酷寒シカゴ必死の満喫日記　その①移動日よれよれハミルトン感動篇

2018/01/31 - 2018/02/06

年度内の有給休暇消化先を思案していたところ、学生時代に大好きだった世紀のバレエ・ダンサー、ミハイル・バリシニコフ（70歳）がシカゴで舞台に立つことを知り、たまっていたマイルでシカゴ行き航空券が簡単に取れたので、めっちゃ寒いらしいとか色々入ってくるネガティブ情報を乗り越えて、いざシカゴへ。20年ほど前に一度行ったことがあったもののほとんど記憶がなく、ほぼ初めてみたいなシカゴは、やっぱり寒かった…けれども、がんばって歩き回り、芝居を見て名建築を見て美術館を堪能してブルースを聞いて食べて飲んで凍えて…バリシニコフ様にも会えました！
酷寒の冬のシカゴを、老体に鞭打って満喫した日記、その①はマイルの特典航空券で移動～宮殿みたいなホテル（ただし見かけ倒し）～久々のシカゴで土地勘を取り戻せず～ミュージカル「ハミルトン」を見て感激…の初日の記録です。

エリア シカゴ(アメリカ)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 1.5
• グルメ: 3.0
• ショッピング: 3.0
• 交通: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 15万円 - 20万円
• 交通手段: 鉄道 タクシー 徒歩
• 航空会社: ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

1月末日、朝6時の関空は、利用者が少なかった往時の姿を思い出させる閑散空港（スミマセン…オヤヂギャグ）。売店も開いてないし、コーヒーも飲めなくて、すさんだ気持ちで旅の始まり。

関西国際空港 空港

乗り継ぎの羽田では、ビジネスクラスの特典でラウンジで軽く朝食を。

羽田空港 第3旅客ターミナル 空港

機内で美味しく食事できるように、ラウンジでは食べすぎません。カップに入っているのはオニオンスープ。

ニューヨークなど人気の地への特典航空券が全然取れないのでどんどん貯まっていたANAのマイルを一挙放出して、ビジネスで余裕の旅…と思っていたのですが、若干詰めが甘く、この写真でわかるでしょうか、基本はコックピットぽい独立性の高いシートではありますが、シートの横に物入がある作りの座席で、窓側にシートで通路側に物入の席と、窓側に物入で通路側にシートの席が前後で交互に配置されていて、私は通路側にシートの席だったので、エコノミーの通路側の席みたいに通路を歩く人にがんがんぶつかられたり、前の席の夫婦らしきカップルが初めてのビジネスクラスらしく通路を隔てて立ち上がって行き来しては大騒ぎするので、通路側にシートのある私は立ち上がった彼らから丸見えで落ち着かず、残念なフライトになりました。ANAのこの機種のビジネスのときは、窓側にシートのある席を選ばねば…と学習しました。

席はこんな感じで、ゆったりしてはいるのです。ただ、前述のように通路から丸見えな席だったので（前の席の人がしょっちゅうこっち向いて立ち上がっているので）全然くつろげず、以前に乗ったルフトハンザやキャセイのビジネスの方がプライバシー性が高い作りだったなー…と、うらめしく思ったり。

食前酒と、エコノミークラスならピーナッツかおかきが出てくるところ、こじゃれたアミューズが登場。美味しかったです。

食事は和食を選びましたが、苦手な酢の物やお酢っぽい味付けのものが多く、ちょっと残念でした。

メインの魚と鶏。

デザートはピエール・エルメ監修らしい…

朝食。…の前に（寝る前に）映画を何本か観ました。①「ねじれた家」アガサ・クリスティー原作、グレン・クロース、ジリアン・アンダーソン、アマンダ・アビントン、テレンス・スタンプ、クリスティナ・ヘンドリックス、そして「眺めのいい部屋」の清新な美しさのかけらも残っていない老いたジュリアン・サンズ。②「オリエント急行殺人事件」（日本で観ていなかったので）。ケネス・ブラナはごく若い頃から大好きだったけど、これはがっかり。ポワロはもうデヴィッド・スーシェが真打で、いかなケネス・ブラナでもこれを超えることはできなかったなあという印象。お金はやたらかかっていた映画だけど。オリヴィア・コールマンとか勿体ない小さな役だったし。

