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《2017.Nov》あみんちゅ日本夜景遺産登録大本山『石山寺あたら夜もみじ』を歩く旅<br /><br />お気楽仕事をしていて得したと思ったこと。それは何といっても平日にまとめて休みが取れることと言っても過言ではありません。3月に販売士試験をパスした後、『試験旅行』と銘打ったものも含めて月イチペースで出かけまくっていましたが、さすがに年末が近づくにつれ『旅費』が底をつくようになり、必然的に大人しくなってきます。ただ出掛けないと『出不精』にすぐになってしまうシャイな性格ゆえきっかけを探します。<br /><br />秋の深まりを見せる今日、色々なところで話題になること…そう紅葉です。そういえば一人旅をするのに『紅葉狩り』なんていったことないかな…と思ったら即行動。最初は色々な場所を探しますが、ここもあそこもと思案している間に時間は過ぎて行きます。それでも行ける場所…ということでバス1本で向かえる場所であるとある有名なお寺に行くことに決め出発します。そんなこんなで向かった先はバスで8分の距離にある西国三十三ヶ所十三番札所の石山寺。完全に陽が落ちてから出発した今回の旅が始まります。<br /><br />平成29(2017)年11月30日木曜日<br />最寄りバス停からいつも通勤で使っている田舎の赤バスに乗車します。今年10月のダイヤ改正で最近乗車率が落ちているのか、休日のバス車両が中型で運行されるようになりました。ただこのバスすごく中途半端で『ワンステップ車両』が使われています。いつも乗車口すぐ後ろに座るのですが、段差があるため大変乗りにくい…。そんな理由もあっていつもとは違う座席に陣取ります。ちなみにお客は私ひとり…。これでは減便と車両の小型化されても仕方がないか…と改めて思います。<br /><br />僅か8分のバス旅で石山寺山門前バス停に到着します。既にライトアップは始まっており、東大門の阿吽像がライトアップされています。今回最近仕入れたコンパクトのフィルムカメラのテストをすることも含めコンデジとiPhone7Plusを使い分けます。いつもなら参道だけであれば拝観料はいらないのですが、夜間拝観時は東大門横で拝観料を収める形態が取られていました。<br /><br />実は私この石山寺が運営していた『石山寺保育園』の卒園生で、毎月21日は園の行事として石山寺に参拝をしていました。もう10年程前になりますが経営が変わり、現在は社会福祉法人の経営となっています。そんなこともありなにかにつけて所縁ある場所であり、何となく来てしまうことの多い石山寺ですが、夜間拝観に訪れた記憶はありません。なので暗い時の姿は初めて見ることになります。夜間拝観は今年の場合昨日(11月18日)から始まったばかりであり、尚且つ今日は日曜日ということもあり、ホントに多くの観光客が訪れていました。<br /><br />参道を歩きながら両脇の建物に立寄りながら進んで行きます。拾翠園(しゅうすいえん)は普段も拝観できますが、夜間拝観ならではの法輪院の敷地等も開放されていました。ホント肉眼で見るとライトアップされている紅葉が幻想的そのものに見ることができ、数えきれない程来ている場所にも関わらず初めて訪れる場所のように思えました。ただその素晴らしい景色はインスタにはうってつけの『背景』になるようで、その写真撮影のためにこのクソ寒い中ノースリーブ姿になっている若いお姉さんなんかも居られました。見ているだけで寒さを感じるため、ご老体はいそいそと先を急ぐことにします。<br /><br />昼間であれば拝観料を収める場所になる志納所を素通りし、外国人受けがすごく良いらしい『くぐり岩』も暗いゆえ頭をぶつけると大ごとになると読んで、これもカメラに収めるだけにします。いつもならば手水舎の隣にある本堂に向かう階段を利用するのですが、夜ゆえかその階段は閉鎖されており、そのまままっすぐに進みます。その辺りで見える密蔵院付近の銀杏のライトアップ、これを見た時にマジマジと『え?ホントに石山寺??』と思う姿にうっとりしてしまいます。