2017/09/17 - 2017/09/18
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frau.himmelさん
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ヒトラーの生家があったブラウナウから戻ってきた私たちは、再びリンツ市内観光に出かけました。
リンツは、ウィーンやザルツブルク、それにグラーツほど人気都市ではありませんが、古くから音楽家を惹きつけた街でした。
モーツアルトはこの街で「交響曲リンツ」を作曲しましたし、ベートーヴェンは「交響曲8番」を完成させました。そしてブルックナーはリンツの代名詞的大御所ですね。
という私もリンツという街を知ったきっかけはモーツアルトの交響曲「リンツ」でした。
若いころ、ツアーでヨーロッパをアチコチ周っていたころ、ウィーンからザルツブルクに移動する列車や、ザルツカンマーグートからウィーンに抜けるツアーバスなどで何度か通過したことはありました。その時は「ああ~~、あのモーツアルトのリンツね」くらいの意識しかなかったのに、その後2回も訪れ、5泊もするような馴染みの街になろうとは。
翌日はリンツからスイスのバーゼルまで8時間もの列車の長旅です。
当初の予定では、チューリッヒに滞在する予定だったのを、急遽ブラウナウを訪れるためにリンツに変更しましたので、これはもう仕方がないのです。
RJとTGVの乗り継ぎでしたが、TGVって必ずしも座席指定しなくてもいいのですか?。
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ヒトラーの生家があったブラウナウからリンツに到着。
ホテル前の大通りには、Flixバス(長距離バス)の見覚えのある薄グルーン色の車体が停まっています。
運賃は安いし、直通で荷物の心配はいらないし、景色は間近に見えるし、長距離バスって大変便利です。
一度だけ使ったことがありますが、もう一度機会があれば乗りたい。 -
いったんホテルに戻ってきました。
ちゃんとお掃除は済んでいます。
ブラウナウで非常食用の虎屋の一口羊羹と小布施の栗落雁を、お世話になった女性にプレゼントしたので、お昼はほとんど食べていません。
お部屋でおせんべいや羊羹などを食べて、1時間くらいのんびりして街に出かけます。 -
昨日はラント通りがお祭りをやっており、旧市街へ行くトラムが走っていませんでしたが、幸い今日は動いています。
ハウプトプラッツでトラムを降りると、ちょうど5時のグロッケンシュピールが鳴り出しました。
雨が大降りになってきましたので、カフェ・グロッケンシュピールの中に逃げ込みました。 -
カフェ・グロッケンシュピールは伝統的なカフェ。
店内は何とも落ち着いた雰囲気。椅子も皮張りで豪華さが漂います。
雨宿りの方が多いのでしょうか、店内は混んでいます。
私はどうしてもリンツで食べたいものがありました。
リンツが発祥のその名は「リンツァートルテ」。
このお店なら美味しいトルテがありそうです。 -
私はリンツァートルテとコーヒーを。
夫はビールがお茶代わり。この後食事に行くので、今は何も要らないそうです。
少しだけトルテをあげるわね。 -
これがリンツァートルテ。
アーモンドやクルミの粉末とシナモンやナツメグ等の香辛料を入れた生地の間に、アカスグリ(レッドカラント)ジャムをはさみ、格子模様を付けて焼いたケーキです。
リンツ地方発祥のお菓子だそうです。
(写真下)
食べ散らかした写真でごめんなさい。
中にはとろーりとしたアカスグリのジャムが入っています。
しっかりした生地なので結構お腹にずっしりきます。 -
さっきまでお客さんで溢れていたのに、店内に人が少なくなりました。
雨が止んだのでしょうか。
私たちも腰を上げます。 -
雨も上がったし、私たちも旧市街をブラブラ散策しながらいいレストランがあったら入りまししょう。
雨に濡れた石畳がいい感じ。 -
そんな中にリンツの歴史的建造物の印、紅白の2本の旗が目につきました。
見上げると、「モーツアルトハウス」と。
ここがあの交響曲「リンツ」を作曲した家なのですね。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトは、コンスタンツとの結婚を快く思っていなかった父の元へ、新妻コンスタンツを伴ってザルツブルクへ結婚の挨拶に帰郷しました。 -
ウィーンに戻る途中にリンツに立ち寄り、トゥーン伯爵の邸宅に滞在します。
リンツ滞在中に、伯爵により音楽会が企画されましたが、モーツアルトは手持ちの曲がなかったため、たった4日という短い時間で急きょ交響曲を作曲しました。
この交響曲第36番は、リンツで作曲されたことから「交響曲リンツ」と呼ばれています。 -