羽田から10時間と少しのフライトで、朝7時前、シカゴ・オヘア空港に到着しました。着陸時はまだ暗かったですが、入国審査とかしているうちに明るくなっていました。シャトルバスでダウンタウンに出ようと思っていたのですが…

シカゴ オヘア国際空港 (ORD) 空港

空港から外に一歩出た途端、寒くて、目の前にいたタクシーに飛び乗ってしまいました。ところが平日だったからか、大ラッシュで途中から全然進まず（空港からダウンタウン方面も、逆方面もどっちも進んでいなかった）、すぐ横をCTAトレインが何本もびゅんびゅんと私のタクシーを抜かしていきました。CTAトレインのブルーラインは空港とダウンタウンを結んでいるので、ラッシュ時は、そちらの方が時間は確実かもしれません。

1時間ほどタクシーに乗って（チップ込みで60ドル）、宿泊するパーマーハウス・ヒルトンに到着。それでもまだ朝8時半でした。

パーマー ハウス ア ヒルトン ホテル ホテル

2階がフロントなので、エスカレーターで上っていくと、いきなりこの壮麗な天井が見えてきて、驚きます。ホテルというより宮殿みたい。

パーマー ハウス ア ヒルトン ホテル ホテル

ここはバーみたいなスペースで、画面右手の奥の方にフロントがあります。朝8時半だったので、ゴネてみたけどさすがにチェックインできず、チェックイン時刻は15時だけど昼頃にはチェックインできるから12時に戻って来なさい、と言われました。うーん…しんどいぞ。

乗り継ぎありの10時間以上フライトを経た老体が悲鳴を上げていたので、とりあえずホテルのスパに駆け込みました。9時にオープンなので、少し待ちましたが、予約なしで受け付けてもらえて、ほっと一息。

アロマの香りただよう、ゆったりしたスパで、1時間のスウィーディッシュ・マッサージを受けました。終わってからも お茶飲みながら のんびりさせてもらいました。さて、あと1時間半ほど時間をつぶさねば。

ホテルの外に出ると、寒い寒いとは聞いていましたが、やはりめちゃめちゃ寒くて、開き直って「寒そうな写真」を撮ろうと、ホテルのすぐ近くにあるミレニアム・パークを歩いてみました。これは顔のドアップの映像がだらだら流れている不気味なオブジェ。「ブレードランナー」を思い出しました。

ミレニアムパーク 広場・公園

少し歩いただけで寒くてめげてきて、ビル群の方へと戻ります。暑さ・寒さ・アウトドアが苦手なもやしっ子なので…

ほんとにめちゃめちゃ寒いのですが（滞在中毎日、最高気温が氷点下3度とかだった）、晴れた日は写真では寒さが伝わらず、残念です。帽子なしで歩いていると、寒さで頭皮が痛いくらいの酷寒です。

ここの公園ではこんな植物が楽しめますよ、という一覧表がありましたが、寒すぎて、そんな余裕もなく。

この日の夜、観に行く予定のミュージカル「ハミルトン」の劇場が、ホテルから徒歩すぐのところにありました。水曜日なので、マチネのお客さんの姿が見えます。

プライベートバンクシアター 劇場・ホール・ショー

少し歩くと、大好きな建築家ミース・ファンデルローエのデザインした連邦センタービルがありました。足元の赤いオブジェは「カルダーのフラミンゴ」というシカゴのランドマークのひとつです。…が、いつもなら隠れ建築オタクの胸が高まるところ、移動の疲れと寒さで何も感じません。うう。

