2017/09/17 - 2017/09/17
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frau.himmelさん
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第三帝国「ナチス・ドイツ」の独裁者アドルフ・ヒトラーの生まれ故郷はオーストリアです。
ドイツの国境近いブラウナウという小さな町で生まれ、リンツで青年期を過ごしました。
ブラウナウにはヒトラーの生まれた家が現存しています。
今、ヒトラーの生家を巡って大論争が起こっています。
ヨーロッパではイスラム教徒、難民・移民の排斥を望む極右勢力が勢いを活発化させています。その中にはヒトラーを英雄視してナチスドイツの思想を再び起こそうとするネオナチと呼ばれる集団も含まれています。それら極右勢力は、ヒトラーの生家を聖地にという動きもあります。
オーストリア政府は、極右勢力に悪用されないために、所有者からその家を買い取って国有化しました。そして負の遺産を消し去るためにこの家を取り壊す決定をくだしました。
ところが極右勢力とは別に、かってナチスを歓迎したオーストリアの負の歴史と真摯に向き合い、未来を冷静に考えるための場としてこの家を残すべき、というもう一つの活動の大きな輪を広げています。
この論争がこれからどういう方向に進んでいくかわからないけれど、取り壊される前にヒトラーの家を訪ねることにしました。
◆◇お詫び
旅行記を一度にまとめてしまう予定でしたが、またまた興に乗ってしまい長くなってしまいました。
前編は徒歩で国境を越えるまでを。
その国境は2015年の難民危機の際、大量の難民が流入した場所でもあったのです。
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朝食を済ませたら身支度をしてリンツ駅に向かいます。
駅はホテルの前の大通りを渡ればすぐですから大変便利です。
私たちのようなシニア旅人には、駅近でエレベーターがついているホテルは助かります。 -
ヒトラーの生家はリンツから2時間弱のドイツ国境に近いブラウナウにあります。
片道一人18.5ユーロですから、二人合計74ユーロ。
ところがオーストリアには「アインファッハ・ラウス・チケット」というオーストリア中乗り放題のチケットがあります。
2人から5人まで使え2人だと33ユーロ、一人増えるごとに+4ユーロです。
私たちは33ユーロですから通常料金の半額以下。
私はこれを券売機で求めます。 -
ところが慣れないオーストリアの券売機なのでなかなかその表示が出てきません。
夫は、まだ~って急かすし、イライラしながら操作していると、一人の若い女性が「何かお手伝いしましょうか」と。
私がアインファッハ・ラウス・チケットを買いたいというと、その女性はえっ?という表情。
どこまで行くのですかと聞かれたので、夫はブラウナウまでと答えました。 -
その女性はキーボードを表示して「BRAUNAU」と入れます。
私は心の中でつぶやきます。
「そうじゃないのよね。行き先なんかいらないのよね」。
その女性もいろいろやっていましたが、このチケットのことはあまり知らないらしくて結局お手上げ。
私が代わっていろいろやっているうちに出てきました。
一番下にEinfach.raus.ticketの文字が。 -
オーストリア旅行をなさる方のために、このチケットの買い方をご説明しますね。
上の写真〔Weiter Angebote〕をタッチ⇒Einfach Raus Ticketと選ぶ⇒日付と人数を選ぶと金額が出てきます。
金額を支払うとチケットが下から出てきます。 -
これがアインファッハ・ラウス・チケット。
翌日午前3時まで、R・REX・Sバーンに使えます。
ドイツのバイエルンチケットなどの州チケットと同じだと考えればいいと思います。 -
私たちはまず8:52発のドイツのパッサウ行に乗ります。
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車内はガラガラ。
まもなく車掌が検札にやってきました。
東洋人のシニアがアインファッハ・ラウス・チケットを見せたものですから、おっやるな!とニヤリとした表情。
そして
「そうなんだよ。このチケットで、終点のドイツのパッサウまで行けるんだよ。」
と聞きもしないことを教えてくれます。
それを聞いて私にあることが閃きました。 -
時刻表。
私たちはリンツを8:52に出発してパッサウ行きに乗っています。
Braunauに行くには9:40分Neumarkt-kallhamで乗り替えると、10:42にBraunauに到着します。
このチケットで終点のパッサウまで行けるのなら、Braunauで降りないで、終点のドイツのSimbachまで行くこともできるはずよね。 -
当初の予定では、ブラウナウ駅で降りて、バスで国境橋の近くまで行って、ドイツとの国境を越えて、またブラウナウに戻ろうと考えていました。
しかし終点まで行って、ドイツのジンバッハからオーストリアのブラウナウに入った方がよりドラマチックよね?そうしましょう!
