2017/12/01 - 2017/12/01
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minaMicazeさん
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国立科学博物館の「古代アンデス文明展」へ行きました。今まで断片的に見聞きしていたアンデス文明について、全体像を理解し、情報を時系列的に整理するきっかけになったような気がします。
従来、個別の文明ごとに紹介、展示されていた古代アンデス文明ですが、
今回は、中央アンデス地域に人類が到達した時代から、スペイン人に征服されるまでの、約1万5千年の間に生まれたアンデス文明の全体像が、最新の知見や資料を含めて紹介されています。
この特別展は、来年(2018)の2月18日まで開催されています。
尚、旅行記作成に際しては、会場の説明パネルを参考にしました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
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JR上野駅へやって来ました。公園口から上野公園へ向かいます。上野公園のイチョウは、落葉が進んでいます。
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西洋美術館の敷地の中を、少しだけ見物します。
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落葉する黄葉の下で、考えています。
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修学旅行と思われるグループも見受けられます。
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公園内のイチョウには黄葉が残っていますが、もう秋は終わりですね。
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科学博物館の前には「古代アンデス文明展」の立て看板が置かれています。
特別展の入口は、こちらです。 -
デゴイチの横を通って奥へ進みます。
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特別展の券売所です。チケットがある人は、右側を進みます。
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チケットを買って、さらに奥へ進むのですが、路地の奥には華やかさがありません。ここで良いのか、と不安になりますが、左の隅の青いカラーコーンに案内が掲示されています。案内に従って、この先を右に曲がります。
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右に曲がると、特別展の入口があります。
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入口の自動ドアを入り、チケットを見せて、エスカレーターで地下へ降ります。
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エスカレーターで下まで降りると「古代アンデス文明展」の入り口です。
南米大陸の、ペルー、ボリビアを中心とした中央アンデス地域に栄えた数々の文化を、古代アンデス文明と呼んでいます。
この地域に人類が到達した時代から、インカ帝国がスペイン人に征服されるまでの約1万5千年の間に生まれた数多くの文明の中から、古代アンデス文明を代表する9つの文化を取り上げています。
これらの文明が、6つの部屋+シアタールーム+別室 に分けて展示されています。 -
初めの部屋は、先土器時代後期(BC3000~BC1500年頃)、テーマは「神殿と宗教の始まり」です。
この時期は、カラル遺跡などの大規模な神殿が、ペルー北部海岸に沿って多数現れました。 -
そして、この時代の後期には、定住・農耕という生活様式が確立し、アンデスのほとんどの地域に土器が広まりました。
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2番目の部屋は、チャビン文化(BC1300~BC500年頃)、テーマは「複雑な社会の始まり」です。
ペルー北部高地の南のチャビンの宗教が、巡礼者たちによって、北部海岸および北部高地から南・中部高知南部、南部海岸まで広がりました。
写真は「自身の首を切る人物の象形鐙型土器」です。(クビスニケ文化 形成期中期)
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イチオシ
「テノンヘッド」です。神殿の外壁の石積みの隙間にはめ込まれたものです。
神殿に儀礼に参加した人が幻覚剤を摂取し、次第にネコ科動物に変容する感覚を体験する様子を表している、とされています。(チャビン文化 形成期後記) -
「サル人間の図像が彫られた石板」です。胴と手脚が人間で、顔と足と尾がサル(のように見える)、ベルトはヘビです。右手には杖、左手には巻貝(のトランペット)を持っています。(チャビン文化 形成期後記)
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「クントゥル・ワシ期の黄金製品(レプリカ)」です。
クントゥル・ワシ遺跡は、ペルー北部高地にあり、多数の黄金製装身具が見つかっています。精密な細工を施した品としては、南北アメリカ大陸最古のものです。 -
「刺青またはフェイスペイントをした小像」、土偶です。(クビスニケ文化 形成期中期)
