけり
幽閉地で次々と先立つ兄や姉、
残された弟・妹や母と自分 未来の見えない境遇
それを描いたのが大原富枝の「碗(えん)という女」です。 -
兼山一族の墓もあるというのでやってきたのが東福院。
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最後の男子が自害すると、残された3人の女達は40年の歳月後に放免されたとあります。
兼山の妻市は、宿毛山内氏につながる者なので、山内氏により墓碑がこの前方に建てられたようです。
そして、長男の墓碑を残った碗(えん)が建てたようです。 -
しかし、残りの子ども達の墓碑は、だれが、いつ建てたのか?
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それは、野中兼山の名声回復運動と絡んでくるものかもしれません。
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野中兼山の業績は、後の時代に見直されて名声が回復されていきます。
そして、現在の高知県の小学校や中学校では郷土の偉人として、多くの学校が取り上げています。
その意味では野中兼山を知らない土佐人はいない? -
この寺の境内を散策しながら、次の私の課題が見えてきたような気がしました。
兼山の名誉回復過程を調べてみます。 -
簡単な地図を見ながら宿毛の「城下町」をサイクリングしていると・・・
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小さな公園に出会いました。
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小野梓記念公園とあります。
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小野梓とは何者?
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明治初期に上京し、洋学の出版社を設立し、大隈重信等と共に早稲田大学設立に尽力した人物のようです。
早稲田では大隈を建学の父、小野梓を建学の母と呼ぶとも書かれています。 -
そして、彼の前には2人の胸像があります。
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右側が小松製作所の創業者で、吉田茂の実兄である竹田明太郎です。
彼も宿毛「藩」の上級藩士の師弟として尊皇の志士として戦い、明治期には自由民権運動のリーダーとして活躍する一方、「工業は国を富ませる基なり」のもとに早稲田大学に理工学部を設置した人物のようです。 -
そしてもう一人がこの人。
この人物は小野梓を頼って上京し、その下で出版事業に従事。
小野死後は、自ら富山房を起こしたようです。 -
土佐や長州を旅して少し歴史を掘ると、明治の地下水脈にぶつかります。
戊辰戦争を戦い勝利した側と敗れた側、そしてそれを傍観した側。
戦い後の論功行賞は勝者によって決められ配分されていく。
そして、ポストを得た人物を頼って、上京する。それを保護するのも「大夫」の役割。そうして、幾重もの人脈ルートが形成されていく。「宿毛藩」が産んだ明治の偉人達を見て、そんなことを考えていました。 -
このお寺には、小野梓の碑文があるようです。
覗いてみましょう。 -
本堂に御参りして・・
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梅の木の下に大きな碑文がありました。
朝早く宇和島を出発して、陽光の中、梅の花の下 梓の碑文を眺めている私です。 -
ビールを買い込んで列車に乗り込みます。
今日は高知のホテルで一泊予定です。
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この旅行記へのコメント (1)
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- Traveljyubeiさん 2018/04/24 23:52:34
- のんびりと旅情を楽しむ
- 僕も、田舎の鉄道旅行を楽しもうと思います。先日田舎の三江線が廃止になりました。いつかは、天空の駅「宇津井駅」から三好や江津に出かけようと思っていたのに、先日廃止になりました。田舎にいる時には、宇津井駅の下には、何度も来ていましたが、駅から他の駅へ鉄道で出かけたことがなく、乗らない間に廃止になりました。今のうちにのんびりとした旅情を楽しみたいと思います。
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