さらに進むと閼伽井屋があり、石山寺夜間拝観の目玉のひとつとも称される『逆さもみじ』を見ることができます。この逆さもみじの写真って意外に載せられているものが少ないらしいです。以前石山寺ガイドツアーを引率していた年配のガイド氏が『プロのカメラマンでも写真には撮れない』と豪語していたという話を聞いたことがあります。ただ実際に3つのカメラで撮影しましたが普通に撮れています。実際の姿以上に撮ることは難しいという『比喩』だったのかも知れませんが、その言葉が独り歩きをしてしまっている以上、正しいことを言わなければいけないのではないでしょうか。確かに元の木々と水面に映った姿をまとめて撮ると、露出の関係で上手くは撮れません。しかしそんな『芸術的』なものではなくて、訪れた記念等の『記録』として撮るならば普通に撮影できるものに違いありません。初訪の観光客に対して『誇張』して言っているかも知れませんが、同じ石山寺に深い繋がりがある者としては『事実を言えよ…』と思ってしまうところではあります。まぁ仕方がないのかも知れませんが…。<br /><br />そしてそのまま進むと強制的に右折して階段を上り硅灰石前の広場に向かいます。重要文化財が密集している場所ではありますが、この場所は石山寺で最も知られている場所になります。石山の名前の由来とも言われる『硅灰石』。そしてその上に聳える国宝の多宝塔。このふたつのコンビ写真は石山寺の紹介に必ず載っている程有名なものです。ただライトアップはされていても所詮夜ではあるため、日中のように違和感がないようには見えないかも知れません。事実カメラで切り取ってもなんとなくインパクトが弱いな…というのが私の印象です。もっとも私の場合どちらも知っているのでまあこんなものか…という感じで流してしまいます。蓮如堂では石山寺絵巻の映写が映し出されていました。ライトアップという『イベント』ならではかも知れませんが、なかなか凝っているとは思います。そして右手奥にお社があります。三十八所権現社、元々皇室との繋がりがあることの象徴でもあるのですが、先程の蓮如堂がこの三十八所権現社の拝殿として造られたものだということからも想像がつくと思います。重文指定されているにも拘らず規模は大きくないため、歴史的価値に気付かないで通過される観光客も少なくないと聞きました。確かにわかり辛いところもありますが、一見の価値は大いにある建物に違いありません。<br /><br />石段を登り切ると本堂に到着します。ある意味有名な『動く紫式部像』がある場所ですが、あまり知られていないようですが、実は紫式部だけではなくてもうひとり女流歌人として有名な方も居られることはあまり知られていません。賢子(かたいこ)、つまり大弐三位ですが紫式部の娘さんです。百人一首の57・58番に名を連ねる母子ですが、その性格は両極端だったと言われています。恋下手な母に対し恋多き女性として名を馳せた娘、史実はともかく知っていて損はない『雑学知識』かも知れません(笑)。本堂に参拝した後、先程の三十八所権現社の脇を通り、経蔵を経て紫式部供養塔と松尾芭蕉句碑のある広場に到着します。近江とは非常に所縁の深い松尾芭蕉が石山寺を訪れた時に、やはり石山寺と所縁の深い紫式部供養塔の前で一句詠んだそうです。<br /><br />あけぼのは まだむらさきに ほととぎす<br /><br />この一句実はもうひとり石山寺所縁の女流歌人の言葉を引用しています。清少納言、『春は曙…』の一節から取られた『あけぼの』はすなわち『春』。春に訪れたはずなのにホトトギス(夏)の声が聴こえている。訪れた時期が少し遅かったかな?なんて私は捉えています。この句の解釈は多くの方々が持論を唱えています。それが正しいとか間違っているとかではなく、少なくとも松尾芭蕉という俳人は『紫式部』と『清少納言』の両女流歌人に甲乙つけがたい『想い』を持っていたことには違いない…その程度で良いのではないかと思います。そんな文才のある偉人達がどのように感じていたのか…ということを思うだけでも、石山寺が如何に文人に愛されたかを想像するだけで楽しさが倍増する…そう文才のない私は思っています(笑)。