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左手前は「座った男性をかたどった2色鐙型注口土器(サリナール文化)」
右奥は「ガイナソの双胴壺(ガイナソ文化)」です。 -
3番目の部屋は、モチェ文化、ナスカ文化関連の展示です。テーマは「地方文化の始まり」です。
写真の中央は「成人男性のリアルな顔が付いた大型壺(モチェ文化)」です。頭部はリアルですが、胴は壺の表面に描かれているだけです。 -
「金地に象嵌された人面形の装飾品(モチェ文化)」です。
他の飾りとともに、胸飾りを構成していたと思われます。 -
「同じ人物の人生の3つの時期の顔を表現した肖像土器(モチェ文化)」です。
左奥は比較的若い時期の顔、中央はもう少し歳月が経った顔、右手前は男盛りの顔です。 -
後は「ネコ科動物の毛皮を模した儀式用ケープ(後期モチェ文化)」です。下地の布に、長方形の金の薄板と円形の飾りを取り付けている。
手前は「ネコ科動物の足をかたどり、メッキを施した爪を付けた土製品(モチェ文化)」です。足裏に肉球を模した起伏を設け、メッキを施した金属で爪を付けるなど、かなり写実的に作られた土製品です。 -
手前は「船上の海の神をかたどった土器(モチェ文化)」です。海の神が、生贄の人間を連れて、漁船に乗っています。この人間は、沖合の島で生贄になると考えられています。
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イチオシ
左は「擬人化したネコ科動物(レプリカ、モチェ文化・古シパン王墓)」です。
金メッキ銅の神像で、貝とトルコ石が象嵌されています。頭に見られる双頭のヘビの図像は、後のシカン時代まで使われます。
右下は「戦士の像付き黄金の耳飾り(レプリカ、モチェ文化・シパン王墓)」です。シパン王の埋葬品の中で最も貴重なものです。新大陸の金工芸の最高傑作の一つと言われています。 -
イチオシ
「髪の毛と スポンディルス貝殻 製ネックレス(ナスカ文化)」です。
スポンディルス貝は宗教祭祀で重要だったため、黄金よりも価値がありました。 -
左は「植物を身につけた人間型神話的存在が描かれたヒョウタン容器(ナスカ文化)」です。
右は「クモが描かれた土器」です。足が16本あるクモが、5匹描かれています。 -
イチオシ
「帽子と胸飾りを身につけた人物の木像(ナスカ文化)」です。
鼻が高い。4つの突起が付いた帽子をかぶっている、と思われる。半円形の胸飾りをしている。その下で両手を合わせている。という、人間の形をした木彫です。 -
4番目の部屋は、ティワナク文化(AC500~1100頃)、ワリ文化(AC650~1000頃)、シカン文化(AC800~1375頃)関連の展示です。
写真は「カラササヤで出土した金の儀式用装身具(ティワナク文化)」です。
円盤状の装身具には、ラクダ科動物や幾何学模様が描かれています。 -
上の写真の奥は、人の頭部をかたどった金の冠です。放射状のパーツの先端は、羽根と、ネコ科動物の頭部になっています。中央にはクジャク石がはめ込まれています。
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左は「パリティ島で出土した肖像土器(ティワナク文化)」です。極めて写実的です。円筒形の帽子、耳飾り、下唇の装身具、ネックレスなどから、アマゾン低地の住民である可能性が高いそうです。パリティ島は、ティティカカ湖の小島です。
右は「放射状に光線を放つティワナク主神の顔が付いた土製のケロ(ティワナク文化)」です。ケロとは儀式用飲料容器です。 -
「黒色玄武岩製のチャチャプマ彫像(レプリカ、ティワナク文化)」です。チャチャプマは、神話的な、人間型ネコ科動物です。
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「かみ合う犬歯が生えたドクロ を模った、銀の葬送用冠(ティワナク文化)」です。
全体は、羽根の付いた頭飾りをかぶった頭がい骨です。目の両脇に、横向きの頭がい骨が見えます。 -
「2人の男性の顔が彫られた ティワナク様式の石のブロック(ティワナク文化)」です。建築装飾の一部分と考えられています。
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「四つの突起のある帽子(ティワナク文化)」です。
表面にビロードのような豪華な質感を出した四角い帽子です。独特の形状と幾何学的な構造は、南部高地文化特有のものです。地位の高い人が身につけていたと思われています。 -
左は「リャマをかたどった土製香炉(ティワナク文化)」です。
中央は「ネコ型動物をかたどった多彩色土製香炉(ティワナク文化)」です。
奥も「ネコ型動物をかたどった多彩色土製香炉(ティワナク文化)」です。 -
「多彩色装飾のある双胴壺(ワリ文化)」です。
ワリ帝国は、南部高地のティワナクとほぼ同時代に、隣接する中部高地の南部で反映しました。ワリは、武力で他民族を統治した「アンデスで初めての”帝国”」と言われています。 -
どちらも「多彩色の水筒型壺(ワリ文化)」です。
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シカン文化の黄金製品です。
シカンの人々は、ペルー北部海岸のランバイェケ地域を中心に暮らしていました。最盛期は中期シカン期(AC900~1100頃)で、独自の文化を完成しました。 -
「金の胸飾り(シカン文化)」です。打ち出し細工で作った65個のパーツを、針金で繋いでいます。針金には、小さな穴あき玉が通されています。材料は高純度の金の薄板です。
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「打ち出し技法でシカン神を描写した 金の飲料容器(中期シカン文化)」です。
1枚の金合金の板をたたいて作り出したアキリャ(飲料容器)です。目尻が吊り上った目はシカン神の特徴です。 -
