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久米川古戦場跡(くめがわこせんじょうあと、東京都東村山市諏訪町二丁目付近)は元弘3年(1333)鎌倉幕府に反旗を翻しその本拠である鎌倉をめざす上野国・新田義貞(にった・よしさだ、1300頃~1338)らが途中の小手指ヶ原で北条一門の桜田貞国(さくらだ・さだくに、1287?~1333)を総大将とする幕府討伐軍と激戦を交えるも双方決着つかず翌日の戦いとなった地です。<br /><br />前夜に八国山に陣を置いた新田軍は翌日早朝から麓の久米川で陣営を立て直していた幕府軍を急襲、戦いは最初から新田軍優勢に展開、戦意を喪失した幕府軍は次第に押され、ついに武蔵府中に近い分倍河原にまで後退する事態に陥ります。<br /><br />このように久米川の戦いに勝利を収めた新田軍は八国山に塚を築き源氏の象徴というべき白旗を建てこれが現在の「将軍塚」と称される所以です。<br /><br />小手指ヶ原及び久米川の戦いにて敗戦を知った鎌倉幕府は得宗家当主北条高時(ほうじょう・たかとき、1304~1333)の弟北条泰家(ほうじょう・やすいえ、生誕不詳~1335?)を大将とする約10万騎の軍勢を送り分倍河原に退去していた桜田貞国らと合流、軍勢を整え南下する新田勢を多摩川北岸にて迎え撃つことになります。<br /><br />周辺はすっかり住宅化されて戦場跡の痕跡も窺えない公園の一角にたたずむ石柱の脇に建てられた説明板には下記の通り記載されています。<br /><br /><br />「東京都指定旧跡<br />  久米川古戦場<br />    所在地 東村山市諏訪町二丁目付近<br />    指 定 大正八年十月<br /><br />北川と前川の合流するこの地域の低地と狭山丘陵東端の八国山(はちこくやま)の麓一帯を鎌倉時代には久米川宿(くめかわしゅく)といっていた。文永8年(1271)の日蓮の書状に「武蔵国久目河に付き・・・・」とあって、上野国(群馬県)と鎌倉を結ぶ政治的にも経済的にも重要な交通路であった鎌倉街道上の道の主要な宿駅であった。<br /><br />「『太平記』によれば、元弘3年(1333)5月8日、群馬県新田町の生品神社(いくしなじんじゃ)(新田貞義挙兵伝説地)から鎌倉幕府討幕のため挙兵した新田義貞の軍勢は、11日初戦の小手指河原合戦(所沢市)で鎌倉軍を破り、翌12日に南下した、新田義貞と鎌倉幕府軍との第二戦が行われたこの周辺一帯であるといわれている、『江戸名所図会巻四』によると、久米川合戦に勝った新田義貞が塚を築き旗をたてたといわれる将軍塚(所沢市)が八国山にある。標高約190メ-トルの八国山は、駿河(富士)、伊豆(天城山)、相模(箱根・大山)、甲斐(多波山)、信濃(浅間)、上野(吾妻)、下野(日光)、常陸(筑波)の八か国の山が眺められるのでこの名がついたといわれている。<br /><br />久米川宿を中心とする久米川一帯は、その後も建武2年(1335)の<br />中先代の乱や応永23年(1416)と同24年(1417)の上杉禅の乱などたびたび合戦の戦場となったが、近年は宅地化が進み当時の景観は偲ぶべきもない。<br /><br />国の重要文化財『元弘の板碑』は八国山山麓にあったものを文化年間<br />1804~18)に、臨済宗福寿山徳蔵寺(東村山市諏訪町1-26)に移したものである。<br />           平成10年3月建設<br />                    東京都教育委員会」<br />

武蔵東村山 新田義貞軍が鎌倉幕府討伐軍に大打撃を与え府中分倍河原に撤退させた『久米川古戦場跡』散歩

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2012/04/30 - 2012/04/30

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滝山氏照

滝山氏照さん

久米川古戦場跡(くめがわこせんじょうあと、東京都東村山市諏訪町二丁目付近)は元弘3年(1333)鎌倉幕府に反旗を翻しその本拠である鎌倉をめざす上野国・新田義貞(にった・よしさだ、1300頃~1338)らが途中の小手指ヶ原で北条一門の桜田貞国(さくらだ・さだくに、1287?~1333)を総大将とする幕府討伐軍と激戦を交えるも双方決着つかず翌日の戦いとなった地です。

前夜に八国山に陣を置いた新田軍は翌日早朝から麓の久米川で陣営を立て直していた幕府軍を急襲、戦いは最初から新田軍優勢に展開、戦意を喪失した幕府軍は次第に押され、ついに武蔵府中に近い分倍河原にまで後退する事態に陥ります。