連邦政府センター 現代・近代建築

古そうなカフェ＆バー。ヨーロッパや日本の1000年とか2000年前の古いものも好きですが、100年くらい古いものをやたらhistoricと言ってありがたがるアメリカの「ちょっと古いもの」も、実はめっちゃ好きで、心躍ります。

バーグホフ その他の料理

滞在中に、一度行ってみよう…と、この時は思いましたが、その後ここを通ることもなく。

20年ほど前にシカゴに遊びに来たとき、軽くご飯食べたりお茶飲んだりで重宝した「コーナー・ベーカリー」が、ホテルの真横にあるのを発見しました。懐かしい～！！

まだ正午まで1時間近くありましたが、寒いし疲れたし眠いしで力尽きて、ホテル1階のスタバでホワイトモカ飲みながら耐えることにしました。寝てしまいそうです。

12時10分前くらいにフロントに行くと、もう皆さん がんがんチェックインしていました。部屋は21階といわれ、一瞬、眺めのいい部屋かと喜んだものの、窓からは同じホテルの部屋の壁しか見えず、そして、高層階の部屋は、後に判明する「エレベーターの悲劇」が待ち受けていたのでした…で、部屋自体は狭くもないけどごく普通。ま、1泊1万円台だったから、広さ的には十分か…。

パーマー ハウス ア ヒルトン ホテル ホテル

驚いたのは、コーヒーメイカーや無料のティーバッグが置いてなくて、触ると課金されるミニバー（今どき…）とアイスボックスしか置いてないこと。酷寒都市なのに、部屋で温かいものが飲めません。テレビはLG製で、すごい確率で砂の嵐のような画面になるので、見るのをあきらめました。（アメリカでドラマを見るのを少し楽しみにしていたのですが）

洗面所。壁紙とか美しいのですが、狭くてバスタブと一体の写真が撮れません。

お風呂。バスタブがあり（チェックイン時、「バスタブのある部屋をお願い」というと、「全部の部屋にバスタブがあるわよ」と言われましたが、本当かな？）、アメリカの古いホテルらしく、シャワーは固定式でバスタブのお湯をためる栓は手を突っ込んで開け閉めします。まあ、若い頃アメリカばっかり旅行していてこういう不便に慣れてる私は、そこはそんなに苦になりません。

昔のお金持ちが、妻への結婚プレゼントに造った（！）という歴史的なホテルで、2階の天井画だけでなく、正面玄関の孔雀の扉や…

館内の調度品や鏡などのアールデコ様式がとても素晴らしく…

エレベーター横の鏡なんかも、こんなに素敵で…

廊下には、かつてここで公演した綺羅星のごときオールド・スターの写真がずらりと貼られていて壮観でした。ジュディ・ガーランド、ジェリー・ルイス、アンディ・ウィリアムス…

これはジュディ・ガーランドが、1938年から39年（昭和13年から14年）に、映画「オズの魔法使い」のツアーの途上で、ここのホテルに来たときの写真。…という具合に、なかなかに見どころの多いホテルでしたが、滞在初日から薄々と、日を追うごとにじわじわと、問題点が次々にあらわになったホテルでもありました…

たとえばエレベーター問題。部屋が21階でしたが、18階以上に上がるエレベーターが3機しかなく（写真奥・正面の３機が18階以上行き）、広大なホテルなので３機ではとても足りず、で、古いホテルなのでエレベーターが今どこにいるかの表示も、満員だからスルーするという表示もないので、ボタンを押してからエレベーターに乗れるまで、運がよければ10分以内、5分以内に乗れたら奇跡、最大で20分以上待つ間、どのエレベーターがどこにいるのか、いまどうなっているのかが全くわからず、高層階の宿泊客は一様にいら立っていました。もう、下に降りてから忘れ物に気づいても戻れないし、部屋に戻ってからコーヒー飲みたいなと思っても（部屋にコーヒーがないし！）1階のスタバに降りるのが億劫になり、とても不便な思いをしました。高層階の宿泊客の間でもエレベーター問題はギャグになっていて、やっと来たエレベーターが満員だから乗るのをためらう人に、他の人が「今乗らないと一生来ないよ！」と声をかけたりしていました。