モーツアルトが滞在した家の前の泉。
リンツにゆかりのある音楽家として、ブルックナーやモーツアルト、それにベートーヴェンの名前も耳にしますね。
リンツでベートーヴェンの足跡はどこに? -
私は2010年にリンツ城博物館を訪れた折、ベートーベンとリンツの関係を見つけておりました。
今回は時間の関係で行きませんでしたので、その時の写真を貼り付けます。(写真は2010年6月) -
リンツ城博物館は、先史時代、古代ローマ、中世、民俗学などのコレクションが数多く展示され、リンツの歴史を知ることができます。
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博物館内には「ベートヴェンルーム」という部屋がありました。
ベートーヴェンには2人の弟がいたのですね。
すぐ下の弟カールは早く亡くなり、その子(ベートーヴェンにとっては甥)父と同名のカールの素行が悪くベートーヴェンは苦労します。 -
ベートヴェンのもう一人の弟ニコラウス・ヨセフ・ファン・ベートーヴェンは、兄に学資を出してもらい薬剤師の大学を卒業します。
そして薬剤師として成功した彼は、リンツに「zur goldenen Klone」薬局を手に入れます。
(写真は弟ニコラウス・ヨハン) -
ベートーベンはリンツに弟ヨハンの元を度々訪れました。
素行が悪く自殺未遂を起こした甥カールを伴って長逗留をしたこともありました。
そのリンツ滞在中の1812年に「交響曲8番」を完成させます。
そういう縁で、リンツ・ブルックナー管弦楽団の前身、リンツ州立劇場の楽団とベートーベンは密接なかかわりを持つのです。
(写真はヨハンの薬局zur Kloneのこと?) -
展示品の中にベートーヴェンが弾いていたフォルテピアがありました。たぶんシュトライヒャー製。
1796年に、ベートヴェンがシュトライヒャー社のヨハン・アンドレアス・シュトライヒャーにお礼状を送っています。
「(その楽器は)私には上等すぎる。(中略)。私が自分自身で音色を生み出す自由を奪ってしまうからだ。」 -
ベートーヴェンと深いかかわりのあった州立劇場。
(2010年の写真)
ということでモーツアルト、ベートーヴェン、ブルックナーの3人の偉大な音楽家の足跡をリンツで見つけることができました。 -
それでは街歩きを続けます。
ここにも紅白2本の旗。
ミノリーテン教会。
正面には聖母子像が立っています。 -
ミノリーテン教会につながる威厳のある建物は、州庁舎。
オーストリアで最も美しいルネッサンス様式の宮殿の一つと言われています。 -
このアーチ門をくぐって中に入ります。
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目の前に美しい中庭が目に入りました。
いくつものアーチ型の柱廊に囲まれたルネッサンス様式の美しい中庭。
かってこの建物はリンツ大学として利用され、天文学者のヨハネス・ケプラーが講義をしていました。
そして彼はリンツ時代にケプラーの第三法則を発表しました。 -
中庭の中央にはケプラーの偉業を讃えて造られた「プラネーテンブルンネン(惑星の泉)」。
7つの惑星の擬人象で飾られた泉だそうですが、拡大したものなので鮮明でなくてすみません。
そうと知っていたらちゃんと近づいて大きな写真を撮ったのですが。
調査不足でした。 -
反対側の入り口門の豪華な飾り。
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ラントハウス橋。
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ラントハウス橋の下には、1961年に付近の改修中に発見された16世紀ごろ造られた石のアーチ道が保存されています。
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州庁舎広場には、オーストリアを代表する作家のひとりアーダルベルト・シュティフター(Adalbert Stifter)の像。
彼はこの街に住み、晩年の大作「晩夏」や「ヴィティコ」を執筆しました。 -
銀行の建物。
入口の紋章といい、屋根の上の女神像といい豪華なものです。さすがに工業で潤っているリンツの銀行です。 -
さらに散策を続けます。
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再び、ラント通り。マクドナルド前の噴水前に出ました。
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雨が降っていますので、傘を差しての街歩き。
片手では写真も撮りにくい。
向こうに見える教会の塔はウルスリネン教会。 -