ただ、心配なのは天候です。どんよりした今にも降りそうな感じ。 -
乗換駅のNeumarkt-kallham駅。
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この列車も乗客はガラガラ。
座席の上に設置してある網棚がなんか素朴でいいなー。 -
途中駅のRied im Innkreisという小さな駅。
今日は日曜日なのに駅の売店は開いているのですね。
あのおじちゃん、乗客じゃなくて村の人よね。
日曜日に開いている売店は村の人にとっても助かりますね。 -
そうこうしているうちにBrunauに到着。
急きょ計画を変更して隣駅まで行くことになりましたので、ここでは降りません。 -
国境の川、イン川です。
まずは列車で国境を越えます。
どこからドイツなのだろう?
川に線が引いてありませんから判りません。
向こうに見える橋は、後程私たちが徒歩で国境を越える橋なのです。 -
ドイツSimbachに到着。バイエルン州です。
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夫が帰りの列車の時刻を調べておこうと・・・。
「無駄よ。帰りはここから乗らないから」と冷たく言い放った私。 -
ジンバッハの駅舎。
今日は日曜日で人影もほとんどありません。 -
駅の敷地にはなぜだか蒸気機関車が飾られていました。
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地図が大好きな夫は、駅前に掲示してある地図を写真に収めます。
これが助かりました。ジンバッハの地図なんて用意していませんでしたから。
これを見ながら国境越えをします。 -
ジンバッハ駅前のバーンホーフ通りは雰囲気のいい並木道。
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映画館もあります。
右端の壁に張り付いているのはスパイダーマン?(矢印) -
ドイツでよく見かけるスーパーマーケットのロスマン。
「え~っ、オーストリアにもロスマンはあるの?」
「当然でしょう、ここはドイツなんだから。頭大丈夫?」
早速駅での敵をとられてしまいました。 -
教会の尖塔が見えるほうがジンバッハの中心なのかしら?
やっぱりそうでした。
木の葉に隠れてよく見えませんが「Stadtzentrum」の矢印があちらを向いています。 -
ここで突き当り。
間違った道を進みたくないので通りがかった人に尋ねました。
「国境の橋はどう行けばいいですか?」
その男性右手を指さし、「ゲラーデアウス(真っ直ぐ)」と。 -
あちらに何かのモニュメントのようなものと、何本もの旗が見えてきました。
そちらに急ごうとする夫を制して・・・。 -
ちょっと待って!ここが税関博物館じゃない?
国境を越えて、ドイツ側に入った橋の近くに、税関博物館があるのは調べていました。時間があれば入ってみたい・・・。 -
入り口には「Zollhaus Museum」(税関博物館)。
今日は日曜日、幸い日曜も開いているようですが、13:30からしか開かないらしい。
まだ1時間以上もあるし、私たちには行かなければならないところがあります。
仕方がない、先を急ごう先を! -
ここが国境の橋、イン橋。
イン川に架かる橋の袂には何本もの旗と共に、巨大なモニュメント。 -
イルカに乗った少年(古いね)
このモニュメントは何を意味するのでしょう。
プレートには「Aenus reitet auf einem Huchen」と。
Aenusとはイン川のラテン語名だそうですが、この場合は擬人化した名前。
イン川に生息する大きな魚(Huchen)に乗ったAenus少年(青年?)。
2008年に造られたもの。 -
それではいよいよ国境の橋を渡ります。
橋の向こうはオーストリアのブラウナウ。 -
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どこが国境なんだろう?