<br /><br />そして夜間拝観で訪れることができる最も標高の高い場所である多宝塔へと到着します。下から仰ぎ見ると多宝塔から空へ一直線に伸びている一筋の光が確認できます。多宝塔の後部(北側)にレーザー光発射装置が置かれており、そこから発せられていることを知ります。まあ現実を見てしまえばそれまでになってしまいますが、意外にお堅い『お寺さん』のイメージとはかけ離れているため『いとおかし』と思えるところはありました。ただ今更なのですがライトアップが『人工の光』によってコントロールされていることは言うまでもないことですが、それをアナログカメラが発する同じく人工の光である『ストロボ』によって完全に打ち消しあってしまうことに気付きます。昼間ならばいいボケ具合になっていい感じを受けるのですが、夜間だと『なぜこんなに味気なくなってしまうのか』と思っていた一番の理由がそこにありました。デジタルカメラの画像はシャープ過ぎて味気がないとよく『アナログ派』が言っていますが、それもTPOかな…なんて思った一瞬でした。<br /><br />またこの石山寺一帯は古代日本で最も大きな反乱と言われる『壬申の乱』の戦場でもありました。第38代天智天皇が大津京を造営した後に亡くなり、勢力争いが勃発します。天智天皇の皇子である大友皇子が率いる近江朝廷軍、そして対する大海人皇子の反乱軍。最初は朝廷軍が優位に戦いを進めるものの、次第に指導部の足並みの乱れから次第に防戦一方となり、遂に瀬田橋の戦いに於いて近江朝廷軍は壊滅し、大友皇子は自害して果て、大海人皇子が第40代天武天皇となり飛鳥浄御原宮を造営、大津宮は廃都となりました。この敗れた大友皇子は即位していないと考えられていたため、長きに渡って天皇とは考えられていませんでした。第39代弘文天皇と諡号(しごう)されたのは明治になってからの話であり、その在位期間も僅か7ヶ月程だったとされています。その大友皇子が自害したとされる場所のひとつとして挙げられている場所がこの石山寺内にある『若宮』となっています。比較的新しい建物ではありますが、このお社は石山寺の境内マップにも書かれてはいない場所です。その理由はわかりませんが、非業の最後を遂げた皇子ということから『判官贔屓』的な考えがあるようにも思えます。付近の鳥居川町や北大路にある『御霊神社』はその大友皇子の最後の地の伝承が残る場所に、祭神として祀っている神社でもあります。史実は抜きにしてもその1,400年前の『乱』に想像を膨らませるのも歴史を楽しむ方法のひとつだと思います。夜間拝観時には照明もなく、ここにあることを知らない観光客であれば訪れることもないだろうと思い、敢えて紹介させて頂きました。そして若宮の先には瀬田川から比良山系までの眺望が拡がる『月見亭』がありますが、夜間は立ち入ることができなくなており、ライトアップはこの多宝塔で終わりとなります。<br /><br />頂上まで来ると後は下りるしかありません。多宝塔から硅灰石の上を通り、鐘楼横から硅灰石前広場にやって来ます。ここで興醒めしたことがひとつ、時間は閉園15分前にも関わらず、この辺りでは既に閉館のアナウンスが流されています。それに合わせて御影堂も後片付けにはいりました。なんとなく追い立てられるようにも感じながら下山して行きます。硅灰石前も行きは結構人がいて邪魔でしたが、この時間であればほとんど長居する観光客も居らず、すっきりとした写真を撮ることができました。御影堂の横を通り本来ならば右手に見える毘沙門堂や観音堂を見ながら降りて行く階段も、ライトアップしている照明に掻き消されてしまって、提灯が並ぶ順路に沿って降りて行くだけになります。そして大湯屋と大黒天の脇を通り、よくわからないオーナメントを見ながら参道へと戻って来ます。ここで最後の試練がありました。人通りのないところでの風景写真。アマチュアのカメラマンが撮れるはずもない場所で撮ろうとする典型的に『嫌われる姿』が待っていました。これだけ多くの人が参拝している中で人物を入れずに撮影することは至難の技を通り過ぎ、できないことだと思います。特に現在のデジタルの世の中、後から画像補正すればいとも簡単に人物を消すことは訳ありません。