どちらも「貝殻と鉱物ビーズで作られたU字形の胸飾り(中期シカン文化)」です。
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「ロロ神殿”西の墓”の中心被葬者の仮面(中期シカン文化)」です。
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イチオシ
シカンの墓で発見された供物の「土製小像」です。(中期シカン文化)
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「装飾付きの壺(中期シカン文化)」です。中期シカンの土器は黒色光沢仕上げが有名ですが、これはベージュの泥漿がかけられています。
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「生まれたての仔犬をくわえた親犬 をかたどった単注口土器(中期シカン文化)」です。珍しい題材です。シカンの人々が、繁殖や生命の再生に大きな関心を持っていたと思われます。
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イチオシ
「2種類の超自然的存在の4つの顔 が付いた壺(中期シカン文化)」です。
よく似た2種類の「牙を持つ超自然的存在」の顔が4つ、彫刻のように形づくられ、彩色されています。 -
左は「2色の装飾と魚の付いた円筒瓶(チャンカイ文化)」です。
右は「コップを持った男性の坐像をかたどった 2色(白黒)の手捏ね土器(チャンカイ文化)」です。
チャンカイは、ペルー海岸部のワウラ川とチャンカイ川に沿って広がる肥沃な谷を中心地として、独自の文化を築きました。チャンカイ文化は、葬送用の白黒二色の土器と、優れた技術の織物で有名です。 -
5番目の部屋は、チムー王国(AC1100~1470年頃)、インカ帝国(15世紀前半~1572年)に関連した展示です。テーマは「最後の帝国」です。
ワリとティワナクがAC1000年前後に崩壊した後、北部海岸ではチムー王国が拡大し、14世紀末にはシカンを征服しました。
ペルー南部高地のクスコ地域の小勢力だったインカは、1470年頃にチムーを破って最大規模に拡大しました。
写真は、チャンチャン遺跡の応急複合建造物の入口付近の壁に埋め込まれていた「木製柱状人物像(チムー文化)」です。 -
「人間をかたどった祭祀用の盃(チムー文化)」です。
台座に乗る人物を木彫りで作り、貝殻と鉱物の象嵌で装飾をほどこしています。 -
「儀礼用ガラガラ付き銀合金製品(チムー文化)」です。
細かく丁寧な細工で飾られたこの製品は、3つの部品を鑞付けして作られています。
用途はよく分かっていませんが、振ると音がするそうです。 -
「インカの象徴的なアリバロ壺(インカ文化)」です。
アリバロは、饗宴、儀礼、社会的集会に不可欠なチチャ(トウモロコシ酒)を貯蔵し、運搬し、注いで供するための陽気です。インカ特有の土器です。 -
「インカ帝国のチャチャポヤス地方で使われたキープ(インカ文化)」です。
キープは、アンデスの情報記録・伝達の手段です。アンデスでは文字を持たなかったので、紐に結び目を作ったものを使っていました。ワリの時代にはすでに存在していました。 -
「金合金製の小型人物像(男性と女性)(インカ文化)」です。
生贄の儀式で、子供たちとともに神々に捧げられた小像です。
スペイン人がインカの金を徹底的に狩り集めて溶かしてしまったため、残っているインカの金製品は比較的小さい物が主体で数も多くはありません。 -
「淡水エビをかたどった金銀製鐙型注口容器(チムー/インカ期)」です。
淡水エビは、金合金の薄板を叩いて表現しています。下部の箱状部分と上部の鐙型注口部は銀合金の薄板で作られています。 -
インカ帝国は、領土の拡張に伴って急速に発展しましたが、政治的には安定することはなく、スペイン人がやってきたときには帝国内部に大きなひずみが生じていました。その結果、スペインの僅かな兵士によって、あっけなく征服されてしまいました。
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「身体から見たアンデス文明」をテーマにして展示されている6番目の部屋は、撮影禁止でした。
そして、すべての会場においてモニターも撮影禁止なので、シアタールームも撮影できません。 -
普段は現地のそれぞれの博物館に所蔵されている、貴重なアンデスの遺物を、十分に堪能することができました。
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まだ黄葉が残っている上野公園では、あいにくの曇り空が残念ではありましたが、それを補って余りある充実感を得られました。
( おしまい )
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (2)
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- PHOPHOCHANGさん 2017/12/18 01:23:38
- 行った気になれました
- 楽しませていただきました。
自分も招待券が手に入ったら行こうと思ってました(いつもこのスタンス)。でも多分無理そうです★
平日だと空いてて良いですね。
銀杏も落葉が有って、上も下も綺麗でした。
- minaMicazeさん からの返信 2017/12/18 09:21:16
- Re: 行った気になれました
- 旅行記を見て戴きありがとうございます。
まだ開催されていますので、チャンスがあれば是非おでかけください。
現物を見る感動は、特別だと思います。
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