さて、やっとチェックインできた部屋で数時間昼寝をしてから、通常は移動日の夜に予定など絶対に入れないのですが（老体だから）、観たかったミュージカル「ハミルトン」が、この日だけチケットが2万円ほど安かった（翌日以降は2万円ほど高い）ため、老体に鞭打って「移動日ミュージカル鑑賞」へと出かけます。これは途上で見たスポーツ用品店。20年前にシカゴに来たときは正に全盛期だったので、マイケル・ジョーダンの街、という感じで街中にこのマークがあふれていましたが、さすがに今ではそんなに見かけませんでした。

劇場のウィル・コールでチケット受け取って、開場まで30分ほどあったので、前回（20年前）来たときに好きだったマーシャル・フィールズという百貨店）へ。今はメイシーズになっていて、マーシャル・フィールズっぽさが（当たり前だけど）消えていて、ただの普通のメイシーズになっていました。残念。

メイシーズ 百貨店・デパート

外に出ると、少し先にシカゴのランドマーク、シカゴ劇場のネオンが見えました。

シカゴ シアター 劇場・ホール・ショー

さて、ブロードウェイ・ミュージカル「ハミルトン」のシカゴ・ツアー。18：45開場（開演は19：30）です。前年にニューヨークに行ったとき、チケットが取れなくて観られなかったのですが、シカゴではチケットが取れたので（キャストは違うけど）観ることにした…のは良いとして、移動日の夜にお芝居を観るなど、今までは（しんどいから）したことがなかったのですが、自分の好きな「かぶりつき」の席が、この日だと2万円くらいで取れるのに、翌日からは4万円以上するので、泣く泣く老体に鞭打って、移動日の夜観劇、ということになりました。

入ってすぐのところに売店があり、さすが大ヒットミュージカルだけあって、すごいたくさんの種類のグッズが売っていました。

ウェイティング・バーの天井が素敵でした。

セットは最後までこれ一つでした。照明がすごいことになっていました。

舞台天井の照明機器。

2階席や3階席を見上げたところ。

桟敷席。

さすが、今ブロードウェイで最もチケットが取りにくい作品のひとつだけあって、ものすご～～～～く良かったです。アメリカ建国当時の実在の人物アレクサンダー・ハミルトンが主人公で、独立戦争で武勲を上げて、初代大統領ワシントンの右腕となり合衆国憲法を書いたりしてアメリカ合衆国の基本を作った立役者なのに、出来すぎる男の常として、出来ない男たちに足を引っ張られ、40代の若さで死んじゃうまでの、前半痛快な、後半悔しい人生を、ほぼ全編ラップのセリフで明るくテンポよく見せる制作者の手腕、キャストの演技と歌のすばらしさ、ちょっと従来のブロードウェイで見たことないような作品で、時差ボケぶっとびました。

このシンプルなポスタービジュアル。そして短いキャッチコピー「An American Musical」に込められた意味…アメリカのミュージカルに決まってるやん、てなもんですが、（現大統領の）時節柄、今のアメリカの国家の根幹を作った男がカリブからの移民だったという実話を、アメリカという国はダイバーシティが支えてきたんだというアイロニーを込めてのキャッチかな、と、勝手に深読みしました。いや～、面白かった。やっぱアメリカのショービズの底力はすごいなあ。

プライベートバンクシアター 劇場・ホール・ショー

ホテルに戻って寝ます。これは、ホテルの廊下にあった郵便ポストで、学生時代に泊まった古いホテルにもこれがあって、何階からでも絵葉書とかをここに入れて、すとーんとフロント階に落ちていく形式なのですが、古いホテルなので、今でもこんなのあるんだーと、ちょっと懐かしかったです。さて、酷寒のシカゴ旅、翌日は土地勘を取り戻すために街をうろうろ（寒さに負けず）歩く予定です。