それを人通りが途絶えるまで待つということは、閉園後まで居座ることになってしまいます。おまけに参道のど真ん中で三脚を立ててシャッターチャンスを待っているバカ者の多いこと。撮影マナーの悪さから、多くの場所で三脚の使用禁止が言われてしまうことが本当にわかります。そういう時に悪知恵が働くこの私、敢えて露出が狂うように意味もなくストロボの強制発光を繰り返します。少なくともあなたたちよりもはマナーを守って撮影しているという自負心と撮影キャリアの長さからそんなことをしてやります。当然閉門の時間が迫っているため私は立ち止まることはしません。だからスタッフから注意も受けません。怒られるのはマナー知らずのカメラ小僧とオッさんだけです(笑)。<br /><br />所要時間1時間20分で初石山寺夜間拝観は何事もなく無事(?)終わりました。この後は普通の方ならば苦労してホテルへ戻るか自宅へ帰るかされるはずですが、その点ジモティはお気楽です♪通勤ルートゆえバスの時間もわかっています。しか~し、運悪くちょうど20分バス停で待たなければいけない時刻でした。ただそれを待たないのがなんでもプラスに考えるB型うお座、待つことは致しません。勝手知ったる道ゆえ歩いて帰ることにします。もしかしたらバスより早いかも…なんて思いながら歩き始めますが、そこらはいつもと変わらない『寄り道』が待っています。石山インターから石山寺に向かうのに最後となるコンビニである『ミニストップ大津石山寺3丁目店』に立寄って、コーヒーを飲みながら一服します。ここからは本当にジモティしかわからない近道の歩道をてくてく歩いて行きます。バス通りと交差した時に乗る予定だったバスに先を越されますが、ここからもバスが走る距離の1/3で自宅に着いてしまいます。そして21:38に無事自宅に到着します。先を越されたバスに乗るとバス停到着が21:31となり、だいたい自宅に着くのが21:35位になります。3分程遅い到着にはなりましたが、これでバス代210円が浮きました。この浮いたお金を積み立てて次の旅費にしよう…と今回も『超プラス思考』になって今回の旅を終えることにします。<br /><br />長文にお付き合い頂きまして誠にありがとうございます。これで〝《2017.Nov》あみんちゅ日本夜景遺産登録大本山『石山寺あたら夜もみじ』を歩く旅〟は終わります。<br /><br /><br />最後に2017年石山寺ライトアップ『あたら夜もみじ』についての情報です。<br /><br />期間は12月3日日曜日の17:30~21:00(入山は20:30)。<br /><br />夜間入山料は600円で昼夜入れ替え制となっており、8:00~16:30(入山は16:00)は別途600円が必要となります。<br /><br />駐車場は市営駐車場はありますが、土日はかなり込み合います。京滋バイパス石山インターを下りて、突き当りを右に曲がりすぐに左折し、次の信号を右折し、道なりに右に曲がって行くと瀬田川に突き当たります。そこを左折してすぐになりますが、渋滞時には道路の左側に車が繋がっていることもあり注意が必要です。ナビによってはわき道を表示するものもありますが、そちらからは入れません。また大津方面から瀬田川沿いを走ってくると駐車場へ右折して入る場合、混雑の具合によっては右折できないこともあります。車列に並べと言われるとかなりのロスになります。<br /><br />公共交通機関は京阪石山寺駅から歩いて900m(15分)。<br />バス利用の場合はJR石山駅前から乗り場①京阪バスを利用し石山寺山門前下車すぐ。行先は1系統石山団地・2系統新浜・4系統大石・52系統野々宮経由新浜行きなどほとんどが利用できます。たまに使えないものがあり湖岸経由や国道経由、若しくは国分一丁目経由と国分団地行きは行きません。不安に思ったら運転士さんに聞いてみてください。バス代は210円です。<br /><br />残り3日となりましたが一人でも多くの方に訪れて頂きたいと思います。<br /><br />https://www.ishiyamadera.or.jp/guide/event/atarayo