ウルスリネン教会。
2010年の写真。 -
カルメン会教会。
聖ヨセフを祀る教会。
1690-1710年に建造されました。 -
通りの向こうにも紅白の旗が。
大変歴史ある建物のようです。
あれはもしかしてレストランでは・・・? -
私のイメージピッタリの歴史あるレストラン。
創業75年ということはこのレストランは戦争中にできたものですね。
この木製の階段も歴史を感じさせる・・・。 -
階段を登って中に入ると、ここを訪れた有名人・知名人の写真が所狭しと飾ってあります。
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ところが店内は満員のお客。
どこか席はないかしら? -
店員に、2人なんだけど、どこか席は空いていませんか?と聞いたら、別な部屋に連れて行き、「Reservierung(予約席)」とあったカードを外して私たちを座らせてくれました。
早速夫はここで醸造されている「Stiegl」という地ビールを。 -
私はここのところ胃が疲れているのか、ワイン!という気持ちになれません。
白ワインを炭酸水で割った「ゲシュプリター」を頼みました。 -
お料理は、夫はお肉の盛り合わせ。
写真では少なく見えますが、結構大量でした。 -
私はさっきのリンツァートルテがまだ胃の中に残っている感じで、それほどお腹は空いていません。
グヤーシュズッペとサラダを。
それにしてもこのレストラン、人気のお店なのですね。
次から次へとお客がひっきりなしに訪れます。 -
「シュティーグルブロイ・クロスターホフ」。
なかなかいいレストランでした。
リンツ最後の夜に、やっと思い描いていたレストランで食事ができて満足! -
暗くなったラント通りの夜景を目に焼き付けて、路面電車に乗ってホテルに戻ります。
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9月18日。
2泊したホテルをチェックアウトしてリンツ駅にやってきました。
滞在中何度も目にした駅のライオン像ともいよいよお別れ。 -
今日はこれからスイスのチューリッヒを経由してバーゼルまでの長旅です。
8:48分チューリッヒ行。まだ40分以上ありますね。
ちょっと早すぎました。年寄は忙しなくていけません。 -
リンツ駅構内のスーパーマーケット、SPARで昼食用のパンやジュース、水を購入。
ここは日曜日も開いていて助かりました。 -
朝から活気あるリンツ駅構内。
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チケットはネットでとった早割です。
チューリッヒまでがRJ、そこからバーゼルまではTGV。
リンツを8:48分に出て、バーゼル到着が16:27分。なんと8時間もの長旅です。
当初はミュンヘンからチューリッヒに行くつもりが、ヒトラーの生家を訪れるため急遽リンツ行きに変更したのですから仕方がありません。
昨年のシニア3人旅の際、苦い思いをしましたので、ちゃんと指定席はとってあります。 -
そろそろチューリッヒ行きRJが到着します。
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さて予約した席はどこだろう?
私たちの予約席はすぐ近くなのに前に進めません。
車内販売のお兄さまが通路をふさいでいるのです。
イライラしている客を待たせて、飲み物の注文を受け、泰然とコーヒを淹れているところ。全く苦笑ものです。
無事指定した席が見つかり、荷物も荷物置き場に入れることができて安心です。
やはり予想したように車内は大混雑、空いている席はすべて予約表示があります。
座席指定しておいて良かったわね、席がなかったら私たち途方に暮れるわよね。 -
さあ、これから8時間もの長い時間どうやって過ごそう・・・。
心配いりません。
窓におでこをくっつけんばかりにして、何時間でも外の景色を見るのが大好きな私なのです。
夫は、まるで幼稚園の子供みたいだねって笑います。 -
リンツを出発して1時間ほどでザルツブルク。
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ザルツブルク駅近くのカラフルな建物。
オーストリアではこういうのをよく見かけます。 -
ザルツブルクで降りる人も多かったけど、乗り込む人も多くて、また車内は混雑し始めました。
そういえば、昨年、シニア3人組の旅で、ウィーンからインスブルックまでこのRJを使いました。この時も車内は混雑していて、指定席を取っていなかった私たちは、確かザルツブルクくらいまで座れなかったのではなかったかしら。 -
あそこには銃を持った警官が駅員と一緒に何かを見ています。
ザルツブルクもまだ治安は悪いのだろうか?