ワクワクします。 -
向こうには、さきほど列車で通過した鉄橋が見えます。
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ここからはジンバッハではない。向こうはブラウナウという標識が見えます。
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国境で思い出されるのは2015年の難民危機問題。
ここドイツのジンバッハとオーストリアのブラウナウ間の国境である、イン橋にも大量の難民が押し寄せてました。
国や警察はその対策に追われました。 -
2015年10月、数千人もの難民が国境に流入しました。
ジンバッハには難民キャンプが設置され、そこに空きができた時のみ受け入れていることより、多くの難民がイン橋の前で待機していました。
(写真はネットより報道写真をお借りしました。以下同) -
難民の多くは、入所を待つ行列の中で順番を確保しようと屋外で夜を明かしている。
(報道写真より) -
イン川を渡る難民たち。
幼気な小さな子供たちのつぶらな瞳が涙を誘います。
早く全世界の人々が、故郷を捨てて遠くの国に逃亡しなくてもすむ世界になってほしいものだと思います。
難しい問題ですね。
(報道写真より) -
私たちは2年前に難民たちが通った逆のコース、ドイツのジンバッハからオーストリアのブラウナウと国境を越えます。
目の前にはブラウナウの美しい街並みが見えます。
右手の尖塔はブラウナウの聖シュテファン教会。 -
探しているものがありました!。
国境線。
Dはドイツ、Oはオーストリア(鍵で隠れて見えませんがOウムラウト)。
国境線によってはこのマークがあるところとないところがあり、これを探し出すとうれしくなります。 -
私たちと同じように国境を目的にやってきた人達でしょうか。
国境付近でイン川をのぞき込んでいます。 -
さて、では私たちも次なる目的に向かってブラウナウに入ります。
続編ではヒトラーの生家を探します。
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この旅行記へのコメント (4)
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- 大和の住人さん 2017/11/10 13:03:31
- オーストリーの旅も深いですね(2)
- 後編のあとに拝見。目的地までのアプローチ、チケット購入など参考になります。我が身を振り返ると、オーストリーといえばまずチロルのスキー場や山々、作曲家たちの足跡、ハプスブルク家、世紀末ウィーンの芸術などが中心で、せいぜいサウンドオブミュージックの撮影地巡りから第二次大戦中をしのぶのが関の山でした。今回のヒトラーの生地を訪ねる旅という発想がすごいです。感服しました。これからも期待しています。
- frau.himmelさん からの返信 2017/11/10 20:02:52
- RE: オーストリーの旅も深いですね(2)
- 大和の住民さん、こちらにもコメントありがとうございます。
>オーストリーといえばまずチロルのスキー場や山々、作曲家たちの足跡、ハプスブルク家、世紀末ウィーンの芸術などが中心で、せいぜいサウンドオブミュージックの撮影地巡りから第二次大戦中をしのぶのが関の山でした。
せいぜい・・・なんておっしゃっていますが、素晴らしいです。
やはり旅にテーマがありますと、深い意味のある旅になりますね。
今回の徒歩での国境越えも、旅のテーマというよりお遊び的要素が強かったのですが、
オーストリアとドイツの国境・・?
ではここは2015年の難民危機の際には難民は押しかけなかったのだろうか?と疑問に思って調べましたら、やはり何千人もの難民が押し寄せた場所でした。
お遊びテーマから歴史的現場に立ち会えたというのも、また、旅の醍醐味ですね。
旅行記はまだまだ続きますので、またよろしくお願いいたします。
himmel
- 大和の住人さん からの返信 2017/11/13 01:49:37
- Re: オーストリーの旅も深いですね(2)
- 丁寧なお返事、本当にありがとうございました。恥ずかしながら、それまで何も知らなかった今年のノーベル文学賞カズオイシグロさんの『日の名残り』(ハヤカワ文庫、土屋政雄訳)を昨日読了。引き続いてDVDの『日の名残り』も鑑賞しました。FrauHimmelさんはおそらくご存知だったと思いますが、この話にもヒトラーが関わりますね。この小説と映画の舞台はイギリスですが、ヒトラーがヒトラーたるためには、ドイツ以外の国の多くの人々の協力(不本意な場合や誤解も含めて)があったのですね。今から思えばまったく馬鹿げた判断であっても、その当時の現在進行形の人々にとってそれ(歴史的にも正しい判断)が如何に難しいことであったのかが想像出来ます。そして、それはそのまま、今のわれわれにたいする問いかけでもあるのかなと思いました。
いささか興奮していますがお許し下さい。『日の名残り』のDVDの映像・音声特典に当時のヒトラーの動画が出て参ります。今さらながらあらためてヨーロッパの歴史は深いですね。大和の住人より
- frau.himmelさん からの返信 2017/11/14 19:48:39
- 再度のコメントありがとうございます。
- 大和の住人さん、再度コメントありがとうございます。
まず謝らなければならないことが・・・。
HNを「大和の住民」さんと間違ってしまいました。ごめんなさい。
さて、カズオ・イシグロさん、今年のノーベル賞作家の方で、日本生まれだけどイギリスの方ですね。
私が知っているのはお名前だけ、あの方の本はまだ1冊も読んでいません(汗・・・)。
『日の名残り』、さっそく調べてみました。とても面白そうな本で興味を惹かれました。
映画化もされているのですね。DVDを借りて見たいと思いました。
素晴らしい情報をありがとうございました。
大和の住人さんはヨーロッパの現代史にもお詳しいですね。
これからもいろいろと教えてください。
himmel
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