《2017.Nov》あみんちゅ日本夜景遺産登録大本山『石山寺あたら夜もみじ』を歩く旅

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お気楽仕事をしていて得したと思ったこと。それは何といっても平日にまとめて休みが取れることと言っても過言ではありません。3月に販売士試験をパスした後、『試験旅行』と銘打ったものも含めて月イチペースで出かけまくっていましたが、さすがに年末が近づくにつれ『旅費』が底をつくようになり、必然的に大人しくなってきます。ただ出掛けないと『出不精』にすぐになってしまうシャイな性格ゆえきっかけを探します。

秋の深まりを見せる今日、色々なところで話題になること…そう紅葉です。そういえば一人旅をするのに『紅葉狩り』なんていったことないかな…と思ったら即行動。最初は色々な場所を探しますが、ここもあそこもと思案している間に時間は過ぎて行きます。それでも行ける場所…ということでバス1本で向かえる場所であるとある有名なお寺に行くことに決め出発します。そんなこんなで向かった先はバスで8分の距離にある西国三十三ヶ所十三番札所の石山寺。完全に陽が落ちてから出発した今回の旅が始まります。

平成29(2017)年11月30日木曜日
最寄りバス停からいつも通勤で使っている田舎の赤バスに乗車します。今年10月のダイヤ改正で最近乗車率が落ちているのか、休日のバス車両が中型で運行されるようになりました。ただこのバスすごく中途半端で『ワンステップ車両』が使われています。いつも乗車口すぐ後ろに座るのですが、段差があるため大変乗りにくい…。そんな理由もあっていつもとは違う座席に陣取ります。ちなみにお客は私ひとり…。これでは減便と車両の小型化されても仕方がないか…と改めて思います。

僅か8分のバス旅で石山寺山門前バス停に到着します。既にライトアップは始まっており、東大門の阿吽像がライトアップされています。今回最近仕入れたコンパクトのフィルムカメラのテストをすることも含めコンデジとiPhone7Plusを使い分けます。いつもなら参道だけであれば拝観料はいらないのですが、夜間拝観時は東大門横で拝観料を収める形態が取られていました。

実は私この石山寺が運営していた『石山寺保育園』の卒園生で、毎月21日は園の行事として石山寺に参拝をしていました。もう10年程前になりますが経営が変わり、現在は社会福祉法人の経営となっています。そんなこともありなにかにつけて所縁ある場所であり、何となく来てしまうことの多い石山寺ですが、夜間拝観に訪れた記憶はありません。なので暗い時の姿は初めて見ることになります。夜間拝観は今年の場合昨日(11月18日)から始まったばかりであり、尚且つ今日は日曜日ということもあり、ホントに多くの観光客が訪れていました。

参道を歩きながら両脇の建物に立寄りながら進んで行きます。拾翠園(しゅうすいえん)は普段も拝観できますが、夜間拝観ならではの法輪院の敷地等も開放されていました。ホント肉眼で見るとライトアップされている紅葉が幻想的そのものに見ることができ、数えきれない程来ている場所にも関わらず初めて訪れる場所のように思えました。ただその素晴らしい景色はインスタにはうってつけの『背景』になるようで、その写真撮影のためにこのクソ寒い中ノースリーブ姿になっている若いお姉さんなんかも居られました。見ているだけで寒さを感じるため、ご老体はいそいそと先を急ぐことにします。