このように久米川の戦いに勝利を収めた新田軍は八国山に塚を築き源氏の象徴というべき白旗を建てこれが現在の「将軍塚」と称される所以です。

小手指ヶ原及び久米川の戦いにて敗戦を知った鎌倉幕府は得宗家当主北条高時(ほうじょう・たかとき、1304~1333)の弟北条泰家(ほうじょう・やすいえ、生誕不詳~1335?)を大将とする約10万騎の軍勢を送り分倍河原に退去していた桜田貞国らと合流、軍勢を整え南下する新田勢を多摩川北岸にて迎え撃つことになります。

周辺はすっかり住宅化されて戦場跡の痕跡も窺えない公園の一角にたたずむ石柱の脇に建てられた説明板には下記の通り記載されています。


「東京都指定旧跡
  久米川古戦場
    所在地 東村山市諏訪町二丁目付近
    指 定 大正八年十月

北川と前川の合流するこの地域の低地と狭山丘陵東端の八国山(はちこくやま)の麓一帯を鎌倉時代には久米川宿(くめかわしゅく)といっていた。文永8年(1271)の日蓮の書状に「武蔵国久目河に付き・・・・」とあって、上野国(群馬県)と鎌倉を結ぶ政治的にも経済的にも重要な交通路であった鎌倉街道上の道の主要な宿駅であった。

「『太平記』によれば、元弘3年(1333)5月8日、群馬県新田町の生品神社(いくしなじんじゃ)(新田貞義挙兵伝説地)から鎌倉幕府討幕のため挙兵した新田義貞の軍勢は、11日初戦の小手指河原合戦(所沢市)で鎌倉軍を破り、翌12日に南下した、新田義貞と鎌倉幕府軍との第二戦が行われたこの周辺一帯であるといわれている、『江戸名所図会巻四』によると、久米川合戦に勝った新田義貞が塚を築き旗をたてたといわれる将軍塚(所沢市)が八国山にある。標高約190メ-トルの八国山は、駿河(富士)、伊豆(天城山)、相模(箱根・大山)、甲斐(多波山)、信濃(浅間)、上野(吾妻)、下野(日光)、常陸(筑波)の八か国の山が眺められるのでこの名がついたといわれている。

久米川宿を中心とする久米川一帯は、その後も建武2年(1335)の
中先代の乱や応永23年(1416)と同24年(1417)の上杉禅の乱などたびたび合戦の戦場となったが、近年は宅地化が進み当時の景観は偲ぶべきもない。

国の重要文化財『元弘の板碑』は八国山山麓にあったものを文化年間
1804~18)に、臨済宗福寿山徳蔵寺(東村山市諏訪町1-26)に移したものである。
           平成10年3月建設
                    東京都教育委員会」

交通手段
私鉄 徒歩

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  • 久米川古戦場(遠景)<br /><br />住宅地の山側に小規模公園らしきにスぺ-スに「久米川古戦場」石標とその説明板を見つけ出します。

    久米川古戦場(遠景)

    住宅地の山側に小規模公園らしきにスぺ-スに「久米川古戦場」石標とその説明板を見つけ出します。

  • 久米川古戦場跡・石標

    イチオシ

    久米川古戦場跡・石標

  • 久米川古戦場跡・説明板

    久米川古戦場跡・説明板

  • 八国山・登山口<br /><br />

    八国山・登山口

  • 鎌倉街道・説明地図<br /><br />当時の鎌倉へ通じる主要道路は3道路あって西側から上ツ道(上野国からのル-ト)、中ツ道(常陸からのル-ト)そして下ツ道(房総からのル-ト)と呼ばれ、東村山には上ツ道が通っていました。

    鎌倉街道・説明地図

    当時の鎌倉へ通じる主要道路は3道路あって西側から上ツ道(上野国からのル-ト)、中ツ道(常陸からのル-ト)そして下ツ道(房総からのル-ト)と呼ばれ、東村山には上ツ道が通っていました。

  • 中世の人々の足跡

    中世の人々の足跡

  • 江戸名所図会<br /><br />天保5~7年「1836」刊行の江戸名所図会を見れば久米川古戦場・八国山・将軍塚・徳蔵寺等の位置関係がよくわかります。

    江戸名所図会

    天保5~7年「1836」刊行の江戸名所図会を見れば久米川古戦場・八国山・将軍塚・徳蔵寺等の位置関係がよくわかります。

  • 徳蔵寺・山門

    徳蔵寺・山門

  • 徳蔵寺・本堂<br /><br />説明板に紹介されていた「元弘の板碑」が移転されて当寺にあるそうですが、訪問した頃はそのような認識はありませんでした。(今思えば一目見ておくべきでした)

    徳蔵寺・本堂

    説明板に紹介されていた「元弘の板碑」が移転されて当寺にあるそうですが、訪問した頃はそのような認識はありませんでした。(今思えば一目見ておくべきでした)

  • 徳蔵寺本堂扁額<br /><br />本堂上部には「福寿山」と揮毫された山額が掲げられています。正式には「福寿山徳蔵寺」と称する臨済宗大徳寺派の寺院です。

    徳蔵寺本堂扁額

    本堂上部には「福寿山」と揮毫された山額が掲げられています。正式には「福寿山徳蔵寺」と称する臨済宗大徳寺派の寺院です。

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