2015年の難民危機の時は大勢の難民が押し寄せて、駅舎が封鎖されたこともありました。
まだ記憶に新しい出来事です。 -
ザルツァッハ川。
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RJはクフシュタインにちょっと停車しました。
あちら側の窓からはお城が見えます。
やっぱりあっちの方に席をとったほうが良かったかなー・・。 -
遠くにお城が見えます。どこだろう?
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見たような川です。
これはもしかしてイン川ではないかしら? -
やっぱりインスブルクでした。
ここは昨年もシニア3人組で訪れて、3泊いたしました。
楽しかったなー。 -
次はエッツタール。
エッツタールって5000年前の男、アイスマンが発見された場所です。
名前もエッツィーて呼ばれていました。 -
2年前イタリアのボルツァーノの博物館へアイスマンを見に行った時のことが思い出されます。
5000年も人知れず眠っていた場所が、あの山のどこかにあるのね。
感慨深いです。 -
列車はフォアアールベルク地方の景勝地帯を走ります。
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列車はスイスに入り、フェルトキルヒを過ぎてサルガンスへ。
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サルガンス駅前からバスに乗って、リヒテンシュタインに行ったのは2006年。ドイツワールドカップの年でした。
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車窓にチューリッヒ湖が見えて来たらそろそろチューリッヒ。
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チューリッヒで降りて、このTGVに乗り換えてバーゼルに向かいます。
実はずーっと心配していたことがあるのです。
TGVって座席指定がないと乗れないはずでは?。 -
私たちの予約票にはチューリッヒまでの座席指定はありますが、TGVは空白です。
小心者の私は、乗れなかったらどうしようとドキドキ。
夫に、TGVの車掌に聞いてみてと、嫌なことは夫に任せます(と、言うより言葉の問題)。
夫は大丈夫だよ~、乗れないことはないよ~と言いながらシブシブ車掌に聞いてくれました。 -
夫はチケットを見せながら、「座席指定がないけどどこに座ればいいですか?」。
そしたら車掌、どうぞどうぞ、どこでもお座りくださいと、軽~くおっしゃいます。
ずっと心配していた私は一体何だったの!
普段は心配性の夫と、大雑把な私が逆転した出来事でした。 -
車窓から見える河畔の木々もうっすらと色づいてまいりました。
スイスにも本格的に秋が近づいているようです。
TGVはチューリッヒから1時間弱でバーゼルに到着しました。
8時間弱の列車の旅、さすがに長かった~。
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この旅行記へのコメント (2)
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- salsaladyさん 2017/11/27 10:06:17
- 優雅で勤勉な欧州の旅~excellent!
- ☆コメントにreplyを頂いたのですが、どれだか判らなくなって~
もう一つ前の記事だった様ですが、音楽家がたくさん出てくるのでこちらへ!
☆ドイツ出身の芸術家は大好きですが、国家体制が好きじゃ無い〔特にアドルフヒットラー寄りの政策がね?〕今又ネオナチが増えているらしいじゃないですか?
☆世界中の人々が国家意識を捨てて協力して生きていけば戦争は無くなるのに?なんて甘いかしら?〔家庭にも諍いはつきものだからしようが無い〕か~
- frau.himmelさん からの返信 2017/11/27 14:11:20
- RE: 優雅で勤勉な欧州の旅?excellent!
- salsaladyさん、再びコメントありがとうございます。
salsaさんの文章って哲学的で大変面白い。
「salsalady語録」なんて作ったらどうかしら、って旅行記を拝見しながら思いました。
まあ、私からちょっとだけ反論を。
アドルフ・ヒトラーだけがドイツではないよ!
> ☆世界中の人々が国家意識を捨てて協力して生きていけば戦争は無くなるのに?
この言葉は大賛成です。
まだsalsaさんの今回の旅行記、見ていないものもあるみたいなので、これから拝見しますね。
himmel
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