昼間であれば拝観料を収める場所になる志納所を素通りし、外国人受けがすごく良いらしい『くぐり岩』も暗いゆえ頭をぶつけると大ごとになると読んで、これもカメラに収めるだけにします。いつもならば手水舎の隣にある本堂に向かう階段を利用するのですが、夜ゆえかその階段は閉鎖されており、そのまままっすぐに進みます。その辺りで見える密蔵院付近の銀杏のライトアップ、これを見た時にマジマジと『え?ホントに石山寺??』と思う姿にうっとりしてしまいます。さらに進むと閼伽井屋があり、石山寺夜間拝観の目玉のひとつとも称される『逆さもみじ』を見ることができます。この逆さもみじの写真って意外に載せられているものが少ないらしいです。以前石山寺ガイドツアーを引率していた年配のガイド氏が『プロのカメラマンでも写真には撮れない』と豪語していたという話を聞いたことがあります。ただ実際に3つのカメラで撮影しましたが普通に撮れています。実際の姿以上に撮ることは難しいという『比喩』だったのかも知れませんが、その言葉が独り歩きをしてしまっている以上、正しいことを言わなければいけないのではないでしょうか。確かに元の木々と水面に映った姿をまとめて撮ると、露出の関係で上手くは撮れません。しかしそんな『芸術的』なものではなくて、訪れた記念等の『記録』として撮るならば普通に撮影できるものに違いありません。初訪の観光客に対して『誇張』して言っているかも知れませんが、同じ石山寺に深い繋がりがある者としては『事実を言えよ…』と思ってしまうところではあります。まぁ仕方がないのかも知れませんが…。

そしてそのまま進むと強制的に右折して階段を上り硅灰石前の広場に向かいます。重要文化財が密集している場所ではありますが、この場所は石山寺で最も知られている場所になります。石山の名前の由来とも言われる『硅灰石』。そしてその上に聳える国宝の多宝塔。このふたつのコンビ写真は石山寺の紹介に必ず載っている程有名なものです。ただライトアップはされていても所詮夜ではあるため、日中のように違和感がないようには見えないかも知れません。事実カメラで切り取ってもなんとなくインパクトが弱いな…というのが私の印象です。もっとも私の場合どちらも知っているのでまあこんなものか…という感じで流してしまいます。蓮如堂では石山寺絵巻の映写が映し出されていました。ライトアップという『イベント』ならではかも知れませんが、なかなか凝っているとは思います。そして右手奥にお社があります。三十八所権現社、元々皇室との繋がりがあることの象徴でもあるのですが、先程の蓮如堂がこの三十八所権現社の拝殿として造られたものだということからも想像がつくと思います。重文指定されているにも拘らず規模は大きくないため、歴史的価値に気付かないで通過される観光客も少なくないと聞きました。確かにわかり辛いところもありますが、一見の価値は大いにある建物に違いありません。

石段を登り切ると本堂に到着します。ある意味有名な『動く紫式部像』がある場所ですが、あまり知られていないようですが、実は紫式部だけではなくてもうひとり女流歌人として有名な方も居られることはあまり知られていません。賢子(かたいこ)、つまり大弐三位ですが紫式部の娘さんです。百人一首の57・58番に名を連ねる母子ですが、その性格は両極端だったと言われています。恋下手な母に対し恋多き女性として名を馳せた娘、史実はともかく知っていて損はない『雑学知識』かも知れません(笑)。本堂に参拝した後、先程の三十八所権現社の脇を通り、経蔵を経て紫式部供養塔と松尾芭蕉句碑のある広場に到着します。近江とは非常に所縁の深い松尾芭蕉が石山寺を訪れた時に、やはり石山寺と所縁の深い紫式部供養塔の前で一句詠んだそうです。

あけぼのは まだむらさきに ほととぎす

この一句実はもうひとり石山寺所縁の女流歌人の言葉を引用しています。清少納言、『春は曙…』の一節から取られた『あけぼの』はすなわち『春』。春に訪れたはずなのにホトトギス(夏)の声が聴こえている。訪れた時期が少し遅かったかな?なんて私は捉えています。この句の解釈は多くの方々が持論を唱えています。それが正しいとか間違っているとかではなく、少なくとも松尾芭蕉という俳人は『紫式部』と『清少納言』の両女流歌人に甲乙つけがたい『想い』を持っていたことには違いない…その程度で良いのではないかと思います。そんな文才のある偉人達がどのように感じていたのか…ということを思うだけでも、石山寺が如何に文人に愛されたかを想像するだけで楽しさが倍増する…そう文才のない私は思っています(笑)。

そして夜間拝観で訪れることができる最も標高の高い場所である多宝塔へと到着します。下から仰ぎ見ると多宝塔から空へ一直線に伸びている一筋の光が確認できます。多宝塔の後部(北側)にレーザー光発射装置が置かれており、そこから発せられていることを知ります。まあ現実を見てしまえばそれまでになってしまいますが、意外にお堅い『お寺さん』のイメージとはかけ離れているため『いとおかし』と思えるところはありました。ただ今更なのですがライトアップが『人工の光』によってコントロールされていることは言うまでもないことですが、それをアナログカメラが発する同じく人工の光である『ストロボ』によって完全に打ち消しあってしまうことに気付きます。昼間ならばいいボケ具合になっていい感じを受けるのですが、夜間だと『なぜこんなに味気なくなってしまうのか』と思っていた一番の理由がそこにありました。デジタルカメラの画像はシャープ過ぎて味気がないとよく『アナログ派』が言っていますが、それもTPOかな…なんて思った一瞬でした。

またこの石山寺一帯は古代日本で最も大きな反乱と言われる『壬申の乱』の戦場でもありました。第38代天智天皇が大津京を造営した後に亡くなり、勢力争いが勃発します。天智天皇の皇子である大友皇子が率いる近江朝廷軍、そして対する大海人皇子の反乱軍。最初は朝廷軍が優位に戦いを進めるものの、次第に指導部の足並みの乱れから次第に防戦一方となり、遂に瀬田橋の戦いに於いて近江朝廷軍は壊滅し、大友皇子は自害して果て、大海人皇子が第40代天武天皇となり飛鳥浄御原宮を造営、大津宮は廃都となりました。この敗れた大友皇子は即位していないと考えられていたため、長きに渡って天皇とは考えられていませんでした。第39代弘文天皇と諡号(しごう)されたのは明治になってからの話であり、その在位期間も僅か7ヶ月程だったとされています。その大友皇子が自害したとされる場所のひとつとして挙げられている場所がこの石山寺内にある『若宮』となっています。比較的新しい建物ではありますが、このお社は石山寺の境内マップにも書かれてはいない場所です。その理由はわかりませんが、非業の最後を遂げた皇子ということから『判官贔屓』的な考えがあるようにも思えます。付近の鳥居川町や北大路にある『御霊神社』はその大友皇子の最後の地の伝承が残る場所に、祭神として祀っている神社でもあります。史実は抜きにしてもその1,400年前の『乱』に想像を膨らませるのも歴史を楽しむ方法のひとつだと思います。夜間拝観時には照明もなく、ここにあることを知らない観光客であれば訪れることもないだろうと思い、敢えて紹介させて頂きました。そして若宮の先には瀬田川から比良山系までの眺望が拡がる『月見亭』がありますが、夜間は立ち入ることができなくなており、ライトアップはこの多宝塔で終わりとなります。

頂上まで来ると後は下りるしかありません。多宝塔から硅灰石の上を通り、鐘楼横から硅灰石前広場にやって来ます。ここで興醒めしたことがひとつ、時間は閉園15分前にも関わらず、この辺りでは既に閉館のアナウンスが流されています。それに合わせて御影堂も後片付けにはいりました。なんとなく追い立てられるようにも感じながら下山して行きます。硅灰石前も行きは結構人がいて邪魔でしたが、この時間であればほとんど長居する観光客も居らず、すっきりとした写真を撮ることができました。御影堂の横を通り本来ならば右手に見える毘沙門堂や観音堂を見ながら降りて行く階段も、ライトアップしている照明に掻き消されてしまって、提灯が並ぶ順路に沿って降りて行くだけになります。そして大湯屋と大黒天の脇を通り、よくわからないオーナメントを見ながら参道へと戻って来ます。ここで最後の試練がありました。人通りのないところでの風景写真。アマチュアのカメラマンが撮れるはずもない場所で撮ろうとする典型的に『嫌われる姿』が待っていました。これだけ多くの人が参拝している中で人物を入れずに撮影することは至難の技を通り過ぎ、できないことだと思います。特に現在のデジタルの世の中、後から画像補正すればいとも簡単に人物を消すことは訳ありません。それを人通りが途絶えるまで待つということは、閉園後まで居座ることになってしまいます。おまけに参道のど真ん中で三脚を立ててシャッターチャンスを待っているバカ者の多いこと。撮影マナーの悪さから、多くの場所で三脚の使用禁止が言われてしまうことが本当にわかります。そういう時に悪知恵が働くこの私、敢えて露出が狂うように意味もなくストロボの強制発光を繰り返します。少なくともあなたたちよりもはマナーを守って撮影しているという自負心と撮影キャリアの長さからそんなことをしてやります。当然閉門の時間が迫っているため私は立ち止まることはしません。だからスタッフから注意も受けません。怒られるのはマナー知らずのカメラ小僧とオッさんだけです(笑)。

所要時間1時間20分で初石山寺夜間拝観は何事もなく無事(?)終わりました。この後は普通の方ならば苦労してホテルへ戻るか自宅へ帰るかされるはずですが、その点ジモティはお気楽です♪通勤ルートゆえバスの時間もわかっています。しか~し、運悪くちょうど20分バス停で待たなければいけない時刻でした。ただそれを待たないのがなんでもプラスに考えるB型うお座、待つことは致しません。勝手知ったる道ゆえ歩いて帰ることにします。もしかしたらバスより早いかも…なんて思いながら歩き始めますが、そこらはいつもと変わらない『寄り道』が待っています。石山インターから石山寺に向かうのに最後となるコンビニである『ミニストップ大津石山寺3丁目店』に立寄って、コーヒーを飲みながら一服します。ここからは本当にジモティしかわからない近道の歩道をてくてく歩いて行きます。バス通りと交差した時に乗る予定だったバスに先を越されますが、ここからもバスが走る距離の1/3で自宅に着いてしまいます。そして21:38に無事自宅に到着します。先を越されたバスに乗るとバス停到着が21:31となり、だいたい自宅に着くのが21:35位になります。3分程遅い到着にはなりましたが、これでバス代210円が浮きました。この浮いたお金を積み立てて次の旅費にしよう…と今回も『超プラス思考』になって今回の旅を終えることにします。

長文にお付き合い頂きまして誠にありがとうございます。これで〝《2017.Nov》あみんちゅ日本夜景遺産登録大本山『石山寺あたら夜もみじ』を歩く旅〟は終わります。


最後に2017年石山寺ライトアップ『あたら夜もみじ』についての情報です。

期間は12月3日日曜日の17:30~21:00(入山は20:30)。

夜間入山料は600円で昼夜入れ替え制となっており、8:00~16:30(入山は16:00)は別途600円が必要となります。

駐車場は市営駐車場はありますが、土日はかなり込み合います。京滋バイパス石山インターを下りて、突き当りを右に曲がりすぐに左折し、次の信号を右折し、道なりに右に曲がって行くと瀬田川に突き当たります。そこを左折してすぐになりますが、渋滞時には道路の左側に車が繋がっていることもあり注意が必要です。ナビによってはわき道を表示するものもありますが、そちらからは入れません。また大津方面から瀬田川沿いを走ってくると駐車場へ右折して入る場合、混雑の具合によっては右折できないこともあります。車列に並べと言われるとかなりのロスになります。

公共交通機関は京阪石山寺駅から歩いて900m(15分)。
バス利用の場合はJR石山駅前から乗り場①京阪バスを利用し石山寺山門前下車すぐ。行先は1系統石山団地・2系統新浜・4系統大石・52系統野々宮経由新浜行きなどほとんどが利用できます。たまに使えないものがあり湖岸経由や国道経由、若しくは国分一丁目経由と国分団地行きは行きません。不安に思ったら運転士さんに聞いてみてください。バス代は210円です。

残り3日となりましたが一人でも多くの方に訪れて頂きたいと思います。

https://www.ishiyamadera.or.jp/guide/event/atarayo

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
交通
5.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
1万円未満
交通手段
高速・路線バス 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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